トライアングル   作:ダブルシュガー

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A-3

 

海円歴1482年 サカズキ17歳 ハクレン16歳

ガープ(当時40歳)とロジャー(当時39歳)がロックス海賊団を壊滅させる(通称ゴッドバレー事件)

 

ロックス死亡の報は即日ニュース・クーを介して全世界に報道された。詳しい内容こそ知らされなかったものの、ロックス死亡の事実は大々的に取り上げられ、世界中の人々はそれを聞いて歓喜した。山賊もヤクザも農民も貴族も商人も。ロックスの作る巨大な闇に何時自分達の街が巻き込まれるのかと怯えていた人々は、その日、十数年ぶりに安らかな眠りを得たのだ。しかし、ロックスの死がイコール完全な平和に繋がった訳ではない。ロックスの死から程無くしてロックス海賊団の残党どもが各々海賊団を新設し、新世界で暴れまわるようになったからだ。世界が平和になるのはまだまだ先の事だと、世間は直ぐに気付いたのだった。

 

そんな一喜一憂する世間とは裏腹にハクレンは自分の計画を推し進める。ロックスが死んだため急ぐ理由も無くなったので、気持ちゆったりと……。現在まさに取り組んでいるのは、計画の為の資金調達と情報収集…………そして、この世界の権力者達と縁を結ぶこと。ここで言う権力者とは、例えば、金融、物流、メディアなど世界的企業の経営者達のことだ。それは裏社会、表社会問わず、合法、非合法も問わず、この世界に多くの影響と情報を掌握している者達である。

ハクレンは自身の能力パフュパフュの実を利用することで彼等と縁を結ぶことをずっと前から考えていた。睡眠のパフューム、良夢のパフューム、安らぎのパフューム。人の本能や欲求に語り掛けるこの能力は例えこの世の贅と沢を知った権力者でも虜にすることが出来るだろう。

しかし、ハクレンには交渉の能力がない。市井で野猿のように育ったハクレンは戦闘でこそ比類なき力を発揮したが、交渉術を含めた王としての教育は全くと言って良いほど受けなかった。自警団の長としてやっていけてるのもハクレンのカリスマ性と実績ありきのものだ。じゃあ、ハクレン以外の人間に交渉に立てる人間がいるかと言えば、そんなことはない。サカズキは圧迫交渉は大の得意だが、普通の交渉は不得手だ。他の国民も国柄故か交渉の出きる人間は殆んどいない。居たとしても所詮は田舎レベルのそれで、世界の重鎮たちと言葉で渡り合える者はいない。

 

仕方無しに、多少の損を享受しても縁を結びに行こうと考え始めた頃、実に都合の良いことに、゛その゛人材と巡りあった。それはハクレンがこの計画を考えてから六年後。つまり、ゴッドバレー事件が起き、ロックスが死んだその年である。

 

「まさか君のような人がグランドライン前半の海(こんな場所)にいるなんてね。歓楽街の女王様」

「私こそ驚いたわよ。まさか前半の海なんかにこれ程の強者が二人もいるなんて。貴方達充分新世界の怪物達とも戦えるわよ」

「嬉しい評価だけど、そう言うのに興味ないんだ。僕が今欲しいのは貴女の持つ情報と人脈。出来れば素直に協力して欲しい」

「貴方、交渉の才能無いわね。そんなあからさまに自分の望みを言うものじゃないわよ。それに協力する義理もメリットも感じないわ」

「宴を準備した。良かったら食べて行ってくれ」

「貴方本当に才能無いわね」

 

歓楽街の女王こと、エリザベートはカールの掛かった金髪に手をかけ、後ろに控えていた部下に尋ねる。

 

「次の島のログどのくらいで溜まるの?」

「三日程度です、エリザベート様」

「そう、ここで一番大きな宿泊施設は?」

「自警団本部だと思われます」

「自警団本部って?」

「僕の勤め先ですね」

「なるほど」

 

エリザベートはチラリと後ろを振り向き、自身の乗ってきた自家用船を見る。『歓楽街の女王』の乗る船だけあり、外装は格が損なわれないほど豪華であり、内装も船としては破格の設備が整っていた。しかし、移動を主目的とする物なので、流石に自宅や別荘程ではない。となると……。

 

「一応、その自警団の本部を見てあげるわ。そのレベル次第で泊まってあげてもいいわよ」

 

赤い目を妖艶に細めて、高飛車に言うのだった。

 

 

 

 

△△△△△△△△△△△△

 

