少年は言った
―――誰かを笑顔にしたいと
少年は願う
―――誰かの支えになりたいと
少年は決意する
―――誰かの背中を押してあげられる人になると
これは……誰かの支えになることを夢にみる
純白の少年とスクールアイドルの物語
「兄さん……兄さん…そろそろ起きてください。もうすぐ6時半ですよ」
「………う~ん?」
「あ……やっと起きましたか。おはようございます、兄さん」
ある朝……目を覚ますと、そこには僕のベッドで横たわり見つめてくる最愛の妹の顔があった。
「おはよう
僕の記憶が正しければ、昨日一緒に寝た覚えはないのだが?
「兄さんが全然起きなかったので……つい♡」
そう言うと真白はいたずらっ子のように可愛らしく微笑んだ。全然理由になっていないと言いたいが、この笑顔を見れば『ま、いっか』と思い言う気も失せる。
「……ハァ~、まあいいや。顔洗ってくるから退いてくれる?」
「はい!リビングでお待ちしてます」
僕の名前は
先日、小学校を卒業して来年度から中学一年生になる。
勉強や運動は至って平凡。というか、ボクの筋肉クソ弱だから運動に関していえばめっちゃ雑魚です。目立った特技もない。強いて言うなら料理にちょっと自信があるくらい。
まぁ、どこにでもいる“普通”の子供です。
「……冷たっ!」
やっぱりまだ三月ということで洗面台の水が冷たい。
お湯が出てほしいと思いながら顔を洗い、鏡に映る自分の顔を見た。
そして………鏡に映ったのは
「………………」
そういえば……こんな僕にでも、普通じゃないことが1つだけある。
それは………………
ああ、勘違いしないでほしい。別にイケメンだから自慢しているというわけではない。全然イケメンでもないしね。
……………言ってて悲しくなってきた。
話を戻すけど、僕はアルビノと呼ばれる症状を患っていて、生まれつき白髪で、肌も日本人とは思えない程白く、瞳の色は銀色。よく外国人に間違われる事もあって、妹の真白とはとても兄妹に見えないルックスなんだよな。
「もう兄さん、遅いですよ!何時までかかっているんですか」
そう言ったこの子の名前は
「あっ!ご、ごめん、ちょっと考え事してて」
鏡で自分の顔を見ていたら、いつの間にか時間が経っていたようだ。その後も『ご飯が冷めてしまいます』と怒られてしまった。
「「いただきます」」
二人はテーブルをはさみ向かい合った形で席に着き、真白の作った朝食に手を付け始める。
「そういえば………母さんは?」
「仕事だそうです。先ほど出かけられました。今日は帰ってくるのが遅くなるそうです」
(今日はって………いつもの事じゃん)
僕達の母親は小学校の理事長をしている。昔から多忙な人で家にはほとんどいない。そのため家事はほとんど僕と真白が交代で行っている。あの人が家事出来るとも思えないしね。
「そっか。僕は用事で出かけるけど、1人で大丈夫?」
「はい、ご心配なく。私もこれから友人の家に遊びに出かけますから」
「わかった。じゃあ、昼は適当に食べるよ」
「はい」
それから朝食を食べ終えた後、家を出る前に
ちなみに僕の用事とは、ある人に『話したいことがある』と昨日の夜に電話で呼び出されたのだ
「じゃあ、いってきます。気を付けてね」
「はい、兄さんも気を付けて」
――――――――――――――――――
「着いた……………ここが―――」
―――“国立音ノ木坂学院”
ここが、僕の呼び出された場所だ。まぁ正確にはこの高校の理事長室だが。
それじゃ、さっそく向かうとしますか!!
