推しの魔法少女すぐ死ぬ   作:Feles

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「おやすみなさい、ジュエル」

紛い物でも、変わらず接するキミにボクは救われていた。


一心同体系献身マスコット

魔法少女達のサポーターであるボク達妖精は、怪人と変わりはない。

 

『おはよう、マスター』

 

そもそも怪人は、人の悪意が受肉したもの。

誕生方法は至ってシンプル、人間の死体に悪意が降り積もって生まれ堕ちる。

代表例としては、生まれることもなかった胎児かな。

人のなり損ないと侮ること勿れ。

おおよそ人間らしさをまだ持たない胎児(それ)は、だからこそ意味を、価値を、存在を、他者から定義されやすい。

人の悪意の中で生まれ、惨めに死ぬことが約束された、望まれぬ子。

だからこそ、彼らは存在証明の為に活動するんだ。

 

『混乱しているかもしれないけれど、状況をお復習いしようか』

 

妖精と怪人の違いは、何だと思うかな。

厳密に言えば違うのだけど、存在を構成する感情の質だと思ってくれていい。

極端に言うと、喜びや楽しさの中で生まれるのが妖精、怒りや悲しみの中で生まれるのが怪人と呼ばれる。

だけどさっき言った様に、人が絶望することに喜び、人を殺めることを楽しむ怪人(ようせい)が、持って生まれた悪性に抗い人間性を探求する妖精(かいじん)が、いることを知っていて欲しい。

 

『マスターは計138回、世界線転移を行使したよ』

 

実のところ、魔法少女と怪人にも違いは殆ど無い。

確かに怪人は異形で、妖精に身体(かたち)は無いようなものだけれど、そこは重要ではないんだ。

ボクらは皆、人の欲望(ねがい)の中で生まれた、堕とし子だ。

けれど、キミ達は望まれた子供達(そんざい)だから。

怪人(ボク)らが魔法少女(キミたち)に抱く感情は、きっと羨望で、嫉妬で、寂寥なんだろう。

 

『その内91回は、戦闘での死亡による自動転移だよ』

 

けれど、決してボクらに同情なんてしないで欲しい。

生まれることを肯定してはいけない。

殺すことを躊躇ってはいけない。

殺意が鈍れば死ぬのは、キミ達なのだから。

キミが死ねば、次は家族が、友達が、死ぬことになるね。

 

『46回、悪意制御装置の欠陥』

 

怪人も妖精も、怨霊のようなもの。

生まれたその時から、死んでいる。

でも生まれてしまったからには、望まずにはいられない。

欲望(ねがい)を叶えてあげようなんて、思わなくていい。

殺してあげることこそが、救いだと信じてあげて欲しい。

 

『1回、神殺し』

 

可哀想だと思うくらいなら、ボクらをそもそも生まないで欲しい。

でも、そんなことキミ達にできないだろう。

怪人達(かれら)の叫びは、人類への憎悪でも、死への恐怖でもない。

ただ自分達が生まれたことを、世界(だれか)に刻み付けたい(おぼえていてほしい)だけだ。

 

『ゴールまであと少しだね、マスター』

 

そうだよ、ボクだって。

でも、いつしかボクは忘れることの方が怖くなった。

置いていかれて、初めてボクは忘れる恐怖を知ったんだ。

だから、キミに固有魔法(ボク)を刻み込むことにした。

 

『今までありがとう』

 

たとえキミがボクを忘れても、ボクはキミを忘れない。




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