翌日。自警団本部 最上階 ハクレンの自室にハクレンと歓楽街の女王こと、エリザベートが一糸纏わぬ姿で寝ていた。二人はあの後一夜を共にしたのだ。エリザベートは簡単に股を開くほど自分の立場を解さぬ愚か者ではなかったが、ハクレンは本気で能力を使って落としにかかる。六年間、囚人相手に分析・研鑽した能力と経験を披露する。例えば、媚薬のパフュームや幸福のパフューム、良夢のパフュームなど、今迄研鑽してきたありとあらゆる能力を用いてエリザベートを落とすことに専念した。正直深夜くらいには既に完全に堕ちた顔をしていたのだが、相手は歓楽街の女王。ハクレンには演技か本気か見分けることなど出来ず、その後も手を緩めずに全霊を持って落としにいった。

 

「結果、今の惨状だと」

 

ゴゴゴゴ!!!と言う効果音が背後に見えそうなほど怒るサカズキ。縮こまるハクレン。

正直、ハクレンも途中からエリザベートの美貌や体、テクにより、性欲に支配されていたことは否定できない。もちろん、一番大切な目的は覚えていたが。

 

「う、うむ。ちょっと、やりすぎたと反省している」

「ちょっと?」

「い、いや、かなり」

 

ハクレンの横には気絶したエリザベートが寝ている。ピクピクと体を震わせながら、アへ顔の状態で、涎をたらして。ハクレンが頬をぷにゅと押すとエリザベートは体をビクッ!ビクッ!と仰け反らせる。

 

「たく、まあ良いわ。兎に角、その女の部下どもがエリザベート様は何処だと煩いんじゃ。さっさとその女起こして、納めてこい」

 

ハクレンはエリザベートを起こして場を納めに行くのだった。

 

閑話休題

 

歓楽街の女王として演技は幾らでもしてきたが、本気の絶頂をしたのは何時ぶりだろうか。いや、もしかしたら本当の本気の絶頂をしたのは今回が初めてかもしれない。そう思えるほど異次元の快楽と幸福感だった。そんな悪魔的な快感を知ってしまった歓楽街の女王は意識を取り戻した現在もハクレンにベッタリである。見ている此方が恥ずかしくなるほど体を密着させている。

 

「つまり、我が君の作ったパフュームも流通させることと情報が欲しいってこと?」

「そう言うことだ。もちろん、利益の一部は取ってっていいし、情報にも対価を与える」

「お金じゃなくて体で払ってくれるなら引き受けても良いわ」

「分かった」

 

エリザベートはその後、一週間ほどこの島に滞在し、毎晩ハクレンとイチャラブセックスをし続け、仕事の為に海に出た。

 

「本当にあの女を信用できるのか?」

 

サカズキは眉をしかめる。確かにエリザベートは、ハクレンの事を我が君と呼ぶほど慕っていた。サカズキにもあれが嘘とはとても見えなかった。しかし、エリザベートは歓楽街の女王だ。嘘と不幸を着飾って何十年も闇世界を生きてきた本物の怪物。俺達に見破れない嘘をつくことなど容易いことだろう。

 

「注視せねばならんな」

 

 

 

 

 

 

 

海円歴1487年夏 サカズキ22歳 ハクレン21歳

金獅子、ビッグマム、ロジャー、ワールド、レッドフィールド、カイドウ、王直、銀斧、白ひげ…億越えの怪物達により勢力争いと植民地拡大運動により、新世界は今や魔境となっている。

しかし、前半の海は新世界程の強者は少なく、特に前半の海としては破格の力を有するサカズキとハクレンのいるカボチャ島は今日も平和な生活を送っている。その平和の象徴である自警団本部。その四階にあるとある部屋には21歳となったハクレンとエリザベートが裸で腰を掛けていた。

 

「───と言うのが現在の新世界の情勢ね」

 

エリザベートは肩によりかかりながら話す。その顔は火照り、一目で興奮していることが分かる。寄りかかられているハクレンも同様に体が火照っている。これだけの美貌かつ凄腕の美女が極上の肢体を押し付けているのだから当然だが。

 

「なるほど。カイドウが捕まってたのには驚いたよ。他に何か変わったことはある?」

 

しかし、情報を聞くのが先だ。口車に乗せられて裸で聞くことになってしまったが、兎に角聞くのが先だ。エリザベートは腕を胸の谷間に押し付けながら答える。

 

「そうね。ドレスローザでキュロスって殺人罪で捕まった子供がコリーダコロシアムの囚人剣闘士になって、その4カ月後に通算100勝を達成らしいわ。しかも、無敗でね」

「そりゃ凄いな。この前聞いたバレットとか言う無双少年兵とどっちが強いのか」

「ああ、そのバレットだけどね、悪魔の実を食べたらしいわよ。お陰で更に無双っぷりに研きが掛かったらしいわ」

「何の実なんだ?」

「ガシャガシャの実ね」

「ガシャガシャの実?」

「触れた無機物を自身に合体させたり、無機物同士を融合・変形させることができる能力。例えば、銃と剣を合体させて銃剣にしたり、生み出した武器と自分が合体し操るといったことも可能よ。能力を手に入れる前の少年時代でも無双の英雄・最強の少年兵と謳われていたわけだけど、この能力を得たことで、物資の乏しい戦場でもガラクタを元にして無限に武器を生み出し、その強さは確固たるものとなっていると聞くわね」

