東方妖鳥巫女伝   作:赤バンブル

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東方もコレクション系出せばいいのに。


出会い

シレーヌが霊夢と成り代わって四年の月日が流れた。

 

結界の管理を一時的に藍に任せ、紫は自分と同じ幻想郷創造の賢者の一人である摩多羅隠岐奈の屋敷に訪れていた。

 

「お久しぶり、最後に会ったのは先代の巫女の葬儀以来かしら?」

 

一室に入るとそこには、隠岐奈が椅子に腰を下ろして待っていた。

 

「妖怪の賢者である八雲紫とも在ろうものが随分と遅かったじゃないか。」

 

「彼女の成長具合を見る必要があったものでね。」

 

紫は、設置されている椅子に座り彼女と向き合う。

 

「それで例の博麗の巫女と一つになった悪魔の成長具合はどんな具合なんだい?」

 

「元々霊夢の潜在能力の高さもあるけど、成長が早いと言ったところね。この間、藍と一緒に弾幕の扱いを見てみたんだけど『夢想封印』を完全にマスターしていたわ。」

 

「ほう、肉体年齢はまだ10歳ぐらいなんだろう。そんな歳で『夢想封印』を扱えるようになるとは意外だな。先代も完全に扱えるようになるまで2年費やしたが適齢だったからな。」

 

「『夢想天生』の方は不完全だけど私から見ても5割ぐらいはできてきているわ。1、2年もすれば完成するでしょうね。」

 

「まあ、悪魔だろうが人間だろうが巫女としての役割を果たしてくれれば私は何をしようが構わないさ。しかし、分らんな。奴にとって人間は狩るべき存在。約束を果たすともわからないのによく破らないものだ。」

 

「自分の実力を理解しているのではなくて?・・・それはそうと例の件調べてくれた?」

 

満足そうに話す隠岐奈に対し、紫は話を切り替える。

 

「あぁ、お前が結界の管理に当たっている間に外の世界について調べてみたけど予想以上に人間の数の減りが加速している。後、10数年もすれば一人残らず全滅することになるだろうな。」

 

「原因は何なの?」

 

「あの悪魔の仲間たちの策略だな。奴らは表からの攻撃ではなく、人間の内面の弱さを利用した。最初の攻撃で人間に無差別合体して混乱に陥れる。二回目は、表の攻撃で彼らに自分たちの脅威を刻み込む。後は疑心暗鬼になった人間たちを高みの見物をしながら自滅するのを眺めているといったところさ。」

 

「疑心暗鬼にね。」

 

「人間と言うものは単純な生き物さ。偉い学者が言えば何でも信じるのだからな。そのおかげでそこら中で魔女狩り、世紀末状態だ。」

 

「幻想郷には持ち込みたくないものね・・・。」

 

外の世界の話を聞くと紫は、暗い表情をする。

 

「本当ならすぐにでも結界を強化してこの幻想郷を外の世界から完全に遮断したいところだが状況が状況だからな。このことに関しては私たちの間で留めておくことにしよう。私も引き続き観察する。」

 

「なら、私も結界の管理の傍ら彼女の動向を見ておくわ。問題が起ころうとしたときは・・・・」

 

「私たち賢者と歴代博麗の巫女たちの力で守ってきた幻想郷だ。そう簡単に壊させはしない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これではまだ無理だな。」

 

賢者たちが大事な話をしている頃、神社ではシレーヌが自室でデーモンの姿に戻ろうと試みていたところだった。

 

手足は猛禽類の爪を思わせる形状に変化し、本来なら頭部に翼が生えてくるはずなのだが触覚さえも出てくる様子がない。

 

「デビルマンに捥がれた左翼はともかく残っていた右翼すら出てこないとは・・・・合体した影響で私の姿が変わったのなら納得いくがただの人間とだからな。そんなに著しく変化するとは思えん。」

 

手足を元に戻して、彼女は蔵の中から見つけてきた書物を読み始める。

 

デーモンには文字を持たなかったため、読書と言う習慣はないのだが藍の教養と元の肉体の持ち主である霊夢の記憶が徐々に読み取れるようになり、知識を増やすために日頃から読むようになった。

 

「神社の倉庫に入っている書物はほとんど読んでしまったな。紫が今度来た時、人里に行く許可をもらうか。」

 

昼頃になると食料が底尽いていたことに気づき、空を飛んで狩りと採集へと出かける。

 

