東方妖鳥巫女伝   作:赤バンブル

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ネガティブ思考が続く中でふと考えた作品。

警告します。

事前に「デビルマン」読んでおいてください。


プロローグ

人類が誕生する以前の遥か昔。

 

恐竜たちが我が物顔で地上を歩いていた頃、ある生物が独自の進化を遂げて星を支配していた。その姿は現在の人間とほぼ変わらぬ姿であったが彼らはその過酷な環境を生き抜くために備わっていた合体能力を用いてそれぞれが異形の姿へとなっていった。

 

後に『デーモン』と呼ばれるようになる民族は飽くなき闘争心を持ち、常に飽きることなく戦いを繰り返すことになる。

 

弱き者は死に、強き者はそれを喰らい、さらなる闘争を求める。

 

地球に生命を生み出した神々は、彼らを『失敗作』と見做して小宇宙ごと無に帰そうと決める。しかし、生み出しておいて自分たちの勝手で消そうとすることに異を唱えた大魔神サタンは、デーモンの味方側に付いて激しい戦いを繰り広げることになった。

 

自分たちが滅ぼされると知ったデーモンたちは、この時ばかり互いに手を組んでサタンの指揮下に入り地球を守ろうと徹底抗戦を行う。

 

予想外のデーモンの抵抗に神々は態勢を立て直すべく、一時撤退。

 

サタンは、勝利の余韻に浸ることなく次の攻撃に備えてデーモンたちと共に氷の世界へと深い眠りにつくことを決断する。

 

 

 

そして、数百万年後。

 

氷の世界から目覚めた彼らが見たものは新生物『人間』によって荒らされた地球の無残な姿だった。

 

彼らは環境を汚染し、資源を貪り、互いの戦争で美しかった星を汚してしまっていたのだ。

 

自分たちが命懸けで守った地球を荒らされたことにサタンは激怒。人類を滅ぼすために、指揮を忠誠を誓っている魔王ゼノンに任せて人間界へと潜伏することにした。

 

 

それから数年後、人間社会に次々と諜報員を潜り込ませている中で情報伝達を担当していたサイコジェニーからサタンの命令が下る。

 

『自分が行うサバトに勇者アモン含めるデーモンたちを送り込んで合体させよ。』と。

 

ゼノンはすぐに命令を実行。

 

勇者アモンを始めとする中級から上級クラスのデーモンをテレポーテーションで送り込んで人間たちと合体させることに成功した。

 

がっ、ここで大きな誤算が起きた。

 

それは勇者アモンが合体した青年『不動明』の精神力が強靭だったことで乗っ取り返され、『デビルマン』が誕生してしまったことだ。

 

デビルマンは、その場にいたデーモンたちを全滅させる。

 

想定外の被害が出たことにゼノンは、少しばかり動揺。

 

すぐにこの問題を対処するべく、デーモン族きっての女戦士であるシレーヌを刺客として送り込むことにした。

 

シレーヌ自身は、この命令が下るなり承諾し、配下のゲルマーとアグウェルを従えて急行。不動明の居候先を襲撃して油断したところを捕縛することに成功。

 

裁きは飽くまでゼノンとその下にいる百の魔将軍に任せると生きたまま連れて行こうとするが彼の仲間の妨害で誤って開放。デビルマンへと変身した彼と戦う羽目に合う。

 

彼の左腕を奪うなど追い詰めていったが能力に気づかれて致命傷を負い、頭部の片翼も捥がれて虫の息だった。

 

このままでは死にきれないと思った彼女は、ゼノンに増援を要請、その後瞬時に戦友であるカイムを始めとした数体のデーモンが送り込まれた。

 

他のデーモンたちが時間稼ぎをしている間、カイムはシレーヌに自分との合体を提案。既に戦闘は愚か自らの死期を悟っていた彼女は、その提案に戸惑ったがカイム自身、「デビルマンを打ち倒す勝利の感激を捧げたい」と語った上で自分の首を捥ぎ取って自害した。

 

そして、彼の思いを理解した彼女は残された胴体と合体。

 

