ゲーマー兄妹がSAOに送り込まれたそうですよ?   作:ハッピー23

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ゲーマー兄妹は《鼠》と第一層攻略法を見つけたようです

ベルとリリと出逢いキリトと別れてから二ヶ月が経っていた。

そして別れてからというもの、一度も出会うことなく空と白は迷宮区や始まりの街と怪しいと感じた場所をしらみ潰しに往き来していた。

 

「そっか、とりあえずメインヒロインには出会えたみたいだな」

 

「……少し安心し、た」

 

そして、これで多分俺達の知る物語通りには進んでくれるだろう、と胸を撫で下ろしていたところであった。

 

「にしても、よかった」

 

と、空は後ろにいる人物に視線を向けた。

キリトの他に、会っておきたかった人物に偶然にも出会えていたのだ。

 

「まさか、アンタ達がオレっちを探してたとはネ」

 

「……そんなに…警戒しなくても大丈、夫」

 

しかし、見つけたはいいものの、警戒しているためか物陰から二人についてくる形になっている。どうも話しづらかったりして辛いところである。

 

「俺達がアンタを探してたのは別に何か企んでの事じゃない。アンタとは是非とも仲良くなっておきたくてな。会えればと思ってたんだ《鼠》のアルゴさん」

 

アルゴは木の影から目を細めて空を観察した。

少し異常だと思えるところもあるが、外見はどこにでもいそうなただの男だ。オレっち以外のやつが視ればな……と、アルゴは呟いた。

 

「本当に何者なんダ?初めて見たときからずっと気になってはいタ。……でも、調べれる手掛かりも何もないんじゃ話にならナイ」

 

アルゴは空白に、どうか教えてくれと聞いたが冗談のように軽く、ただのゲーマーさ、と返すのみだった。

そう簡単に教えてしまっては面白くない。というよりも、素直に話した所で信じるはずがない。だってそうだろ?「僕達は異世界からやって来ました」なんて誰が信じるよ。と、空は白と目で語り合った後にアルゴは諦めたように溜め息を付いていたのを確認した。

 

「……まあ、時間が教えてくれることもあるカ。それに、仲良くなりたいってことはオレっちの得意客になっておきたいってこと、なんだロ?」

 

「理解が早くて助かる。このゲームを生き抜くために一番大事なものは情報だ。この世界で一番の情報通はアンタだろ?キリトもアンタの情報にはかなり世話になってんじゃないか?」

 

《キリト》というプレイヤーの名を聞いた瞬間、アルゴはキョトンとした顔で空にいかけた。

 

「キー坊のこと知ってるのカ?」

 

「もちだ」

 

「……少しの間…パーティー組んで、た」

 

……なるほど、つまりいつもソロだったキー坊がこの二人と組んだってことは…この二人の力を認めたってことか。と、アルゴはまじまじと二人を交互にまた観察し始めた。

 

「……ん、いいヨ。じゃあ今後は重要そうな情報はアンタ達にも連絡するようにすル。それでいいよナ?空にぃ、白っち」

 

「……空にぃ?」

「……白っち?」

 

目を点にして自分につけられたアダ名?を反芻する。

 

「オレっちは気に入ったやつは呼び名を変えてるのサ。空はオレっちより年上ダロ?だから空にぃで、白は、はぐしたいぐらい可愛い妹みたいだから愛嬌込めて白っちダ!」

 

おお、としか言えなかった。いや、勢いが良すぎて言い返しようがなかった。

 

「……まあ、それはともかくサ。なんでこんな胡散臭い噂に興味あったのか聞かせてくれないカ?」

 

二人は洞窟の前に突っ立っていた雑魚を一蹴し、後ろにいるアルゴに視線を向けた。

 

「だって、空にぃ達程のやつなら《隠しログアウト》なんてデマ信じるはずないだロ?」

 

「ん?なんで、そんなに俺達のことを買い被ってるのかは分からんが、まぁ、その通りだ。そのデマに興味はない。興味があるのは別のもんだ」

 

「ここは一応オレっちが全部確認したはずなんだガ」

 

「……多分、見落としが……ある」

 

え?とアルゴは口を開いた。

 

「まだ序盤だしな。熟練度が足りてなかったんだろ」

 

「……まさか、オレっち《看破》の熟練度が足りてないのカ?」

 

二人は頷いた。

 

「なら、お二人さんは《看破》の熟練度を上げてるのかナ?」

 

「ん、そだな。俺は上げてるつもりだが……。ふむ、何もねぇな」

 

やっぱりか、とアルゴ。

そして、アルゴの前で二人は岩の壁により足止めされていた。

 

「ほら、やっぱりないだロ?」

 

さあ、引き換えそうとアルゴは後ろに振り返り洞窟を出ようとしたとき空は口を開いた。

 

「待てアルゴ。お前だってわかってるだろ?この洞窟の前には、まるで何か大切なものを守るかのようにモンスターが見張っていた。つまり、だ。何もないはずがない」

 

「でも、実際何も見つからないんじゃナ……」

 

渋々とアルゴももう一度洞窟内を調べようになった。

 

「やっぱり俺の《看破》でもダメそうだな」

 

しかし、早くも空から出た台詞に諦めを見せたアルゴは次の白の台詞に食いついた。

 

「……にぃ…やっぱり変だ、よ?」

 

「だよな……」

 

「一体何処が変なんダ?」

 

「ここの壁の左右の色が少し違う」

 

アルゴと空は白を中心に左右に別れ壁を調べる。

手で触れて壁を確かめていくがやはり何も仕掛けは無さそうだ、と空とアルゴは互いに確認しあった。

 

「……色が偶然違うだけなのカ?

