大好きなキミとのひととき   作:趣味全開人生

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これは孤独に戦ってきたヒーローと彼女に憧れた少年の物語――――




№003『憧れのあなたと』

 

 

 

全身をダイビングスーツのような衣服に包んだ少女がナイフを持った男達に向かって走り、突き出された刃を見切ってかわしたかと思うとそのまま腕を容赦なくへし折る――――

 

 

絶叫が響くなか後ろから振り下ろされたナイフを振り向きもせずに横へ跳んでかわし、そのまま回し蹴りで腹に強烈な一撃をお見舞いした。

 

 

 

「このクソガキが!!!」

 

 

最後に残ったひとりが拳銃を取り出して発砲するも、銃口の向きや相手の表情から射線・射撃タイミングを見極められる少女にとっては無意味だった。

 

 

 

言葉にならない叫びと共に銃を乱射する――――弾はことごとく明後日の方向へと飛んでいく――――それをものともせず距離を詰めた少女は鍛えられた太腿で男の股間を蹴り上げ――――そのまま潰した。

 

 

 

男の呼吸が数秒止まり、信じられないような苦痛に歪んだ顔から無数の水滴が滲み出る。

 

やがて小さく呻きながら倒れ、そのまま気を失う。

 

 

 

 

「さて――――君達、大丈夫?」

 

 

人質になっていた子供達の縄を解くと、ほとんどの子供が泣きながら少女に縋り付いてきた。

 

 

 

「よしよし、怖かったよね?もうすぐ迎えが来るから大丈夫だよ」

 

その時、少女に縋る子供達の中に加わらず離れた場所から見つめてくる少年の視線に気付く。

 

 

 

「――――姉ちゃん、すごく格好良かった!!」

 

 

やや青みのあるグレーの瞳をキラキラに輝かせ、憧れのヒーローを見つめる表情でそう言う少年の頬は興奮のあまり赤くなっていた。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

――――10年後

 

 

 

 

ここはとある都市――――宝石のように輝く摩天楼が立ち並ぶ夜景のなか、5メートルを超える巨躯の怪物が1人の女と対峙していた。

 

 

 

 

 

――――某ビル・屋上

 

 

 

 

女の肩が大きく上下する。――――星の民特有の身体にフィットする強靭かつ柔軟な素材で作られたスーツは所々が煤けており各所に装着された金属製の装飾は欠けていた。

 

 

周囲のビルの窓から戦いを見守っていた人々が固唾をのむ――――

 

 

 

 

だが、怪物と対峙する女の体力は限界だった。

 

 

 

 

ゴリラをベースに作られたであろう怪物が棍棒を振り上げ、周囲の人々が逃げろと叫ぶ――――

 

 

 

 

その時だった。女と怪物が対峙するビルの隣にある更に高いビル――――その壁面を、全身に雷(いかずち)を纏いながら走る人影が現れたのは。

 

 

 

 

 

 

屋上から一直線に下へと走るその人影が壁面を強く蹴る――――雷の尾を引きながらナイフを抜き、空中で棍棒を受け止める!

 

 

 

ナイフの刃と棍棒との間で激しいスパークが点滅し、弾ける――――衝撃波と共に棍棒が怪物ごと押し戻され、同じく衝撃波を受けた人影が女の方へと吹っ飛ばされる――――

 

 

 

空中で体勢を整え、ナイフを構えたまま着地する人影。

 

 

 

 

「――――――――」

 

 

鍛えられた身体を包む漆黒の戦闘服――――ヘルメットとバラクラバ、ゴーグルに覆われた容貌からは表情は窺い知れない。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

兵士が戦闘服の下に着こんだ、身体にフィットするアシストスーツから微かに余剰な電気が放電され、周りからは雷を纏っているように見えるだろう。

 

 

「こちらブリッツ01、援護対象と合流した」

 

ヘッドセットのマイク越しに本部に短く報告し、隣の女を見る。

 

 

 

 

「援護します――――仕留められそうですか?」

 

 

「ええ――――助かる」

 

 

 

 

 

同時に地を蹴り、怪物へと向かって走り出す2人。

 

 

怪物が横なぎに振って来た棍棒を跳躍でかわし、それを見た怪物が棍棒を振り上げるや否や兵士が全身から雷を弾けさせながら再び跳躍、空中で棍棒とナイフの刃がぶつかり火花が周囲を照らす!

 

 

 

 

――――そうしている間に更に高く跳躍した女が光り輝く槍を“織り”、怪物の頭部へと深く突き刺す――――

 

 

 

糸が切れた人形のように動きが止まり、倒れる怪物。

 

 

 

 

 

動かなくなった怪物の頭から飛び降りて兵士の近くへと着地する女。

 

 

「ありかとう――――お陰で倒せたわ」

 

 

「いえ、あなたが昔からこの街の人達のために孤独に闘ってきたことに比べれば大した事ではありません。――――それに憧れでしたから」

 

 

 

そう言いながらゴーグルを上へとずらし、やや青みのあるグレーの瞳が露わになる。

 

 

 

 

「――――もしかして、あの時の――――」

 

 

 

 

10年前に助けた少年の顔が目の前の兵士に重なる。

 

 

 

 

『――――姉ちゃん、すごく格好良かった!!』

 

 

 

 

「大きくなったね」

 

 

女が微笑み、兵士も目元が緩む。

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

――――10年前

 

 

 

「――――姉ちゃん、すごく格好良かった!!」

 

 

やや青みのあるグレーの瞳をキラキラに輝かせ、憧れのヒーローを見つめる表情でそう言う少年の頬は興奮のあまり赤くなっていた。

 

 

 

 

 

 

「君は――――怖くなかった?」

 

 

「うん、ヒーローが助けに来てくれるって信じてたから!!」

 

 

 

 

屈託のない笑顔に少女の表情が緩む。

 

 

 

「今はまだ弱いけど――――身体鍛えて強くなって――――いつかお姉ちゃんと肩を並べて戦うんだ!」

 

 

少年の、やや青みのあるグレーの瞳は曇りも迷いもない輝きに満ちていた――――

 

 

 






【人物紹介】



・エミリア


性別…女性


年齢…26


人種…地球のドイツ系に相当



《解説》
本編に登場するヴェガやマルスとは別に地球を訪れた星の民の戦士であり、とある地域に住みながら攻めてくる怪物と戦っている。

地元を守るご当地ヒーロー的な存在だが、怪物に対抗できる存在が彼女しかおらず孤独な戦いを強いられてきた。そんな時に10年前に救った少年エデルが肩を並べて戦うパートナーとなったことで変化が訪れる。





・エデル・ヴェルマー


性別…男性


年齢…20


人種…ドイツ系



《解説》
CSSの特別部署(異能の力を持つヒーローと協力する部署)に所属する兵士。

戦闘服の下には着用者の身体能力を大幅に向上させるアシストスーツを着用しており、限定的ながらも異能ヒーローと肩を並べて戦う事ができる。(ちなみにこのアシストスーツにはエクセリオンの技術が活用されている)

かつてエミリアに助けられた経験から彼女に憧れ、厳しい訓練を乗り越えて『共に肩を並べて戦う』という夢をかなえた。

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