推しの魔法少女すぐ死ぬ   作:Feles

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「愛さなければよかった」


結晶
ブラックダイヤモンド


始まりはダイヤモンド。

 

人の世を平和にするお手伝いをしているつもりでした。

その内、怪人の出自を知り、平和の形を考え始めました。

 

私達、魔法少女の活動は無意味なのだと知りました。

問題の先送り、或いは破滅が約束された鼬ごっことでも呼べる愚行でした。

 

私の人類への失望が、怪人達への憐憫が失敗を招き、ルビーとサファイア、そしてダイヤモンド(わたし)は死にました。

1人生き残ったエメラルドは、しかし歩みを止めることはなく。

無意味であっても、無価値であって欲しくないと思いました。

 

彼と出会った時、平和の形を見出だしました。

彼が魔法少女を使って蓄えた知識は、当人達を遥かに超えた理論を構築していて。

魔法少女も、怪人も、妖精も、全てが感情に結び付くのならば、それを制御すればいいのだと、彼はそう言いました。

純粋な(おもい)に、望み通りの指向性を持たせるのだと。

 

 

 

そして、ブラックダイヤは新生しました。

 

ダイヤモンドの死体から生まれる筈だった、出来損ないの怪人(ようせい)は母体が死ぬことを望まず。

生まれ得なかった子は、憎まれるより愛されることを選び。

私に、この上なく固有魔法(そんざい)を刻み込みました。

 

私は、“未来視により捕捉した人類滅亡級仮想敵”を交渉材料に、政府を傀儡にすることに成功しました。

そもそもが、彼らに痛む腹はありません。

共に滅ぶか、他を消費して生存するか、ですから。

 

私から政府への提案はただ1つ、“仮想敵を生まれない様にすること”。

その鍵は、仮想敵そのものです。

 

魔法少女は創る者達。

怪人(ようせい)は費やす者達。

そして、仮想敵は奪う者達。

私が目指すべき到達点はそこでした。

 

しかし、ある怪人は言いました。

こんなものは、押し付け(のろい)だと。

彼らに奪う以外の選択肢は用意されていませんでした。

訂正します、彼らは強いられる者達でした。

 

けれど、向かう先は何も変わりません。

私は奪う者(かみ)になります。

奪う感覚を、ジュエルは教えてくれました。

だから、きっと、私はなります。

 

空間(わたし)が絶対的な安全を保証します。

時間(ジュエル)が永続性を約束します。

感情(エネルギー)は、人類が存在する限り尽きることはありません。

人類の為の機関ですから、何も問題はありません。

 

残る問題は、納得を得られなかったこと。

全存在が納得することはないとしても、反発行動に移せる人間は存在しないと考えていました。

事実、有象無象はその通りでした。

 

 

 

けれど、妹は違った。

魔力炉心ばかり大きな魔法無し(できそこない)、だと思っていたのに。

まさか、怪人が反対するなんて思ってもみなかった。

最期まで自分勝手に生きれば良いものを。

いや、だからこそなのだろうけれど。

 

何の為に、彼に改造してもらったと思っているの。

私一人で全て上手く行く筈なのに。

だって、成功するまでやり直すのだから。

本当に、鬱陶しい。

私は、私の為にやるとあれだけ言っているのに。

 

「…一緒に帰ろ、お父さんも待ってるよ」

 

死体人形…親殺し…大量虐殺者…

最悪(それ)に帰る場所なんてないのだから。

 

「お前がどう思っていようが、自己犠牲に変わりはないんだよなぁ!」

 

妹を唆してまで、私の邪魔をする意味が何処に有ると言うの。

 

『おやすみ、マスター』

 

私の勝利は確定している。

次を、成功させれば良いのだから。




推しの魔法少女、初めから死んでた。
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