今回は国連軍で超人と戦う兵士さん(女性)と、その恋人の物語です。
※下品にならないようには心がけていますが、性的な描写があります。
――――北米エリア・ニューヨーク
摩天楼の合間を縫うように飛行する兵員輸送ヘリ。
「またしても超人連中が暴れているようです――――」
タブレットを手にした部下が報告してくる。
「幹部連中はあらかた潰した筈だけど――――ほんとしぶといわね」
そう口にしながらランメイ・アンダーソンは戦闘服の中に着込んだアシストスーツを起動する。
「私が殴り込んで混乱させる、その隙に制圧して!」
青白い雷を纏ったランメイがヘリから飛び降り、摩天楼の壁へと着地――――そのまま壁面を走りながら降りていく。
イベントか何かで集まっていた人々が怯えながら逃げ惑う――――そこに襲い掛かろうとした超人のひとりがビルの壁面を降りてくる雷の筋に気付き、見上げる――――そして壁面を走る兵士とゴーグル越しに目が合った。
壁面を蹴って跳躍した兵士の手に握られた拳銃――――その銃口がこちらを睨み、火を噴く。
超人のひとりが頭を撃ち抜かれ、倒れる――――それに周囲の超人が気付いた時には着地した兵士――――ランメイに次々と撃ち抜かれていった。
「この雑魚風情が!」
怒り狂った超人が紫色の雷を纏い、手に持った棍棒も同じ光に包まれる。同じような武器を持った者が数人――――ランメイの周囲を囲む。
「くたばれやぁぁぁぁぁぁ!!!」
棍棒を思い切り振り下ろす――――も横に跳んでかわされ、カウンターの回し蹴りを喰らう――――体勢を崩した所を頭に銃を突き付けられ、生涯で最後の轟音を聞く――――
「アシストスーツが無ければロクに戦えない人間の分際で!」
薙刀がランメイの上半身を切り裂かんと空気を切る――――が、上に跳躍してかわした彼女によって首筋にナイフを突き立てられ、息絶える。
「このおおぉぉぉぉぉ!!!」
巨大な斧が振るわれるが、重々しい一撃はランメイが脚を屈めたことで容易くかわされ、そのまま屈めた脚をバネのように解放して跳躍、超人の横を素早く通り過ぎる一瞬の間にナイフを一閃させた。
「あ、ぐ――――」
首筋を押さえながらそのまま倒れる超人。
「隙あり!!!」
棍棒がランメイの背に叩き付けられる――――
「や、やったか!?」
しかし――――顔を上げた彼女のゴーグル越しに冷たい眼差しが射抜いてくる。
「う」
短く呻き、固まる――――彼女の手に握られたナイフが血の尾を引きながら宙に曲線を描く――――そのまま超人は息絶えた。
「なんなんだ、コイツ!!」
「逃げろ!!」
統制を失い、逃げ惑う超人たち――――を、上空で待機していたヘリが機銃で掃討し薙ぎ倒していく。
――――――――――――――――――――
国連軍基地に着陸したヘリから建物へと直行し、デブリーフィングを終えたランメイ達は数日の休暇を与えられ、それぞれの帰る場所へと歩を進めていった。
――――国連軍基地内・官舎
「ただいまー、ジョン」
戦闘服を脱ぎ、その中に着込んだダイビングスーツのようなツーピース式のアシストスーツ、下着類も脱ぎ捨ててランメイが浴室へと消えていくなか彼女の恋人――――ジョンが衣類を洗濯機へと入れ、洗剤を投入して注水機能をオンにする。
「おかえり、とりあえず水入れておくから終わったらバスタオルも入れて洗濯スイッチをオンにしてくれ。後はこっちで干しておく」
「はーい」
――――――――――――――――――――
熱いシャワーでさっぱりしたランメイが浴室を出ると、ランニングシャツに包まれた逞しい上半身に古い傷跡が刻まれた男――――ジョンが「お疲れ様」と笑顔で出迎えた。
「今晩は久々に手作りにしてみたんだ、ビーフシチューさ」
「わあ、楽しみ!」
と、その時ジョンの視線がランメイに集中する。
