侮蔑されるでもなくただ純粋に尊敬されるのは、何処か懐かしかった。
「ぁは」
第一世代の魔法少女はチームとして結成されました。
近中距離のルビー。
遠距離のサファイア。
後方支援のエメラルド。
そして、陣地作成のダイヤモンド。
「やったね、みんな」
私達は、3年間何事もなく人々の生活を守るために活動していました。
しかし4年目、不幸な事故に因りルビーちゃんが最初に死にました。
逃げ遅れた一般人に気を取られたルビーちゃんは、怪人を倒しきれずに反撃を受け、それが致命傷となりました。
私の癒しは欠損ならば治すことが可能ですが、即死に対してはどうすることも出来ません。
目の前で
「これでようやく…」
ダイヤちゃんの作る空間は、怪人を決して逃さず、一般人の接近を許しません。
だから、わざと避難を拒否しない限りは起こり得ない事態でした。
動揺したダイヤちゃんは、空間を維持しきれず、その隙に怪人は逃げ仰せました。
「くひひ…」
たとえ1人欠けたとしても、私達のお仕事は無くなりません。
ルビーちゃんを殺した怪人を捜索しながら、日々生まれ続ける怪人との戦いは続きます。
そうして5年目を迎え、件の怪人と再会した日にサファイアちゃんが私を守って死にました。
「終わりです、終わりました!」
ルビーちゃんがいなくなってから、ダイヤちゃんは空間魔法を攻撃に転用し、町を守ることをやめました。
だから、2人が戦っている間に私が避難誘導の役目を担うことになっていました。
けれど、どうしても避難をしてくれない人もいて、そんな人達を説得している私に目を付けた怪人の攻撃が、サファイアちゃんを貫きました。
今まで代わりに皆が受け止めてくれていた本物の殺意を前に、足を竦ませた私が、そんな私の方が死ねば良かったんです。
「あはははは!」
ダイヤちゃんは、咄嗟に硬直する私を抱え上げて飛び上がり、町も、サファイアちゃんも、全てを巻き込んで圧縮して。
しかし怪人は、またしても逃げ仰せました。
「ざまぁみろ!あはははは!」
その日以来、私の心はポッキリと折れてしまって、ダイヤちゃんは独りぼっちで戦うことになりました。
それでも、ダイヤちゃんはとても強かった。
私が居なくても、大丈夫なんだと安心しました。
そんな筈がある訳ないのに、そう思い込みました。
「死ね!もう死んでる!死にました!」
実は初期チームにはもう1人いて、妖精のジュエルちゃんが在籍していました。
妖精は怪人と同時に出現した人類への協力者で、魔法少女達の魔法の運用をサポートする役割があります。
本来であれば、魔法少女となる時に贈られる宝石に妖精は宿っています。
しかし、魔法少女計画の始動当初は1人しか用意できていませんでした。
だから、私が居なければダイヤちゃんは全力で戦えると、そう言い訳をして、逃げました。
「うふふふ…ごぼっ」
ダイヤちゃんが、“平和の象徴”だとか“最強”と呼ばれることがすっかり定着した頃、私の存在はすっかりと人々から忘れられて。
たとえ覚えていても、“臆病者”とか“最弱”と呼ばれて、でも私は何も気にすることはありませんでした。
だってダイヤちゃんは単独で、上手く行っていたから。
「…ブラックダイヤさん…」
けれど、ダイヤちゃんは頑張りすぎたんです。
どんなことがあっても守ってくれると、安心しきった人々は遂に危機感を失って。
私の最後の仲間は、町と共に消えました。
「貴女は何も、間違っていないです!」
ダイヤちゃんは、ジュエルちゃんと共に最期まで戦い抜きました。
もう2人共、何処にも居ません。
私が今更、立ち上がって何が変わるのでしょうか。
人々が言う“役立たず”よりも役立たずな私が、今更何を。
でも、この期に及んで言い訳はしません。
「あぁ…そんなめでわたしをみないで…」
今では、人は私を“最優”などと呼びます。
可笑しな話ですね。
誰よりも長く生き残ったから。
汎用魔法を組み上げて、魔法少女達の生存率の向上に貢献したから。
だから?
いいえ、お好きにお呼びください。
名がどれだけ変わっても、私は変わりません。
「
もう2度と、立ち止まることはありません。
推しが今日も生きてて、尊い!