あれから白羽達はライブの片付けを終え、4人で一緒に帰宅している。白羽は来てくれた観客にお礼を言おうとしたのだが、いつの間にか真姫や花陽達は帰ってしまったようで、また今度行くことに決めた。
「終わったね~!」
「うん♪」
「はい」
3人はライブをやり切った達成感でとても清々しい気持ちで帰路についている。ちなみに白羽は…………
「はぁ~~~…………疲れました」
…………くったくたに疲れていた。
理由は先程走り回ったことも疲れた原因の一つなのだが、原因はもう一つある。
あの後、4人は数分間抱きしめ合っていたのだが、それを見たヒデコ達が『ラブラブだね~~』『ヒューヒュー!』などとニヤニヤしながらめちゃくちゃ揶揄ってきたのだ。ヒデコ達の絡みは白羽がウザいと感じるほどにめんどくさいもので、しかも長い時間続いた。その対応をした所為で体力をごっっそり持っていかれた。
ちなみに、穂乃果達3人はヒデコ達のニヤニヤ顔を見て、自分達が人前で何をしているのかを思い出し、頬を赤く染めた。
「そうだ!ライブも終わったから、みんなでご飯でも食べに行かない?」
「あ、それ良いですね!!」
(なんか青春って感じでいいかも!!そういうの憧れてたんだよね)
穂乃果の提案に白羽は少しテンションを上げて真っ先に了承した。ほんの少し前までは小学生だったので、学校帰りの打ち上げなどは白羽にとって魅力的な行為だった。
「うん♪私も行きたい」
「行くのは良いのですが、どこに行くのですか?」
「う~~ん、いつもなら私の家でもいいんだけど、今日はちょっと…………」
「私も………今日は」
「私の家は前もって連絡を入れないといけませんし…………」
(穂乃果さん達の家はダメそうだなぁ。かと言って、外食だと高くつくし…………僕そんなにお金持ってないんだよね)
中学生の白羽はまだ、ポンポン外食できるほどの
※本当に良い子
(…………仕方ないか)
「え~っと、良かったら僕の家に来ますか?」
白羽が提案したのは自分の家。今まで4人が集まるのは基本的に穂乃果の家で、白羽の家には穂乃果も海未も、ことりすらも行ったことが無かった。
「え!?いいの?」
それ故に、白羽が自分の家を使っていいと言ってくれるのが意外だったらしく、穂乃果は驚いた声を出した。
「はい。今から連絡するんで、ちょっと待っててください」
白羽はカバンから携帯を取り出して、真白に電話を掛けた。いきなり連れて行くのはさすがにまずいと思い、許可を取るために連絡をいれる。
『もしもし、兄さん。どうしたんですか?』
「真白、実は―――――」
「―――――って訳なんだけど」
『成程…………私は構いませんよ』
「ありがとう。それじゃあ今から連れて行くから」
『はい。ですが………家にそんなに食材は………』
「ああ、それなら帰った後で買い物に行くから心配ないよ」
『そうですか、分かりました。では、お待ちしています』
真白から許可を貰い、白羽は電話を切った。
「はい、大丈夫だそうです」
「やったー!!」
「シロ君、ありがとう〜!」
「すみません、穂乃果が言い出したことなのに……」
「いえ、大丈夫です。それじゃあ案内しますね」
―――――――――――――――――――――――
「どうぞ、入ってください」
「「「お、お邪魔します………」」」
白羽が家の扉を開けると、穂乃果達は少し緊張した様子で家に入る。昔からあまり男子と関わりを持ってこなかったので、異性の家に上がるのは3人共初めてであった。
(まぁ、他人の家に入るのって緊張しますよね……)
「兄さん……おかえりなさい」
「うん。ただいま真白」
家に入ると、いつものように真白は白羽の事を笑顔で迎えた。
「真白、この人達が前に話した音ノ木坂の先輩だよ。ほら、自己紹介して」
「はい。初めまして、妹の優木真白といいます。いつも
―――なんか今、『私の』って部分を強調してなかったか?