「それは凄いな。是非仲間に率いれたいくらいだ。まあ、戦場の英雄じゃあ国が手放さないだろうけどね」

「それがそうでもないのよね。バレットは国の連中と上手くいってないみたいで、国もバレットの力を恐れてるみたいよ。私は興味ないけど付け入る隙はあると思うわ」

「それはそれは。少し会いに行ってみようかな。確かガルツバーグだったか?一応前半の海にある国だったな」

「ええ、魔の三角地帯のすぐ近くにある国よ。ねえ?もういいでしょ?始めましょう」

 

こうして二人の夜は過ぎていくのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

△△△△△△△△△△△△△

 

バレットの過去(正使)

海円歴1475年 バレット0歳

偉大なる航路”(グランドライン)の「戦争の終わらない国」で、敵国の兵士の間に生まれ、早々に母親に捨てられ孤児になる。敵国の軍事国家「ガルツバーグ」の軍隊「ガルツフォース」によって拾われ育てられる。

 

海円歴1476~1483年 バレット1歳〜8歳

「ガルツフォース」部隊長ダグラス・グレイの下、少年兵として厳しく鍛えられながら、生きるための最小限の物資を与えられて育つ。切込みの尖兵として地雷原を歩かされたり、爆弾を持たされ、死線を切り開く任務への参加など「捨て駒」として使われることが彼らの主な戦いだった。

戦場で最も武勲を上げた者に「メダル」を与えられるという報酬制度があった。(これらをスタンピードで着ていた軍服につけていたりする)武器以外の一切を与えられなかったバレットは、子供心にその「メダル」への渇望を募らせていった。メダルをもらえる者は唯一人。バレットは天才的な戦闘力でそれを手にする直前まで活躍するが、味方の裏切りにより「メダル」を獲られてしまい、瀕死の重傷を追う。「強すぎるんだよお前は・・・!バケモノめ・・・!」裏切りの根本になったのは、「バレット自身の強さ」。これにより、同じ環境で生きる少年兵たちからも迫害されることになる。しかし、バレットは強かった。バレットを裏切り、迫害してきた少年兵達を一網打尽にし、メダルを奪略。自らの油断や慢心、味方を信じる自分の弱さが、そもそもの失敗だったと悟る。

物資、作戦、戦力・・・敗北から学んだバレットは、一切の迷いなく全てを「自分の勝利」の為だけに使い、「メダル」を次々に獲得。常勝無敗を積み上げていく。

 

海円歴1484~1488年 バレット9歳〜13歳

「一人の強さ」を発揮し、戦場では無双の英雄。最強の少年兵となる。戦いに勝てば勝つほど、思うがままに振る舞うことができる。そこに生の充足や実感、そして自由を感じる。強くあることは自分を生存させ、自分に自由を与える。強くある事が、自分に生きがいを与えてくれる、という感覚を得ていく。

戦場で疲労と空腹の限界に達した際、悪魔の実”ガシャガシャの実”を発見。食べる事で命を繋ぎ、その強さはより確固たるものになる。

 

海円歴1489年 バレット14歳

戦争の英雄バレットの活躍で、国は勝利に近づく。バレットの部隊長であるダグラス・グレイは、バレットの戦果によって「将軍」に成り上がっている。自分に利益をもたらすバレットに目をかけて、特別扱いするダグラス将軍。「バレット、お前の事は我が子の様に思っている・・・!戦争に勝ったらお前を軍部上層に迎え入れて、こんな血生臭い、規律だらけの現場から開放してやろう‼戦場から離れた豊かな暮らしだってできる。お前は本当の自由を手にするんだ‼」バレットは、ダグラス将軍の甘言に夢を見る。「戦い以外の自由な暮らし・・・」戦争の勝敗をかけた最後の戦いに出陣するバレット。バレットの活躍により、敵国の軍隊を降伏に追い込み、勝利したと思ったその時、バレットは味方の軍隊にたった一人包囲されていた。

「貴様の強さはやがておれの地位を危ぶめる・・・!」ダグラス将軍は、バレットを亡き者にする為彼を裏切ったのだ。初めて心を許しかけたダグラス将軍の裏切り、新たな自由が目の前にあったが故の失望。それらが激しい怒りとなり、瀕死まで追い込まれたバレットだったが暴れ狂う。鍛え抜いた自分の力だけは、自分を裏切らなかった。戦争を集結させ、自軍と自国も滅亡させる。一国を壊滅させたバレットは、世界政府に追われる。バレットは一人、戦う場を求めて海賊として海へ出る。その一年後、バレットはロジャーと出会う。

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