TMA Prince City 〜ひと夏の物語〜   作:ふゆきんぐ☆

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こちらは、大人気NFTシリーズ「The Mafia Animals」のファンアート、「TMA×擬人化」を題材とした、ファン小説です。
TMA擬人化はえるみさん(https://twitter.com/eruminft?s=20)の手がけるシリーズで、現在は新たにTMAプリンスというシリーズを展開なさっているので、そこからこの小説が生まれました。

あまり長いシリーズにはなりませんが、連載物となっております。

連載終了までゆるりとお付き合いいただけますと幸いです。


いざ!ショッピング!!

アパートを出て、駅までの道を急ぐ。

 

アミの住まいは、大通りから一本脇道に入ったところに建つアパートで、モノレールの駅まで徒歩7分という好立地だった。

 

職場のパラキートカフェ大通り店までは徒歩10分。こんな物件を即日準備できるミントは本当にやり手だ。

 

アミの住まいから最も近いのがこの「中央通り駅」。モノレールの駅と侮るなかれ、1階にはコンビニエンスストアやパラキートカフェ中央駅店が入っており、コンコースへのエスカレーターを上がった先にはパン屋、弁当屋、菓子屋などが並んでいる。さらに、隣に立つちょっとした商業ビルへも直通通路が設置されているので、そこそこの規模の駅と言っていいだろう。

 

「島パス」をICカードリーダーに通し、改札を潜る。そういえばそろそろ期限が切れる頃だ。明日のバイトの時に申請を忘れないようにしなければ。

 

島パスはフリーパスのため、この島でバイトをしている間は店から支給される事になった。5000AM(AM=通貨単位)は1か月の定期代としては破格だが、やはり自分で出すとなるとなかなか手痛い出費になる。それを支給してくれるというのだからなんとありがたいことか。

元々持っていたこの島パス分も日割り計算で交通費として支給してくれることになった。ホワイトな職場というのは大変ありがたい。

 

目的地の『TMAモール駅』に到着すると、ショッピングモール直通の通路へと進んでいった。ここの通路はあえてスロープ形式のフラットなエスカレーターを採用しているので、大荷物でもベビーカーでも車いすでもそのまま楽にフロアを移動できる。

新しく開発された観光地ならではであった。

 

「おーい!アミーーー!!!」

「あ!レイラぁーーー!!!」

 

改札口の前にはレイラが待っていて、至極嬉しそうに手を振っている。

 

今日の予定はこうだ。

 

まずはアミとレイラ、二人でTMAモールを楽しみつくすショッピング!!そして、途中からバイト早上がりのシオンが合流してのランチ!!からの、ティマプリ&アンダーライブSBT所持者限定ポップアップショップに行く。

 

今回のポップアップショップはSBT所持者限定で当日にやっと開催場所が知らされるという特別なものだった。そのため、今この瞬間も、まだ行先は分からない。

ただ、『島パス』で移動できる範囲であるということだけは知らされていた。

 

「じゃ、行こっか!どうする?なんか飲みながらにする?」

「そうだね!まだ暑いし……!」

 

TMAモールへのエスカレーターを登りながら相談し、地下1階の食品エリアに入る。

 

「どうする?」

「テイクアウトで飲み物買うならパラキートカフェかフライドキングのシェイクだよねぇ。」

「せっかくだからここじゃないと買えないのがいいなぁ!」

「じゃぁシェイクで!!」

 

二人はフライドキングへと向かった。

フライドキングは肉屋が始めた揚げ物屋だ。小さな個人の精肉店だったのだが、島の開発と同時に食べ歩きできるハンバーガーを考案したことにより、今では3店舗ほどに増え、ここTMAモールへの出店を果たした。

ハンバーガーに合わせてシェイクやポテト、サラダなどのサイドメニューを開発したことで、若者を中心に爆発的な人気を誇っている。

 

 

「バニラシェイクひとつ!」

「私は期間限定の梅シェイクで!」

「かしこまりました~。」

 