「ことりさん………お久しぶりです」
「真白ちゃん!久しぶり〜!!元気だった?」
「はい。おかげさまで」
真白も白羽と同じように昔ことりの家でお世話になっていたので、当然面識はある。しかし、真白はまだ小さかったので覚えているか心配していた白羽だったが、杞憂に終わって安心し、そっと胸を撫でおろす。
「よろしくね!私は高坂穂乃果!穂乃果でいいよ」
「私は園田海未と申します。私も海未で構いません」
「はい。よろしくお願いします。穂乃果さん、海未さん。それでは、こちらにどうぞ………」
そう言って真白は会釈し、綺麗な姿勢でリビングへと歩いていった。白羽は見慣れているが真白の立ち振る舞いはとても綺麗なものだった。そのため穂乃果達はとても彼女が年下とは思えず、少し困惑した表情を見せる。
「ねぇ、白羽君………真白ちゃんって何歳なの?」
「僕の二つ下です。つまり小学5年生です」
「「「…………すごく大人っぽい(ですね)」」」
「…………そう言いたくなる気持ちわかります」
(あ、あれ?真白ちゃんって…………あんな大人っぽい子だったかなぁ?)
特にことりの動揺は大きいものだった。ことりの知っている真白はいつも白羽の後ろに隠れていて、オドオドしている内気な子。しかし、今の彼女にそんな面影は無い。真白の変化を見て、ことりは少し見ない間に成長したのだと思い嬉しい気持ちが溢れてきた。
リビングに着くと珍しく母が帰宅しており、ソファーでくつろぎながらテレビを見ていた。テレビを見るのはいいのだが、スーツ姿のままソファーに寝そべっており、とてもお客様を招く姿ではなかった。
(久しぶりにこんな時間に帰ってこれたからって、そんなだらしない恰好しないでほしい)
自分の母親に対してため息を吐くと同時に、白羽は頭を抱えた。
「母さん、ただいま。連れてきたよ」
「おお!いらっしゃい!ことりちゃん、久しぶりね。」
「はい!お久しぶりです」
「それで、あなたたちが白羽の話してた子たちね」
「高坂穂乃果です!」
「園田海未です。突然お邪魔してしまってすみません」
「いいのいいの!来てくれて嬉しいわ。このバカ息子の母です。これからも迷惑かけるかもしれないけど、よろしくね」
母は白羽の頭をわしわし撫でながらそう言った。白羽の髪は柔らかくて触り心地がいいので、家ではよくやられてしまう。普段なら好きにさせるのだが、流石に穂乃果達の前でやられるのは恥ずかしかったようで、白羽は頭を撫でている母の手を振りはたいた。
「そんなことないですよ。むしろ私が迷惑かけちゃってますし………」
「はい……いつも助けてもらってばかりです」
「へぇ~、良かったわね白羽!こんな美人な子たちに褒められるなんて………………それで、聞きたいことがあるんだけど」
母は突然、真剣な表情を浮かべ、白羽の両肩に手を置いた
「ん?何?」
「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………どの娘が本命なの?」
「……………………は?」
母親の無駄に溜めた発言の意味が理解できずに白羽は首を傾げた。
「「「っ!!??」」」
「……………ホ……ホンメイ?」
一方、言葉の意味を理解した穂乃果達は顔を赤らめながら、彼の出す答えが気になり耳を傾ける。そして、近くで聞いていた真白はぶっ壊れたロボットのような声を出した。
「だから本命よ。どの娘が好きなの?ねぇねぇ!」
白羽の母は穂乃果達の反応を見て、彼女達が白羽の事を悪く思ってない事に気付いたようで、少しからかってやろうと思い、グイグイと自分の息子に詰め寄る。
「いや………好きって……そんなんじゃ……」
「だって、あんたが女の子連れてくるなんて今まで無かったでしょ!それにもしかしたら…………将来、私の娘になるかもしれないんだから!!」