「最近、藍の奴があまり来なくなったせいで食料尽きてたの忘れてたな。まっ、狩ればいいだけか。」

 

人里から離れた森に降り立ち、早速獲物を探し始める。

 

「湿気が多いな。」

 

そこら中にキノコが生えていることもあって持ってきた籠の中にポイポイと放り込んでいく。

 

「獣の一匹や二匹いてくれればいいが。」

 

ため息をつきながらキノコを適当に集めているとズルズル音を立てながら何かが近づいてくる。

 

丁度いいタイミングとばかりに彼女が無視を木目込み、自分のすぐそばまで来るのを待つ。

 

そして、その何かが自分に手を振り下ろそうとするとシレーヌは籠を投げつけ、思いっきり蹴り飛ばした。

 

襲った何かは声を漏らしながら木に激突。頭をくらくらさせながらも起き上がってくる。

 

「グワァア!!」

 

「なんだ、妖怪か。私に襲ってくるとはいい度胸・・・・・・ゲルマー?」

 

札を出して退治しようとした彼女は、目の前にいる妖怪がかつての仲間によく似ていることに気が付く。

 

爬虫類と甲殻類の中間的な上半身にナメクジを繋げ合わせたような容姿のデーモン。

 

当のゲルマー本人も自分の名前を言われたことに驚く。

 

「何?貴様、人間のくせに何故俺の名前を知っている?」

 

「お前、私の正体が分からんのか?」

 

「生憎人間の知り合いはいないんでね。さあて、大人しく俺の食事にグボッ!?」

 

腹に強烈なパンチを喰らわせられたことに彼は、その場で痙攣を起こす。シレーヌは、呆れた顔で自分の変化した腕を見せた。

 

「この気迫・・・さっきの喋り方と言い、その腕に白髪・・・・まさか、シレーヌか?」

 

「お前が理解の早い奴で助かった。気づかなかったら妖怪として退治していたぞ。」

 

久しぶりの同族との再会と言うこともあって彼女の表情が少し緩む。

 

二人は、その辺の倒木に腰を掛けて話をする。

 

どうやらゲルマーも同じようにこの地に迷い込んだようで今はこの森をテリトリーにして動いているらしい。人間がほとんど来ないこともあって相手は弱い妖怪か時々遭遇する妖精ぐらいでこの間こっぴどい目になったとか。

 

「いやぁ、アグウェルが聞いたらびっくりするだろうな。シレーヌがあの博麗の巫女だって知ったら。」

 

「一緒じゃないのか?」

 

「少し前まで一緒に行動していたんだけどキノコに化けて昼寝していたら変な子供に採取されてどっかへ連れていかれちまった。」

 

「この森に人間の子供か・・・・そう言えば魔法使いが住んでいると紫から聞いたことがあるな。最悪、薬の材料にされたか実験動物として使われて無残な最期を遂げているかもしれんな。」

 

「えぇっ!?そんなやばい奴なのか!?」

 

ゲルマーは、冷や汗を掻きながら聞く。

 

この魔法の森には確かに魔法使いが住んでいるという話は聞いているが普段神社以外の建物は訪れていないため、シレーヌも詳しくは知らない。

 

しかし、魔法使いと言ったら魔女のようなことをするのだから少なくともアグウェルは生きていないだろう。

 

「せっかく再会できると思ったが、気の毒だな。じゃあ、私は帰るぞ。」

 

狩場を変えようとするシレーヌの前にゲルマーが慌てて立ちはだかる。

 

「ちょ、ちょ、ちょっ、待ってくれよ!?せっかく会えたんだからさ、一緒に連れ戻してくれよ~!!」

 

「相手は魔法使いだぞ、今の私の実力でどれだけ対抗できるか・・・・」

 

「俺、ここで目覚めてからアイツ以外仲間がいないんだよ~!元部下の頼みとして助けてくれ~!俺、孤独死しちゃうよ~!!」

 

「デーモンのお前がよくそんな情けない言うな。」

 

「デビルマンに『無能力者』『チビ』とか散々罵倒された挙句殺されて心が折れました。」

 

「・・・・」

 

かつての部下の情けない姿にショックを感じながらもシレーヌは、しょうがないとばかりに一緒に探すことにした。

 

「この辺でアグウェルは、連れていかれたんだな?」

 

「そうですそうです。そして、魔法使いのガキ?は向こうへ行きました。」

 