会計を済ませ、商品が出て来るのを受け取り口で待つ。

 

「……なんで梅?」

「え?梅美味しいじゃん!しかも期間限定だよ?」

「いやいや、期間限定よりも定番の方が美味しいってセオリーじゃん!」

「1か月しかいられないんだから、今の期間限定は飲んでおかないと!1年後に来てもバニラは飲めるじゃん!!」

「えぇ!?定番がいつまでもここにあるって保障はないじゃん!!!」

 

どうでもいい論争を繰り広げているうちに、シェイクがすぐに運ばれてきた。

あーだこーだと言いあいながら、結局お互いのシェイクを交換して飲み、結局「どちらも美味しい」という結論にたどり着く。

 

くだらない事できゃぁきゃぁ言っていられるこの時が、たまらなく楽しかった。

 

ショッピングモールをぶらついてみる。かわいい服も、靴も、バッグも、たくさん並んでいて、どれも欲しくて仕方がないが、なかなか手が届かない。

一生懸命バイトをしてはいるが、思った以上に一人暮らしというのはお金がかかるし、それ以上に、今はそのお金の使い道を絞っておきたかった。

 

「何も買わなくても大丈夫?」

「当り前じゃん、そんなお金ないもん。」

「だよねぇ。新しい服もアクセサリーも欲しいんだけどなー。」

「無理無理。自炊してても結構お金かかるし、それよりポップアップストアに全力で挑みたいし!!」

「だよね!やっぱそこだよね!!」

 

二人の意見がぴったりと一致したところで、スマートフォンが鳴った。

普段は通知を切っている、メールの音。先程からDMで何度か鳴っていたが、通知画面だけをチラリと見て閉じてしまっていたそれを、二人は慌てて開く。

 

遂に来た。待ちわびたポップアップストアの開催場所だ。

 

「どこだろ、ここ。商店街?」

「そうだね、ちょうどここの駅挟んで反対側じゃない?」

「あ、ホントだ……!シオン!シオンいつ来るかな……!」

 

レイラが電話を掛けると、意外にもすぐに通話画面となった。

 

『もしもーし!レイラ?』

「シオン!メール見た!?」

『見た見たー!TMAモールから近いね!!私もうすぐモノレール乗るとこ!』

「え、どこの駅から?」

『中央南駅!そんなには時間かかんないと思う!』

「分かった、じゃぁ私たち、駅の改札前で待ってるね!」

『オッケー!よろしくー!』

 

通話を終えると、2人は大急ぎで来た道を戻りだした。

 

途中でパンテノールに寄って『お徳用福袋』だけ買う。これは、レイラの案だ。

 

ポップアップストアの入場は着いた順。到着が早ければ早い程、買えるグッズの数は増える。

これはのんびりとお昼を食べている場合じゃない。一刻も早く現場に向かって並ばなければ。

 

そこで、腹ごしらえ用のパンをとりあえずゲットしておいた、というわけである。

 

改札前に着くのとほぼ同時に、シオンが息を切らしながらやって来た。どうやらエスカレーターを駆け上って来たらしい。

良い子は真似しないでね、というやつだ。

 

「はぁ、はぁ、ごめん、待った……?」

「大丈夫。飲み物とか持ってる?」

「うん、お茶あるから大丈夫……。あ、アミちゃんだよね?はじめましてー。」

「はじめまして!シオンさんのことはレイラから聞いてます!」

「あぁ、いいよ、シオンで。年上とか年下とか関係ないからさ。ティマプリ推しなんでしょ?一緒ーーー!」

「嬉しいです!私、ヴィア推しなんですけど、シオンさん……あ、シオンは??」

「私はウー!可愛すぎてヤバイ!!あ、ほら、行こう!ワンチャン1番狙えるかも!!!」

 

自己紹介もそこそこに、3人は走り出した。目指すは駅の反対側、昔からある商店街の一角だ。

 