……………と言いたいところなんだけど
「ほ、本当に……入っても大丈夫なのかな?」
呼び出されたから学院前まで来てみたものの、僕は中に入るのを躊躇っていた。
僕が入るのに躊躇しているのは、ここが
いや、まぁ呼び出されたのだから堂々と入ればいいだろ!と言われるだろうが、僕がこんなに入るのを躊躇っているのは理由がある。
男だから女子校に入りづらいというのもあるが、実を言うと僕は
「それにしても、やっぱり………綺麗な学校だよな」
僕の目に映ったのは、古くからあるとはとても思えない綺麗な校舎。春になると、この高校の周りは桜でいっぱいになる。特に正門前の階段を降りたところは本当に綺麗な桜並木が続く。
…………でも、最近は入学希望者がどんどん減っているって話を聞いたことがある。確か、近くにすごく人気の高校があって、そっちを志望する人が多くなってるのが原因らしい。
たしかその高校の名前は……………
「ねぇ、ちょっといいかしら?」
「ひゃい!!」
「ッ!?」
考え事をしていたら、いきなり後ろから声をかけられて、つい変な声を出してしまった。
声がした方に目を向けると、そこには綺麗な女の人が立っていた。大きな蒼い瞳、綺麗な金髪、同級生の女子とは全然違ってとても大人びた雰囲気を持つ人だった。
なんか……綺麗って言葉が似合う人だな……ってそんなこと考えてる場合じゃない!謝らないと!
「す、すみません!変な声を出してしまって」
「う、ううん。こっちこそごめんなさい。急に声をかけられたらビックリするわよね」
うっ………このお姉さん、全然悪くないのに……なんか、罪悪感が
「それで、もしかして君が優木白羽君?」
「えっ!?な、なんで僕の名前を?」
「やっぱり……君のことを理事長から頼まれたのよ。理事長室に案内するようにって」
「あ、ありがとうございます。困っていたので、助かります」
「えぇ、じゃあついてきてくれる?」
「………は、はい」
僕はその女の人に理事長室まで案内してもらうことになった。正直、案内してくれるのはありがたかった。一人で入るのが心細いってこともあるけど、僕はこの学院に入ったこともないので理事長室がどこにあるのかが分からない。最悪、誰かに話しかけて聞くことも覚悟していたが、その必要がなくなって一安心である。
「そういえば、自己紹介が遅れたわね。私の名前は
「は、はい。改めまして、僕は優木白羽っていいます。よろしくお願いします、絢瀬さん」
「ええ、よろしくね。優木くん」
校舎には絢瀬絵里と彼女から少し距離空けて歩く優木白羽。この二人の足音や会話の音だけが校内に響く。
(やっぱり……生徒数が減少してるって噂は本当なのかな?教室とかも机が少ないし。休日とはいえ、部活している生徒も少ないし)
「着いたわ、ここが理事長室よ……失礼します、優木白羽君をつれてきました」
「………どうぞ」
中から入って良いという返事を貰い、絢瀬さんと僕は理事長室に入った。そこには、僕をここに呼んだ学院の理事長が座っていた。
「ありがとう、絢瀬さん。わざわざごめんなさいね」
「いえ、ではこれで失礼します」
そう言って絢瀬さんが退室し、理事長室には僕と理事長の二人きりとなった
「………久しぶりね、白羽くん」
「はい、お久しぶりです。
この人は
「それで、一体何の用件で?」
「今日ここに来てもらったのは、あなたにお願いしたいことがあるからなの」
「………お願い?」
「単刀直入に言います。優木白羽君………あなたに、共学化テスト生として、
…………………………………は?
「……………………はい?」
え?………今何て言った?
入学?……僕が?音ノ木坂中学に?……why??
「え、ちょ…え?…いや……無理無理無理無理!無理です!ていうか音ノ木坂中学って女子校ですよね!」
「落ち着いて、ちゃんと説明するわ」
“音ノ木坂中学校”
それは音ノ木坂学院の姉妹校であり、場所も学院のとなりで隣接している。先程も言ったが中学も学院と同じで
「実は近年、音ノ木坂学院は生徒数が少なくなってきているの」
……やっぱり、噂は本当だったんだ
「音ノ木坂中学の生徒も大半が違う高校を受験している状態で、このままでは廃校になる可能性があります。そこで学院は共学化を計画していて、来年度に1人、男子生徒をテスト生として入学させることが決定したの。そして、それに選ばれたのが白羽君…………君ということよ」
は、廃校!?
共学化の計画!?
