タイプではないはずなのにピンガにドハマりしてしまい、6回も潜水してしまいました。まだまだ潜水する予定です。
八丈島近海にあるインターポールの施設、パシフィック・ブイ。それは海の中にあり、世界中からたくさんのエンジニア、そして技術が集まり、犯罪対策を行う施設である。
私は、そんな施設に勤めるしがない清掃スタッフだ。当然、清掃スタッフであるためエンジニアのような優れた技術を持っているわけではない。
先述にもあった通り、ここは海の中。閉ざされた空間である。何より、犯罪対策に特化した施設。毎日毎日外から清掃スタッフを入れるわけには当然いかず、施設内の居住エリアには清掃スタッフも含め、全てのスタッフに部屋がしっかりと割り振られている。
休暇はちゃんとあるし、その間、申請すれば外出も可能である。そりゃあ、陽の光の届かない閉鎖空間にずっといたら、誰だって気が参ってしまうだろうし当たり前だろうけど。
因みに私が清掃スタッフとしてここに勤めることになったのは、知り合いの伝である。本業は別にあるのだけど、外での仕事もしたいと思って働く場所を探していたところ、紹介されたパシフィック・ブイの清掃スタッフの募集に応募したのである。海の中の施設というのも中々興味がそそられた、というのもある。
さて、ここはインターポールの施設。世界中から色んな技術者が集まっていて、実を言うとエンジニアに関しては日本人よりも圧倒的に外国人の人の方が多い。因みにカフェスタッフは外国人と日本人の比率はほぼ半々、清掃スタッフは日本人が圧倒的に多い。
世界共通で大切で、人と人を繋ぐものは何か?と考えた時、それは挨拶だと私は思っている。外国人の人の中には、メインスタッフであるレオンハルトさんのように日本に対するいいイメージを持てなくて、にこやかに接してもらえないこともあるけど、挨拶だけは一人一人にしっかりするようにしている。
ありがたいことに、ここのスタッフさんたちは割と皆挨拶を返してくれる。初めは嫌そうな顔をして挨拶を返していなかったレオンハルトさんも、最近では「…ああ」と返してくれるようになった。……まぁ、私があまりにもしつこいから諦めて返してくれてるだけかもしれないが、それでも、返事が来るというのは嬉しいことだ。これも進展である。
日頃からの挨拶の甲斐があったのか、私を見かけた際に向こうから挨拶をしてくれる人も多い。
「あら春霞。お疲れ様~、今日も元気ねぇ」
今、こうして挨拶をしてくれている彼女もその一人。フランス出身のグレースちゃん。彼女もまた、レオンハルトさんと同じくメインスタッフの一人である。私とそんなに歳は離れていないのに、本当に凄い。きっとたくさん努力して来たからなんだろうなぁと思う。同じくメインスタッフせある直美ちゃんもそうだけど。因みに直美ちゃんは私よりも歳下である。皆凄い。
グレースちゃんは私よりもふたつ歳上なのだけど、本人が「気軽に呼んで~」と言ってくれたのでグレースちゃんと呼ばせてもらっている。フランス人だからっていうのもあるだろうけど、スラっと背が高くてスタイルのいい美人さんだ。美人さんは目の保養である。
「ここも狭くはないのに、いつも頑張ってて凄いわね」
「そんなことないよ!私以外にも清掃スタッフさんはいるし、皆頑張ってるから!グレースちゃんこそ、いつも大変そうなのに頑張ってて凄いよね。私、特別機械に疎いわけじゃないけど、あんな風に扱えないから尊敬しちゃうよ」
「ふふ、ありがとう」
柔和な笑みを浮かべ、お礼を言ってくれるグレースちゃんは癒しだ。
「もうすぐ本格始動だって聞いたよ。大変だろうけど、無理しない程度に頑張ってね!」
「ええ、ありがとう。そろそろ休憩時間も終わるし、またね」
「うん、またね~!」
お互いに手を振って分かれた。
ユーロポールの防犯カメラネットワークセンターへの侵入事件が起こったのはその僅か数日後、本格始動の前日のことであった。
そして、それをきっかけに運命の歯車が動き出していたことを、私は知る由もなかった。