純白の少年とスクールアイドルの物語   作:ハトル

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第2章 これからのSomeday編
いざ!アルパカ小屋へ!……アルパカ小屋!?


 

 

―――――――ファーストライブから数日後

 

 

 

 

午前の授業を終えて昼休みになり、白羽はいつも通り学院に足を運ぶ。ちなみに、今の目標は部員を5人集めること。メンバーを5人以上にしないと部活にはできないと言われていたので、最近はチラシ配りなどで新メンバーを探している。

 

 

 

「さてと、穂乃果さん達は…………」

 

「シロく~~ん!!」「白羽く~~ん!!」

 

「うわっ!!」

 

白羽が教室に入った途端、穂乃果とことりは彼の胸に思い切り飛び込んだ。ことりだけでなく、ここ数日で穂乃果もかなり積極的になった。恥ずかしいという気持ちより、白羽に対する想いの方が強いようだ。白羽も別に嫌ではないのだが、勢いをつけて来るのはやめてほしいと思っている。

 

「穂乃果さん!ことりさん!危ないのでいきなり飛び込んでこないでください!!」

 

「えへへ、ごめーん」

 

「だって……シロ君見ると我慢できないんだもん♪」

 

―――パブロフの犬ですか?

 

「穂乃果、ことり、そろそろ離れてあげてください。白羽が困っていますよ」

 

「「えぇ~~」」

 

穂乃果とことりは海未からの注意に不満な顔と声で応えた。

 

「えぇ~~じゃありません!最近2人は白羽に甘えすぎですよ」

 

「そう言う海未ちゃんだって、本当は白羽君とギュウ~ってしたいんでしょ??」

 

「ほ、穂乃果!?な、何を言って!!?」

 

「うん♪いつも私たちの事、羨ましそうに見てるもんね♪」

 

「こ、ことりまで!?わ、私はそんなこと……!」

 

海未はそう言っているが、幼馴染の二人からすれば一目瞭然だった。2人の言う通り、海未も何度か穂乃果達と一緒に白羽を抱きしめようとしてみたのだが、恥ずかしくて結局出来ていない。つまりは2人が羨ましいのである

 

「そ、それに!白羽だって迷惑なはずですし!」

 

「いいですよ」

 

「えっ……??」

 

白羽はそんな海未に対して軽い感じでそう答えた。他の人に『ハグして』と言われても絶対に拒否するであろう白羽も、穂乃果やことり……そして海未が自分とハグしたいと言うなら拒否したりはしない。

 

「迷惑なんて思っていませんし、海未さんがしたいなら…………はい!どうぞ!」

 

白羽はそう言い、自身の両腕を思い切り横に広げて海未からのハグを受け入れる体勢を作った。

 

「で、では…………」

 

お言葉に甘えて、海未は白羽を抱きしめた。

 

「…………どうですか?」

 

「はい…………暖かいです」

 

「ふふっ………僕もです」

 

抱き合っている白羽と海未はまるでカップルのような雰囲気を出した。というより今の二人を見れば10人中10人がカップルだと勘違いするだろう

 

「「むぅ~~~~~」」

 

そんな2人のイチャイチャをすぐそばで見ていた穂乃果とことりは海未が羨ましくなって、頬を膨らませた。

 

「白羽君!!なんで海未ちゃんの時だけそんなに幸せそうなの!!?」

 

「そうだよシロ君!海未ちゃんだけどうして!?」

 

2人は自分達がハグした時とは違い、すごく嬉しそうな笑顔で海未の背中に腕を回し、抱き着いている白羽に少しだけモヤモヤした気持ちをぶつけた。

 

「え?…………なんていうか、優しく抱きしめてくれるからです」

 

「……………………フッ」

 

それを聞いた海未は、2人に勝ち誇ったようなドヤ顔を向けた。

 

「なら!私だって優しくギュッてするよ?」

 

「シロ君、こっちおいで?」

 

「ダメです!白羽は渡しません!!」

 

穂乃果とことりは手を広げて白羽にこっちへ来るように言う。しかし、一度ハグしたことによって吹っ切れたのか、いつになく強気になった海未は穂乃果とことりに白羽を渡さないようにする為、さらに強く抱きしめた。

 

 

それからも、白羽をめぐる恋する乙女達の戦いは続いたが、白羽の『いいかげんにしてください』という声によって幕を閉じた。

 

 

しかし皆さん、お忘れでしょうか?