「「「~~~っ!!!!????」」」
「フフッ…………………ふふふふふっ」
今の言葉を聞いて、穂乃果達は今まででも十分赤かった顔をさらに赤くした。そして真白は不気味な笑みを浮かべ、とんでもない発言を繰り返す自分の母を睨みつけている。
「はいはい。冗談もそこまでにして。穂乃果さん達も困ってるでしょ」
「あはは!ごめんごめ~ん」
(冗談じゃないんだけど………)
「はぁ~~………じゃあ、僕は晩御飯の買い出しに行ってくるので、穂乃果さん達はゆっくりしててください。真白はおもてなししてあげて」
「はい。勿論です」
「母さん、穂乃果さん達に失礼なこと言わないでよ」
「はいは~い♪」
白羽が買い物に出かけた後、三人は先ほど白羽の母から言われたことが頭から離れず、少しの間固まっていた。
「皆さん………お茶をどうぞ」
そんな客人を見かねて、真白は3人にお茶を出した。白羽に言われた通り、来てくれたお客さまをもてなそうという気遣いである
「ありがとう。真白ちゃん」
「いえ…………あの、先程は申し訳ありません。母が失礼な事を……」
真白は失礼な事を言ってしまった母の代わりに頭を下げる。ちなみに、白羽の母は真白の手によってリビングから追い出された。これ以上、優木家の恥を晒すわけにはいかないという考えだ。
「う、ううん。大丈夫だよ」
「ア、アハハ………シロ君のお母さん、全然変わってないね」
「す、少し驚きましたが…………」
「申し訳ありません……………それで、皆さんに聞きたいことがあるのですが」
「「「ん?」」」
3人は一旦落ち着くために出されたお茶を飲んでいると、真白が何やら真剣なまなざしを向けてきた。そんな真白の方に3人はお茶を飲みながら顔を向ける。
そして……………
「もしかして皆さん………兄さんに惚れましたか?」
「「「ブッフゥ~~~!!!」」」
真白は先程の母にも負けないレベルの爆弾発言をぶちこんだ。そして穂乃果達は真白の言葉に驚いた為、むせてしまい、飲んでいたお茶を吹きだしてしまった。
「ゲホッ!ゲホッ!ま、真白ちゃん!?」
「ど、どうしたの!?」
「な、なぜそんなことを!?」
「おそらくもう知っていると思うのですが……………兄さんって、天然の惚れ殺しマシンなんですよ」
(((ああ~~うんうん)))
真白の言葉に3人共、心の中で同調し首を縦にふって頷いた。彼が天然の女たらしなのはもう周知の事実である。
「あっ、ちなみに、ことりさんが昔から兄さんに好意を抱いているのは分かっています」
「~~~っ!!??」
真白はことりとも昔から面識があるので、彼女が兄を好いている事を知っている。というか、ことりの恋心に気づいていないのは白羽だけである。
「真白ちゃん…………そんなはっきり言われると恥ずかしいよ~」
ことりは真白の言葉に頬を赤らめて、両手で顔を隠した。
ことりは告白こそ出来ていないものの、かなり積極的にアプローチを行なっている。もし恥ずかしがって消極的になれば、あの
「それで………お二人は兄さんの事をどう思ってるんですか?」
真白は穂乃果と海未の方に視線を向けて、真剣な顔で問いただした。
「ア、アハハ、え~っと………私は大切な友達だと思ってるよ。頼りになって、優しくて、いつも元気づけてくれて………でも、恋って訳じゃ無いと思うんだよね」
「わ、私もです!白羽の事をそんな風には思っていません!た、確かに白羽は素敵な人です。まだ中学生なのにしっかりしていて、いつも勇気をくれて………」
「そうですか…………では、質問を変えます。兄さんの事を考えると、どんな気持ちになりますか?」
「「どんな気持ち……??」」
2人は真白の質問に答えるために、白羽の顔を心の中で思い浮かべた。
―――穂乃果さん!!
―――海未さん!!
