最凶の一族の長男はとりあえず自由に生きてみようとする 作:〇〇総統
スラッグを止める為に俺達兄弟が行ったのはまずお互いのエネルギーの波長を一致させる事だった。
俺達は孫悟空達地球人達のように戦闘力…気をコントロールすることが出来ない。いや、する必要がないと言った方が正しいのだろうか。
そして、フリーザとクウラは元はそもそも仲がいい訳ではない。俺が元々いない作中でもお互いに失態をすればそこを付いていがみ合うような仲だ。俺が介入したせいか、ここではそのような反応は見られないが。
そりゃ、一人一人がこんな強大な個性の塊である一族の力が誰かをサポートするなんてことが出来るはずがなく、俺が1度考えたこの技は前に頓挫した。
誰かに合わせる。なんて芸当が出来なかったんだ。
だからだろうか、何度かやってからこの技は俺達に合わないという事で封印した。そもそも、使うような場面が限られているから使うこともないと思った。
それが今ではどうだ。ぶっつけ本番でしかも俺達を超えるかもしれない相手に使用しなければならなくなった。
人生、何が起こるか分からないものだ。
「……だが、そう悠長にしてられないのも事実」
今は別のクウラに夢中だが、アイツが倒れれば次は何をしでかすか分からない。スラッグもそこまで待ってくれないだろう。
…そうなれば、変にパワーを入れている俺達は順繰りに奴によって討たれて、ゲームオーバーだ。
今空で元気玉を貯めている悟空も対象に入る。万全に近いベジータも俺達には及ばない。精々少しだけしかもたないだろう。
「せめて…せめて奴の気を散らす方法さえあれば……!」
そんなトスカーのあと1歩という状況に、変化が現れた。
ワァァァァァァァァ……
「…なんだ?」
小さいが、声が聞こえる。
ワァァァァァァ
「この声は…上か!!」
ワァァァァァァァァ!!!!!
空を見上げると、母船からわらわらと兵士達が出てきてスラッグに向かって行くではないか。
「ザーボンさん!何をしているのですか!!」
遠くからフリーザが驚愕の声をあげて先頭に立つザーボンに向かって声をあげる。フリーザも知らない、俺もそういう作戦を立ててない。ということは、ザーボンの独断だと思うが…
ザーボンが大軍から離れ、頭を下げながら言った。
「御命令に背き勝手に兵を動かしたことは申し訳ありません!ですが御三方は見る限りその場からあまり動くことが出来ないと判断した為、私を含め動ける兵士はこの場に助太刀に参りました!!」
その言葉にフリーザは勿論、俺もクウラも驚愕した。まさかの答えにクウラは面白そうな、何かを認めたような好意的な表情を、フリーザもやれやれと首を振りながらも嬉しそうだ。
「こんな状況ですし、長々とお話は出来ません。ザーボンさん!」
「はっ!!」
「私の為にここを死地にする覚悟ですべき事に挑みなさい」
フリーザの手短な命令でザーボンは敬礼をし、そのままザーボンもスラッグの元に飛んでいく。
ザーボンの覚悟のためにも、成功させなければならないな…
再び、3人でエネルギーを貯める。いつまでもこのまま足踏み状態を続ける訳にはいかない。
俺は残ったエネルギーを掻き集め再びエネルギーを集めた。
私、シシトーはザーボンについて行った兵士達が消えた船内で非戦闘員のメンバー達と勝負の行く末を見守っていた。
「ね、ねぇ…これ大丈夫なのよね?このままみんなやられちゃって、次はここだ〜なんてならないわよね?」
ウチの並の技術者より仕事が出来るブルマが私の肩を揺らしながら聞いてくる。脳に響くから出来ればやめて欲しい。
「さぁ、そうなったらこの船を動かして遠く離れなきゃいけないから。あなたのメンテナンスでエンジンも調子いいらしいし?期待していいのよね?」
「そりゃあ勿論、天才ブルマの手によって機能向上、接続短縮、コストカットと出来ることはやったわよ?」
「あとは、操縦の手にかかってるって訳ね」
私がそう言うと、操縦者達はガタガタと震えている。そりゃ大勢のメンバーの命を握っているのだから緊張感が凄まじいだろう。
「でも、私としてはあなた達2人が一緒に行かなかったのが不思議なんだけどね。一応、下手な兵士より強いでしょ?」
「そ、そりゃそうだけどよ…流石にアイツ相手じゃ俺でも手も足も出ないぜ?」
「ぼ、僕はお母さんが心配しちゃって…」
「駄目だ駄目だ!もうこれ以上悟飯ちゃんを危ねぇ目に合わせらんねぇだ!!」
