「!?」
黒髪女子があっけらかんと代わりに即答されて頭の中がこんがらがってしまった、というより
「なっ、なんであたしよりあんたがに答えるのよ!そもそもこの子に嫌がらせするって言い出したのあたしじゃない!」
「それを止めなきゃいけなかったのはわたしじゃん」
立ち上がり手を差し伸べる
「隣で努力してたのずっと見てたのにね、だから今度は間違えない。わたしの親友の努力を無駄にしたんだから文句言わないと気が済まない!」
「んじゃ、けってい!」
「わ、分かった!分かったわよ!…わかったってば!!」
手を取り立ち上げる、2人に本当に?とにやついた顔で見上げられて勢いに任せてしまったが悪い気分ではなくて少し照れ臭いぐらいだ、味方が増えるのは頼もしい事をしばらく忘れていた。今の今まで周りを見れていなくて親友の顔もまともに見たのは何時ぶりなんだろう
「でも今日は無理そうだから、また後で日程決めようね」
立ち上がったばかりなのに後ろに倒れそうになった
「ほら、こんなだし保健室行かないとだし」
たしかに少女の体はびしょ濡れだ、それにいきなり乗り込むのはかえって逆効果になる。何事も事前準備というのは大事なものだ
なら自分たちも付いていくと言おうとしたら止められた。先生に保健室に行くのを伝えてほしいとお願いされて、元はといえば自分たちがやってしまった手前お願いされたら聞くしかない
「じゃあまた後でねー」
とんでもない少女だった、牙を向けたとは思えないほど気軽く甘い顔で巻き込んできたかと思えばあっさりした立ち去り方に不思議と悪い気がしなかった
「人たらしってあんな感じなのね」
「かもね」
久しぶりに、穏やかに笑えた
さて、半ば強引にも見える形で保健室に向かっている理由は体が濡れているのが主な理由ではない、今教室に戻って授業を受けていても途中で倒れるのが分かっているからだ、現に今も汗と動悸が激しくなっている。
ケトン性低血糖症、能力を使った時の反動で血糖値が大幅に下がってしまう、能力を酷使すれば誰でもなりうる症状だが少女の場合事前にブドウ糖やグルコースを摂取していても二回目の能力の使用がためらわれるほど燃費が悪い。昔研究所にいた頃意識を失って『先生』に心配されたのは懐かしい思い出だ
(倒れちゃったら罪悪感感じさせちゃうしね)
友達になれそうな2人を思い浮かべていたら何かに顔がぶつかって足の踏ん張りが利かなくなってふらついてしまう、いつの間にか保健室の前についていたらしいが扉の前に先客がいた。
長身に茶髪、この学校の生徒のようだが先輩なのだろうか、大人びた空気の少年が後ろを振り向いた。
(あ、だめ…かも)
「あ?」
鋭い目つきに暗い瞳が印象的だなと思った所で意識が途切れた。
「おい」
「あら、またサボり?ってどうしたのその子」
「知らねぇ、ぶつかってきたと思ったらぶっ倒れやがったんだよ」
右手に担がれた少女を
「とにかくそこのソファに寝かせて、後サボりたいなら手伝ってちょうだい。」
「クソったれ誰が手伝うかよ、勝手にやってろ」
乱暴に少女をソファに投げるが目を覚まさない猶のこと関わりたくなくなった。
この保険医サボりを見て見ぬふりをするのは良いがそれに付け込んで何かとあれこれ押し付けてくるいつものパターンだ。
「今後もサボりを黙認されたいなら手伝いなさい。とりあえずこの子の荷物持ってきてちょうだい早退になるから」
「ふざけんな」
「誰のおかげで快適にベッドが使えてると思ってるの、断るなら使わせないわよ」
「チッ…」
気が進まないが厄介事を除けば邪魔をされず仮眠をとれる場所は限られている、今後の損得を考えて渋々請け負うはめになった
「名前、名前とクラスが分からねぇと意味ねぇだろ」
「たしか1ーAで名前は、せんば」
「