「「~~~っ!!!」」
2人は笑顔で自分達の名前を呼ぶ白羽を思い浮かべると、また顔を紅潮させた。
そして……………
「暖かくなる……かな。もっと一緒に居たい。白羽君と………もっと仲良くなりたい……」
穂乃果は白羽の笑顔を思い浮かべると自然と暖かい気持ちになり、少し恥ずかしそうな表情でそう言った。
「私もです。白羽の優しさをもっと感じたいです。もっと……もっと……」
海未は胸に手を当てて、幸せそうな笑顔を向けて真白の質問に答えた。
「「…………………………………」」
2人は自分には恋心は無いと否定したが、今の2人は紛れもなく恋する乙女の顔をしている。
それを見た真白とことりは―――
((…………完全に落とされてる))
―――と、思った
「穂乃果ちゃん………海未ちゃん…………多分それ、恋だと思うよ」
「はい。恋ですね」
経験者…………いや、被害者達はもう分かっていた。その感情は完全に恋だということを………
「「はぁ~~~」」
今頃、自分達の気持ちなどまったく気にも留めずに、吞気に買い物をしているであろう
ちなみに、白羽はそんな会話があったことなど知る由もなく……………
「へっくちゅん!!………ん?風邪かな?」
女の子のような可愛らしいくしゃみを出し…………
「おお!!卵がこんなに安い!!あ、でもお一人様1パックまでかぁ~」
…………主婦のような事を言って、2人の予想通り
吞気に買い物を楽しんでいた。
――――――――――――――――――――――――
<<<白羽side>>>
「…………………………なんでこうなった?」
あれから買い物を終えて帰宅したら、何故か穂乃果さんと海未さんが顔を赤くして挙動不振になってるわ、真白とことりさんは僕の事をジト目で見てくるわ、何かよくわからない状況になってたんだけど……
食事中も穂乃果さんと海未さんは全然顔を合わせてくれなかったし。それで真白に『母さんがまた何かしたの?』って聞いたら『何かしたのは兄さんです』っと呆れたような顔で言われてしまった。何かしたのなら謝ろうと思って2人に話しかけようとしたら、穂乃果さんからは逃げられて、海未さんからは『近づかないでください!』って言われた………
―――え、ガチで泣きそうなんですけど……??
あと、何故か真白と海未さんが凄く仲良くなってたんだよね。まぁ、2人ともしっかり者だからお互いに惹かれあう所があったのかもしれない。
ちなみに、なんか僕以上に海未さんと仲良くなってた真白に対して、少し嫉妬したのは内緒の話だ。
……兄が妹に嫉妬するなんて、なんか情けないからね
まぁ、そんな事があって打ち上げはお開きになり、穂乃果さん達は帰って行った。送って行こうかと思ったけど、ことりさんから『私が送るから大丈夫だよ』と言われた。
今はベランダに出て、夜風に当たりながら何故こんな事になってしまったのか頭を悩ませている。
「僕が何したってんだ?もう意味わかんない!」
夜風に髪を揺らしながら、なぜ二人から避けられているのかを真剣に考えていると、ある可能性が頭の中をよぎった。
「まさか…………………………………
…………………僕の作ったご飯がまずかったのか?」
※違う
Prrrr♪
「ん??」
頭を抱えて悩んでいると、ツバキから電話がかかって来た。おそらく、ライブの結果を聞くために電話してきたのだろう。僕もツバキには報告したいことがあったので、丁度良かった。
「もしもし」
『やぁ白羽、お疲れ様。今大丈夫か?」
「うん。丁度僕も連絡しようと思ってたから」
『そうか…………それで、ライブはどうだった?』
予想通り、ツバキはライブの事を聞いて来たので僕はツバキに今日あったことを説明した
『…………そうか。良かったな、彼女達を泣かせずに済んで』
「うん………あのさ、ツバキ」
『ん?』
「僕…………見つけられたよ。ツバキの言ってた、大切なもの…………自分のやりたい事が」
ツバキの言う通りだった。今思えば、小泉さんを探している時…………穂乃果さん達を思っている時は他人に顔を見られること、他人の視線なんて気にしていなかった。そんなことより、
『ああ、ようやく気が付いたのか?おめでとう。それじゃあ、お休み』
「えっ!?ちょ、ちょっと待って!!??」
『なんだい?』
「なんだい?……じゃなくて!!なんか軽くないですか!?」
―――おやすみって、なに要件済んだからって電話切ろうとしてるの!?