最近、生徒数が少なくなってきているって話は聞いていたけど、そんな状態になってたなんて
……ん?あれ、ちょっと待って………
「あの……今の話を聞くと、廃校の危機があるのは学院だけなんですよね?それで学院は共学化を計画している。なぜ中学にテスト生を入学させるんですか?学院に入学させないとテストの意味が……」
「ええ、そうなんだけど………学院に男子生徒を入学させるのは反対って言う人が多いのよ。特に親御さんから」
あぁ………なるほど、確かに自分達の娘が通っている女子校に男子がいるのは不安ですよね。万が一、手を出されでもしたらって考えれば。
「だ、だけど!!なぜ僕なんですか!?僕が女の子を苦手なの知ってますよね!?」
「それは………あなたのお母さんから推薦されたからよ」
「へ?………母さん……ですか?」
「ええ、『任せなさい!!私の息子ならバッチリやってくれるわ!!』って言ってたわよ」
雛奈さんは親指を立てて、いかにも母が出しそうな声色とテンションでそう言った
ていうか母さん!?!?何勝手なこと言ってるの!?
それから詳しい説明を求めると雛奈さんは大まかな内容を離してくれた。
雛奈さんの話によると、このテスト生はずいぶん前から計画されていたが、信頼に足る男子生徒が見つからなかったそうだ。そこで、僕に女の子を克服してほしかった母さんは、今回の話を聞いて丁度いいと判断して、テスト生に推薦したそうだ。
ピロン♪
「ん?メール?」
僕がその説明を聞いて頭を抱えていると携帯に母からの一通のメールが届いた。
内容は………
―――――――――――――――――――――――
白羽!!テスト生のこと聞いた?
じゃあそういう事だから、苦手を克服できるようにがんばりなさい!!
あ、ちなみにあんたに拒否権は無いから!
それじゃあ、学生生活をenjoyしてね(^^)♪
グッドラック d(≧▽≦)
―――――――――――――――――――――――
………だってさ。ふざけてるでしょ??
これを見た瞬間、僕はイラッとしてつい携帯を握りつぶしそうになったが、最近買い替えたばかりなのでやめた。
………うん、とりあえず、あの人の今日の晩御飯は作らないことにする。
「そういうわけだから、お願いできるかしら?もし本当に嫌なら断ってもかまわないわよ」
母さんと違って無理矢理じゃなく、こちらの意思を尊重してくれている。昔から雛奈さんは優しくて良い人だ。
※大事な事なので2回言いました
「……いえ、引き受けます。雛奈さんにはお世話になりましたし、僕も苦手を克服したいと思ってたので」
断ったら母さんが何するかわからないし。それに……雛奈さんが困ってるなら少しでも力になりたい。
「ありがとう。では、来年度からよろしくね」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
それからテスト生についてもろもろの説明を受けて僕は理事長室を後にした。用も済んだのですぐに帰ろうとしたのだが、部屋の外で絢瀬さんが腕組みをしながら待っていた。
「あら、もう終わったの?ずいぶん早かったわね」
「えっ!?もしかして、ずっと待っててくれたんですか?」
早かったって……テスト生の事や入学の手続きとかの説明で30分以上時間かかったよね?
「当然よ、君は男の子だから校内でトラブルに巻き込まれるかもしれないしね」
確かに…………事情を知らない人と遭遇して、万が一通報でもされたらヤバいよね
「じゃあ、行きましょう。学院の外まで送るわ」
「は、はい」
僕は絢瀬さんの後ろを少し距離を開けて歩き始める。
「優木君って、もしかしてハーフ?」
「え?………あっ!いえ、違います。この白い肌は生まれつきで、両親とも日本人です」
なぜいきなりそんなことを聞かれたのかと少し戸惑ったけど、僕は直ぐに自分の肌を見てそう聞いたのだと理解した。髪や顔は帽子で隠しているが、やはり腕や首周りの肌は異質と言えるほど白いので、他人の目に留まりやすいようだ
「そう………ごめんなさいね、変な事聞いちゃって」
「いえ!別に気にしてるわけではないですし、病気とかでもないので大丈夫です」
「そう………綺麗な肌だから羨ましいわ」
「そ、そうですか?でも、それを言うなら絢瀬さんの肌や金髪の方がきれいだと思いますよ」
