最凶の一族の長男はとりあえず自由に生きてみようとする 作:〇〇総統
時は数分前……
「ここら辺が最後に確認された場所か?」
俺はフリーザ兵とは別行動でスラッグの捜索を行っていた。
クウラ機甲戦隊の報告で襲撃に遭うまでいると思われた小島。そこにやってきた。確かにここからかなり遠いから移動にも時間がかかるが、いるとはかぎらない。
スカウターを起動しているか確認する。
………………
反応無しだが、何もスカウターで判断する程俺はマヌケじゃない。この目で確かめる為に俺はその小島に近づき、穴蔵を見つけたので中を覗いた。
中に人がいる気配は無い。これは逃げられたか?
一応小型のエネルギー弾で天井を開けて明るくしてみたが、スラッグだと思われる人影も見えない。
「……これは、逃げられたな」
また一から探すべきか…と思っていると、スカウターが幾つも強大な反応を捉える。
「あいつら、派手にやってるな…」
反応の数からして、ギニュー特戦隊やクウラ機甲戦隊達が戦闘を始めたのだろう。
だが、いい加減人がバラバラになってきた。スラッグの捜索はいいとして、そろそろクウラを回収した方がいいかもしれない。
「反応からして、アイツ最終形態になってるし、いい加減終わると思うんだが……迎えをよこすか…あー…」
スカウターで本船にいる誰かにクウラの元まで行かせようと通信を入れようとする。
「あ?」
だがスカウターが砂嵐のような音を出して通信が繋がらない。
「これは…」
「ごきげんよう、乱入者さん?」
後ろから声をかけられた。俺はその声が誰なのかを知っている。正直今は聞きたくない声だったが、無視する訳にもいかないので振り返り顔を見た。
「…………」
「あら、挨拶くらい返すのは礼儀じゃない?」
「普段なら返してたが、あの時邪魔したお前達にさっきまで最悪だった気分が更に最悪だよ」
明らかに不機嫌な声で対応するが、それでも涼しい顔で受け流す女。
「今度は何しに来た?また邪魔しに来たなら殺す」
「あら怖い、野蛮な人は好かれないわよ?」
「へっ、ならもとより悪名高い俺ら兄弟は腕を上げて喜ぶだろうよ」
煽りあいのような舌戦を繰り広げるが、俺はこの状況を不味い感じている。何故か?明らかに時間を稼がれている。その雰囲気が露骨に感じられるからだ。
「用がないなら去れ。俺は今お前達の相手をしてる程暇じゃあないんだ」
「あらそう、私はあなたに協力をしてあげようと思って来たのに」
「……何?」
そう言って女が杖を振り、出てきたのは小さいナイフ。だが、そのナイフからは禍々しいオーラを放っていた。
「私達は確かに、スラッグに協力したわ。でも、彼は私の予想を遥かに越えた成長をしてしまった」
「まるでペットの躾が出来ていないようだな」
「あれは私達でも利益はあるけど、それよりリスクも大きい。だから、あなた達にこれを渡したいのよ。これをスラッグに刺せば、彼は苦しみながら消えるわ」
ナイフを指先で遊ばせている女がそう言う。つまりあれか、スラッグ特攻の武器やるからアイツを始末してくれという訳か。まぁ、答えは既に決まってるがな。
「お前の不始末はお前で片付けろ」
そう言ってデスビームを放つ。いつまでも盤上を支配している気でいさせるのもムカついてたからな。スラッグ程優先順位は高くないが、今ここでこいつらを始末した方が良さそうだと判断した。
「全く…あなたもあなたの弟も、頑固なんだから!ミラ!!」
ミラと呼ばれた大男が女の前に立つ。コイツに関しては俺は全くの未知数。大袈裟だと思うが、初手から第4形態になっておく。
「乱入者、お前の名はなんだ」
「は?」
ミラが俺の名を聞いてきた。向こうはこっちの事を理解していると思っていたが、どうなんだろうか。
「……トスカー」
「そうか。……トスカー。お前の戦い方、フリーザやクウラと違い、かなり柔軟性が高い」
そう言ってミラは構え始める。
「学ばせて貰うぞ」
「なに……!!?」
ミラはそう言うと一気に距離を詰めて攻撃を仕掛ける!!
俺はすんでのところでガードし、ミラの鳩尾目掛けて殴った。
「!?」
かっっった!!?人の肌かと思ったら鉄みてぇに硬い!?表情には出さないが、一旦手を離したミラから距離を取る。
「お前、ただの人じゃないな?」
「そうだ、俺はトワによって作られた人造人間だ」
人造人間だと!?それはまだ出てくるのが早いぞ!?この事案が終わってからのキャラだぞ人造人間は!!フライングだ!
