PN羊×2。リアルでは現流 美香、ユグドラシルではメーメーと3つの顔を持つ訳だが、収入源は昔からそこそこ多かった訳では無い。
一応高校まで出させてもらったそれなりに上の方の家庭の地盤が固かったというのもあるが、フリーターの様な生活をしながらユグドラシルを遊びまくる日々。
ユグドラシルでは情報は命である。ゲーム内最大に近いギルドには居た為に困る事は無かったが、内へ内へという思考が根付くきっかけにもなった。
今では立派なプロゲーマーだ。月の固定給に大会での賞金、羊×2としての配信の収益。
特に世界大会優勝の賞金はデカかった。その分税金も引かれたが既に散財しなければ生涯暮らして行ける金は手に入った。
企業にも確認を取り、ユグドラシルがサ終するまで諸々の取材やら何やらは待ってもらっている。
ユグドラシルでのPVPを見て声を掛けてきたのが今の社長である。社長も当たり前ながらユグドラシルをプレイしていた訳で、その要求は簡単に通った。
簡単な音声だけの取材だったり、ユグドラシル内で出来る僅かな仕事をこなせば、息抜きの様な休暇がメーメーを待っていた…訳では無い。
長年放置したせいで修正されてしまった諸々に目を通し、最適化を図る。死んでレベルを下げてクラスを取り直し、装備を厳選。この時既にサ終終了4日前である。
幸い神話級武具がジンバブエドルレベルで投げ売りされる時期であった。買って試し買って試しを繰り返していれば、直ぐに時間が経ってしまう。
リアルマネー取引もそうだ。世界級と名高いモノが1万~10万程度で売られているのを横目に見ながら、Lv80前後のMOBを切り裂く。
1つ、気になるものが目に付いた。
『エンピリオンの光』
効果は不明だが…「ガーディアン・オブ・エンピリオン』との関わりが否定出来ない。天使系のみの装備制限があるとなれば、これはもう買うしかないだろう。
あと3日のモノに8万…数秒悩んだが、この垢を最高のモノにして動画に収めて観賞用として死ぬまで保管する気満々。自分へのご褒美としてこれにしよう!と購入した。
サ終2日前。満足の行く防具、ビルドが完成した頃に『エンピリオンの光』が届けられた。
装備条件は…Lv94以下装備不可、天使系限定
ほうほう。それで効果はと…
『エンピリオンの光』
+33%武器ダメージ
+75物理ダメージ
+100%炎ダメージ
炎→神聖100%変換
付与スキル『エンピリオンの威光』
この能力を発揮するには、予めトグルキーで有効化しておく必要があります。
半径3メートル
指定フィールド『』
50%アンデッドへのダメージが増加
25%カルマ値マイナスへのダメージが増加
10%移動速度上昇
若干分かり辛いがカタログスペックだけ見てもかなり強いことがわかる。いや、これは「ガーディアン・オブ・エンピリオン」と合わせろと言っているようなものだ。
5レベル分の職業であるが、取得するスキル毎に炎属性が申し分程度に加算されているのだ。神聖の方が明らかに割合は大きい為まぁいいかと切り捨てていたが、これでまたDPSが上がったとメーメーはウキウキである。
装備…しようとして気が付く。何コレ…と。実体化して見れば、光り輝く天使の輪っかであった。それも自分の体の金と赤が入り交じった様な…。
四苦八苦しながらどうしようか試しはじめて10分。自分の頭の上にある熾天使の輪っかが消滅し、そこに『エンピリオンの光』がカチッと嵌った。
そこは装備枠無い!とステータスを見れば、頭の上にスロットが生えており、ちゃっかりと『エンピリオンの光』が装備されていた。これにはびっくりである。
付与スキル『エンピリオンの威光』
この能力を発揮するには、予めトグルキーで有効化しておく必要があります。
半径3メートル
指定フィールド『』
50%アンデッドへのダメージが増加
25%カルマ値マイナスへのダメージが増加
10%移動速度上昇
改めてこのスキルを見ていこう。パッシブスキルの時点で強いと言わざるを得ない。まぁ元々ガン有利対面への強化だから微妙に見えるかもしれないが攻撃力が若干低いビルドだからこのダメージ増加は大きいと言える。
ただ、それは神話級最上位と比べた場合でありそれでもトントンレベルだろう。ギルド武器には中々届いているとは言い難い。なら、指定フィールドに世界級の所以が隠されているのだろう。
ポンッと空欄を指先で叩いて見れば膨大な数のフィールド名がスクロールできる形で現れる。
一般的なフィールドから上位ダンジョンの名称、限定レイドボスの特殊フィールドの名前までズラリと並んでいる。
天使、そして自分に有利な所と言えば『天界』『神界』辺りだ。捻りもないが常時バフが幾つか貰えながら地形ダメージを種族特性で無効化できる所はこの位だろう。
とりあえず『神界』をセットしてトグルキーからパッシブスキルをオンにすれば、足元が急に切り替わり、HPバーの下に複数個のバフが浮かび上がる。
自分が移動すれば同じ様に地面の半径3メートルの円状の『天界』フィールドも追尾する様に足元にありながら自分を中心に展開され続ける。
検証の為に90Lv以下進行不可高難易度ダンジョン『冥府』や『八獄』等に足を運んだが当たり前の様にフィールド効果は『天界』の儘であった。
これから分かることは『エンピリオンの光』の本質。それは限定的なフィールドの上書き。
半径3メートル固定という限定的なものだがスリップ床や地形ダメージを実質的に無効化しながら自身に優位な地形でずっと戦えるチート性能は正しく世界に匹敵する性能だろう。
悪い点を上げれば安全地帯すらも指定した環境に塗り替える所だろうか。まぁパッシブをオフにすれば良いからそこまでのデメリットでは無いだろうが。
バフと同じ様にHPバーの下に輝く世界級アイテムを装備しているマークを見て、改めてこのゲームは終わりかと強く感じてしまったメーメーであった。