デビルマンをこの手で倒すべく動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どけ!邪魔だぁ!!」

 

デビルマンは、姿を消したシレーヌにとどめを刺すために増援できたデーモンを倒しながら探し回っていた。あるものは腕を捥ぎ取り、目の前に飛び掛かってきたものは額からのビームで焼き殺した。右腕だけになったとはいえ、元々勇者アモンの強さをそのまま引き継いだこともあって並の実力では歯が立たなかった。

 

「どこだ!シレーヌ!出てきやがれ!!息の根を止めてやる!!」

 

鮮血を浴びながら彼は、森の中を駆けていく。

 

するとズシン、ズシンと地響きを起こしながら何かが近づいていることに気づく。

 

振り向くとそこにはカイムと合体したシレーヌがすぐそこへと迫っていた。

 

「デビルマン!シレーヌの執念が カイムの命が!貴様を殺す!」

 

次の瞬間、カイムの体から生えている二本の巨大な角から強力な電撃が放たれる。電撃は回避を行おうとしたデビルマンにダメージを与えると同時に動きを止め、その胴体を角で貫かせた。

 

「グオォオオオ!!」

 

想定外のダメージに彼は、口から吐血。残っている右腕で角から脱出しようと藻掻き始める。

 

「ガ、ガアア!!」

 

「貴様の命、私にチャンスをくれたカイムに捧げる!!」

 

このまま近くの大岩にぶつけて息の根を止めようとする中、デビルマンは翼を広げて何とか角から脱出する。

 

「グウウ・・・」

 

しかし、それも束の間。致命傷寸前のダメージにより彼はすぐに地上に落下し、その場で大量の血を吐き出した。

 

「やられた・・・動けない・・・止めを・・・刺しに来る・・・」

 

顔を上げると少し離れたところでシレーヌがこちらに向かおうと反転していた。デビルマンは、何とか起き上がろうとするが再び吐血して人間の姿である不動明に戻ってしまう。

 

「グフッ。ダメだ・・・・悪魔のエネルギーが抜けていく・・・・・」

 

彼はその場に倒れ、意識が朦朧としている中でシレーヌがこちらに近づいていないことに気が付く。

 

(・・・・何故だ、シレーヌ?何故、止めを刺しに来ない?お前は勝ったんだぞ?一体・・・な・・・・ぜ・・・)

 

明は、気を失うまで知ることはなかった。

 

この時点で既に彼女の意識は存在していなかったことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どのくらいの時間が過ぎたのか。

 

シレーヌは、深い森の中で意識を取り戻した。

 

「わ、私は確か、デビルマンにとどめを刺せるところまで行ったはず・・・・」

 

動こうとすると彼女は、ふいに自分の体に違和感があることに気づいた。下半身と一体化していたはずのカイムの胴体が無くなっていたのだ。

 

「馬鹿な・・・合体したはずのカイムの体が・・・ウッ!」

 

腹部の痛みに思わず膝をつく。顔を下げるとそこには腹に突き刺さった自分の左腕が見えた。デビルマンと戦闘した際にミスで受けたものだ。

 

「・・・・いけるか?」

 

周囲に敵がいないことを確認するとシレーヌは、左腕に手をかけて一気に引き抜こうとする。引っ張ると同時に耐え難い激痛が走るがそれでも耐えて腹から左腕を引き抜くことに成功した。

 

「ハア・・・・ハア・・・・」

 

左腕を付けなおすとそのまま気によりかかるように倒れこむ。臓器こそとび出ていないものの出血は相変わらずでこのままでは到底長きは生きられないだろう。

 

「右翼だけでは遠くへは行けんな。デビルマンの気配も感じられない・・・・逃げられたか。」

 

せっかくカイムが作ってくれたチャンスを無駄にしてしまったことでシレーヌは、ひどく落ち込む。襲ってこないことを考えるとおそらく逃げてしまったのだろう。仮に追おうにもこの傷では到底できない。

 

「すまない、カイム。お前が与えてくれた時間を無駄にしてしまうようだ・・・・うん?」

 