そう言うクリリンと悟飯(悟飯は主にチチだが)。だが、外部の協力者なのでとやかく言う資格もないのでシシトーはそこで会話を切り上げた。
『ぎゃあぁぁ!!』
『止まるな!少しでも動きを止めるんだ!』
『うわぁぁぁ!!』
『邪魔をするなぁぁぁ!!』
モニターにはスラッグにまとわりついて邪魔をする者、エネルギー銃で遠くから撃つ者、真正面からスラッグに殴りかかる者。
全員が平等に振り払われ、撃ち落とされ、頭を凹ませ絶命する。まるで羽虫のように軽く散っていく命。
「ほんと、まるでサイヤ人ね……」
そんなシシトーの呟きはすぐにモニターの悲鳴に溶けて消えていった。
『ずあぁぁぁ!!』
だが、その中でも未だにザーボンは根性を見せていた。あれ程醜いと嫌っていた自身の変身を解放し、スラッグに食らいついていく。
タイマンなら勝ち目はなかったが、今は1vs多数の集団戦。ザーボンに攻撃が集中しないよう周りの兵士が全方位から攻撃を仕掛けスラッグの注意も散らす。
だが、兵士の数も無限では無い。徐々に包囲網に穴が空いていった。
『えぇい!鬱陶しい!!』
スラッグが両手を広げ拡散するエネルギー弾を放つ。それにより周りにいた兵士達はその威力に飛ばされ、耐えきれずに消し飛ばされた。
更に、そのエネルギー弾が図らずも宇宙船に向かって来る。
「逃げて!」
「だ、駄目です!!向こうの方が速い!」
「衝撃に備えて!」
その報告にシシトーはすぐさま回避から受けに変えた。
そして宇宙船に衝撃が…こなかった。
「な、何が…」
「あ、あれ!」
悟飯が指差すとそこにはベジータが向かい来るエネルギー弾を撃ち落としていた。
「王子!」
「ふぅん、アイツ案外律義なヤツね」
ベジータが悟空だけでなく宇宙船を守るというファインプレーをするが、先の攻撃で兵士の数が大きく減ってしまった。そしてザーボンとスラッグの間には戦闘力が大きな差があり、いつやられてもおかしくない状態だった。
「どうしようか…このままだとザーボンと一緒に行った兵士達は無駄死になる…!ちょっとは時間を稼げてカカロットのエネルギーがさっきより大きくなってるのは分かるけど…」
それでもスラッグを倒すには至らない。
「えぇい!離せ!!」
「このまま何もしない訳にはいかないんだー!」
「大人しくしてくださいってば……!」
「え?ギニュー隊長!?」
そんなまたピンチが顔を出す状況がまたやってきている中、ギニュー特戦隊を始めとした改良神精樹の実を食べて行動不能になった者達がやってきた。
「ちょっとちょっと!安静にしなさいって!」
「ザーボンの演説を聞いた……!このまま我々が動けないまま終わるなど、フリーザ様の部下としてフリーザ様に申し訳が立たない!」
「我々クウラ機甲戦隊も同じだ。クラッシャーの奴らは…いい返事は聞けんかったが」
サウザーが残念そうに首を振る。シシトーは寧ろクラッシャー軍団の方が聞き分けが良くてそっちの方が有難いと思ったが、彼らの忠誠心から来るからこその言葉なのでそっと胸にしまっておいた。
「改良神精樹の実は、元々トスカー様の所から作られた物!ならトスカー様の部下であるシシトー、お前なら知らないか!?一時的に副作用を打ち消す物とか!」
「ちょっとギニュー隊長落ち着いて、トスカー様がもしその打ち消す物を作れたら既に普及させてるし!」
「……そうか」
ギニューが無念の様子で膝から崩れ落ちる。戦士としてのギニュー達には申し訳ないが、今は安静にしておいて欲しい。
「あっ!」
誰かが声をあげた。そしてモニターには腹に拳を深々と入れ込まれたザーボンの姿。
「……ザーボンはよく頑張ったよ」
「……すまない、ザーボン」
「お前の事は、忘れないでやるからな」
各々がザーボンへ別れの挨拶をする。そしてスラッグがザーボンの息の根を止めようとし、寸前で止まる。
スラッグが後ろを振り向き、一瞬驚愕の表情をし、そしてニヤリと笑う。
「感じたことのない気だ…でも妙に覚えがある……いや、あの姿は!」
クリリンの言葉に、悟飯も気を探る。そして、少しすると目を見開きそして大きな声で喜んだ。
『ククク……今更何をしに来た?』
『……同族の始末は同族がつけないとな?』
『なんだと?』
「ピッコロさんだ!これはピッコロさんの気だよ!!」
ピッコロはターバンとマントを脱ぎ捨て、首を鳴らした。
『かかってこい、今度は真正面から相手をして貰おうか』
『さっさと逃げればいいものを、また取り込んでやる!』
普段暖房使わないから暖房ついてる職場だと息苦しくて仕方がない。