ミサト「あなたが碇シンジ君ね?」ジョルノ「いえ、違います」【完結】   作:サルオ

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最終章 まごころを、君に
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 その昔、この星に生命が生まれるよりも遥か昔、一つの天体と共に、生命の卵がこの星に落ちてきた。

 

 それが後にファースト・インパクトと呼ばれる、全ての始まり。

 

 宇宙の塵となり、やがて月となったその天体が地中深く残したモノ。その生命の卵が『リリス』。

 

 対して、地球自体が昔から宿していた生命の卵が『アダム』。

 

 『アダム』は自身を含む17の使徒を生み、『リリス』も同じように一つの使徒を生んだ。

 

 それこそが『リリン』。『リリス』が生み出した使徒。すなわち、『人類』。

 

 いや、もっと言えば、この世界の過去から現在に至るまでに存在していた全ての生命体。それこそが『リリス』の使徒であると言えるだろう。

 

 これがこの世界の創世神話。数多ある宗教概念の全てを根底からぶち壊す、身も蓋もない真実。

 

 その神話は、約四十億年の時を経て今、その物語を終わらせようとしている。

 

 この世界のトップである『ゼーレ』。それの提唱する『人類補完計画』こそが、この星の物語に終わりを齎す結末。

 

 その神話を、僕はこれからぶち壊しにいく。

 

 

 

 僕の名前はジョルノ・ジョバァーナ。日系イタリア人。15歳の中学生だ。

 

 出身はイタリアのネアポリスなんだが、どういうワケか、今は『異世界のフランス』に来ている。

 

 別に旅行で来ているワケじゃあない。僕はこの世界の全てに決着をつけるため、この地にやってきた。フランスのパリ、その象徴ともいえる『エトワール凱旋門』。こここそが、ゼーレによって僕たち国連調査団が集められた場所だった。

 

 ユーロネルフ。そこに全ての元凶であるゼーレと、人類補完委員会が集まっているという。

 

 僕たち国連調査団が組織された経緯はこーだ。ゼーレがネルフのエヴァンゲリオンパイロットとして送り込んできた少年が『使徒』であった。

 

 人類補完計画という名目で世界の救済を謳っていたゼーレが、あろう事か人類の敵である使徒をネルフの最深部まで送り込んできたのだ。一歩間違えればサード・インパクト間違いなし。そんな事態を引き起こした国連上層部を、各国と国際警察でもって調査する。それが今回の僕たちの目的だ。

 

 だが、僕にはまた異なった目的が存在している。使徒である渚カヲルを救い、僕たちは全ての使徒を撃退する事に成功した。『碇ユイ』さんによってこの世界に喚び出された僕は、とうとう仲間を誰も欠くこと無く、ここまで来たというワケだ。

 

 碇シンジ君を助ける。その長いようで短かった旅路ももうすぐ終わりを迎える。

 

 僕はこの旅で、全てのカオスに決着をつけるつもりでいる。ゼーレを倒し、人類補完計画を叩き潰す。その為の準備はしてきたつもりだ。

 

 だが、そう簡単に事が上手く運ぶとは思っちゃあいない。恐らく僕らがパリを訪れている間、日本のネルフ周辺でも動きがあるだろう。

 

 具体的には日本政府の保有する世界最強の軍隊、戦略自衛隊。通称、戦自。その作戦行動が、今日この日、発動するはずだ。

 

 そしてこれは恐らくではあるが、今日この日、ゼーレもネルフに対して何かしらの動きを見せるだろう。それが軍事的行動であろう事は想定しているが、どういったモノなのかは想像もつかない。

 

 加えて、ネルフ内部にも獅子身中の虫は存在する。誰あろう、ネルフのトップである碇ゲンドウ司令だ。彼はゼーレとは異なった、自分だけの人類補完計画を画策している。その計画には、おそらく副司令である冬月コウゾウ氏も加わっているはずだ。

 

 ネルフを襲う三重苦。これを凌ぐのは簡単な事じゃあない。

 

 だが、僕は確信している。その三重苦を、シンジ君とその仲間たちはきっと乗り越えられるはずだ、と。

 

 だから、僕も僕のできる事をやろう。ここでゼーレを倒し、少なくともゼーレの人類補完計画だけでもここで挫く。それができれば、きっとシンジ君の助けになるはずだ。

 

 僕は空港から乗ってきた黒い送迎車のドアを開ける。すでに調査団の方々とは空港で挨拶済みだ。後はこの場所に、ユーロネルフの面々が来るのを待つだけだが。

 