僕は褒められて若干照れながら、お返しの様に絢瀬さんの事を褒める。お世辞と言うわけでは無く、本当にそう思う。僕の白髪は気持ち悪がられることが多いが、この人の髪は他人の視線を釘付けにするほど綺麗なものだ。
「そ、そう?………ありがとう」
絢瀬さんは僕の言葉に少し顔を赤らめながら笑顔でお礼を言ってきた。
―――この時、初めて絢瀬絵里という少女の笑顔を見た優木白羽は衝撃を受けた。別に恋をしたとか惚れたとかそういうわけでは無い。ただ純粋に彼女の笑顔に見惚れたのだ。
―――優木白羽と言う少年は………誰よりも、人が笑っている顔。人の笑顔を見るのが好きな少年だった。
絢瀬さんの笑顔……綺麗だなぁ。優しい人なんだってことが笑顔をみるとよくわかる。だって、心が綺麗じゃないとこんなに素敵な笑顔ができるはずないし。
それから特に会話をすることなく、僕達は学院の正門に着いた。
「それじゃあ、気を付けて帰ってね」
「はい、今日はありがとうございました。失礼します」
「ええ、さようなら」
――――――――――――――――――
僕は絢瀬さんと別れた後、すぐに帰宅した。
言っても学院に行って帰って来ただけなので体は疲れていない。だが、テスト生だの廃校の危機だの聞かされて精神的に疲れたので、昼ご飯も食べずに自室のベッドに寝そべっている。
制服や教科書などは後日、家に届けられるらしいから入学式までやることは特にないらしい。
用事は終わり、朝も早かったので、このまま寝てしまおうかと思っていた時、僕の携帯に電話がかかってきた
携帯の画面には
「もしもし、ツバキ?どうしたの?」
『やぁ白羽。今、大丈夫かい?』
今電話している彼の名前は
成績優秀、スポーツ万能。顔も超イケメンで高身長。しかも、モデルとして活躍している。
あと………彼は
ことわざに………“天二物も与えず”というのがあるけど、あれは間違いだと思う。二物どころじゃなく、天から三物も四物も五物も与えられた人間。
それが………綺羅ツバキという男だ。
話を戻そう………
「うん、どうしたの?」
『急にすまない、再来週の入学式の事で電話したんだが、よかったら二人で一緒に行かないか?』
「え、ああ………うん……そのことなんだけど……実は、進学する学校変わったんだ」
『……ん?どういうことだい?』
「実は……………」
僕は先程の事を全部ツバキに伝えた。共学化の為にテスト生として音ノ木坂中学に入学すること………
それを聞いたツバキは―――
『―――ぷふっ』
―――鼻で笑った。え、酷くない?
「あぁー!!笑った!今笑ったでしょ!?」
『いや、すまない。でもまさか、お前が女子校に入学するとは……ふふっ』
「もう!こっちだって入りたくて入るわけじゃないんだよ!」
『ああ、わかっているよ。白羽と違う学校になるのは寂しいが、そういうことであれば仕方ない。音ノ木坂でもがんばれよ』
「うん、ありがとう。でもやっぱり……自分で決めたことだけど………不安だよ。僕……ちゃんとやっていけるかな?」
周りが女子しかいない状態なんて経験したこともない。
普通の男子なら喜ぶような状況かもしれないけど、僕にとっては違う。唯でさえ女の子は苦手だし、しかもこんな白い髪や肌をした男がやっていけるのだろうか?最悪、気持ち悪がられてイジメなんてことになるんじゃ………
『白羽……お前なら大丈夫だ。音ノ木坂の理事長さんと白羽の母親はいい人間をテスト生に選んだよ』
ツバキは僕が女の子を苦手としていることを知っている。そうなった原因も。でも何故か、上手くやっていけることが分かっているような言い方だった。
『白羽、自信を持っていい。お前なら上手くやれる、何か困ったことがあれば相談してくれ』
「………うん、わかった。ありがとう」
『ああ、ではまた電話する』
「うん、バイバイ」
…………ツバキの言葉を聞き、僕は前向きにがんばることを決意した
大切な友達が大丈夫だと、自信を持てと言ってくれたんだ。ならその言葉を信じて、精一杯頑張るしかない。
「よし!頑張るぞー!!」
僕は気合いを入れるために、今まで出したことないぐらい大きな声を出した。自分でも何やっているんだろうと思ったが、テンションが上がってしまってついやってしまった
ちなみに、この時の声が想像以上に響いたらしく、御近所の人から、なにかあったのではないかと心配されてしまった。
みなさん………本当にすいませんでした!!
次回はオリキャラ達の設定です