 

「いや、違うな。ゲームでは色の違う壁の奥には何かあるってのが定番中の定番。しかも、よく見ないとわからないレベルの配色ってのがまた怪しい」

 

熟練度を高めた《看破》があれば楽に見つかるが、今回は肉眼だけでもどうにかなるように設定してあったのか?と空はキリトとクエストで手に入れた短剣を片手に、壁に斬りかかった。

本来ならば《破壊不能オブジェクト》により洞窟や迷宮区と、様々な場所で壁やフロア床への破壊行為が無効にされるが、

 

「ビンゴだ」

 

《破壊不能オブジェクト》により防がれることはなかった。むしろ、短剣は壁を傷付けるのではなく、壁をすり抜ける形となっていた。

 

「手で触れば見抜けていないと判断され、武器による破壊行為などにに対しては《看破》と同じく見抜いた扱いにされるようにでもなってんのかね」

 

それは茅場のミスなのか、それとも……、と考えるが、笑みを浮かべ考えるのを止めた。

とにかく、先程まで目の前にあった壁は消え失せ、先へ続く道が出現した。そして、目的のものもそこにはあった。

 

「さて、予想通りだ」

 

「こ、これはまさカ」

 

「……情報は…最大の武器とな、る」

 

「用は済んだ。一旦戻るか」

 

アルゴは頭の整理が付いてないようだが、空と白に引っ張られ押される形で近くの街に向かった。

 

 

 

 

 

 

場所が変わり、迷宮区により近い街《トールバーナ》の少しコジャレた喫茶店の中に三人はいた。

 

「一体どういうことか説明してくれないカ?あの壁画は一体……あれはボスの情報でいいんだよナ」

 

「説明も何も……茅場が何の情報も寄越さないで命懸けのゲームなんてさせると思うか?確かに異常者ではあるが、人が大勢死なないようにヒントぐらい残すだろ。雑魚はなんとか自力でやれだのキリトやアルゴみたいなβテスター頼みだのだが、流石にボスとなると自力では死人が多くなるしβテスターでもキツいってのが現状だ」

 

「……彼には…何か目的があ、る。だから、そう簡単には……ここにいる人達は殺さない、し…殺させない」

 

だから、最低限ボスの情報ぐらいは残している、と二人は力強く強調して言った。

 

「だから、これからも怪しいと思った所は要注意だ。これから先絶対に一層毎にその層のボスの情報やそのボスに対して有効な武器なんかがあるはずだからな」

 

成る程。これからは要注意っト。

今回は《看破》スキルに頼りすぎたな、と悔やむアルゴに空白は苦笑いでそれなりに言葉を掛けた。

 

「んじゃ、もう行くわ」

 

アルゴに代金を渡し空と白は立ち上がった。

 

「待ちナ。知ってるかもしれないが一応一つだけ教えとくヨ。明後日の朝だったかナ?この街の広場に第一層攻略を目指すプレイヤーの集いがあル。そこにはキー坊もアーちゃんも来るそうだ」

 

「へー、キリトとヒロイ……いや、アスナも来るのか……」

 

「……暇なら…寄ってみ、る」

 

と手を振り、アルゴのもとを離れた。

 

 

 

 

 

 

店を出た二人は近くにあるNPCの武器市場に足を進めた。

 

「……で、にぃ。実際は…どうだった、の?」

 

「ああ、《看破》のことか?」

 

白はウィンドウを開き短剣を購入しながら頷いた。

 

「そだな。俺の熟練度でも何もわからなかったのは事実。《看破》で完全に見抜くには熟練度をまだ上げなきゃいけねぇんだろ」

 

まぁ、今回に関しては優しかったがな、と空はポーションと食料を買い込み指を動かしながら愚痴った。

 

「あの洞窟は序盤故に手を抜いたな茅場のやつ。《看破》がなかろうがどうにかなったわけだしな。何考えてんのかわかんねぇ」

 

「……そっ、か」

 

アイテム欄の整理を終えて白は空へ向き直った。

 

「……にぃ…どうす、る?」

 

「もちろん俺達でボスに挑み、勝利するぞ!とかなんとか言って少年漫画風に決めたいところだが、この世界の主人公はあくまでキリトだ。それに、今回のボスはアイツにとって大事な場面でもある」

 

「……わかった。今回は……全力でサポートす、る」

 

空を見上げ空は白の頭に手を置いた。

 

「……頼んだぞ白」

 

頭を撫でられた白は、何の抵抗もなく空の懐に頭を埋め、

 

「……うん…任せ、て」

 

と、空の手を握った。

 

 

 

 

 

 

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