心の中でブーイングをするが、待ったも何も言ってないからミラからの猛攻が止まらない!!
突き、足払い、エルボーと絶対に本気では無い。とにかくこちらを試すような攻撃ばかりしてくる。だが、俺はそれらを避けながら隙さえあれば合間を縫って攻撃を当てに行った。
だが、ある程度戦っていて分かったのは、コイツはまるで用意された動きのパターンが決まってるのか、一連の動きが終わったら他の技を繰り返し使う、という動きしかしない、つまり意外性がなかった。
なので、俺はとにかく技が大振りになる動きになるまで待った。
ミラが大きく振りかぶった瞬間、俺はやつの懐に潜り込み身体を真っ二つにするつもりで技を放つ!
「デスシェイブ!!」
「!?ぐおぁ!!」
ミラの胸下にかけて削り取るつもりが、踏み込みが浅かったのか半端に脇腹から胸元へ斜めにかけて削り取る形となってしまった。削り取られた肌は中身を露出し、機械の部品が詰まっていた。
バチバチとショートを起こし、ミラは動きが数段階ぎこちなくなっている。
「ミラ!」
「邪魔ァすんなぁ!!!」
ミラが言ってたトワという女はデスビームでとにかく牽制する。今ここで戦力の1人でも持っていく覚悟だ。あまり好まないが、執拗に露出部分を攻めてミラの破壊を早める。
ミラは明らかな弱点を防御する事に集中しており、こちらに攻撃を仕掛ける隙がない。
勝負あった!と、これが初の邂逅ならそう思っただろう。だが、俺は奴らにはもう1人の仲間がいることを知っている。
そいつは後ろから俺を攻撃してきた。殺気を感じた俺はそちらに向く必要もなく尻尾でそいつの腕を絡みとる。
「悪いな、同じ間違いはあまりしたくないからな」
「………」
そう言って後ろを振り向く。やはりというかそこには仮面を被ったカニ頭のサイヤ人……
ではなく、太ったおかっぱ頭のサイヤ人!?
これがいけなかったのか、俺は大きな隙を晒してしまった。ミラはその瞬間逃げられ、更に両腕を他の仮面のサイヤ人達に拘束されてしまう。
右は頭が少し寂しい大男のサイヤ人。左は背丈が小さい女性のサイヤ人だ。
……っていうかこいつら絶対バーダックチームじゃねぇか!?
「ふぅ…一時はどうなるかと思ったけど、予備は用意しておくものね?」
「……すまない、やられた」
「全く、帰ったら直してあげる。それに、
「あぁ」
くっそ!してやられた!アイツら勝ちを確信して話やがって!しかも隣には仮面のカニ頭…バーダック!
つまりあと1人どこかにいる筈…俺はそう思い嫌な予感がして一応全身に力を入れた。
瞬間、腹に来る衝撃。間一髪だったが、もし対策しなかったら俺は嘔吐してただろう。何せ力んだ第4形態でまともなダメージが入るんだ。つまりコイツら全員今の時点だと俺を殺せる十分な威力を発揮出来るって事になる…!
「交渉は決裂、もうじきこの世界も私のコントロールから外れ始めたスラッグによって滅ぼされるわ。賢い選択をするべきだったわね?」
そう言って杖を振ると仮面のサイヤ人達に仄暗いオーラが纏わりつく。仮面のサイヤ人達は…俺を始末する為の刺客って訳か……。
逆立った髪のサイヤ人…が身動きが取れない俺に攻撃を仕掛ける。俺は前面を集中的に力むが、今度は無防備な背中を太ったサイヤ人が攻撃する。
手が使えない。正直余力は残しておきたかったが、今は過剰な力程安心出来る要素はない。俺は機会を待ち、いつでも力を解放する準備が出来ていた。
すると、地響きと共に遥か遠くで光の柱が出来た。トワとミラ、仮面のサイヤ人達はその柱に気を取られた。そんな巨大なエネルギーなら、スカウターが反応する筈だが一切の反応を示さない。何があったのか分からないが絶好のチャンスだった。
「邪…魔……だぁぁぁぁぁ!!!」
俺はコイツらの隙が出来た瞬間を狙い一気に力を込める。その瞬間前後にいた2人は吹き飛んだ。だが腕を拘束している2人は離れない。
「ハァッッ!!!」
もう一度気合砲と共に筋肉を膨張させた。これで腕の2人も離れた。
「カアアアァァァ………!!!」
そのまま高まる自身の有り余る力を全身に纏わせるように力を入れる。
背丈が伸び、丸みを帯びたフォルムが荒々しくなる。だがクウラとは違い、肩や背中にも突起物が生えてきていた。
クウラにとっての最終形態、俺にとっての第五形態になった。
「フゥーーーーッ………(カシャンッ!!)…よし」
歯を剥き出しにして、スカウターを取る。クウラはこの形態だとマスクが装着されるが、俺の場合はサイクロプスバイザーが装着される。サイクロプスバイザーの1本線が紅く光った。
