最凶の一族の長男はとりあえず自由に生きてみようとする 作:〇〇総統
「グオオオォォォォ!!!」
トスカーがデスシェイブを我武者羅に振り回す。
クウラは余裕の姿勢でかわし、お返しとばかりに常人であれば一撃で命が飛ぶであろう拳を打ち込んだ。
だがトスカーにはあまり効いておらず激昂して口から極太のビームを放つ。
クウラは当たらぬ位置に移動して追加で攻撃を行う。
トスカーとクウラの戦闘は、両者決定打が決まらなく、トスカーは当たらず、クウラは手応えのない攻撃ばかりだった。
「こんな星消し飛ばせば早いが…」
さっさと星を消し飛ばして何もない宇宙空間で全力で攻撃すればどうにかなるだろうが、今この星には自分だけでは無い、フリーザやトスカーの部下もいる。もしトスカーが目覚めた時、部下も全滅したと言えばフリーザも残念がり、流石にあの身内には甘いトスカーも態度が厳しくなるだろう。
「だが、このまま兄貴の体力切れを待つのも出来ん」
トスカーの最終形態が止まる方法をクウラは既に知っていた。
昔、最終形態になったトスカーが星を荒らしに荒らした後、第一形態へ戻ったという報告がある。
つまり、あの形態はトスカーの体力が無くなれば維持できないものだ。
もしくは、少しでも維持した力を霧散させるような出来事を起こせばどうにかなるかもしれないが…
「厄介なのが…あの図体だ」
そして体力を無くす行動をとる場合、1番厄介なのがトスカーの頑丈すぎる体だった。
まともに攻撃を通す気のない防御を突破できないからまともな攻撃も与えられない、そしてこちらが攻撃してもダメージなどないから基本不利だ。
「せめて
だが、鱗に覆われてない体は分厚い筋肉と皮膚でできており、多少ダメージを与えられるかもしれないがその分反撃も覚悟しなければならない。
「………!!」
その時、クウラは思いついた。生物的にこの場所に鱗が生えてないだろう場所に。
「ガァァァァ!!!」
トスカーが腕を広げてクウラに狙いを定めて飛んできた。
クウラは、あえて避けずにトスカーの腕によって拘束されてしまった。
思い切りクウラを握りしめているトスカーは、そのまま大きく口を開けてクウラを消し炭にせんとエネルギーを貯め始めた。
(今だっ!!)
クウラはその瞬間を逃さぬようにフルパワーを発揮。トスカーの拘束から逃れた。
「グァァ!!?」
トスカーは予想外の出来事で大きく開けた口が閉まらないのか、マヌケな表情でクウラを見つめる。
クウラはすぐさま
「ゴォォ!!?ガァァァ!!」
敵が身体の中に入っていったのを感じるのか、トスカーは身体を思い切り動かして抵抗した。だが、頑丈すぎる身体のせいか体内に入ったクウラに衝撃などはあまり来ず、そのまま胃だと思われる所までやってきた。
「外は無理でも、中までは鍛えられんもんなぁ!?」
クウラは思い切り振りかぶり壁…胃袋を殴りつける。
「ギィィィィヤァァァァァ!!!!??」
今までのような雄叫びと違い、悲鳴のような叫びをあげるトスカー。その声がクウラにも聞こえるとクウラはニヤリと笑い、更に中を殴り続けた。
「フンッ!ハッッ!!セイッ!!」
「ア゛ア゛ア゛ァァ!!ギャァァァ!!!グルルリャァァァァァ!!!??」
効果はてきめんだったようで、まともに与えられなかったダメージが通っているようだった。
「とっとと起きろ!クソ兄貴!!」
クウラのとっておきの一撃がめり込む。その威力は凄まじく、トスカーの腹が外からだとまるで飛び出していると思える程だった。
トスカーはあまりの痛みで涙を流している。
その時、トスカーに変化が起こった!!
「はっ……!?」
なんと、トスカーの意識が戻ったのである!
