ミサト「あなたが碇シンジ君ね?」ジョルノ「いえ、違います」【完結】   作:サルオ

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113.

 

 僕達の見ている画面の向こうで、零号機と弐号機のパレットライフルが、一斉に火を吹いた。銃弾は敵のATフィールドを中和しながら、全て使徒に命中する。

 

 しかし──!

 

『くぅ・・・!』

 

『うそ!効いていない!?』

 

 銃弾をその身に受けながらも、使徒の動きは弱まる事は無かった。それどころか、先ほどよりもさらに勢いを増して。

 

 勢いをつけた光の輪の先端が、零号機に迫り来る!

 

『レイ!!』

 

『!!』

 

 ラングレーの弐号機が、咄嗟に零号機の肩を押し出していた。二機の間を、使徒の体が瞬時に通り過ぎていく。まるでそれは、しなる光の鞭のようだった。

 

『こんのぉ!!』

 

 ラングレーがライフルの引き金を強く引いた。連射された弾丸が再び使徒に命中する。

 

 しかし、使徒の勢いは衰えない。光の鞭がその姿をグネグネとしならせながら、弐号機へと一気に襲いかかってくる!

 

『ライフル効かない!他になんかないの!?』

 

『デュアルソーを出すわ!Cの883に走って!』

 

『了、解ッ!!』

 

 弐号機はライフルを空中に放り投げると同時、迫り来る使徒の攻撃を空中に跳躍する事で回避した。

 

 しかし、空中。ふわりと浮いた隙だらけの弐号機の胸を目掛けて、光の鞭がその先端でもって貫く勢いで再び迫ってくる!

 

『甘い──!』

 

 それを弐号機は左足で踏みつけ、

 

『──ってんのよぉ!!』

 

 右足を振り上げることによって、空中にムーンサルトを描き出した。

 

 弐号機がクルクルと回転しながら大地に着陸したとき、その背後にはちょうど新しい武装であるデュアルソーが運び出されたところだった。

 

「アスカ!すごい!」

 

 シンジ君が隣で思わず感嘆の声を上げる。

 

『はん!伊達でパイロットやってるんじゃないっつーの!』

 

 気合いを一つ。弐号機の手にしたデュアルソーが起動し、ビュイイイインッと耳障りな音を立てて刃が回り始める。

 

『どぉりゃぁあああああッ!!』

 

 使徒が突っ込んでくるのに合わせて、ラングレーは力強く一歩を踏み込んだ。光の鞭に、振りかぶられたデュアルソーが使徒を両断する勢いで叩き込まれる!

 

 バチバチバチッと、上がった火花が周囲を照らした!

 

『こ、んのぉ!!』

 

 弐号機がデュアルソーを振り抜くと同時、使徒の体が弾かれるように弐号機から吹き飛ばされていった。しかし、その体に目立った外傷は見られない。

 

『ちょっと!これも効かないのッ!?』

 

 ラングレーが上げた悲鳴を無視して、使徒の先端が再び弐号機に迫る。ラングレーは必死で迎撃するが、やはり使徒の体に傷は付かない。

 

 ラングレーを援護するように、綾波さんがパレットライフルを乱射した。しかし銃弾では使徒に傷は付けられない。使徒の光の身体。そのもうひとつの先端が、零号機に向かって突っ込んでくる。

 

 零号機はそれを迎撃するようにライフルを乱射するが──、

 

『ダメ!避けて!!』

 

『ダメです!間に合いません!!』

 

 マズい!!

 

 光の先端はいくつもの触手に別れ、零号機を覆うように包み込んだ。

 

「綾波さん!!」

 

『しまっ──』

 

 複数の触手が、ドスゥッ!と重い音を立てて零号機の全身に突き刺さる。

 

『うぐッ!?』

 

『レイ!?』

 

『だ、大丈夫よ、アスカ、ジョルノ・・・!』

 

 綾波さんは痛みに顔を顰めながらも、その戦意を失ってはいなかった。零号機の左手で使徒の触手の一つを掴み取ると、超至近距離から銃弾を叩き込んでいく。

 

『う・・・効いてない・・・?』

 

『レイ!待ってなさい!今アタシが・・・!』

 

 弐号機が零号機の援護に入ろうと、デュアルソーを思い切り振り回す。回転する刃を叩きつけられた使徒の光の先端が、大きく弾き飛ばされる。

 

 ラングレーは零号機の近くまで走ると、勢いそのままにデュアルソーを光の触手に叩きつけていた。

 

『こん、ちくしょーーーーッ!!』

 

 デュアルソーの出力は最大のはずだ・・・だというのに、光の使徒の体を切断するには至らない!

