ミサト「あなたが碇シンジ君ね?」ジョルノ「いえ、違います」【完結】 作:サルオ
さて、大見栄を切ったはいいが、はっきり言って僕はいまめちゃくちゃ戸惑っている。
だって、巨大ロボットだぞ?車の運転とはワケが違う。本当、シンジ君の言う通りだ。できるワケがない。
なにやら説明を受けろとのことだったので、彼らからしてみたらとても簡単に、とても端的に赤木博士が僕とシンジ君に説明をしてくれた。
だが、悪いな。99%何を言っているのか分からなかった。LCLってなんだ?
そういや、アバッキオがジェット機の操縦をしていたな。ちょっと前の出来事のはずなのにひどく懐かしい。ムーディーブルースがあれば、このロボットも操縦できたんだろーか・・・?
『冷却終了!』
『両腕部を再固定完了!』
何やら『外』では、いろんな人達が慌ただしく動き回っているようだな。ご苦労様。
「あ、あの・・・ジョルノ君?」
「ん?なんだい?」
「なんか、ごめんね。僕だけ座っちゃってて・・・・・・」
「ああ。そんな事か。気にするなよシンジ君。もともと一人乗りって言ってたんだし、僕は無理を言って乗せてもらった人間だ。どこかに掴まってれば平気さ」
そう。僕とシンジ君はすでに、ロボットの操縦席にいる。中は本当に一人しか乗れない仕様になっていて、ちょっとイカしたバイクのような椅子と操縦桿があるだけだった。
バイクだったらタンデムしてもいいと思うんだけどな。僕が座るスペースは流石に無かったので、僕はシンジ君の隣でリラックスして壁に寄りかかっている。
それにしても、最近のロボットの操縦席ってのは面白いな。僕はてっきりロボットに直接乗り込むんだと思っていたんだが、僕たちが乗ったのは白い大型のカプセルだった。なんだっけ?エントリー、なんとかって言ってたな。
どうやらコレを、あのロボット、エヴァの中に入れるらしい。そんな発想は僕には無かったので、この点に関しては少しだけ面白いと思った。
『ケージ内、すべてドッキング完了!』
『了解。停止信号プラグ排出終了』
うーん。さっきから色々なアナウンスが流れてるんだが、まるでさっぱりだ。
あとな。さっきから地味に違和感を感じているんだが、コレはどーにかならないものか。
「シンジ君は意外に似合ってるな」
「え?ああ、コレ?頭につけた、インターフェース、だっけ?」
「確か、な。僕の場合、髪を三つ編みにしてるから、髪が引っ張られて痛いんだ。コレ」
『二人とも、ずいぶんとヨユーじゃない?』
通信から葛城さんの声が聞こえてきた。
『この状況でそこまでリラックスできるなんて・・・やっぱジョルノ君は大物ね』
「いえ、正直ドキドキはしてますよ。表には出さないだけでね」
『嘘おっしゃい』
ふう。葛城さんからの信用は完全にゼロだな。まいった。
『エントリープラグ挿入』
「お?」
僕たちの乗ってる白いカプセルに軽い振動が走る。どうやら、エヴァとやらの中に入ったらしい。
『脊髄伝導システムを解放、接続準備』
『プラグ、固定終了』
「わりと待った無し、なんだな」
「ジョルノ君は、怖くないの・・・?」
「ん?」
シンジ君が、操縦席の操縦桿を握ったまま、僕を上目遣いに見てくる。
「ジョルノ君は、なんだか堂々としているから、その、気になって・・・・・・」
「ふふ。シンジ君。怖くないかって?怖くなんかない・・・というより、実感が湧かないってところが本音かな」
「実感?」
「ああ。流石に巨大ロボットを動かした経験はないからな。ハッキリ言えば、出たとこ勝負ってヤツさ」
「そ、そうなの・・・?」
「ああ。まあ、荒事には多少慣れているからね。もっとも、あの黒い巨人に僕の経験がどれだけ通用するかはわからないが」
「そんな!じゃあやっぱり、ジョルノ君は降りた方が・・・・・・」
「おっと。そいつは無しだシンジ君。ここまで来たら、僕たちは一連托生だ。むしろこう思う事にしよう。『一緒にあの怪物を倒す!』こう考えれば、少しはワクワクしてこないか?」
「・・・・・・・・・正直、わからない、かな」
「だろうな。だけどね、シンジ君。一つだけアドバイスをするとしたら、『覚悟の道を突き進め』。それだけでいいんだ。それで案外、なんとかなるものなんだぜ?」
「そう、なのかな・・・・・・」
「ああ。あとは、精神論みたいになるが『突き進んだヤツが勝つ』。今の君に足りないのはソレなのかもしれないな」
もっとも、僕が全力でサポートするがな。
『第一接続開始』
『エントリープラグ注水』
・・・・・・・・・・・・ん?注水?
アナウンスの言葉が終わると同時だった。
「あ!な、何ですかコレ!」
「・・・・・・おいおいおい。僕たちを溺死させるつもりか?」
操縦席の下の方から、オレンジ色の液体がぐんぐんと迫り上がってくる。
「あーっ!あっ!あぁッ!」
「く・・・・・・っ!」
僕とシンジ君は咄嗟に大きく息を吸い込んで息を止める。
『大丈夫、肺がLCLで満たされれば直接血液に酸素を取り込んでくれます。すぐになれるわ』
赤木博士が通信でそう告げてくるが、おいおい、本気か?なんかの本で読んだが、肺に水が溜まる病気とか無かったか?大丈夫なんだろーな?