「い、いてぇぇぇぇぇぇ!!?な、何が……ぁぁぁぁぁあああ!!?あだだだだだだ!!?」
トスカーが意識を戻しても、クウラはお構いなく攻撃を続けた。その痛みにトスカーは遂に地面を転げ回った。
「痛ぇぇぇぇ!?熱ぁぁぁぁぁぁ!!?な、なんなんださっきから……ぬおおぉぉぉぉぉ!!??」
「ようやくお目覚めか」
「く、クウラか…?」
「全く…手間かけさせるな」
「そ、そうか…へ、へへへ…もう限界……」
「は?」
クウラが話していると、胃袋の範囲が徐々に小さくなっているのを感じた。
どうやら、最終形態が維持できなくなったのか、サイズが小さくなっているのだろう。このままでは、トスカーの腹からクウラが飛び出るというスプラッタな惨状になりかねない。
クウラは急いでトスカーの中から脱出した。
[…おや、あれは…]
別世界のフリーザが戦場を全体から見渡せるように高い位置から見下ろしていた。
フリーザが目に付けたのは、クウラとトスカーの2人だった。
[おやおや、案外早く終わってしまいましたね…]
どちらか倒れることを期待したが、どうやらこっちの世界の
[まだまだ彼らには働いてもらうからね。面倒なのはスラッグと戦っている兄さんですね…全く、本来ならボクと一緒に共闘する筈だったのですが…]
やれやれと首を振ってフリーザはトスカー達の元へ向かおうとする。
[この世界のボクはもう動けない。なら、ボクがこっそり近づいてもばれ______]
[バーニングアタック!]
そのフリーザ目掛けて高速の気弾が迫る。別世界のフリーザは手刀で弾いて発射された方向を見た。
[……おや、おや。まさかこんな所で貴様と相見えるとは思わなかったぞ…あの時のサイヤ人]
[地球や、自分たちのいた地獄に飽き足らず、別の世界でも悪行を働くとは、懲りていないようだな]
そこには、トランクスがいた。
別世界のフリーザは怒りで血管を浮かび上がらせ握り拳から血が滲ませて叫んだ。
[黙れ!貴様さえいなければ…!]
[今度は容赦はしないぞ]
2人が目を合わせ、少しでも動けば戦闘が始まる一触即発の空気。
先に動いたのはトランクスだった。
フリーザの目の前で残像を残し、後ろに回り込む。フリーザはその気配を感じ取りすぐさまいなして反撃にでた。
トランクスは剣も巧みに使い、フリーザを追い詰める。
フリーザは、トランクスの剣によって徐々に肌をかすらせていく感覚背筋が凍る。
[そこだ!]
[しまった!]
トランクスが隙をついてエネルギー波を放つ。フリーザは咄嗟でガードし、エネルギー波に身体が飲み込まれる。
爆煙と共にフリーザの姿が見えなくなる。少しして煙の中からフリーザが現れた。
少し怪我をした肌を見て、先程よりも激しい怒りが湧いてくる。
[お、おのれ〜〜〜〜!!!]
[これでわかったか?今のお前では俺には勝てない。この時空で迷惑をかけるのはやめて大人しく帰るんだな]
トランクスはそう言うが、フリーザは不気味に笑う。
[何がおかしい?]
[フッフフフ…迷惑?既にボクはこの時空のボクを殺したのに?]
そう、フリーザは戦闘前にこの世界のフリーザを不意打ちで襲いデスビームで胸を貫いてある。
フリーザはその事について知らないであろうトランクスにそう話すが…
[ふっ…]
[余裕そうだな、それともまだ生きていると思っているのか?]
[お前は自分を過小評価しているな。時空は違うが自分の身体だぞ?まさか、その程度で自分が死ぬと思っているのか?]
[む…]
原作では下半身が無くなっても生きていた自分だ。今考えたら胸を貫かれた程度ですぐに死ぬ筈がない。
[世界が違うと侮ったな。なら、あれを見たらどうだ?]
トランクスが指を指す方向には、トスカーとクウラの元にいるフリーザの姿があった。
[なっ!?なぜだ!?]
[なぜ、奴が何事もなく動けている。と、聞きたそうだな?]