二人は、生えているキノコや怪しい木の実を採集しながら森の奥へと歩いていく。

 

しばらくすると開けた場所に一軒の家が見えた。

 

「あれが魔法使いの家か。アグウェルが生きていればいいが。」

 

家の入口の前には『霧雨魔法店』と明らかに子供が描いたと思われる汚い字の看板が掛けられていた。

 

態勢を低くするとシレーヌは、早速ゲルマーに指示を出す。

 

「ゲルマー、液状化して内部に侵入してアグウェルを探せ。生きていれば私が強襲して奪い返す。」

 

ゲルマーは、さっそく体を液体化して家の入り口から侵入する。

 

その傍ら彼女は、感覚を研ぎ澄まして中の気配を読み取ろうと試みた。

 

「気配が三つ。一つはゲルマー、もう一つはアグウェルで残りは・・・・人間の子供か?だが、魔法を使えるとなると化けているのかもしれんな。」

 

暫くするとゲルマーが扉の隙間を潜って戻って来た。

 

「アグウェルの奴、ちゃんと生きてた!なんか魔法使いのガキ?と話しているけど尋問されているかもしれねえ。早く助けて引き上げようぜ!!」

 

「まあ、感じとれる限りそこまで強い相手ではなさそうだからな。奇襲してさっさと帰るか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『違う違う、そこの薬物はこのぐらいでいいんだよ。』

 

「今ちょうど分かったところだ!言われなくてもわかってるぜ。」

 

外で見られていることも知らず中では、フラスコに入れられた茶色のスライムのようなデーモン アグウェルが目の前にいる少女の調合を観察していた。

 

『お前さ、調合もやったことないのに大丈夫なのか?それで魔法使いになるってハードル高すぎねえか?』

 

「私はまだ初心者なんだよ。まだ、分らなくて当然だろう。それに失敗は成功の母って言葉があるんだぜ。」

 

彼女は、そういいながら液体が満たされた試験管に怪しい粉を入れる。

 

すると眩い光を一瞬発するが喜んだのも束の間、大爆発を起こしてしまった。

 

「・・・・ケフッ。」

 

『・・・・お前、魔法使い向いてないんじゃねえのか?』

 

「う、うるせ・・・・薬品入れる量ちょっと多かっただけだぜ。」

 

黒焦げになったアグウェルは、同じように煤まみれになった少女を憐れむように見る。

 

「ちくしょう、やっぱ独学じゃ厳しいかな・・・いや、でもそんな魔法教えてくれる先生とかいないし頑張るしかないか!」

 

『お前、前向きすぎだろ。』

 

道具を片付けていると入り口の呼び鈴が鳴る。

 

「ん?また、香霖が心配して来たのか。いい加減クソ親父のことはもう」

 

ドアを開けようとした瞬間、衝撃波で少女の体が吹き飛ぶ。

 

彼女は勢いのまま本棚に頭を打ち、目を回す。

 

それを見計らうようにシレーヌがゲルマーを引き連れて中に乗り込んできた。

 

「アグウェルは、あそこだな。」

 

『えっ!?誰っ!?』

 

「アグウェル、助けに来たぜ~!」

 

『げ、ゲルマー。お前ら、魔理沙になんてことを・・・・』

 

「言い訳する前に引き上げるぞ。」

 

困惑する彼を無視して彼女は、フラスコを回収すると何事もなかったように飛び去って行った。

 

「ま、待ってくれよシレーヌ!俺も一緒に連れてってくれ~!!」

 

ゲルマーも慌てて液状化して籠の中に入る。

 

残された少女は、我に返ると後頭部を押さえながら既に豆粒ぐらいの大きさになったシレーヌの後姿を苛立った顔で見送る。

 

「いてて・・・いきなりやってきて人様が捕まえた物奪っていくとは・・・とんでもない野郎だぜ。」

 

彼女は、玄関にかけてあった箒を手にするとまたがって飛ぼうとするが急いでいたこともあって誤って木の中に突っ込む。

 

「う~~~よく見ていなかったけど、声からして多分私と歳がそう変わらない女だな!待ってろよ、この仕打ち、絶対お返してやるからな~!!」

 

体中にくっ付いた小枝や葉を払い落としながら魔理沙は、悔しそうな顔で言うのだった。

 

 

 

 




ZUNさんは、霊夢と魔理沙の出会いについてのエピソードを考えているんだろうか?
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