大好きなキミとのひととき   作:趣味全開人生

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※前話『憧れのあなたと』の続きです。

星の民の戦士であるエミリアと、かつて彼女に救われた子供で今は共に戦う兵士エデルの物語をお楽しみください。



№004『憧れを追い求めて』

 

 

とあるビルを占拠し多数の子供を人質にしたテロ集団を排除すべく派遣された国連の州兵部隊が壊滅したとの報が入ってから2時間後。

 

 

緊急封鎖された道路を猛スピードで走行する数台の装甲車の中でシートに座る兵士達は無言でその時を待っていた。

 

 

そして先頭を走る車両内部では――――

 

 

「いい?ブリーフィングでも話した通り敵は超人で構成されている――――油断せず訓練通りに対処して」

 

部隊を率いる将校が部下にそう命じる。

 

 

 

「――――もうすぐ着く。準備を」

 

 

 

装甲車がビル前に到着し、次々と降りてきた兵士達がビルに突入していく。

 

 

やがてそのうちの1部隊が敵の待ち構えるフロアへと繋がる扉の前に到着した。

 

 

 

 

将校がハンドサインで扉を爆破するよう指示し、工兵が手早く爆薬を取り付けるなか、特殊な素材で作られたシールドを装備する兵士を一番前に立たせ、その背後に他の兵士達が並ぶ。

 

 

やがて工兵から爆破準備完了の合図が送られ、将校が頷く――――手でカウントダウンを示し、ゼロになった瞬間小さな爆発音と共に鍵が破壊された。

 

 

 

そしてフロアへと突入する部隊――――に火球や雷撃が襲い掛かる!!

 

 

 

 

「やったか!?」

 

敵がそう口にした次の瞬間、シールド兵に守られて無傷だった後方の兵士達が一斉に射撃し敵を正確に撃ち抜いていく。

 

 

 

と、そこへ他の敵とはやや異なる雰囲気をした者が高所から飛び降りて着地する。

 

 

 

 

「幹部級よ、訓練通りに対処して!」

 

敵が異能の攻撃を仕掛けてくる――――前に周囲の兵士達が射撃タイミングをずらしながら的確に弱点に攻撃を当て、敵からの攻撃を完封する――――

 

 

 

と、その中のひとりが弾を撃ち尽くし、リロードを始める――――それに襲い掛かろうとした敵だったが別の兵士から攻撃を受け防御に徹する事を余儀なくされる。

 

誰かが弾を切らしても常に他の誰かが撃ち続ける――――それを訓練通り完璧にこなす兵士達の前に幹部級と目された敵は反撃すら出来ないまま倒されたのだった。

 

 

 

(敵の戦力の大半はこちらに引き付けた――――頼むわよ、エミリア、エデル)

 

将校は胸の内で別動隊の2人にそんな言葉を投げかけた。

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

大部隊で突入した本隊が戦力を誘引して手薄になった別ルートから子供達が囚われているフロアの一つ前へと到着したエミリアとエデル。

 

 

そこにはテロ集団の頭領と思しき男が待ち構えていた。

 

 

 

「ここまで来たことは褒めてやろう。――――だがここまでだ!!」

 

 

そう言うなり、頭領が腕を掲げたかと思うと2人めがけて空気の刃が発射される――――左右に跳んでそれをかわすエミリアとエデル。

 

 

 

戦闘服の内部に着込んだアシストスーツを起動させ、雷を纏いながら素早くナイフを振るうエデル。

 

 

自らの頭部を捉えた刃を頭領が指でつまんで受け止める――――が、エデルがもう片方の手に持った拳銃を至近距離で発砲した。

 

 

 

「ぐっ!?」

 

 

咄嗟に防御に徹した頭領の隙をついて跳躍したエミリアが自らの周囲で複数の光球を織り、頭領めがけて発射する。

 

 

 

と、同時に後方へと跳んだエデルが拳銃をリロードして再び頭領へと襲い掛かる。

 

 

 

 

風の刃で腕を覆った頭領の手刀を光の剣で受け止めていたエミリアが下がり、そこに拳銃の弾を撃ち尽くす勢いで銃撃を加える。

 

 

「――――っ!?」

 

拳銃が手刀で弾き飛ばされ、仰向けに倒れるエデル――――そこに頭領が風の刃でエデルを貫こうと襲い掛かってくる。

 

 

 

が、エデルは逃げようとはせず――――刃をギリギリでかわしつつ相手の胸へとナイフを深く突き刺した。

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

人質にされた子供達を解放し、本隊と合流してビルから退避させている時にそれは起こった。

 

 

 

