ブルーアーカイブ クローンティーチャー   作:セサミストリート

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アッドがシャーレに来てからまだ日が経ってない頃のお話


譲渡

『シャーレ』を奪還してからまだ日も浅い頃、コムリンクから連絡があった。

 

『こんにちは、七神リンです。今お時間とってもよろしいですか?』

「問題ない、どうかしたか?」

『ありがとうございます。こちらの方で少し時間の余裕ができましたから、以前申したシャーレ専用のスーツが用意ができたので、そちらに持っていきます』

「了解した。ゆっくりでいいから待っているぞ」

『わかりました、それともう一つ』

 

リンの説明が終わったと思い、コムリンクをバックパックに戻そうとしたら、リンに呼び止められた。

 

「何だ?」

『連邦生徒会長から先生に届けるようにと言われていた物品もありますので、そちらも届けに行きます』

 

物品?俺は連邦生徒会長に会ったこともないのに何かを預けることはまずありえない。俺が来ることがわかってて用意したなら、連邦生徒会長とやらは何処まで俺を知っているんだ?

 

『では、また後ほど』

 

一人で考えている中、リンの通信は終わった。

 

ーーーーーーー………

 

「お待たせしました。先生」

 

30分程でリンが到着し、右手には茶色い袋と、厳重に守られている銀色のアタッシュケースを持っていた。

 

「よく来たな。俺も一通り片付けを終わらせたから休憩しよう。なにか飲むか?」

「いいのですか?では、コーヒーをお願いします」

「わかった。そこのソファーで待っててくれ」

「ありがとうございます」

 

俺は部屋を移動し、『給湯室』と書かれた部屋でリンと俺のコーヒーを用意する。ちなみに作り方はアロナから教わり、使い方はすべて記憶している。

正直に言うと、俺の世界で飲んでいた飲み物よりも遥かに旨いものが多く、少し感動してしまった。特にコーヒーは、深い苦味があるがそれでいてうまい。ミルクを少し足せばまろやかさが出てこれがまた最高だ。このコーヒーという飲み物は、飲み物の頂点であると考えている。いつか元の世界に帰ったら、兄弟たちと飲みたいものだ。多分コマンダー·コーディなら気にいるはずだ。

 

「どうぞ」

「ありがとうございます。いただきます」

 

俺はオフィスに戻り、リンにコーヒーを差し出す。リンはカップを手に取り、ゆっくりと飲む。

 

「…美味しいです」

「そうか、それは良かった」

 

俺もコーヒーを飲み、後味を味わいながらカップを戻す。

 

「あれから連邦生徒会はどうなった?」

 

俺はシャーレでは基本的に掃除かアロナからシャーレの施設について色々教えてもらっているから、外に関する情報はほとんど持っていない。リンに連絡しようかと考えたが、向こうも忙しいと考え、自分のできることをやるしかなかった。

 

「サンクトゥムタワーの制御権をこちらに譲渡されてからは、今までの業務を続けています。戻ってからもあまり変わりませんね」

「各学区からはどうなってる?」

「そうですね、どの学区もそれぞれの問題を抱えていますし、関与しようにも難しい状況が殆どです。特にゲヘナとトリニティに関しては殆ど関与していませんし、SRTの処遇についてもまだ議会が必要といった状況です」

 

リンはコーヒーを少し飲み、カップを戻して一息つく。よく見ると、目のあたりには薄っすらとくまができており、疲れているのが見るだけでもわかる。

 

「そうか…俺が言えることじゃないが、無理はするな。お前はまだ子供なんだからな」

「…えぇ、わかっています。ですが連邦生徒会長がいない今、私はあの人の代わりにキヴォトスを守らなければ…」

 

リンの顔に影がかかったかのように暗くなり、前に会った凛々しさがどこにもない。それだけ彼女は背負ってきたのだろう。

 

「リン、一人ですべて背負うことは無理だ。そのための組織だろ?仲間に頼ることも大切なことも忘れるな」

 

だが、それはまだ早い。子供にはまだ早すぎる。その責任を、責任を持つのは本来は導く存在であるはずの『大人』がすることだ。リンは一見大人のような容姿をしているが、彼女もまた一人の少女にすぎないんだ。

 

「…ありがとうございます。そう言っていただけるだけでも嬉しいです」

 

リンはまたコップを持ち、コーヒーをゆっくり飲む。一息ついたリンは、またカップをもとに戻す。

 

「では先生、本題に入りましょう」

 

リンは近くにおいてあった茶色の袋の中にある物を取り出し、俺の目の前に並べる。

 