新設されたピカピカの階段を登り切った先に広がっていたのは、それはもうジオラマかと思えるほど年期の入った商店街だった。

ポップアップストアの事がなければ、なかなか足を踏み入れる事はないかもしれない。

ところどころシャッターが下りたままの店もあり、開いている店も間口が狭くてどこか薄暗い感じがした。

 

「そっか、新しいものばっかり見てたけど、こういうところもあるんだ。」

「そうだよね、昔から住んでいる人は居たんだもんね。」

「まぁねぇ。けど、最近はほんとなかなか人が寄り付かないんじゃないかな。アタシもここに来るのかなり久しぶりだもん。」

 

そう言いながら、シオンはすたすたと商店街を進んでいく。ポップアップストアの地図を見たにせよ、迷いが全く感じられない歩き方だった。

 

「久しぶりにしては、だいぶ慣れてる感じ……?」

「あぁ、まぁね。ちっちゃいころはこの辺が遊び場だったから。おばあちゃんがお店やっててさ。もう死んじゃったんだけど。」

「おばあちゃんのお店が……。じゃぁシオンにとっては大切な場所なんだね。」

「うーん、どうだろうね、いい事も悪い事もあったからなぁ。」

 

これ以上は踏み込んでくれるなという雰囲気を察して、アミもレイラも思わず口を噤む。きっと、ここにはシオンの色々な思いがあるのだ。

それも、簡単に触れて良いようなものじゃない、何かが。

 

「あった!あれじゃない!?」

 

シオンが指さした先には、店先にカラーコーンとロープで待機場所が作られた店があった。シャッターが降りていて中の様子は見えず、看板も何もかかっていない。

近づいていくと、スタッフらしき男性がこちらに気づいた。

 

「あの、ここってティマプリのポップアップストアですか?」

「えぇ!?もう来たの!?早いなぁ!近くにいたの??」

「はい。TMAモールに居ました。」

「あぁ、だからか!それにしても早いなぁ。この商店街結構迷うと思うんだけど。まぁいいや、ここに並んで。良かったね、一番乗りだよ!」

 

そう言って、男性は3人を列の先頭へと案内してくれた。

 

それから、「あぁ忙しい全くホントブラック企業だよ……。」なんてぶつぶつ言いながら開店準備に戻っていく。そんな彼をシオンはじーっと見つめていた。

 

「どしたの?シオン。」

「……なんかあの人見たことある気がする。」

「え?あ、ホントだ、私も見覚えある気が……。」

「私は見覚えないから、シオンとレイラのバーのお客さんじゃない?」

「「それだ!!」」

 

二人は顔を見合わせてパチンと手を叩いた。

 

先日、ママの知り合いが昼間から酒を飲みに来ていたのだが、そこで一人だけやけにやさぐれながら酔っぱらっていた若者がいた。

その彼である。

 

「スタッフってことはさ、ティマプリとかアンダーと会ったことあるのかな……?」

「まさか!普通のスタッフは会えないんじゃない!?」

「けどさ、ティマプリのスタッフってすごい少ないって噂じゃない?」

「え、あれって都市伝説じゃないの……?」

 

そんな話をしているうちに、ガラガラとシャッターが上がり始め、気づけば長蛇の列となっていたオープン待ちの人々から歓声が上がった。

アミ、レイラ、シオンの3人も気合を入れなおす。

 

今から自分たちが突入していく先は戦場だ。少しの油断も許されない。

 

「大変お待たせいたしました!ティマプリ&アンダー期間限定ショップ、オープンです!ご案内順に入店してください!」

 

さっきの彼の声が響く。だが、そんな声も虚しく、人々は店の中へと雪崩れ込んでいったのであった。

 

 

 

「これ、勝った、って言っていいのかな……。」

「わかんない……。わかんないけど、負け戦では、なかったと思う……。」

「そう、かなぁ……。」

 

