DQM 異世界に転生したので最強のモンスター達を作って生きていく(準備編 作:雨宮南雲
奥に進むにつれて戦うモンスター種類も少し増えてきました。
その状況でソフィーはキットに聞きます。
「それで、最後の1匹はどうするの?」
「ん~悩み中」
敵の種類は、ホイップゴーストとリップスでした。
どちらも、そこまで強くありませんでした。
「ここをクリアするまでには決まると思うよ」
「だといいんだけどね」
そんなことを話しながら進んでいると、ドラキー2体、ホイップゴースト、おおねずみの混合グループが現れました。
「皆。戦闘準備」
「おう!」「ぴぃ!」「キキ!」
3匹は一斉に構えました。
「スラきちはドラキーにギラ。スラリンは、同じくドラキーにメラをして、ロジャーは攻撃」
「わかった! 『ギラ』」
『メラ』
「キキー!」
キットの指示で、飛んでる厄介なドラキーを先に倒します。
おおねずみがスラきちを攻撃してきます。
「いて!」
「大丈夫か? スラきち」
「おう! 余裕だ、うぎゃ!」
余裕だと返事しようとしたら突然光が襲ってきました。
ホイップゴーストの呪文『デイン』を食らったみたいです。
「くぅ……」
「待ってろ! 今やくそうを使う」
デインを食らって、弱ったスラきちに、キットはやくそうを与えます。
スラきちの傷が癒えて、元気になります。
「助かったぜ。おら! 反撃だ!」
「ロジャーも続いて!」
「キキ!」
2匹の攻撃でホイップゴーストを撃破しました。
残るはおおねずみ1匹です。
「よし、最後はこいつか!」
「油断しちゃだめだよ」
「余裕だっ、うわっぷ」
「ぴ!」
その瞬間おおねずみがすなけむりを起こしました。
油断したスラきちとスラリンが食らいます。
「くそ! この野郎!」
「ぴぃ!」
「2人ともそっちじゃないよ!」
すなけむりのせいで目が見えないのか攻撃を外します。
その隙をついて、おおねずみがスラリンを攻撃します。
「ぴぃ!」
「スラリン?! くそ! 『ギラ』」
スラきちはギラを唱えておおねずみに当たります。
よろめいた所を上からロジャーが強襲を掛けます。
「キー!」
「ジュ?!」
ロジャーの一撃で良いダメージが入ったのか、おおねずみが倒れました。
モンスターの群れを倒した。
「危なかったな」
「そうね」
戦いは、少しの油断が命取りになることを、改めて実感します。
「スラリンは大丈夫か?」
「ぴぃ!」
「そこまで痛くないってさ」
「良かったわね」
「キキ♪」
キットは、一応指輪の画面で確認して、スラリンが大丈夫そうだと判断します。
と、その時ソフィーが違和感に気付きます。
「ねぇ、キットあれ見て」
「どうしたの?」
言われた方向を見てみると、おおねずみが消えていません。
それどころか、起き上がろうとしています。
その様子を見て、スラきちが威嚇をします。
「まだやろうってのか?!」
「待ってスラきち。ソフィー、これってもしかして」
「アンタの予想通りよ」
おおねずみが、起き上がり、仲間になりたそうに、こちらを見ている。
仲間にしてあげますか?
