TMA Prince City 〜ひと夏の物語〜   作:ふゆきんぐ☆

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こちらは、大人気NFTシリーズ「The Mafia Animals」のファンアート、「TMA×擬人化」を題材とした、ファン小説です。
TMA擬人化はえるみさん(https://twitter.com/eruminft?s=20)の手がけるシリーズで、現在は新たにTMAプリンスというシリーズを展開なさっているので、そこからこの小説が生まれました。

あまり長いシリーズにはなりませんが、連載物となっております。

連載終了までゆるりとお付き合いいただけますと幸いです。


副業自由の本業です

「えぇ~~~!?ドンパチやったの!?!?アルだけずぅるぅいいいいいいい!!!」

「リッカルドさんとメシ行ってたまたま巻き込まれたんだよ。ずるいも何もないだろ。」

「だってええええええ!ボクもやりたかった!!!しばらく実戦なんてしてないもん!!!」

「まぁ、ウーの気持ちも分かるがな。相手は誰か分かってんのか?」

「いや、分からないらしい。リッカルドさん、あんま面倒ごとに巻き込まれるタイプじゃなさそうだけどなぁ。」

 

アルはソファにどっかりと腰を下ろすと、顎に手を当てて考えに耽った。あの銃撃から一夜明けて、現場に残された銃弾や痕跡を調べに行ったリッカルドから連絡が来たものの、相手が誰か特定するまでには至らなかったらしい。

 

「銃はリッカルドさんのを借りたの?それとも車載?」

「車載に決まってるだろ。リッカルドさんの個人のなんて借りられねぇよ。」

「だよねぇ。みんな自分の銃なんて出さないか。」

「ってか今時チャカ持ち歩いてる奴なんていねぇだろ。表歩けねぇぞ。」

「ヴィア兄ですら持ち歩いてないもんねぇ。」

「ですら、ってなんだ!社長命令守ってんだろうが!っクソが!」

 

ヴィアはチッと舌打ちをしながら、乱暴に冷蔵庫を開けると、中からペットボトルを取り出し水を一気に流し込んだ。口の端からツッと滴り落ちる水滴を乱暴に手で拭い去り、水が半分残ったペットボトルにまた蓋をした。

 

「ヴィア、それ、くれ。」

「ん。」

「ばーーーん!!!」

 

ペットボトルはヴィアの手を離れ、空中に弧を描きながらアルの元へと吸い寄せられるように落下していく。ウーが両手で銃を形作り、ペットボトルを狙撃する真似をした。

 

「残念、外れ。」

「えぇ~~~?いいタイミングじゃない?」

「遅すぎんだろ。あと、腕で反動受けたら痛めんぞ。」

「本物の時は腕振らないもん!ヴィア兄細かぁーーー!アルも何か言ってやってよ!!」

「まずはこまめに銃の手入れするところからだな。」

「もおおおおおおお!!!」

 

ウーは頬をぷくうっと膨らませると、冷蔵庫からオレンジジュースを取り出し、ヤケクソとばかりに一気飲みした。

 

「おいおい、これから収録だってのに、そんなに一気飲みして大丈夫かよ?」

「大丈夫だよぉ。収録ったって、ティマプリシティテレビでしょ?」

「おいおい、仮にも島の公式放送だぞ?それなりに気合入れておかないと、後が怖ぇぞ。」

「え、ティマテレ見てる人なんている……?ボクらのファンくらいじゃない……?他は定点カメラのライブ映像ばっかじゃん。」

 

ウーの言葉に、ヴィアとアルは盛大な溜息を吐いた。

 

「え?なに、なに!?なんで二人そろって溜息つくわけ!?」

「あのな、ウー。前にも教えた気がするんだけど、もう一回言うぞ?あれ、ライブカメラだ。ってことは、島の今の状況が定点カメラでずっと撮られてる。ってことは?」

「……うっかり映るかも?」

「そう言うことだ。いつどこでカメラに抜かれてるかわかんねぇ。」

「けどさ、定点カメラなんだから場所分かってんじゃん。」

「ホントに場所分かってるか?」

「……ボクは分かんないけどさ。」

 

