嘘物語 作:物語シリーズの二次創作増えろ
待ってるやつなんか居ねえだろ…
「そうだね、まず何から話そうか。
「まず、私は施設で生活してる子なんだ。
「元々片親だったんだけど、小さい頃にお母さんは窃盗で捕まっちゃったんだ。
「それで行く先がなくて施設に預けられた。
「まあ、元々虐待とか育児放棄とかされてたから施設の環境の方がマシだったよ。
「それでもお母さんは愛してくれてる。
「そう信じてた。
「いや、期待してたって言うべきかな。
「刑務所から出てきたらまた迎えに来て愛してるって、そう言ってくれるんだと思ってたんだ。
「学校が休みの時とか放課後、特に用事のない時はよく街を歩いてお母さんを探したんだ。
「もしかしたら私が施設で暮らしてるのを知らないのかもしれない。だから迎えに来てくれない。迎えに行くのが無理なんだ。そう思って。
「大体、半年くらい前かな。お母さんを見かけた。
「私は嬉しかった。思わず駆け寄ってお母さんって呼びかけた。
「探してたって。愛してるって言ってくれると思った。
「でも、拒絶された。
「私を見るなり顔を顰めて、声を荒らげて、何でここに居るって言われた。
「私は馬鹿だったから、お母さんを探してたって言ったら頬を打たれてね。
「会いたくなかった。お前に言うことは何も無い。お前を愛してるなんて、そんな事あるはずがない。
「二度と私の前に顔を出すなって。
「気がついたらお母さんは目の前から居なくなってた。
「私は愛されていなかった。
「もう、何もかもが分からなくなって。何もかもがどうでも良くなって。
「その帰り道で私は1匹の蟹に出会った。
「出会って体重をごっそり持っていかれた。
「そんな感じの、嘘のような本当の話だよ。
★☆★☆★☆
星野の話を聞いて、俺は前々世で読んだ作品を思い出していた。
怪異と呼ばれる存在が登場し、怪異が起こした事件を解決しながら進んでいく物語。
化物語。
物語シリーズと呼ばれる西尾維新先生作のライトノベル、その第一巻の題名だ。
その一巻に出てくる怪異。おもし蟹。恐らくそれが原因だろうと思う。
さて、そんな事を考えながらこんな事も思っていた。
一つの作品に転生じゃなくてクロスオーバーかよ!
と。
「あー、おっけ。とりあえず経緯は分かった。後多分原因も分かった。」
「本当か?!ちなみに原因ってのは何だ?」
あまり期待してなかった様な星野と親父が原因が分かったと言った俺に聞いてきた。まあ星野はまだ疑いの目をしているが。
「…ほんと?病院のセンセとかに聞いても原因不明だって言われたよ?まるで元々そうだったみたいにって」
「病気じゃないからな。これは怪異によるものだ」
「怪異?」
「ああ。胡散臭くなるが本当だ。ちなみに親父が想像してたものとは別物な」
そう言いながら親父に犬の手影絵を見せる。ダメ元で聞いてた親父はこの世にそんな不思議なものがまだある事に少し驚いていた。
「よし。取り敢えず怪異について話すか。怪異って言うのは都市伝説、信仰、噂などによって生まれる存在だ。怪異として実体があるもの、人に取り付くもの、結果だけがあるものなど様々な容姿がある。今回の怪異はおもし蟹っていう怪異だ」
「おもし蟹?」
「そう。おもし蟹。重し蟹や重石蟹、思いし神って呼び方もあるらしい。九州の山間部で語られる民間伝承だよ。いき遭った人間から重みを失わせる怪異だよ」
「でも私は九州なんて行ったことないよ?お金もないし」
「場所そのものには意味は無いらしい。そういう状況であればそこに生じる、現象に近いのかな?まあ俺もそこまで詳しい訳じゃないし」
そう。物語シリーズは好きな作品だったから、何度も読んだけれど終物語あたりまでしか読んでいないし、何十種も怪異を知っている訳でもない。たまたま知っていた怪異だっただけだ。それにおもし蟹じゃなければ気づいていなかった可能性が高い。
「本来なら専門家に任せるべきなんだろうけど、生憎連絡先とか知らないし何処にいるかも分からない」
「専門家なんてもんがいるのか。その怪異ってヤツの」
「こんな異常に一般人が対処できるとは思えないしね。なんにせよ原因を取り除く方法は知ってるし多分その体重も取り戻せる。いくらか前準備がいるけどな」
問題は前準備だ。原作では神様に降りてきてもらう状況を作り、降りてきた神様にお願いして体重を取り戻していた。降りてきてもらう、この前提がクリアできないと何も進まない。降りてきた後は実力行使で何とかできる。
「じゃあ、前準備から始めようか」
推しの子の漫画は持ってるけどそこまで詳しい訳じゃないです