「せっかくだし、最後の仲間はおおねずみしようか」
「チュチュ♪」
おおねずみは嬉しそうに近づいてきた。
キットは名前を考えます。
「名前は……「ピンキー」に決定」
「また変な名前ね」
「昔見たアニメのキャラクターが思いついたので」
おおねずみのピンキーが仲間になった。
「チュチュ」
「ぴぃ」
ピンキーがスラリンに近づいて会話しているようです。
キットはスラきちに聞いてみます。
「なんて言ってるの?」
「戦闘中の事を謝ってんだ。スラリンもそれを許すってさ」
「意外と律儀ね」
(起き上がった時に、仲間になったモンスターの反応はこんな感じなのか)
お互いに気が済んだのか、ピンキーはスラリンと仲良くじゃれています。
気が済んだのか、皆がキットの方を向きます。
「それじゃキット、出発しようぜ!」
「そう……だな」
「どうしたの?」
キットはステータス画面を見ます。
仲間の消耗が、思っていたよりも激しかったのです。
(やっぱり現実とゲームじゃ違うんだな。このまま進むべきか、一度戻るべきか)
安全の為に戻るか、危険を承知で先に進むか悩んでいると、ソフィーがあることに気付きます。
「ねぇ。この先に変な物があるわよ?」
「変な物?」
ソフィーの言ってる方向を向くと、何か柱のような物が仄かに光っています。
「何かしら? あれ」
「行ってみよう」
罠かもしれないので慎重に進んでいくと、柱の近くに大きな扉が見えます。
「扉ね」
「ここがゴールなのか?」
キットは扉を注意深く見ています。
スラきちが扉を押しています。
「ん~! 全然動かないぞ」
「その柱が開閉スイッチとか? 調べてみるよ」
「大丈夫なの?」
キットは柱に手を振れた瞬間、柱の光が強くなり皆を包みました。
「な、なんだ?!」
「きゃ!」
「うお!」「ぴぃ!」「キキ!」「ジュ!」
皆が驚いて身構えましたが、特に危険な事は起きませんでした。
そのことにキットは不思議がっています。
「今のはなんだったんだ」
「さぁ……?」
「うおおお」
「な、何?!」
突然スラきちが叫びました。
よく見れば他の3匹も同じように喜んでいます。
「なんか、体が元気になった!」
「どゆこと?」
「今の光で元気になったんだ」
「マジで……あ、皆が全回復してる」
先ほどの柱は、『回復の石碑』で調べるとHPとMPが全回復するようだ。
そして、それの起動が開閉の合図なのか、扉が勝手に開きます。
「お、開いたぞ」
「気を引き締めた方が良いよ。おそらくコレがあるってことはボス戦みたいなものだ」
「ボスか。がんばるぜ!」
扉が開いて中が見えると、奥の方に宝箱が見えます。
その宝箱の手前に、バラバラになった鎧が見えます。
「何もいないぞ?」
「いや……いる」
「キット?」
キットはその鎧を注意深く見ています。
そして、その鎧に語り掛けます。
「貴方が、ここの試験官なのですか?」
「えっと、キット大丈夫? 疲れておかしくなった?」
「俺は正気だよ、ソフィー」
鎧に対して語り掛けるキットに、心配そうになるソフィーでしたが、次の瞬間。
「く。くくく」
「鎧が笑った?!」
鎧から笑い声が聞こえだして、バラバラだった鎧が集まり、立ち上がりました。
「さまようよろいですね」
「そのとおり。よくぞ、私の正体を見破ったな」
さまようよろいはキットを見ています。
「ほう。ここのモンスターを4匹も仲間にしたのか。将来有望なマスターのようだ」
「訂正を、スライム1匹は借りているのです」
「ふむ? そうか」
楽しそうに語るさまようよろい。
そして、剣を抜くとキットの方に向けます。
「モンスターを仲間にする才能は十分だが、戦闘の方はどうかな?」
「貴方を倒せば、合格ってことですね」
「そのとおりだ。さあ、来い!」
その合図で皆が前に出ます。
にらみ合いの後、最初にスラきちとスラリンが動きます。
「スラリン、行くぜ!」
「ぴぃ!」
2匹の攻撃がさまようよろいに当たります。
しかし、その鎧にはあまりダメージがなさそうです。