白羽達がいるのは教室だということを。しかも今は放課後ではなく昼休みなので、かなりの生徒が教室にいる。その中にはヒデコ、フミコ、ミカも居た。

 

そんな生徒たちはこの4人のやり取りを見て………

 

 

 

【何を見せられてるんだ??】

 

 

 

…………と、全員思った

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

今日もチラシ配りをしに行くために教室を出た後、ことりからアルパカさんに会いに行きたいと言われて、白羽達はアルパカ小屋にやって来ていた。

 

「ふわぁぁぁ~~。ふぇぇぇぇ~~」

 

ことりは情けないふにゃふにゃ声を出し、もしゃもしゃと草を食べるアルパカに見惚れている。

 

「またアルパカですか……??」

 

「ことりちゃん最近毎日来るよねぇ」

 

「急にハマったみたいです」

 

最近、学院が飼っているアルパカが気に入ったのか、ことりはほぼ毎日アルパカ小屋に通っている。さすがにもうそろそろ勧誘に行きたい白羽達は呆れるような視線をことりに向けていた。

 

特に白羽は、昼休みを返上してまで学院に来ているのだから、そろそろ活動を再開したいと強く思っている。

 

「ねぇチラシ配りに行くよぉ」

 

「ことりさん、時間ないんですから」

 

「あとちょっとぉ~」

 

「もぉ~……」

 

「ダメだこりゃ…………」

 

穂乃果と白羽が言ってもことりは動こうとしない。ここのアルパカがよっぽど気に入ったようだ。

 

「5人にして部として認めてもらわなくては、ちゃんとした部活はできないのですよ?」

 

「そうだよねぇ~」

 

口ではそう言っているが動く気配は全くない。そんなことりを見て白羽はもう帰りたくなってきた。

 

(活動しないんなら、僕もう帰っていいですか?次の授業の予習がしたいんですけど…………)

 

 

 

「う~~ん、可愛い…………かなぁ?」

 

『ンイイイーーー!!』

 

「「「っ!!?」」」

 

茶色いアルパカはまるで穂乃果の言葉に怒ったように鳴き声を上げた。白羽達はその声に驚き、少し後ずさりをした。

 

「えぇ~、可愛いと思うけどなぁ。首の辺りとかフサフサしてるし♪」

 

「そ、そうですかね?」

(動物は大好きだけど、こういう大きい動物は苦手なんだよなぁ~)

 

「うん♪あ、でも、私の中で一番可愛いと思っているのはシロ君だからね♪」

 

「………ソ、ソウデスカ。アリガトウ、ゴザイマス」

 

(嬉しいような……そうでもないような……)

 

可愛いと言われるのは男としてどうかと思うのだが、もし自分よりアルパカが可愛いと言われれば、それはそれでちょっとムカつくので、ことりの言葉に微妙な気持ちになる白羽であった。

 

 

「ふわぁ~……幸せ~……♪」

 

そう言ってことりは先ほどよりもアルパカに近づき、毛並みをモフモフしだした。

 

「ことりちゃんダメだよ!」

 

「あ、危ないですよ!」

 

「大丈夫だよ―――ひゃあっ!?」

 

 

――――あ、舐めた!!?

 

 

「ことりちゃん!!」

 

「ああ……!どうすれば……!はっ!ここはひとつ弓で!!」

 

「ダメだよ!!」「ダメです!!」

 

パニックに陥ったのか、海未はアルパカを自身の弓で打ち抜くというとんでもない事を言い出したので、穂乃果と白羽は声をそろえて止めた。もしそんなことをすれば流石に擁護できない。

 

『ブンォォォォォォ!!!』

 

「ほ、ほらっ!変な事言うから!」

 

穂乃果の言う通り、海未の言葉に怒ったような声を出す茶色いアルパカ。それを見た白羽は……

 

 

―――あのアルパカ、人間の言葉が分かるのかな?だとしたらすごくお利口さんだなぁ~~

 

 

……などと呑気な考えをしていた

 

 

白羽がそんな事を考えていると、体操服を着た一人の少女がアルパカの方へと近づいていく。

……その少女は白羽が知っている人物であった。

 

「よ~しよし、ふふっ」

 

「あ、小泉さんだ…………」

 

アルパカに近づいていったのは小泉花陽だった。花陽は茶色いアルパカを撫でて一瞬でおとなしくさせた。そして白羽は舐められて座り込んでしまったことりの元まで駆け寄っていく。

 

「ことりさん、大丈夫ですか?怪我は?」

 

「うん、大丈夫。嫌われちゃったかなぁ?」

 

「あ、平気です。楽しくて遊んでただけだと思うから……あ、お水……」

 

花陽はことりの質問に答えた後、アルパカのお水を交換しだした。何を思ったか穂乃果はそんな彼女に笑顔で近づいていった。

 

「アルパカ使いだねぇ~」

 

「わ、私……飼育員なので」

 

「へぇ~、そんな係もあるんですね?穂乃果さん知ってました?」

 

「ううん、知らない」

 

 

――――だと思いましたよ

 

 

「あれ?………おぉ!!白羽君がライブに連れてきてくれた花陽ちゃんじゃない!!白羽君!花陽ちゃんだよ!!」

 

「分かってますよ……っていうか今気づいたんですか!!??」

 

 

――――噓でしょこの人!?小泉さんのお陰でなんとかライブが出来たと言っても過言じゃないのに!?