まあ、ここまで来ればなるようになれ、だ。僕は肺の空気を一気に吐き出した。横のシンジ君も意を決して吐き出したようだ。
「うえ・・・ぎぼちわるい」
『我慢なさい!男の子でしょう!』
「うぇあ・・・・・・」
「せめてブランデー味とかにしてくれませんか?それだったらまだ我慢できるんですが」
『あんた本当に不良すぎない!?』
葛城さんのツッコミは、この際無視しよう。しかし、なんだ?この液体。マジでマッズいな。味はサイテーだ。
『主電源接続!』
『全回路動力伝達、問題無し!』
『了解』
『第二次コンタクトに入ります』
女性のアナウンスが流れた瞬間だった。周りを満たしていたオレンジ色の液体が、一瞬にして透明になる。
「あ・・・・・・」
『A-10神経接続異常なし』
『LCL電荷率は正常』
『思考形態は日本語を基礎原則としてフィックス。初期コンタクトすべて問題なし』
アナウンスが流れる中、操縦席内の景色は矢継ぎ早に変わっていく。操縦席の下の方から壁全体に虹色の光が満ちたかと思うと、小さな光の粒子がいくつも登ってくる。壁面の色は黒、赤と変わり、壁全体に幾何学的な模様を映し出したかと思うと、途端にクリアな外の映像に切り替わった。
「すごいな・・・・・・」
この光景には流石に驚きを隠せない。シンジ君も隣で画面の移り変わりに目を奪われているようだ。
『双方向回線開きます。シンクロ率52.7%』
『嘘でしょう?プラグスーツ無しで、しかも二人乗りなのに・・・・・・』
『ハーモニクスすべて正常値、暴走ありません』
・・・・・・ん?ちょっと待て。今聞き捨てならない単語が聞こえたぞ?
「葛城さん。暴走ってなんですか?」
僕の誠心誠意を込めた質問だったんだが、葛城さんは無視した。
『いけるわ!』
『発進!準備!!』
『発進、準備!!』
「ちょっと待て!?葛城さん!このロボット、まさか暴走するんじゃあないだろうな!?」
『第一ロックボルト、外せぇ!』
『解除確認。アンビリカルブリッジ移動開始!』
「おい!葛城さん!何か言ったらどうなんだ!?」
僕の焦りが、横のシンジ君にも伝わったようだ。二人して嫌な汗をかく中、流れるアナウンスは僕たちを完全に無視して作業を進めている。
「こ、コイツら・・・まさかマジで僕らと意思疎通を取らないつもりか・・・!?」
「ジョ、ジョルノ君・・・・・・」
ヤバいな。僕がこんなところでシンジ君に焦りを見せるのは下策もいいところなんだが、ここまで待ったなしの状況で色々進められると、いよいよ逃げ場が無くなったように感じる。
だが、逆に良かった、とも思える。もし僕が一緒に乗ってなかったら、シンジ君はこの状況に一人で耐えなきゃあならない。幸いなことに、僕は最低限、『碇ユイ』の魂に呼びかけてこのロボットを動かす事ができる。
それが唯一の救いだな。
通信でさまざまなアナウンスが流れて、僕たちの出撃準備が整っていくのだと嫌でも感じさせられる。
『外部電源充電完了!』
『外部電源用コンセント異常なし』
『了解。エヴァ初号機射出口へ』
さて・・・いよいよか。
シンジ君の顔も引き締まっている。いい表情をしているな。
本番は、コレからだ。
『進路クリアー、オールグリーン』
『発進準備、完了!』
『了解!』
通信に葛城さんの声が流れる。
『かまいませんね・・・?』
『もちろんだ。使徒を倒さぬ限り、我々に未来はない』
・・・・・・そこはシンジ君に聞くべきところなんじゃあないのか?なぜ、あのサングラスの男に確認を取るんだ。命を賭けて戦うのはシンジ君なんだぞ?
『・・・・・・碇。本当にコレでいいんだな?』
ん?この声・・・・・・先ほどの老人か?
気のせい、だろうか。今流れた老人の声だけが、このイカれた連中の中でマトモな発言をしているように思える。
このあと、機会を作って接触してみるのも悪くない、か?
『発進ッッ!!』
葛城さんの号令とともに、僕とシンジ君に物凄いGがかかった。どうやら高速で、地上へとロボットが搬送されているようだ。ゴォーーーッという移動音が耳に痛い。
やがて強い衝撃が僕らを襲い──、
僕たちは地上へと運び出された。
目の前に、真っ黒い巨人がいる状態で。
「何を考えてるんだァァーーーッッ!!?」
操縦もできない素人を乗せておいて!
敵の目の前に、動くかどうかもわからない兵器を配備するだとッ!!?
コイツら!軍人としての判断がなってないんじゃあないのか!?
このクソみたいな采配を前に。
僕とシンジ君は、味方の手によって、いきなり絶対絶命のピンチに陥らされていた。
つづく
改めてアニメ見ていたら、初号機出す場所ひどくね?ってなりました。