ほらみろ、と、アルは二度目の溜息を吐いた。

 

ティマプリ島には、至る所に監視カメラや定点カメラが設置されている。ティマテレで常時配信されているライブ映像が、その瞬間どこのカメラでどの場所を映しているのかは誰も知らない。アルは一度、実際に配信されていた映像を頼りにカメラを探しに行ったことがあるが、表立って設置されているのはダミーのカメラで、実際に配信されていた映像を撮ったと思われる場所には、隠しカメラとでも言うべき小さな高性能カメラが仕込まれていた。

 

つまり、だ。

 

この島は常時誰かに監視されており、そのためのツールが『ティマテレ』ということである。

 

わざわざそんな回りくどい事をしてまでこの島の事を常に監視している『誰か』。

それは、考えてはいけない事だ。その真実を追って、いい事など何もないだろう。

 

「はあああああ、そう考えると、やっぱこの島、フツウじゃないんだねぇ。」

「……そのフツウじゃない環境以外に行ったことないくせに、よくもまぁ。」

「それはヴィア兄もアルもそうじゃん。ボクだって外の事ちょっとくらいは知ってるよ。」

「俺は結構外のこと知ってるぞ?リッカルドさんから色々聞いてるしな。」

「リッカルドさんだって外に行ったことあるの何回かなんでしょー?」

「あ、それ言うならオレはハイアットさんから聞いたことあるぜぇ?ま、飲んでて全然覚えてねぇけどな。」

「もおおおおお!それじゃ意味ないんだってば!!!……別に外に興味あるわけじゃないけどさ。」

 

ウーは口を尖らせながら言った。

 

ヴィア、アル、ウー。アイドルグループ『ティマプリ』として活動するこの三兄弟は、正真正銘のティマプリ島生まれ、ティマプリ島育ちだ。

産まれてこの方、島の外に出たことはない。今まで出る必要性を感じたことは特になかった。なぜならば、生きるのにただ必死だったから。

 

「お前ら、えらい寛ぎようやけど、準備出来てるんか。」

「あ、シャチョー!」

「お早うございます。」

「はよっス。」

「おう。で、準備は?」

 

 

 

ムカイが尋ねると、三人はやや苦笑気味に笑った。

 

つまり、一切何も準備をしていない、ということである。

 

 

 

「早く着替えんかいボケぇ!」

 

 

一喝されてようやく三人は衣装に着替えだす。

 

各自の髪の色に合わせた衣装は、王子然としているものの構成は普通のスーツと何ら変わりない。ものの数分で衣装に早変わりである。

 

全員が衣装を身に着け終わったくらいのタイミングで、楽屋のドアがノックされ、ヘアメイクの女性が入ってきた。

 

「大変お待たせいたしました、メイクとヘアセットしていきますので~。」

 

あとはもうされるがままだ。

適当な雑談を流しながら、メイクとヘアセットを施してもらう。

 

 

ティマプリの場合はメイク時間が1人あたり約30分と非常に短いため、あっという間に準備が終わった。

 

実は真面目で心配性なムカイが本番を気にしてソワソワしているが、自分たちの準備時間が短いと分かっている本人たちは涼しい顔である。

 

その態度が更に心配を煽ることになっているのだが、まぁいつもの事だ。

 

「ティマプリさん、本番です~」というスタッフの抑揚のない呼びかけで、3人とムカイはスタジオへと向かった。

 

 

 

数刻経って。

 

 

「あ~~~~、疲れたああああ~~~!!!」

 

ウーが思い切り背伸びをした。ムカイの心配はどこへやら、収録は滞りなく終了。SNSは大いに沸き、まぁ上々の出来と言っていいだろう。

 

ムカイがドカッとソファに座った時、スマホが鳴った。

 