2時間後、3人は疲れ切った状態でTMAモールの通路に置かれた長椅子に座っていた。

腹ごしらえにと買っていったパンはカバンの中でプレスされぺしゃんこ。

グッズはとにかく争奪戦で、手に持ったグッズを片っ端から籠に放り込み、会計へとたどり着いた。

 

会計で告げられた金額はもう思い出したくもない。少なくとも、数回先の給料日まではもやし生活だろう。

 

「……こんなところでぐったりしてても仕方ない。ごはん、食べに行こう。」

「いや、無理だよ……。そんなお金ない。絶対にない。」

「……ごめん、年長者なのに奢る、って言えなくて……。」

「大丈夫。潰れたパン、食べよ……。」

 

3人がパンに噛り付こうとした時、カツカツというハイヒールの音が近づいてきた。

 

「あなたたち、こんなところで何してるの?」

「!ミントさん!!」

 

そこには、膝丈のタイトスカートにTシャツというラフな私服姿のミントが立っていた。

 

「女の子が3人でぐったりした顔してぺちゃんこのパンを齧ってるなんて!まさかお昼ご飯食べてないの?」

「はい、あの、ティマプリの、ポップアップショップに行ってまして……。」

「呆れた。まさかそこで全額スッて来たなんて言うんじゃないでしょうね?あら、その荷物……。あなた達、何か月分のお給料つぎ込んだの!?」

 

呆れた、という感じでミントは息を吐きだす。

 

「着いていらっしゃい。ここで会ったのも何かの縁。お昼、ご馳走してあげるわ。」

 

3人は半泣きで歓声を上げた。予想以上の戦場でやられた心身に、ミントのやさしさが染み渡る。

連れていかれたのは、先程の商店街の端にある、小洒落たイタリアンの店だった。来た道をまた引き返すのは辛かったが、半個室になっていて、ゆっくりと食事ができる上に美味しいと聞いて、若者たちは力を振り絞ったのである。

 

「何でも好きなもの食べて。若者はしっかり栄養取らなきゃ。」

「ありがとうございます……!」

「私まですみません、あの、今更ですが初めまして。シオンと言います。」

「デローザのところの子でしょう?知ってるわよ。レイラをよろしくね。」

 

ニッコリと笑うミントに3人が見とれている間に、前菜が運ばれてきた。これは、客全員に出されるサービスらしい。

メニューを決め、店員にそれを伝えた時、ミントのスマートフォンが鳴った。

 

「あら、ごめんなさい。ちょっと席外すわね。」

 

と言って、彼女は颯爽と部屋を出て行った。廊下からかすかに話し声が聞こえるが、何を話しているのかまでは聞き取れない。

 

「はぁー、ミントさんって美人だねぇ。」

「美人でしょ!?うちのオーナー!すごいでしょ!?」

「なんでアミが嬉しそうなの。」

「んー、なんかわかんないけど凄い嬉しかったんだもん。」

 

そんな他愛ない話に花を咲かせているうちに、ミントの電話が終わったようだ。代わりに、男性の声が聞こえてくる。その場での話し声は廊下だから案外響くようだ。丸聞こえである。

 

「あれ?ミント?」

「あら、リッカルドさん!こんなところで偶然ね。またいつもの食べ歩き?」

「あぁ、相変わらず今日もたかられてるよ。」

「ってことは、今日もアルと一緒なのね?」

 

そのセリフで3人は思わず顔を見合わせる。

 

「ねぇ、今、アル、って聞こえなかった……?」

「聞こえた、絶対聞こえた……!」

「えぇ!?この、店の、どこかに、アルが……!?」

 

3人は今にも爆発しそうな興奮を押し殺し、聞き耳を立てる。

そんな状況を知る由もなく、ミントは偶然会った知り合いと世間話に花を咲かせるのだった。

 

 




大変お待たせいたしました。今回は女子回でございます!
また一人、幹部様が登場して参りました。
ミントさんの横の繋がりも気になるぅ!というところで、また次回、でございます!!

次回はどの幹部様が登場してくるのでしょうか……!どうぞお楽しみに!
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