トランクスを見るとニヤリと笑い、手からエネルギー弾を放つ。
思わず塞ぐが、身体に被弾することなく吸い込まれる。微かに活力が戻ったような気がした。
[!こ、これは…!]
[孫悟空さんが、ナメック星でお前にやった時と同じように、僕がこの世界のフリーザに気を分けたんだ]
あの時は命乞いの果てに恵んで貰った、だが、この世界では命乞いすることなく渡されている。同じ自分でもどこか違うこの世界の自分に少し得体の知れない何かを感じた。
[そして、本当ならお前を倒す為に共に来る予定だったのを僕が断った。この戦いは、本来介入するべきではない者達の戦い。そんな所にこの世界の人達を巻き込めないからな]
『あなたとここで会ったのは、この異常事態を切り抜ける為にあったのかもしれませんね』
フリーザに気を与えてそれぞれの戦場に行く前に、この世界のフリーザにこう言われた。
まさか、フリーザから悪意も打算もない純粋な礼をされるとは思わなかったが。
トランクスが方腕を広げ、進行を塞ぐ。
[ここから先は、俺が行かせない。彼らの戦いの邪魔はさせないぞ]
「…酷い匂いですね」
「黙れ、文句を言うならこんなことになったこのクソ兄貴に言え」
クウラが気を失っているトスカーの顔に蹴りを入れる。
トスカーの胃に入ったせいでかなり匂うクウラもどうやら堪えているらしい。
フリーザが鼻をつまみながら少し遠くを見る。
「それで、どうします?クウラ兄さんと瓜二つの彼が戦ってくれている間に少し時間が出来ましたからね」
「決まってるだろ。どうやって奴を倒すか考えるんだろ」
「トスカー兄さんとボクだけでもまるで歯が立たなかった相手だよ?何か策があるのかい?」
「……だとよ、おい、起きてるんだろ?狸寝入りはやめろ、兄貴」
「…………ある。って言いたいんだがな…」
薄く目を開けているトスカーと答えの歯切れの悪さにフリーザが呆れた様子だった。
「あんなに自信満々に最終形態に変身して答えがそれか、兄さん」
「仕方がないだろう?奴が想像以上だったんだ」
「それで、本来考えてた作戦はなんだ?兄貴」
「……本来ならこういう作戦だった。孫悟空の元気玉という技がある。それは周りから少しずつパワーを集める技で、俺の作戦ではスラッグを倒せる十分のパワーになるまで奴を消耗させながら動きを固定するつもりだったんだ。そしてそこに元気玉を放つ」
「随分シンプルな作戦だね」
「だが、問題なのは今の孫悟空の実力と今の体力を考えるとスラッグに放つ元気玉を押し切られると思ってな。サイヤ人の特性とメディカルマシーンで回復させて放とうとしたんだが…スラッグもとんでもない再生バカだった。」
「ナメック星人の特性か…」
フリーザの苦い顔にトスカーは頷く。
「アイツの再生が早すぎた。続けて再生させれば流石にどうにかなるかもだが、その前に盾役がくたばるし、無視して孫悟空を集中狙いされたら終わる。だから確証が持てなくなった」
トスカーが仰向けから胡座をかいて座る。
「ぶっちゃけ、もう詰みだと思う」
「何諦めてる、ここまでやるのに俺がどれだけお前に手を貸したか分かるか?」
「分かってるって。それに俺たちが万全にするにしても時間がかかりすぎて多分その間に攻め込まれて終わる」
トスカーは立ち上がり、それに続いてクウラとフリーザも立ち上がる。
「…次がラストチャンスになるだろうな。だからさ、最後にドデカい一撃を奴に食らわせたくないか?」
「「確かに」」
フリーザとクウラからも賛同を得られた。あまりにも荒唐無稽すぎてボツになった作戦…というより技。
「なぁお前ら、俺が昔お前達に教えた技があったよな」
「それって、あれか?あまりにもバカバカしいあの技か」
「今でも覚えてるよ、初めてボク達が音を上げたかもしれない技でしょ?」
俺が半分冗談で教えたあの技を、まさかここで使うなんて思わなかった。
「あぁ、アレやるぞ」
ヒーローズコラボ最後だから急いで石集めしなきゃ…!