 

 

「シロ君と一緒に駆けつけてくれた1年生の!」

 

「は………はい」

 

「ねえ、あなた!」

 

「は、はい!?」

 

突然、穂乃果は真剣な表情で花陽の肩を掴んだ。白羽はこの後どんな言葉が穂乃果の口から出てくるのかを理解して頭を抱えた

 

「アイドルやりませんか?」

 

 

―――ほらっ、絶対言うと思った…………

 

 

「穂乃果ちゃん、いきなりすぎ……」

 

「西木野さんの時といい、穂乃果さんは強引すぎますよ………」

 

「君は光っている!大丈夫っ!悪いようにはしないから!」

 

穂乃果はことりと白羽の言葉を無視して花陽の勧誘を続けた。そして、花陽に詰め寄った穂乃果の顔は完全に悪人のそれであった

 

「何か凄い悪人に見えますね……」

 

「あぶない宗教に勧誘する人みたいですよね………」

 

「でも少しくらい強引に頑張らないとぉ!」

 

 

――――まぁ……誘いたくなる気持ちは分かります

 

 

白羽は小泉花陽という少女を知れば知るほど、彼女をμ'sのメンバーにしたいという気持ちが湧いてきていた。彼女がアイドルを好きなのは間違いないし、彼女にもアイドルとして輝ける魅力を持っていると思ったからだ。しかし、彼女がアイドルをやりたいと思っているのなら、とっくに声をかけてくるはず。

 

……それが無いということはアイドルをやりたいとは思っていない。そう結論付けて、白羽は今日まで彼女を誘うことはしなかった。

 

 

「あ、あの……………西木野さんが…………」

 

「「「「???」」」」

 

白羽が考え事をしていると、花陽はぼそぼそと何かを言ったのだが、声が小さすぎて白羽達の耳には届かなかった。

 

「ああ、ごめん……もう一回いい?」

 

「に、西木野さんが………いいと思います。凄く、歌…上手なんです」

 

二度目も声は小さかったのだが、今度は白羽も穂乃果も彼女の言いたい事を聞きとる事が出来た。

 

「そうだよねー!私も大好きなんだ!あの子の歌声!」

 

「うんうん!分かります!」

 

花陽の言葉に、穂乃果だけでなく白羽まで頷いて肯定した。

 

「だったらスカウトに行けばいいじゃないですか」

 

「行ったよ~、白羽君と一緒に。でも絶対やだって」

 

「見事なまでにバッサリ断られてましたもんね……」

 

正直、白羽も真姫にはμ'sに入ってほしいと思っている。あの綺麗な歌声、ルックス、作曲能力……入って欲しいと思うのは当然の考えである。むしろ、そう思わない理由が見つからない。

 

 

―――でも、正直厳しいですよね…………

 

 

「え?あ、すみません……私、余計な事………」

 

「ううん………ありがとっ!」

 

穂乃果は花陽に向けて、誰もが見惚れるほどの笑顔を見せた。花陽もそんな彼女の笑顔に見惚れたのか、ずっと見続けている。

 

 

「か~よち~ん!!早くしないと体育遅れちゃうよー!!」

 

突然、何処からか白羽にとって聞き覚えのある声が聞こえてきた。そちらに目を向けると、星空凛が体操服姿で花陽に向けて手を振っていた。

 

「……………し、失礼します……」

 

そう言って、花陽は凜の元へと走って行ってしまった。しかし、走る直前に何か言いたそうな表情を白羽に向けていた。

 

「…………小泉さん?」

 

白羽も彼女の視線に気づいたが、何故自分を見たのかわからずに首を傾げた。

 

(っ!!…………ああ………そういうことか!)

 

手を口元に当てて少し考えると、頭の中にある可能性が浮かんできた。そして、白羽はなぜ彼女が自分にそんな視線を向けたのかを理解して、少し笑みを浮かべた

 

「あ!優木君!久しぶりにゃあ~~!!」

 

凜は白羽もいることに気が付いたようで、彼に向けて手を振っている。それに気づいた白羽も彼女に手を振り返すと、満足したのか穂乃果達に一礼してから花陽と一緒にグラウンドの方に走って行った。

 

「私達も早く戻りましょう」

 

「そうだね」

 

「うん………」

 

海未の発言を聞いて穂乃果達は自分たちの教室に帰ろうとする。しかし、白羽は………

 

(はぁ~~、結局アルパカ見て終わっちゃったよ。僕は何しに来たんだ……??)

 

わざわざ昼休みを返上して学院の方までやって来たのに、今日やったことはハグとアルパカ鑑賞。なんのために来たのかと頭を悩ませた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁいっか………これからやることも決まったし」

 

穂乃果達と別れ、中学の校舎に戻る途中に白羽はそっとそう呟いた。

 

 

 

 

 

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