「こちらが、これから先生が着ていただくスーツです。サイズは平均男性より大きめに作ってあります」

「ほぉ…これがスーツか」

 

俺は手に取り、スーツの隅々を見る。見たことない作りをしており、まず俺の世界では見ることはないだろう。

 

「私が着ている連邦生徒会の制服デザインを基に作られたスーツとコートです。シャツは黒色の長袖と半袖を一枚ずつ、靴は合皮を使った革靴を用意しました。あと、ネクタイは青を基調とした物もあります」

「…コートはわかるが、それ以外はあまり見たことがないものばかりだな」

 

コートは俺の世界でもよくあるが、それ以外は本当に初めて見るものばかりだった。

 

「サイズはあってるとは思いますが、一度着てみてください」

「あぁ…ところで、このネクタイ?というのはどう付けたらいいんだ?」

「…普段どのような服を身に着けていたんですか?」

 

リンは驚きながらも呆れたような感じで話す。仕方ないだろ、殆ど戦場にいたんだから。御洒落なんざしたことないぞ。

 

「聞きたいか?」

「…いえ、遠慮しておきます。とにかく、待っていますので、着てみてください」

「わかった、少し待っててくれ」

 

俺は『仮眠室』に移動し、アーマーと対ブラスター耐久スーツを脱ぐ。ふと鏡に映る自分を見て、俺は鏡を見た。

 

(…酷い姿だな)

 

俺の体には戦場で受けた傷跡がある。左胸と腹にはブラスターを受けた痕、右腕には切り傷、顔には目と鼻の間に一本の傷跡が残っている。幾度となく戦場に立ち、ときに目の前で爆発を受けて、ときにバトルドロイドからブラスターを受けたりと、他人から見たらボロボロの状態と勘違いされるだろう。

だが、これは俺にとっては勲章のようであり、カミーノの医療で傷を消すことはしなかった。

 

「…なんの役にも立たないよな、こんな傷だらけの体なんざ」

 

俺は自分自身を笑い、スーツを手に取った。

 

「…これ、どうやって着るんだ?」

 

まずい、リンから着かたを聞くべきだったな。だが、待たせるわけにもいかない、なんとか頑張るしかない。

 

ーーーーーーー………

 

「…遅いですね」

 

この部屋で10分も待っていたが、先生は戻ってこない。

 

「何かあったのかしら…あ」

 

私は忘れていた。先生はスーツそのものを知らないから、どうやって着るのもわからないことに。

 

「…見に行きますか」

 

私は立ち上がり、先生のいる仮眠室に足を運ぶ。

 

(…それにしても、先生の世界ではスーツはないのかしら?)

 

ふと考えてみれば、先生の世界について全く知らない。それどころか、連邦生徒会長の推薦でここに来ただけで、先生の記録は全くなかった。調べようとしても、何故かシステムに弾かれて知ることもできなかった。

 

(…直接聞いたほうがいいのかしら)

 

そんなことを考えていたら、仮眠室前についていた。ノックしようと手を出したときに、先生の声が聞こえた。

 

「ズボンはこれでいいよな…シャツは…何だこれ、着脱式じゃないのか…?」

 

声から察するに、どうやらズボンは履き終えているようだ。ただ、シャツの着かたに難航してると見える。とりあえず、ノックしてから考えみるしかない。

 

「先生、大丈夫ですか?」

「……」

「……先生?」

 

聞こえていないのか、反応が帰ってこない。仕方ないため、ドアを開けた。

 

「先生、大丈夫です…っ!?

「ん?」

 

私は見てしまった。先生の上半身は、私達とは違って無駄な肉がなく、引き締まった美しい筋肉が浮かび上がっていた。そして、無数の痛々しい傷跡もすべて見てしまった。

 

「し、失礼しました!声をかけても反応がなかったので!」

 

私は直様扉を締めて扉に背もたれる。

初めて男性の体を見てしまった。

初めて先生の肉体を見てしまった。

初めて…先生の傷を見てしまった。

あの傷は、外の世界でついたものだろう。どんな戦争を歩いてきたら、あんなにボロボロになるのか想像がつかなかった。

 

「あ〜…いや、俺こそすまなかった。見苦しいものを見せてしまったな」

 

扉越しに聞こえる先生の声は、弱々しかった。先生にとってあの無数の傷は軍人としての誇りであるかもしれないが、他人に知られたくないはず。

 

「いえ…私が悪いのです。先生、何かお手伝いすることはありますか?」

「あ〜…このシャツ?とネクタイ?を教えてほしい」

「わかりました。入っても大丈夫ですか?」

「少し待ってくれ…良し、いいぞ」

「では、失礼します」

 