彼女は、ふと少し離れた場所から血の匂いがしていることに気づく。

 

「人間の血か?にしてはやけに新しい・・・・少なくとも不動明のものではないな。」

 

傷口を押さえながら彼女は、残された右翼を羽ばたかせて軽く飛ぶ。少し移動するとそこにはところどころ焼け焦げた獣らしき死骸が転がっていた。

 

「・・・・デーモンではないな。だが、匂いはコイツのではない・・・」

 

匂いのする方を見ると樹の下に赤いリボンに紅白の巫女服を着た5、6歳ぐらい少女が倒れこんでいた。服はあちこち破けており、額からは血が流れて虫の息だった。

 

「まさか、コイツを・・・・どう見ても人間の子供にしか見えんが・・・・ゲホッ!」

 

シレーヌは、少女の目の前で血を吐いてしまう。血が当たると少女は、朦朧とした目で彼女を見た。

 

「ゆか・・・・り?」

 

「?」

 

「私・・・・また、しっ・・・ぱいしちゃっ・・・た・・・また・・・・藍姉ちゃんに・・・・怒られ・・・かな?」

 

少女は、膝をついている彼女の手にそっと触れて途切れ途切れで話し出す。

 

「寒い・・・・・早く・・・・帰り・・・・たい・・・」

 

「非力なものだな。その程度の傷で致命傷になるとは・・・・人間は脆すぎる。尤も私も長くはないが。」

 

「一人に・・・・・・しないで・・・」

 

少女は、訴えるように手を震えさせながら言う。シレーヌは、彼女を見ながらあることを思いついた。

 

(待てよ。この小娘と合体すればまだ生き延びれる可能性があるのではないか?見る限りこ奴の体はそこまでひどい傷を負っていない。合体すれば傷もある程度癒えるだろう。だが、不動明のような強靭な精神力の持ち主なら逆に乗っ取られかねない。)

 

こうしている間にも二人の死が一刻一刻と迫っている。

 

(このまま死ねばカイムの犠牲も無駄になる。それだけは・・・・・クッ!)

 

彼女は少女の体を持ち上げ、睨みつけながら一言言う。

 

「安心しろ、一人にはしない。だが、貴様の体をいただくぞ小娘。私もまだ死ぬわけにはいかないからな。悪く思うな。」

 

シレーヌは、手を少女の顔に置くと体を光らせて合体を始めた。すると彼女の体は粒子状に分解されて傷口から入っていく。粒子がすべて消えると少女の体の傷が治っていき、黒かった頭髪は、彼女の羽根と同じ白へと変化した。

 

合体が終わるとシレーヌは、目を開けてゆっくりと立ち上がる。

 

「・・・・どうやら人格は乗っ取られなかったようだ。しかし・・・・しばらく休まなくては動けそうに・・・・ない・・・・」

 

戦いでの疲弊と傷の治癒によって体力を著しく消耗した彼女は、ふらつきながらも何とか大木の窪みに身を寄せて死んだようにまた眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝。

 

森の上空で二人の女性が慌ただしい様子で浮遊していた。

 

「藍、霊夢は見つかった?」

 

「いいえ。昨晩神社に戻らなかったのを確認して一晩中探しましたが未だに。・・・・やはり、あの歳で妖怪退治に一人で行かせたのがまずかったです。」

 

九つの尾を持った藍は、冷や汗を掻きながら報告する。それに対して紫は持っていた扇子を閉じてため息をつく。

 

「教育を任せたのは私だから言うのもなんだけど・・・・藍、流石にやり方がスパルタ過ぎるのではなくて?」

 

「何を仰っているのですか、紫様。幼いとは言え、霊夢は次期博麗の巫女。先代が病死していなくなった以上あの子が彼女の役割を継がなくてはなりません。それに今回の相手はそこまでの強力な妖怪ではありませんでした。今の霊夢の実力でも問題ないはず」

 

「でも、先代に恨みを持った妖怪は未だ多くいるわ。当然、娘である霊夢も復讐の対象に含まれる。徒党でも組んで襲われたら・・・」

 

「まさか・・・」

 