 僕は目の前に聳え立つ凱旋門を前に、一応の礼を失しない程度に胸に手を当て、腰を軽く折った。この門の歴史がどうであれ、人々の偉業である事には変わりはない。その偉業に敬意を払うのは当然の事だろう。軽く辺りを見回せば、僕以外にも軽く礼をしている調査団の人がチラホラといた。

 

 ふと、調査団の陰の向こうでざわめきが起きた。何かと思って目をそちらに向けて見れば──、

 

「ようこそ、国連各国の特使の皆様。はるばる世界中から我々のために集まっていただき、感謝の念に堪えない」

 

 僕らの目の前に、大勢の黒服を引き連れ、顔に何かの機械を取り付けた老人が現れた。バイザー、とでも言えばいいのだろうか。身長は僕とそこまで変わらないだろう老人は、異様な貫禄を周囲に向けて放っている。

 

「まさか・・・キール・ローレンツ議長!?」

 

「議長自らがお出迎えとは、いやはや・・・」

 

 なるほど。周りの反応でようやくわかった。

 

 コイツが、コイツこそがって事だな?

 

 ゼーレのトップ。全ての元凶であり、人類補完計画の指導者。

 

 つまり、僕の最後の敵ってワケだ。

 

 空気が重苦しく、ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・とうねりを上げていく。僕の視線と、バイザーに隠れて見えないが、キール・ローレンツの視線が空中でぶつかり合う。

 

 その空気を和らげるように、老人の口角が優しく上がった。

 

「さて、長旅で疲れた事であろう。堅苦しい挨拶は抜きにして、皆にはまずは旅の疲れを癒してほしい」

 

 老人は両手を恭しく広げて、僕らを歓迎する。

 

 その気楽な態度に、僕たち調査団に走っていた緊張もゆっくりと解けていく。その様子を見たキール・ローレンツ議長が右手をゆっくりと上げた。

 

「そう。ここでな(・・・・)

 

「!!?」

 

 その言葉を聞いた瞬間、僕は凱旋門の影へと走り出した!

 

 同時に、キール・ローレンツの背後の黒服どもが拳銃を構えるッ!

 

「は?」

 

 調査団の一人が発した言葉を皮切りに、銃弾の雨が僕らを襲った!!

 

「うげッ!?」

 

「ぎゃああああ!?」

 

 調査団の面々が、次々と凶弾に倒れる!まだ息のある人間にも、黒服が近付いて確実に止めを刺している!!

 

「き、きさまらッ!」

 

「見事だ、ジョルノ・ジョバァーナ。流石としか言いようのない身のこなし。咄嗟に我らの意図を察して上手く隠れたか」

 

 僕は凱旋門の影に隠れながら、僕の横に自分の『スタンド』を呼び出す!

 

「歓迎するのは貴様だけだ、ジョルノ・ジョバァーナ。だが勘違いしないで欲しい。歓迎するのは君だけだが、歓迎するのは『我々だけではない』」

 

 その言葉を聞いた瞬間、僕の周囲で『撃鉄を起こす音』が聞こえた。

 

 それも一つや二つじゃあない・・・ッ!

 

 僕がゆっくりと辺りを見回せば!!

 

「な、何ィィイイイイイイイイイイイ!?」

 

 周囲にいた『観光客の全て』が、僕に銃身を向けていた!

 

「パリへようこそ、ジョルノ・ジョバァーナ。我々は我々の全てで君を歓迎しよう。その上で・・・・・・」

 

 老人が僕に対して背を向ける。

 

「追ってこい。我らの元に辿り着くこと叶えば、その時は我らが相手をしよう。果たして我らの兵を、貴様一人で捌く事ができるかな?」

 

 そう言い残して、老人はこの場を去ろうとしているッ!!

 

 同時に、僕に撃ち込まれる銃弾の嵐!それを僕はッ!!

 

『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムッ!!』

 

 僕の能力を発動し、『銃弾で蜂の巣にされた事実』を『起こらなかった真実』へと書き換える!!

 

「ほお?」

 

「お前を倒さなければ人類補完計画が発動すると言うのなら!必ず殺る!逃がさないッ!」

 

 僕は人差し指をビシィッとキール議長に向けて突き付ける!パリの凱旋門の下、全ての空気がドドドドドドドド・・・と震える!

 

 上等じゃあないか!パリの全てで迎えるだって?

 

 やってみろ!僕の『スタンド』を止める事ができるならな!!

 

 時に2015年12月31日。

 

 人類補完計画は今、始動した・・・ッ!

 

 

 

つづく

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