爆発音と共に揺れるビル――――天井からパラパラと埃が落ちてくる。

 

 

 

「くっ!爆発物を仕掛けてあった――――!?全員、迅速に退避!!」

 

将校の号令と共に子供を抱えながら走る兵士達。

 

 

 

そして一際大きな揺れと共に天井が崩れ、エミリアの脚がその下敷きになる――――

 

 

 

「エミリアさん!!」

 

 

エデルが思わずそう叫ぶが、エミリアは首を横に振った。

 

「子供達を救い出す事を優先して!」

 

 

 

やや迷いながらも子供を抱えて走り出すエデル――――その背中を見送ったエミリアは鎮痛剤を脚に打ち、最期の瞬間を静かに待った――――

 

 

 

 

――――何分くらい経っただろうか。再び足音が近付いてくる。

 

 

 

「――――エデル!?」

 

 

「子供達は無事に安全な所まで避難しました!」

 

そう言いながら瓦礫をどかし、エミリアを抱えるエデル。

 

 

 

 

「そうじゃなくて何で助けに戻ってきたの!?」

 

思わず非難するような口調になってしまったエミリアにエデルが真剣な眼差しを向ける。

 

 

「――――僕が憧れたヒーローは決して人を見捨てたりしない――――そういう人でしょう?僕に、人を見捨てろと教えるんですか?」

 

 

「――――――――」

 

 

 

言葉に詰まるエミリア。そんな彼女にエデルが続ける。

 

 

「それに、エミリアさんが死ぬかもしれないのに黙って何もしないなんて出来ない」

 

 

 

 

その言葉に戸惑いながらも笑顔になるエミリア。

 

「――――ほんとに無茶な子ね?」

 

 

 

 

 

 

爆発が続くビルの中を走るエデル。

 

 

「――――!!」

 

 

 

下へと続く階段が爆発で崩れ落ちている。

 

 

と、その時。火の手が回ってきた――――!

 

 

 

 

「――――くっ!!」

 

 

 

瞬時に脳裏に叩き込んだビル周辺の地図から隣のビルにあるプールに飛び込む決断を下し、そこに面する方向へと走り出す――――

 

 

 

「エミリアさん、あそこの窓を破ってください!」

 

 

その言葉に従い、光球を飛ばして窓を破壊する――――と同時にエデルがアシストスーツを最大出力にし眩いまでの雷を纏う。

 

 

 

「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 

 

宙に雷の尾を引きながらプールへと飛び込み、豪快に水飛沫をたてる。

 

 

 

 

ボロボロの身体でどうにかエミリアをプールサイドに引き上げ、力尽きて仰向けになるエデル。

 

 

 

息を大きく吸っては吐いての繰り返しで胸を上下させるエデルの隣で息を整えたエミリアが優しい眼差しを向けながら笑う。

 

 

「ありがとう、エデル――――もう駄目かと思った」

 

 

 

その眼差しを目にした瞬間、エデルは自らの胸が跳ねるのを感じた。

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

――――数日後

 

 

 

「あ――――エデル」

 

自分と同じ日に退院したエデルの姿を見つけ、駆け寄るエミリア。

 

 

 

「病室、別々だったから数日ぶりだね。もういいの?」

 

 

「は、はい……アシストスーツを最大出力にしたから身体へのダメージが最小限に抑えられたそうで」

 

 

 

そう言いながらキャップ帽のつばを下げて目元を隠す――――隠れる直前に見たバラクラバの目元は心なしかいつもより赤みがかっていた。

 

 

「ごめんなさい、今更なんですけど女の子をお姫様抱っこした事なかったので――――へ、変な事考えてないですけど、それでもごめんなさい」

 

 

 

その言葉にハッとなったエミリアの顔が瞬時に真っ赤になり、無言になる2人。

 

 

 

「その、基地に戻りましょうか。迎えの車も来ていますし」

 

 

「うん、そうだね」

 

 

 

互いに視線をそらしながら歩く2人。ふとエデルの方を見上げたエミリアはしばし彼の姿に目を奪われた――――

 

 

 

(あんなに小さかった男の子がこんなに大きくなったんだ――――)

 

 

 

もう小さな子供や可愛い後輩を見るような目で彼を見る事は出来ない――――

 

 

 

苦しいけれど、それでも心地よさがある感情を胸に抱きながらエミリアは初めて味わう感覚を噛み締めるのだった――――

 

 

 

 






如何でしたか?今回は「映画とかでよくあるような、超人にボコボコにされる特殊部隊」のイメージを変えるような展開にしてみました。


エデルとエミリアの物語はもう少し続きますのでお楽しみに!

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