『いや、お前があの人達の事を大切に思っているなんて、もうとっくに分かっていたよ。お前が気付くの遅すぎなだけ』
「えっ!?」
『多分、俺以外にも気づいてた人間はいると思うよ。かなり分かりやすかったからな』
「……………………………マジですか?」
『マジです』
―――なんか、すっごい恥ずかしいんですけど
『まぁ、良かったじゃないか。これで一歩前に進めるぞ』
「うん。一歩前に……………僕、変われたのかな?」
『変われた………いや、
「へ??…………戻り、始めてる?」
僕はツバキの言葉が理解出来ずに少し頓珍漢な声を出してしまった。当然だ、自分でも成長したという自覚はあったのに、まさか戻り始めてるなんて言われると思っていなかった。
「え!?成長じゃなくて退化したの!?前に進むどころか後退してる!??」
『いや、すまない。そういう意味じゃないんだが
……………まぁ、そのうち分かるだろう』
「そのうちって?……………」
『近いうちにわかるよ。きっと………』
たまにツバキは不思議な事を言う。今の様に、まるでこの先起こることが分かっているような事を。そして、こういうツバキの発言は必ずその通りになるんだよな。
「そう言えば、前から聞いてみたかったんだけど、何で僕が大切なものを見つけたら周りの視線を気にしなくなるって分かったの?」
『それは…………俺も経験した事があるからだよ』
「経験……??」
『ああ………昔にな』
「へぇー!どんな経験!?」
『秘密だ』
「えぇーーー、教えてくれてもいいじゃん!!」
『ふふっ、残念ながら教えられないよ』
「まぁ、いいけど…………」
正直、かなり気になる!!ツバキがそんな経験した事があるなんて聞いた事がなかったからなぁ。
『それと、一つ伝えて置く事がある』
「ん?……何?」
『…………これからしばらくは、お前とこうして話せなくなった。会うことも出来ないと思う』
「え?何で!?モデルの仕事が忙しくなるの?」
『まぁ……………そんなところかな』
(あ…………なんか誤魔化したな)
僕の質問にツバキは何処か煮え切らない答えで返答する。僕はその言葉が嘘だと分かったが、この感じだと聞いても絶対に答えないと分かったので追及するのを辞めた。
「分かった…………」
『もし何か困ったら、携帯の留守電にメッセージを入れてくれ。絶対に確認するから』
寂しい。それが素直な感想だった。今まで、ずっとツバキと一緒に居たので、しばらく会えなくなるなんて考えもしなかった。だけど、何か事情があるのは分かっているので我儘は言えない。
「うん!なんとかがんばってみるよ!……寂しいけど」
この時、白羽は気づかなかったが自分の心の声が少しだけ漏れ出していた。そして……………
『ん"ん"………』
それはツバキの耳にも届いたようで、可愛い弟の本音を聞き、ツバキは悶絶したような声を出した。
「ツバキ?どうかした?」
(録音しておけばよかった!!!!)
『す、すまない。なんでもないよ……………それで、何か相談事でもないか?当分は相談にも乗ってやれないからな』
「相談事…………あっ!そういえばさ!実は今日ね、穂乃果さん達を抱きしめたんだよ!」
『………………………………………………………………………………………………自慢されてるのかな?』
白羽が口にしたのは、日本全国にいる男の怒りを買いそうな発言だった。
(白羽………お前、相手が俺以外の男子だったら、問答無用で殴り掛かりそうな事言ってるよ?)
「ち、違う違う!そういうことじゃなくて!僕が言いたいのは、僕がなんの
(女性を苦手としている僕が、自分から抱き着くことが出来た。しかも、気持ち悪さや嫌悪感は無かった)
「これって、異性に対しての苦手意識が無くなったってことじゃない?ついに克服できたんじゃないかな!?」
『……………………………』
ようやく克服の兆しが見えてきたことによって少しテンションを上げて話していたが、ツバキの反応は少し悪いように感じた。
「ツバキ?…………もしも~し」
『ああ、すまない。まだ分からないが、確かに良い傾向だな』
「でしょでしょ!」
『まぁ、一旦落ち着け。嬉しいのは分かるが、まだわからないからな。明日学校に行って確かめてみるといい』
「うん!そうしてみるよ!」
『………………………おそらく、まだ治ってないだろうけど』
「ん?………今なんか言った?」
『いや、何でもないよ。それじゃあ、明日からも頑張れよ。学校生活も……
「うん………頑張るね。じゃあ…………お休み」
『ああ、お休み』
そう言って僕は通話を切り、再び夜空に目を向ける。
そして…………………………………
「よしっ!!!」
ある
―――――――――――――――――――――――
一方、綺羅ツバキは…………
「白羽…………」
電話を切った携帯を少し強く握りしめ――――
「そんな………簡単じゃないよ………お前の
―――そっとそう呟いた
「はぁ~~…………さてと」
少し熱くなった頭を冷やす為に深呼吸を一つした後、綺羅ツバキはある
「ああ、