「もしもし。おう、俺や。あぁ!?……っチッ、今ドームや。迎え回せるか?あぁ?……分かった、じゃぁもう一台……は無理か。はぁ、わかった、こっちで何とかする。おう。」

 

いつになく険しい顔で電話を切るムカイ。そのまま、新たに電話をかけ始めた。

 

「おう、俺や。今すぐドームに車回せ。俺は乗らん。そのまま、3人載せたら教会まで直行や。教会は分かるな?おぉ、それや。細かい事はええねん、寄り道厳禁や!わかったな??」

 

乱暴に電話を切ると、ムカイは3人に向かって言った。

 

「……野暮用でこの先は別行動や。お前ら、そのまま本部に戻れ。」

「え、シャチョーは外っすか?」

「俺はディアディア行ってくる。パラキートでの打ち合わせは中止。くれぐれも真っすぐ戻れよ。わかったな!!!」

「はいはい、分かりましたよ~。」

 

返事を聞くのもそこそこに、ムカイはバタン!!とドアをやや乱暴に閉めて出て行った。

 

「……ってか、俺らどうやって本部に戻るんだよ?」

「あ、そういえばシャチョーの車で来たもんねぇ。」

「迎え手配してたんじゃねぇのか?俺ら乗せて教会まで行けとか言ってたし。」

「アレか、最近シャチョーが飼い始めた運転手。」

「え、、誰それ?」

 

のんびりとそんな話をしながら、楽屋でダラダラと過ごしていると、コンコン、と控えめにドアがノックされた。

そして、そーーーっとドアが開く。

 

「しつれい、しまーす……。うわっ!ほ、ホンモノのティマプリ……!?!?」

 

テレビ局の楽屋に入ってきておきながら、本物のアイドルに驚くとは何事だろうか。

3人は残念なものを見るような目でトーマを見ていた。

 

「あ、あの、俺、ムカイ社長に言われて、その、3人を教会まで送るように、と……。」

「ほらね、やっぱりいたじゃん、シャチョーが最近飼い始めた運転手。」

「なんでまたこんなマヌケっぽいのにしたんだか。」

「さぁね。社長の趣味は俺らには分かんないから。で、運転手くん、君、何て言うの?」

「あ、と、トーマです。」

 

終始しどろもどろするトーマを横目に、3人は荷物をさっさとまとめると、楽屋を出て駐車場に向かった。

慌てたトーマが後ろからちょこちょこと着いてくる。実に要領が悪そうだ。

 

駐車場に到着し、トーマは急いで車のドアを開ける。

3人はそんな事には目もくれず、誰が後部座席に座るかでひとしきり揉め、結局アルが助手席へ、ヴィアとウーが後部座席へと座るということになった。

 

「ねぇ、トーマ、だっけ?」

「あ、は、はい!!!」

「あのさ、俺、ちょっと忘れ物しちゃったんだけど、ちょっと寄り道してくれる?」

「えぇ!?いや、無理ですよ!社長に殺されます!!!」

「大丈夫だって、俺たちが黙ってりゃいいんだろ?」

「車についてた発信機なら、ボク壊しておいたよー。」

「は、発信機!?壊した!?え、な、ど、それって……!」

 

アイドルを乗せている、という緊張からなのか、はたまたただただ気が動転しているだけなのか。

とにかく終始どもるトーマを見て、3人はピンときていた。こいつ、押せばなんとかなる、と……!

 

「俺からも頼むよ。大事なもんなんだ。」

「社長にはバレないようにするし、万が一バレたら僕たちが無理を言ったってちゃんと言うから」

「ちょっと港の方に行くだけでいいんだ。車降りずに見るだけ。ただ通り過ぎるだけ。それならいいだろ?」

「……通り過ぎる、だけ、なら……。」

 

トーマはムカイに、「道に迷った」とでも言い訳しよう、なんて甘く考えていたが、後部座席ではヴィアがおおよそアイドルらしからぬ凶悪な笑みを浮かべ密かにガッツポーズをしていた。

 

車は市街を大きく逸れ、荷下ろし用の港へと入っていく。

倉庫地帯を抜け、商店街方面に抜けようとした、その時。

 

パンっ!!!

