推しの魔法少女すぐ死ぬ   作:Feles

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例えば俺の前世が怪人だったとしたら、どうする?


ラビットヘア

紀元前、救世主が地上を荒らす魔物を月へと打ち上げたのだそう。

その日から、罅割れる様に徐々に月蝕が進み。

そして、月が暗く染まり切った時。

 

 

 

月暦元年、人類が争いをやめた。

誰が言ったか、月が地上の悪いモノを全て喰らい尽くしたのだと。

そう人々は暗月を崇め、神聖視した。

今この時が、平和が少しでも永く続くように。

 

月歴100年、奇跡が降った。

暗月の欠片が地上に降り注ぎ、直撃を受けた人間は死亡。

そして数日掛けて蘇生された。

暗月の欠片に直撃及び蘇生した人々は、共通して奇跡に目覚めた。

以降、彼等は「月の民」と呼ばれ、暗月と共に崇拝された。

 

月歴1600年、月の民から初めての死者が出た。

月の民同士での殺し合いが起きたのだ。

勝利した月の民は、敗北した月の民が暮らす国を我が物とした。

それは嘗ての人類、旧時代に於いて戦争と呼ばれたモノに似ていた。

 

月歴2000年、月の民が怪物へと変貌を遂げた。

比較的穏やかな月の民だったが、遠征の間に愛した国を他の月の民によって滅ぼされたことを契機として、厄災は為った。

復讐を遂げて尚、厄災は止まらなかった。

故に月の民達が初めて団結し、厄災を討伐した。

 

月歴2200年、人類は月の民に対して手の平を返した。

月の加護を受けた寵児から一変して、月より逃れた悪意の使徒と呼び始めた。

これより、月と人の生存戦争が開幕した。

 

 

 

「月歴3015年、月の民は滅びましたとさ…なんてな」

 

最後の月人にそう声を掛ける。

 

「どうして?同じ月人なのに、それとも神の使徒なのに、ってか?」

 

本当に、可笑しなことだ。

 

「家族を皆殺しにされた」

 

そうされた月人がいた。

こいつもそう。

 

「生まれた罪を償い死ね、そう教わった」

 

月人狩りは、人類の聖戦。

それは子孫も例外なく。

 

「はは!…安心しろよ、俺達は紛れもなくヒトだ」

 

神でもない、獣でもない、ヒトだ。

今を生きる、感情(こころ)に縛られし種族。

俺達はみんな、同じだった。

 

「一緒にするな?何が違う?みんな等しく愚かじゃないか」

 

「ズルいって?不公平だって?…本気で人類(あいつら)が生き残ると思うのかよ?」

 

どっちが本当の人類か、だとか。

どっちが優秀な種族か、だとか。

 

「…どうでもいいだろ」

 

「…」

 

「ごめんね兄ちゃん、俺のこと大好きなのは知ってるよ、唯一の(かぞく)だもんな」

 

「でも俺、人類(みんな)のこと嫌いなんだ」

 

「滅んでもいい、って思ってる」

 

「それに、こんな世界(じごく)で生きていたくないし…」

 

「いいんだ、俺は十分救われたから」

 

それに、やりたいことがある。

 

「な、月の色って何色か知ってる?」

 

「はは、黒は呪いの色だろ?じゃあその下に本当の色があるはず」

 

「だから一緒に」

 

(かみさま)落と(ころ)しに行こうぜ!」




最後の魔法少女、約束に死ぬ。
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