ーーーーーーー………

 

「……」

「……」

 

なんとか着替えを終えて、俺とリンは鏡に映る自分たちを見ていた。

 

「…なぁ、リン」

「はい」

「これ…サイズ間違ってないか?」

「……そうですね」

 

俺はリンの力を借りてなんとか着ることができたが、スーツが余りにも小さかった。特に腕のサイズがあってない。

戦闘で遅れが出ないために基礎的なトレーニングを毎日してきたから、俺の体は他の兄弟たちと比べて筋肉質だ。そのせいか、袖を通すときに二の腕の筋肉が引っかかって通らなかった。

更にいうと、胸板が厚すぎてシャツのボタンが今にもはち切れんばかりにギッチギチになってる。

 

「先生がそこまでマッチョとは思いませんでした…どんなトレーニングしたらそうなるんですか?」

「いや…普通だと思うが」

「とにかく、サイズ調整が必要ですね。またこちらで調整します」

 

リンはため息を付きながらソファーに座る。

さっきから暗い顔をしているが、聞けるような雰囲気ではないのでコーヒーを嗜んだ。

 

ーーーーーーー………

 

「当分は先生のアーマーで活動してもらいます」

「あぁ、こっちのほうが俺もいい」

 

俺はいつものアーマーに着替え、リンとコーヒーを飲んでいる。

 

「服は一旦置いておくとして、次はこちらです」

 

リンはアタッシュケースを机の上に置いた。

 

「リン、こいつの中身は何だ?」

「わかりません。ただ、連邦生徒会長が用意した、ぐらいしか把握していません」

 

そんなものを用意するとは…注意が足りないと思うんだが。

まぁ考えていても仕方ないので、とにかく中を確認しよう。俺はアタッシュケースの封を解き、ケースを開けた。

 

「これは…」

 

ケースの中には、俺の顔が貼っている白いカードと、黒いカードの2つが入ってあった。それにしても、この顔が貼ってあるカードの写真は、俺がクローン・トルーパーとして登録したばかりの傷一つない顔だった。あの連邦生徒会長は何処からこの写真を手に入れたんだ?

 

「そちらの白いカードは、先生がシャーレとしての身分証として使用してください。そのカードをみせれば、先生がシャーレ所属であると生徒たちはわかるはずです」

 

リンはコーヒーを飲みながら説明する。どうやらこの白いカードはIDカードみたいなもののようだ。

 

「そうか。なら、こっちの黒いカードは何だ?見たことがないな」

「……」

 

リンは不思議そうな顔をして俺を見る。

 

「えっと…本当にそのカードの使い方を知らないのですか?」

「あぁ、知らないな」

「えぇ……?」

 

リンは信じられないと言わんばかりの顔をして俺を見る。何だその顔、知らないんだからしょうがないだろ。

 

「そのカードは先生の生活費や活動するためのクレジットカード、いわば『大人のカード』ですよ?本当に知らないのですか?」

「『大人のカード』…」

 

カードを手に取り、様々な角度で見る。一面黒くコーティングされており、端には金色の小型チップがつけられている。

 

「これもIDカードと似たようなものか」

「その捉え方で問題ありません。使い方はわかりますか?」

「…いや、全く知らないな」

「今までどんな生活してたんですか…?」

 

共和国にいたときは、基本的にクルーザーで過ごしていたから食事は艦内で済ませてたし、コルサントにいるときは79'sで済ませてたから金を使うことはまったくなかった。というより、俺たちに給料なんて存在しないだろう。

 

「まぁ、軍に所属していれば使うことはなかったからな」

「そうですか…」

「だが、何故連邦生徒会長はこのカードを持ってたんだ?」

「さぁ…それはわかりません。聞こうにも聞けませんし」

「ふむ…」

 

確かに、いない人間に真相を聞いても仕方がないことはわかってはいるが、ここまで俺のために準備をしていたのは少し違和感を感じる。まるで俺が来ることがわかってたような…。

 

「謎が深まるばかりだな」

「えぇ…わたしもそう思います」

 

お互いにコーヒーを飲み、一息ついた。

 

本編(原作)だと先生は生徒の足をなめたりする過酷(死刑!)な大人ですが、アッドもそうであるべきでしょうか?

  • 舐めるべきや
  • ん、アッドも過酷するべき
  • う〜ん…微妙!
  • そこまでしなくても…
  • やめなされやめなされ…
  • 解釈違い
  • やっても…変わらないかな?
  • なんだったらためてたものをさらけ出せ
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