 

『なんで、なんで切れないのよ!はっ!?』

 

 苦戦する弐号機の背後から光の使徒の先端が迫る。弐号機はそれを、右に大きく跳ぶことで回避した。

 

 その回避した状態の弐号機に、間髪入れず再び使徒が迫り来る。弐号機は咄嗟にデュアルソーの側面で防御したが、

 

『な、これって!?』

 

 ズブズブと嫌な音を立てて、使徒の体がデュアルソーに侵食していく。

 

『まさか!コイツら・・・・・・レイ!?』

 

 ラングレーが零号機に目を向けると、そこには──、

 

『レイィィイイイイイイイイ!!』

 

 全身にまるで血管のような侵食痕が浮かび上がり、呆然と立ち尽くす零号機の姿があった!

 

『や、やったわねェェエエエエエ!!』

 

 弐号機がデュアルソーを放り捨て、

 

『はあああああああああああああ・・・!!』

 

 ラングレーは両の手に、力を込める!

 

『潰れ、ろぉぉおおおおおおッ!!』

 

 ラングレーの両手が振り下ろされるのに合わせて、ラングレーのATフィールドが、光の使徒を叩き潰した。

 

 途端、周囲に轟く不協和音と血飛沫。それは使徒の悲鳴だった!

 

「ディモールト・ベネだ!ラングレー!」

 

『やった!これなら効く!今行くわよ、レイ!』

 

『あ、アスカ・・・・・・来ちゃ、だめ』

 

『何言ってんの!今すぐ──!?』

 

 綾波さんに駆け寄ろうとしたラングレーが、突如として体勢を崩した。何が起きたのかとラングレーが視線を下ろしてみれば──、

 

『ああ、嘘・・・・・・!』

 

 弐号機の左足を、侵食したデュアルソーで断ち切った光の使徒の姿があった。

 

『うあああああああああ・・・!!』

 

「アスカ!!」

 

 あまりの痛みに、弐号機が地面に倒れる。

 

『れ、レイ・・・・・・あう!?』

 

 その弐号機の胸に、光の鞭の先端が突き刺さっていた。

 

『弐号機!左脚破断!!』

 

「アスカぁ!!」

 

 シンジ君の悲痛な叫びが、通信に流れる!

 

『な、なめんじゃあ──』

 

 弐号機は両手を突き刺さった使徒にかざすと、

 

『ないわよッッ!!』

 

 自身のATフィールドで、使徒の先端を叩き潰した!

 

『はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・レイ!』

 

 どうにか窮地を脱したラングレーではあったが、弐号機の視線の先では、侵食の進んだ零号機が地面に倒れ込むところだった。

 

『目標!零号機と物理的接触!!』

『零号機のATフィールドは!?』

『展開中です!しかし使徒に侵食されています!』

『使徒が積極的に一次的接触を試みているの?零号機と!』

 

(言ってる場合か!)

 

 僕が歯噛みしている間、ラングレーは何とか立ちあがろうと試みていた。しかし、それを防ごうとするかのように光の使徒の触腕が襲い掛かってくる。ラングレーはそれを、ATフィールドで必死に防ぐ事しかできない!

 

『だめ!アタシじゃあレイを助けられない!シンジィ!!』

 

「父さん!!」

 

「碇司令!!」

 

 僕とシンジ君が同時に声を上げる!

 

『司令!!』

 

 葛城さんも、現状を打破するためには初号機が必要だと感じたんだろう。僕らと一緒に声を荒げた。

 

『危険です!零号機の生体部品が侵されています!すでに5%以上が融合されています!』

 

「父さん!僕を出して!今すぐ出してよ!!」

 

 シンジ君が碇司令に向けて叫んでいる。もう、これ以上は僕も見ていられない。

 

「碇司令」

 

『・・・なんだ』

 

「無理やり、初号機を動かす事もできるんですよ?」

 

『・・・・・・』

 

 ダンマリか!この局面で!

 

 もういい。だったら今すぐ、『碇ユイ』さんの魂に呼びかけて、無理やりにでも初号機を動かしてやる!

 

 そう思って、僕がエントリープラグの壁に手を掛けた時だった。

 

『零号機のプラグ周辺で異常発生!!』

 

 なに!?

 

 プラグ内に表示された画面の向こうで、信じられない光景が映し出された。

 

 零号機の背中、プラグ周辺から、何か肉の塊のようなものが盛り上がってくる・・・!?

 

「な、なんだアレは!?」

 

 僕の悲鳴と呼応するように。

 

「!?」

 

 ズギュウウウウウウウ!!

 

 その肉塊は、巨大な使徒の幼体として、みるみる姿を変えていった。

 

「綾波ィィイイイイイイイイ!!」

 

「綾波さん!!」

 

『エントリープラグを強制排出!』

 

『ダメです!反応しません!』

 

『そんな!?』

 

 マズい!あのままでは、綾波さんは!

 

『初号機の凍結を現時刻をもって解除』

 

 この声、碇司令か!

 

『ただちに出撃させろ。出撃だ』

 

 判断が遅い!

 

『シンジ君、ジョルノ!聞こえたわね!?』

 

「ああ、行くぞ!シンジ君!」

 

「──はい!」

 

 

 

つづく

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