「ふ。次はこちらだ!」
「うお!」
さまようよろいはスラきちを狙います。
その剣の一撃はなかなか強力です。
「いってぇ!」
「スラきち、無理をするな!」
「へへ、まだ余裕だぜ!」
さまようよろいは、自身の攻撃を耐えるスラきちに感心します。
「ほう。私の攻撃を受けてまだ、余裕そうだな」
そして、もう一度攻撃するために、剣を構えようとした時、黒い塊がさまようよろいを襲います。
「ぬお?! こ、これは」
「ロジャーのドルマか」
「キキキ!」
突然の呪文にさまようよろいはよろめきます。
その隙に、ピンキーが攻撃をします。
「ジュウ!」
「ぬう……」
効いてはいませんが、体勢を崩すことに成功しました。
その隙に、キットはスラきちとスラリンに指示を出します。
「こいつには、呪文が効くようだ。二人とも!」
「おう! 『ギラ』」
『メラ』
火球と火柱が、さまようよろいを襲います。
「ぬううん。とりゃ!」
その攻撃を受け止めて、さまようよろいは、スラリンに攻撃を仕掛けます。
スラリンは、持ち前の素早さで躱します。
『ドルマ』
「ジュウ!」
そして、ロジャーのドルマでまた体制を崩して、ピンキーの攻撃を食らいました。
「くっ……こ、このままでは」
「こいつで最後だ! 『ギラ』」
『メラ』
「ぐおおおおおおお!」
スライム2匹の呪文を受けて、さまようよろいはバラバラになりました。
さまようよろいをやっつけた。
「やった……勝ったー!」
「ぴぃ! ぴぃ♪」「キキ♪」「チュウ♪」
ボスを倒して、大喜びの4匹。
その4匹にねぎらいの言葉を掛けます。
「皆、お疲れ様。よく頑張ったね」
「余裕の勝利って感じだったわね」
「へへへ、まあな。ってうお」
「ぴ!」「キ!」「ジュ!」
4匹が一斉に声を上げました。
キットはこの現象の心当たりがあります。
「皆レベルアップしたのか」
「なんか、ギューンって来た」
「さすがボスだけあるわね」
キットはさまようよろいの方を見ます。
バラバラになった彼はとても静かです。
「あの……大丈夫ですか?」
「……」
「まさか、死んじゃったとか?」
「……く」
「あ、生きてた」
「くくく。ハーッハッハッハ!」
兜が高笑いをしています。
そしてとても楽しそうに喋ります。
「負けた。見事に私の負けだ。ここまで、気持ちの良い負けっぷりも久方ぶりだ!」
「はぁ……」
「物理が効かないと判断した後の呪文主体に切り替える判断。見事だったぞ、若きマスターよ」
「あ、ありがとうございます」
キットはさまようよろいの方に近づいていきます。
そして、兜を持ち上げて言います。
「あの、もしよろしければ組み立てなおしましょうか?」
「いや、それには及ばん。自分ですぐに直せる」
「あ、はい」
「そんなことよりもだ」
兜が動こうとするので、キットは地面に置くと、彼は宝箱の方を向きました。
「勝者には褒美が与えられる。さあ、あの宝箱を開けるんだ」
「わかりました」
さまようよろいに言われたとおりに宝箱に近づくと、キットは宝箱を開けます。
宝箱の中には、沢山の金属のプレートが入っていました。
「その中のどれか1つを持っていくのだ」
「どれも一緒なんですか?」
「そうだ。それを持って、闘技場の受付に行けば、この試験はクリアだ」
「ようやく、終わりね。早く行きましょ」
キットは、宝箱から金属プレートを1つ取りました。
キットは合格の証を手に入れた。
「帰り道は、宝箱の後ろにある魔法陣から帰れるぞ」
「ありがとうございます」
「よかった。同じ道を歩いていくのは大変だもんね」
「お前は、飛んでるだけじゃん」
「うっさい、スラきち。気分の問題よ」
「まぁ、まぁ」
キット達は楽しく喋りながら魔法陣に入ると光に包まれ、消えました。
その様子を最後まで見て、さまようよろいが呟きます。
「我が主よ。この国に、愉快だが将来有望のマスターが誕生したぞ。彼に祝福を」
そう言い残し、彼は静かに次の相手が来るのを待つことにしました。