「またケガを?」
「うん、見てくれる?」
ベッドに上がり、シャツを脱いで背中を見せる――――ジョンの大きな手が背に触れて温もりが伝わってくる。
「こりゃ強く打たれたな、アシストスーツ着ていなかったら重傷だぞ」
背中に丁寧に湿布を貼るジョンの手が肌に触れる度に心地よい感触がランメイを刺激した。
「よし、終わったぞ――――――――ランメイ?」
ジョンが何かあったのかと表情で尋ねてくる。
「ジョン、もう少し――――私に触れて?」
その一言で察したジョンが右肩から回り込んで左肩を包み込むように右腕を重ね、左腕で身体を包むように抱き寄せる。
そのままランメイは自らの肌に重なるその腕に自らの手を重ね、彼の温もりを思う存分味わう。
「ジョン――――来て」
――――1時間後
行為を終え、汗だくになるふたり。
ジョンの手がランメイの肩に触れ、心地良い温もりが伝わってくる。そのままもう片方の手を頬に重ねる。
やがてランメイの唇にジョンのそれが触れた。
「ジョン――――大好き」
「俺もだ――――ランメイ」
甘い視線を交わしていると、突如として2人のお腹から大きな音がした。
「…………………晩御飯にする?」
「…………………うん」
同時に吹き出し、笑い合う2人。
――――――――――――――――――――
「――――おいしい!」
シチューを口に運んだランメイからそんな感想が漏れる。
「手間かけて作った甲斐があったよ」
嬉しそうに笑うジョン。
「今度、手作り料理を作るときはどんなやつがいい?」
「じゃあ――――余裕あるときでいいからローストチキン食べたいな」
その後も会話が続き、2人の食卓は笑顔が絶えることはなかった。
――――そして再び新しい朝が訪れる。
朝食と歯磨きを終えたランメイがアシストスーツに身を包み、その上に戦闘服や各種装備類を着用――――バラクラバ、ゴーグル、ヘッドセット、ヘルメットで頭部を覆う。
「じゃあ、行ってくるね――――今日も必ず帰ってくる」
「ああ――――いってらっしゃい」
ゴーグル越しにランメイの目が笑う――――そしてジョンはいつもの仕事場に向かう彼女を見送るのだった。
――――――――――――――――
そして、今日も騒乱が街を襲う――――
「まさか二日連続で攻撃を仕掛けるとは思うまい!」
超人の1人が雷を周囲へと放ち、建物の窓ガラスを砕く!
「恐怖せよ、愚民ども!抗えぬ力を前にして絶望を――――」
そこまで言いかけた瞬間。
上空を通過したヘリから雷を纏った人影が飛び降り、着地すると同時に周囲に強烈なスパークを放つ。
「な――――!?」
眩い光に超人たちが目を覆い、しばらくして光が収まるとゆっくり立ち上がる兵士の姿が見えた。
そしてナイフを抜き、再び全身に雷を纏う。
「――――何度来ようと好き勝手にはさせない!」
そう宣言し、ランメイが脚を屈める――――数秒後にはそれをバネのように解放し、敵めがけて跳躍するのだった。
「はああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
【人物設定】
・ランメイ(蘭梅)・アンダーソン
性別…女性
年齢…26
人種…アジア系(中国系)と西欧系のハーフ
階級…中尉
《解説》
国連軍の対超人専門部署に所属する将校で超人に果敢に立ち向かう精神力の持ち主。
恋人のジョンと官舎で生活しており、事実上夫婦のような関係。
・ジョン・ノックス
性別…男性
年齢…27
人種…イギリス系
階級…少尉(最終階級)
《解説》
かつて国連軍に所属していた青年。元々軍に籍を置いていた頃からランメイと恋仲であり、とある作戦で彼女を庇って負傷した事で退役した。
現在はプログラマーに転身して在宅で働く一方でランメイが心安らげる場所づくりに邁進している。