「とにかく見つけ出すのよ。先代が亡くなって以降、博麗大結界はただでさえ不安定になっている。結界の制御の担い手になる霊夢が死んだとなれば・・・この幻想郷の崩壊の危機に繋がりかねない。」

 

「承知しています。責任を持って霊夢を見つけ出します。」

 

藍は、颯爽と森の中へと入っていった。その後姿を見届けると紫は一人別方向へと飛んでいく。

 

(少し前、幻想郷に迷い込む人間が急にいなくなったから変だと思って外の世界を覗いてみたけど・・・・まさか、人間同士が潰しあいを始めるとはね。結界が不安定になった原因は分からないけどしばらくは慎重に経過を見送らなくちゃ・・・霊夢の身にもしものことがあれば・・・)

 

彼女は、目の前に隙間を開いて陰陽玉を取り出す。霊夢に護身用に持たせたものと引き合うように作っているため、近くにいれば探知して居場所を知らせてくれる仕掛けとなっている。森の中に入ると紫は、陰陽玉の反応を頼りに捜索を開始する。

 

「こんなことになるんだったらもうちょっと神社に顔出ししておけばよかったわ。」

 

自分の放任主義に後悔しながらも奥へと進んでいくと陰陽玉が僅かに反応した。先へと行くとそこには焼け焦げた肉片がいくつか転がっている。その中に割れた陰陽玉があった。

 

「どうやら、集団で襲われたようね。陰陽玉が割れたのを見るとかなり追い込まれたみたい・・・!」

 

割れた球を拾いながら周囲を見ると少し離れた大木の窪みに見覚えのある巫女袖がちらりと見えた。近づいてみるとそこに霊夢が眠っていた。

 

「霊夢!よかった~無事で・・・」

 

紫は、見つかったことに喜ぶが彼女の姿を見るなり思わず凝視した。

 

黒かった頭髪が白に変化し、服はボロボロな上にはべっとり血が付いているにも拘らず、外傷は見当たらなかった。襲った妖怪たちに何かされたのかと考えながらも取り合えず、安全な場所へ運ぼうと紫は彼女を抱きかかえた。

 

「うっ!?お、重っ!」

 

小柄のはずの霊夢の体が異常に重い。

 

このくらいの年の子なら肩車ぐらいできるはずなのにまるで大人二人分に近い重量がある。眠っている彼女の顔を見ながらただ事ではないと感じていると背後から藍が駆けつけてきた。

 

「紫様、ここにおられたのですか。霊夢の方は・・・・・霊夢!?無事だったのか。」

 

藍は、紫の手に抱きかかえられているのを見ると安堵した表情を浮かべた。

 

「よかった。ですが、髪の色が変色していますね。」

 

「・・・恐らく妖怪たちに何かされたのでしょうね。」

 

疑問を浮かべる彼女に対し、紫は振り向かずに答える。藍は、早速霊夢を運ぼうと近づく。

 

「これでひとまずは大丈夫ですね。霊夢は私が神社に連れていきます。紫様は先に屋敷に戻られて・・・」

 

「あぁ、霊夢は私が運ぶわ。貴方は先に神社に戻って寝かせる準備をしてちょうだい。」

 

普段は面倒くさがりで自分に放り投げる主の発言に彼女は、目を丸くする。

 

「し、しかし、紫様も昨日から動いていましたし。」

 

「流石に今回の件は私にも責任があるからね。それにせっかく寝ている霊夢を抱っこしているんですもの。もう少し楽しまないと。」

 

「そうですか。では、先に戻っています。」

 

藍は、先に上空へと飛び去って行った。

 

紫は再度霊夢の顔を見る。

 

髪色を除けばいつもと変わらぬ年相応の少女の寝顔。

 

その反面、子供とは思えない重さと得体のしれない感覚に彼女は表情を顰めた。

 

「・・・・取り返しのつかないことになってしまったかもしれないわね。私たちは。」

 

 

 

 

 




デビルマン作品少なすぎるからこっちで出すかpixivで出すか正直悩んだ(多分知らない人が多いから)。
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