 

トーマにとっては、なにが起きたのか理解できない音、そして、3人にとっては待ちに待った音が響き渡った。

 

「来たああああああ!!!」

 

ヴィアがニィっ、とそれはそれは愉しそうに笑う。奇しくもその、アイドルとは思えない顔をバックミラー越しに見てしまったトーマの背を、一筋の汗が流れ落ちた。

 

3人は嬉々として、座席の下からアタッシュケースを取り出すと、ちゃっちゃと銃を組み立て始める。

 

「え?え?えぇ!?!?」

「うるせぇな運転手!前見てしっかり運転しろボケ!!!」

「は、はいいいいい!!!」

「ちょっとヴィア兄、そんなに脅すとトーマがハンドルとられちゃうよ?トーマ、当たったら承知しないからね。」

 

ニッコリと天使の微笑みを浮かべながらウーが言うと、トーマの掌が汗でびっしょりと濡れた。

 

パン!パンパン!!!

 

後ろから追ってくる黒塗りの車は、執拗にこちらを銃で狙ってくる。

 

「……おい、冗談だろ……?」

「え、まさか、ヴィアのも……?」

「は?もしかして、全部なのか……!?」

 

突然3人が焦りだした。何事かと思ってみると、アルが一発の銃弾を持っている。僅かに手が震えているようだ。

 

「やべぇな……。銃弾、一発残しで抜かれてやがる……。」

「おいおい、奴さんたち、5台に増えたぞ……?流石にやべぇんじゃねぇか……?」

「とりあえず先頭をバーストさせて時間稼ぐぞ。運転手、アクセルベタ踏みだ!!!」

「はいいいいいい!!!」

 

もうトーマは半泣きである。

 

アルは助手席の窓を開けると、身を乗り出すようにして狙いを定めた。青い髪が見えないよう帽子で隠し、しっかりマスクとサングラスをしているあたり、流石である。

 

パンっ!ギャギャギャギャギャ!!!

 

 

銃弾は見事に先頭の車の前輪を打ち抜いた。車体は回転しながら後続車にぶつかる。しかし、そのアクシデントを躱して更に別の車が追ってきた。

 

ヴィアとウーがそれぞれ左右に展開した車の前輪を打ち抜く。だいぶ距離が出来たので、このまま逃げ切れる、と思った矢先。

 

ガガガガガガガガガ!!!

 

盛大な音と共に、車が回転をし始めた。

どうやらタイヤに被弾したらしい。

 

「うわわわわわわわ!!!」

「馬鹿野郎、慌てんな!!!」

「いやだってこれもうどうすれば、助けてええええええ!!!」

 

トーマが半泣きで訳も分からずハンドルを切る。車はそのままとある倉庫のシャッターに突っ込み停まった。

 

「…………おい、マジでやべぇぞ、これ。」

「……どうしよう……。」

「……怒られるの覚悟で、社長に電話、だな。」

 

アルがスマートフォンを取り出し、ムカイの番号を押そうとしたまさにその時。

 

盛大な音と共に、追って来た車たちがバーストしたり爆発したりの大惨事が引き起こされた。

少し離れているとはいえ、映画さながらの大迫力である。

 

爆炎と、黒く立ち上る煙を背景にして。

まるで映画のヒーローのように、何人かの男たちが、こちらに向かって歩いてくるのが見える。

その中に見知った顔を見つけたトーマは、そのまま意識を手放したのだった。

 

 




大変お待たせいたしました、遂にティマプリの3人をフィーチャーした回になっております。
トーマくんが、ドンパチに巻き込まれてしまいました。
そして、爆炎を背景に登場した彼らは何者なのでしょうか!!!

正直、ティマプリ3人の絡み書いてるときめちゃめちゃ幸せでした!!!
あーーー、その楽屋の壁になりてぇwww
ということで、また次作もよろしくお願いいたします!!!
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