その瞬間、4方向+上から一斉に襲いかかって来るサイヤ人達。俺は勢いよく地面を蹴り、上にいたサイヤ人…推定バーダックに頭突きをする。俺との石頭対決でまともに食らったので少し脳が揺れたのかフラついている。その隙に俺は少しでも距離をとる為全力で逃げ出した。
この形態で逃げを選択するのは少し不満だが、今は始末よりこれから起こるであろうリスクを少しでも回避する為にスカウターで連絡を取る。
「ハァ…ハァ…俺だ、トスカーだ…」
後ろからサイヤ人達が迫って来る。ミラとトワは追ってこない。つまりまた何処かに隠れられてしまったという事だろう。
「いいか、今このナメック星にいる全員に告ぐ!!今すぐ、この星から避難するんだ!!もうアイツは、スラッグは生半可な奴じゃ手に負えねぇ!!」
トワの言い分だと、もう既に逸脱したパワーを手に入れ、コントロールが出来なくなったという事だ。つまりスラッグのナメック星人の吸収量が多く、今のままだと足手まといはすぐ殺される。つまり泳がせ過ぎたって事だ。
「いいか!早く逃げろ!コイツはどうにかして……!!!?こなくそ!!やりやがったなぁぁ!!」
仮面チームのエネルギー弾が運悪く俺のスカウターに当たる。スカウターを破壊され、これからの脅威を報告できなかった俺は今さっきまで話していた内容が届いていることを祈るしか無かった。
「てめぇらっ…許さん!!」
俺は急旋回し、向かってくる仮面チームの1人である大男…推定トテッポの首を不意打ちで掴む。そのまま急降下して地面に叩きつけた。
その後顔を踏みつけ拘束し、降りてきた他4人と戦うことになった。その場から動かずに4人の相手は厳しく、すぐに適応され連携攻撃をされてしまう。
広範囲を攻撃する技は、今は不利だ。それはこの先の戦いの為の余力を削る行為だからだ。だがこのままだと先に自分がくたばってしまう。
最悪…
だが、そんな不利な状況はすぐに解決した。
「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「でりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「…………ふっ!」
なんと、俺の所に助太刀がやってきたのだ。
「ラディッツ!ピーマ!パプリ!」
それは、俺とは別行動をとっていた筈のスラッグ探索に向かったサイヤ人達だった。
「いやートスカー様、酷くやられてましたっすねぇ〜!」
「ピーマ!トスカー様に無礼だぞ!!」
「……よわむし、姉ぇに失礼」
「な、何ぃ!?よわむしって、どこから聞いた!ベジータからか!?おい!」
「……事実、ふふん。あとトスカー様は一々こういうの気にしない」
パプリがラディッツを煽り、ラディッツがそれに反応する。その状況を見てピーマはキャッキャと笑っていた。
「いや、正直助かった。だが、俺の通信は届いてないのか?」
「届いてたっす。でも、あたい達は帰還前に強大な戦闘力を見つけたのであたい達だけで確認しに来ただけっす」
つまり、俺が逃げてきた所が丁度この3人の範囲内に入ったって事だ。なんつー幸運だ。
「すまんが、誰かスカウターを俺に寄越してくれ」
こうなることなら気の操作とかをクリリン達から習っておくべきだった…反省しながら、ラディッツのスカウターを借りる。
すると、仮面のサイヤ人達が俺に向かって襲いかかる。……が、3人が仮面のサイヤ人達を押さえつける。
「さぁ、ここはあたいらに任せてトスカー様は早く行くっす!」
「恩に着る!」
トスカーは感謝の言葉を言い、すぐに戦闘力が高まっている反応が指す方向に向かって飛んで行った。
5人の仮面のサイヤ人が、ピーマ達の前に立つ。
ピーマはいつもの調子で身体を解していた。
「……と、いうわけで。準備は大丈夫っすか?」
「……万全」
「ラディッツ〜」
「親父…………」
「……ラディッツ?」
「……どうしたのよわむし?」
「……いや、なんでもない」
ラディッツが1人のサイヤ人をじっ…と見ていたが、頭を振りすぐ様戦闘態勢に入った。
そして、本来なら今この場で生きている筈もなかったサイヤ人達の戦いが幕を開けた。
パプリのラディッツへのよわむし発言は、襲撃からスラッグ探索と、やけに消極的になってたラディッツを見てそういう感想が出たという設定ですが、正直そこまで重要な設定でもない死に設定だからそこまで覚えてなくていいよ。