毒殺された脳筋マーシャルのやり直し~義兄と義妹が幸せになるため、タイムリープして生き残る道を探す~   作:わんた

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第27話 魔物をぶち殺せッ!!

「攻撃は順調なようですな」

 

 外壁を歩いて、他の場所を守っている兵に指示を出していたローバーが戻ってきた。

 

「兵たちは?」

「すぐ正門にくるかと」

「準備は万全だな。そろそろアレを使う」

「もうそんなタイミングですか」

 

 俺の隣に立つとローバーは魔物の群れを見る。オーガやトレント、ビッグボアの軍団を見て納得したような表情になった。あの数では、集めた冒険者や兵、騎士たちだけでは足りないと分かってくれたようだな。

 

 もともと数は完全に劣っているのだから、早めに手を打つべきである。

 トンケルスに新しい命令を下そう。

 

「魔道士にゴーレムの稼働準備をさせろ」

「かしこまりました!」

 

 トンケルスは外壁の上にいる魔道士へ向かって走り出した。そこまで離れていないのですぐに動き出すだろう。

 

 迫り来る魔物の軍団をじっと見つめる。数が多いので迫力がある。普通なら戦うなんて思わず逃げ出してしまうだろう。実際、兵の何人かは、そう思っているに違いない。それでも歯を食いしばって残っているのは、最高指揮官であり領主でもある俺が落ち着いているからだ。

 

 俺たちは負けない。

 勝てるかもしれない。

 

 そういった希望が彼らをこの場に立たせている。

 

 ちなみに騎士たちは少し事情が違っていて、昔から多くの同僚を殺されてきたこともあり、クソッタレな魔物や魔族と戦えるという事実だけで戦意は高い。

 

 騎士だけは最後の一人になっても逃げることはないだろう。

 

 いや、二人だけ例外がいたか。

 

「ナターシャ……」

 

 あいつらは、王都に避難させてくれただろうか。道中で魔物に襲われて全滅しましたなんて結果になったら、逃がしたことを後悔してしまいそうだ。

 

 いや、今はそんなことを考えている場合ではない。

 目の前の魔物を殺すことに集中しなければ。

 

「ゴーレムの起動準備が終わりました!」

 

 魔道士の隣にいるトンケルスが叫んだ。

 

 すぐにでも許可を出したが、まだ早い。今回は先頭を叩くのではなく軍団の中心で暴れさせたいので、ギリギリまで引きつける。

 

 移動速度の速いビッグボアの背に矢が刺さり、しかし止まることなく外壁に突撃した。足元は大きく揺れるが、石造りであるため壊れていない。防御用の魔法も付与されているのでしばらくは持つだろうが、いつか突破はされてしまうだろう。

 

「ビッグボアは油で殺せッ!」

 

 弓兵は生き残っているゴブリンに向けて矢を放ち続け、残りは高温の油を外壁から落とす。ビッグボアに当たると苦しみ、のたうち回った。さらに魔導士が火の球を放つと、激しく燃える。

 

 周囲を巻き込んで炎上しているので、効果は非常に高い。

 数百、千というビッグボアが負傷し、倒れていく。

 

 移動速度の遅いトレントやオーガはまだ離れている。せめてもう少し近づかなければゴーレムは動かせられない。

 

 騎士が俺たちの出番だとみているが、もう少し待て。

 今は我慢するべきところだ。

 

 外壁は絶え間なく揺れ、兵士たちは悲鳴に似た罵声を上げているが、俺は黙ったまま。腕を組んでトレントたちを睨みつける。足の代わりに木の根を必死に動かしているが遅い。

 

 内心では焦っているが苛立ちを表に出さないよう我慢を続ける。

 

 こうなったら忍耐力の勝負だ。

 

 何十回もビッグボアに突撃され、外壁にヒビが入る。

 

 それでも命令はださない。

 

 穴が空きそうという叫びも無視。

 

 オーガが外壁に近づいた。

 

 まだだ。もう少しだけ機会を待つ。

 

 また外壁が大きく揺れてた。

 

 どうやら穴が空いたようで、待機している一部の騎士が馬から下りて戦いに参加する。

 

 こうやって被害を与えるため、魔族は移動速度の違う魔物を組み合わせたのだろうか。嫌な方法をとる。魔族らしくない。

 

 しばらく待つと内部が少し静かになった。

 

 穴を開けたビッグボアを殺し、土嚢を詰めて修復したのだろう。

 

 オーガが外壁の目の前につき、トレントがゴーレムの射程内に近づいた。

 

 待ちに待ったタイミングが来たぞっ!!

 

「起動させろッ! 魔物をぶち殺せッ!!」

「待ってましたッ!!! ゴーレムの一斉攻撃だ!」

 

 魔道士が手に持つ水晶に魔力を込めると、地面に埋めていたコアが起動する。周辺の土を集めると人型のゴーレムが出現した。大きさは一体、三メートルほど。子供用の人形みたいにデフォルメされた見た目だ。武器は持っていないが、パワーがあるので、トレントを殴りつけると吹き飛んでいった。トレントとの取っ組み合いも始めて、乱戦状態になる。

 

 隠し鉱山で使っているゴーレムの劣化版ではあるが、量産できるのが魅力である。いつか王国が我が家を裏切ったときに備えて、隠れて作り続け、数だけで二万はある。

 

 その数の兵が疲れず、休まず、恐れることなく戦い続けるのだ。

 まさに決戦兵器と呼ぶに相応しい。

 

 一部のゴーレムは先行しいたオーガの背後を襲い、順調に魔物を殺していく。

 

「ざまーーみろッ!!」

 

 外壁の上にいる弓兵の一人が叫んだ。反撃に興奮しているのだろう。矢を放つのすら忘れているが、注意するつもりはない。

 

 これからさらなる反撃をするからな。

 

「俺は外に出るぞ。指揮はローバーに任せる」

「行ってらっしゃいませ」

 

 羨ましそうな顔をしながら返事をされると、俺は外壁を飛び降りた。近くに俺専用の馬がいるので飛び乗り、正門の前にいる騎士と合流する。

 

「お前らッ! 魔物退治の時間だッ!! 正門を開けろッ!」

 

 三本のかんぬきが抜かれると、正門の左右に待機していた兵がロープを引く。重い音を立てながら開いた。

 

 刀身の黒い剣を抜くと掲げる。

 

「突撃!」

 

 馬の腹を軽く蹴って走らせながらオーラをまとい外に出ると、ビッグボアを突き刺す。抵抗なんて感じず、頭蓋骨を貫通して脳を破壊した。即死だ。

 

 後に続く騎士たちも同様に、一撃で殺していく。

 

 ブラデク家が鍛えた騎士たちの力を思う存分堪能すると良いッ!

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