「オイ聞いたか……!」
「あぁ、噂になってるな。ロジャー海賊団がとうとう“最後の島”に上陸したんじゃねェかって……!!」
「“上”も騒いでる。CP-0が動き出したらしい……!」
ここ数日、海軍内でそんな噂がまことしやかに囁かれるようになった。
ロジャーのラフテル到達はまだ正式に報道されちゃいないが……近いうちにその事実は世界に報道され、奴は“海賊王”と呼ばれることになるわけだ。時期的にもそろそろだったはず。
……ふと気になったんだが、この海で最も自由な男こと“世界経済新聞社”の社長モルガンズはこの頃からブン屋だったんだろうか。あいつ歳いくつだっけ。
すでに社長として働いているとしたら、あいつは海賊王の誕生なんてウッキウキで報道してそうな所がある。思えば、世界政府にとっちゃロジャーのラフテル到達なんて相当都合が悪い事実だろうに。実はこの裏で世経と世界政府の仁義なき情報合戦が繰り広げられていたりするのかもなぁ。
と、そんな風に世界情勢に想いを巡らせている時間は今の俺にはない。なにせこの所思うように成果を上げられてないんだからな。
いや、勿論任務を失敗するなんてことはねェよ?まだ“大海賊時代”にも突入してねェこの時代じゃ、海賊の質なんてたかが知れてる。その分トップ層の連中は化け物揃いだが……ほとんどは懸賞金が“億”にも満たないザコばかりだ。だから大した戦果を上げられてなくて困ってるんだが。
そしてそういう連中に対しては、俺のクソ能力ことジャケジャケの能力は面白いくらいに通用するくらいには使いこなせるようになった。
秘訣は六式の一つである“剃”との併用だ。剃は一瞬で地面を10回以上蹴り上げることによって直線的な高速移動を可能とする技術だ。これとジャケジャケの実をどう使うかと言うと……。
“ジャケジャケ”発動→“剃”で高速移動→相手に組み付きながら“二人羽織”→ワンアクション起こした後能力解除→最初に戻る。
の繰り返しで敵が“集団”の場合、同士討ちや乗っ取りによって相手を大きく撹乱する手法を確立したのだ。
あとは“ジャケジャケ”の能力を細かく検証していく中で気づいたことだが、ジャケット状態であっても多少の身動きを取ることが可能であることに気づいた。とは言っても力が入らないから素早く動くことはできないが、この機動力の弱点を“剃”で補い、ジャケットを“着てもらう”のではなく“着させる”ことに成功したのだ。これが出来るのと出来ないのとじゃジャケジャケの強さは大きく変わる。
また、ジャケットを完全に着用させない状態……俺はこれを“半脱ぎ状態”と読んでいるが、“半脱ぎ”状態だと、着用者の意識を保ったまま、体の制御権をある程度奪うことができる。ある程度というのは、要するに意識まで支配しているわけじゃないから着用者も自分の体を動かすことができる。しかし、この時着ている服が勝手に動く。というような状態にすることが出来るのだ。本気で抵抗されれば制御権を取り戻されるが、何が起きていない“二人羽織”直後の一瞬だけなら腕や足の一本動かすことは容易い。この隙に“同士討ち”をさせるわけだ。フード部分に当たる俺の顔が被さっていないので、第三者視点で見れば首のない体が動いているように見えるだろうな。
それが……。
「おい!まずいぞ!!敵襲だァ!!」
……って。気持ちよく解説してたのに野暮な海賊が襲ってきたらしい。一隻とは言え海軍の軍艦に喧嘩を売るとは、一体どんな命知らずか、あるいは馬鹿か。
なんにせよ俺が乗ってたのが運のツキだ。せいぜい能力の研鑽に……。
「例の“海兵狩り”だァ〜〜〜!!」
……は???
◆
「ぐあぁっ!!」
「……下らん。“海軍”と言えどこんなものか」
甲板に出ると、身の丈ほどもある巨大な刀剣を持った少年が背を向けて立っていた。
「うわぁ……」
船上はまさに、死屍累々といった表現が似合う有様だ。生きてはいるようだが、重傷により身動きが取れなくなった海兵がまるでゴミのように積み上がっている。
下手人は間違いなくあの少年……ってか、もうあのバカでかい剣といい“海兵狩り”の異名といい確定だろう。
「もう終わりか?この有り様でもかかってくる気概のある奴はいないのか」
ジュラキュール・ミホーク様です。本当にありがとうございました。
いや馬鹿かよ!!確かに手柄欲しいとは言ったけどさぁ!!勝てねェ相手を寄越せとは一言も言ってねェんだよなぁ〜〜〜!!
俺“ジャケジャケの実”のジャケット人間なんだが??原作だとほぼモブキャラみたいだったケリー・ファンクの能力者なんだが??なんで未来の“七武海”もとい“四皇大幹部”になる世界最強の剣士様とエンカウントしてんの??
テメェは大人しくゾロペロと農業でもしとけや!!!
「はぁ……マジでどうしよ」
「た、大佐……!?大佐でもあの男には敵わないのですか……!?」
「ん〜……」
今の俺はミホークに勝てるのか。実際どうなんだろう。
原作開始時点のミホーク相手だったら絶対勝てないと断言できるのだが、この時点のミホークの強さはどれくらいなんだ?確かシャンクスとミホークは3歳だか4歳ほど歳が離れていると前世でシャンミホ過激派のツイートに書かれていた。ほぼシャンと同年代の俺に当てはめて考えると、今のミホは18か19歳だ。
昔のミホの強さを測る基準が、シャンとミホがその昔伝説と謳われるほどの決闘の日々を送っていたということくらいだ。今のシャンはまだ海賊として独立してないから、二人が決闘をするようになるのが今より後だとしてもシャンとミホの実力はこの時からほぼ互角と思っていいだろう。
と考えると、シャンの強さがわかれば自然と今のミホの強さも測れるのだが……。
“
マジであいつらなんなん?あいつらのせいでワンピの強さ議論は毎回荒れるハメになるんだが。だけど“大将緋熊”はともかく魚の方は初期ルフィにワンパンでやられる程度の強さってことは確定してる。
これは自惚れじゃなく、今の俺の強さなら初期ルフィとなら互角以上にに渡り合えるだろうという自負がある。初期ルフィを完封してたスモーカーに俺は現状勝ち越してるわけだからな。と考えると……。
近海の主=過去シャンクス=過去ミホーク=初期ルフィ≦俺
っていう図式が成立する。これもうわかんねェな。
けど、これが正しいなら俺と今のミホークってもしかしたら互角以上に渡り合えるんじゃないか?
なんかいけそうな気がしてきた!
「……おれが相手する」
「た、大佐……!お願いします」
俺が甲板に踏み出すと、ミホはゆっくりとこちらを振り向いた。
「お前か。最近暴れてる“海兵狩り”ってのは」
「……ほう。少しは腕の立つ男もいるらしいな」
いや、強者感やべ〜……。ティーンエイジャーの迫力じゃないってこれ。
「お前が転がした奴らは一応俺の部下なんだよ。上司としてケジメはつけさせてもらうぜ」
「弱者が相応しい末路を迎えただけだ。非難される謂れは無いな」
「海兵を襲った時点で“公務執行妨害”だよ馬鹿野郎」
さて、この頃のミホは実際どれくらいの強いのか……。お手なみ拝見と──。
「“
……は?
えっ、何今の。なんか左耳切れてるんだけど。なんも見えなかったが。
“飛ぶ斬撃”?
「貴様を斬れば……おれはもっと強くなれるだろうな」
……す。
すいませんっしたァァァァ!!!