毒殺された脳筋マーシャルのやり直し~義兄と義妹が幸せになるため、タイムリープして生き残る道を探す~   作:わんた

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第41話 恥ずかしいのか?

 プルップの捕獲は思っていた以上に順調で終わったが、問題はここからだ。

 

 魔族の王と会って交渉しなければいけないのである。

 

 街にいても会えるはずななく、また時間をかけてしまえば老婆の魔族が探しに来るかもしれない。もう街が崩壊してしまう姿は見たくないので、魔の森へ入ることにした。

 

 後ろにナターシャを乗せて馬を走らせる。

 

 当主代理の仕事は放り投げてきた。戻ったらいろんな奴らに責められるだろうが、領地の危機だから許してほしい……といっても、理解はしてもらえないか。

 

 後で文句を言われるだろうが、甘んじて受け入れるしかない。

 

 途中、村に立ち寄ると空き家を借りて宿泊し、数日かけて魔の森へとついた。

 

 ここから先、馬は入れない。

 

 ケツを軽く叩くと街に向かって走り出した。

 

 賢く強いので無事にたどり着くだろう。

 

「お兄様、これからどうします? 森でも焼いてみます?」

「いや、それは止めておこう……」

 

 なんて過激な発言をするんだ。

 

 魔の森を燃やしたら前回の人生で襲ってきた以上の魔物、魔族が攻めてくるぞ。

 

「残念です。お兄様のお役に立てると思ったのに」

「気にするな。今でも充分、役になってるさ」

 

 ナターシャがいなければすべてを失っていたのだから。

 

 俺の言葉で嬉しそうに目を細めている姿を見ながら、プルップが閉じ込めている瓶を取り出す。

 

 すでに解凍されており、飛び跳ねるぐらいの動きはできている。

 

 ただコアは力が弱いので破壊することはできない。

 

「よう。元気だったか?」

 

 ぴょんぴょん跳ねて抗議をしている。

 

「生かして返してやるから、お前の親父であり魔族の王でもある男に会わせろ」

 

 コアの動きがぴたりととまった。

 

 顔はないのだが、俺の顔をジーっと見ているように思える。

 

「…………何で知ってるの?」

 

 瓶に捕えている間はずっと黙っていたのだが、ようやく返事をしてくれた。

 

「人間も馬鹿じゃないということだ。魔族の調査ぐらいはしているさ」

「……そう。で、会って何を話すつもり?」

「お前を生かして帰す代わりに魔族が街を攻撃しないよう不可侵の約束をしたい」

「それは無理だよ」

「なぜだ?」

「お父様は力なき人間の話なんて絶対に聞かない」

「逆に力を示せば聞くんだな」

「ええ、そうだけど……無理だよ。私ですら勝てないのに、人間が何とかなる相手じゃない!」

 

 強さはこの身をもって知っている。直接対決を避けるために俺の命を使ってまで、この時間軸に戻ってきたんだからな。

 

 だが本気の殺し合いではなく、腕試しであれば可能性はあるだろう。

 

 俺だけでも力は示せる。そう思っていた。

 

「俺は強い。力を認めさせるぐらいはできる」

「無理! 失敗するにきまってる」

「随分と心配してくれるじゃないか。力が示せなければ俺が死ぬだけなんだし、お前はどっちに転んでも生き残れんるんだ。協力しろよ」

「……………………わかった」

 

 なんで、そんな間があったんだ。

 

 人間になんて興味ないはずなので俺の心配をしているとは思えない。当然、父親である魔族の王もだ。

 

「別に。どうでもいいでしょ」

「なんだそれ」

 

 さらに突っ込んで聞こうと思ったら、二の腕を指先でツンツンと押された。

 

 振りけると頬を膨らませているナターシャがいる。

 

「本題からズレてますよ」

「そうだったな。悪い」

 

 時間をかけすぎて怒っていたみたいだ。確かに魔族が俺たちのことをどう思っているかなんて、今確認するべきことじゃないな。

 

 視線をプルップのコアに戻す。

 

「案内はしてくれるのか?」

「いいよ。でも、どうなってもしらないから」

「問題ない。ちゃんと案内するんだぞ」

「はいはい。とりあえず真っすぐ歩いてくれるかな」

 

 雑な説明をされてしまったがプルップに従うしかない。剣を抜いて魔の森へ入る。

 

 そういえば初回の人生だと父が死んでから何度も立ち入ったが、今回は初めてだ。記憶と変わらず鬱蒼と生い茂る草木、動物の鳴き声、魔物の気配、何も変わっていない。

 

 道なんてないので、剣で草を斬りながら進む。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

 俺は訓練しているので体力は問題ないが、ナターシャは厳しそうだ。

 

 後ろから息切れしているような声が聞こえるので、何度も休憩を取っている。

 

 日が暮れても目的地に着くことはなかったので、プルップの案内によって小さな洞窟に入る。

 

 晩ご飯を食べ終わると、力尽きたナターシャはすぐに眠ってしまう。

 

 俺は火の番をしながらプルップのコアを見ていた。

 

 朱く半透明なのでキレイだが、ここからどうやって声を出しているのか、動いているのか全く分からん。

 

 謎の多い物質である。

 

「あんまり見ないでほしんだけど」

「恥ずかしいのか?」

「当然だよ! 裸を見られているんだから」

「スライムはコアが裸なのか? 別にみても楽しくはないが――」

 

 瓶に体当たりをしてプルップが激し抗議している。

 

 なんだこいつ。戦っていた時と性格が結構違うぞ。

 

 氷漬けにされて頭がおかしくなったのか?

 

「大体スライムに性別なんてないんだから、恥ずかしがる要素ないだろ」

「人間だって同性に裸を見られても恥ずかしいでしょ! それと一緒!」

 

 言いたいことがわかるような、わからないような……。

 

「お前、意外と人間の価値観を知ってるんだな」

「もちろん。ちゃんと研究していたから」

 

 暇つぶしにちょうどいいし、自慢げに声を出しているプルップの話に乗ってやるか。

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