ミサト「あなたが碇シンジ君ね?」ジョルノ「いえ、違います」【完結】   作:サルオ

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 『ピルグリム』の後に従い、僕は暗闇を歩き続ける。もうどれだけの時間がたったのか、僕にもわからないが──、

 

【ここだ】

 

 『ピルグリム』が眼前の暗闇に手を伸ばす。どうやら、随分と荘厳な扉だったようだな。ギギィ・・・とドアが軋む音が聞こえると、扉の向こうから、オレンジ色の光が漏れてくる。

 

 そして、この鼻をつく独特の匂いは・・・。

 

「ようこそ。ジョルノ・ジョバァーナ」

 

 LCLの匂い。扉を開けた先にあったのは、LCLの溜まった、25メートル四方ほどのプールだった。

 

 そのプールの向こう側に、『ピルグリム』の本体であるキール・ローレンツの姿があった。さらにそのプールを囲むようにして、12枚の黒いモノリスが浮かんでいる。

 

「ゼーレ・・・・・・!」

 

 僕の呟きが、あいつらに聞こえていたのかはわからない。だが、奴らは僕の姿を目にした途端に、僕に向けて拍手を送ってきた。

 

「よくぞ。よくぞ、だ。我らの兵を蹴散らし、この場に至ったか。ジョルノ・ジョバァーナ」

 

「本体が姿を現すとはな。どうやら死ぬ『覚悟』は決まったと、そーゆー事か?」

 

「ふふ・・・言っていなかったか。『ピルグリム』は我ら13人が編み出したスタンドだ。この場にいるのは私のみ。もちろん、私を殺す事は可能だが、無駄な事だぞ?ジョルノ・ジョバァーナ。我らのうち一人でも生きておれば、『ピルグリム』は存在し続ける」

 

 なるほどな。スタンドの本体が複数いるタイプのスタンド。それは僕にとっても初めて出会うタイプのスタンドだったが、どおりで強力なわけだな。

 

 僕はゆっくりとプールの端を歩いて、キール・ローレンツへと近付いていく。だがキールは、僕とプールを挟んだ対角線に移動して、僕の接近を避けようとしているようだ。

 

 小物。碇ゲンドウと初めて出会った時も思ったが、コイツらももしかして、なのか?いや。奴の顔からは強者の余裕が感じられる。奴はここで、僕との戦いに決着を付けるつもりでいるようだ。

 

「焦らずとも良い。儀式の贄は今ここに揃った。我らの宿願はこの後に果たされるであろうが、その前の余興に貴様と戯れるのも悪くは無い」

 

「そー思うんなら、そっちから近付いてきたらどうだ?逃げ回るばかりか、お前らは」

 

「ふふふ。いいだろう。我らが『運命』と貴様の運命。どちらがこの先を生き残るのか、最後の戦いといこうではないか」

 

 途端、プールの真ん中に浮かんで現れたのは奴らのスタンドである『ピルグリム』。僕も傍に『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』を出現させ、フワリと浮かび上がった。

 

 僕はプールの真ん中まで飛んでいき、『ピルグリム』と対峙する。・・・まぁ本当はこんな、タイマンみたいな事をする必要はないんだがな。

 

 だが、キールに近付くためにこのスタンドとやり合う必要があるのは確かだ。

 

 僕の足元で、プールの水面がザザザザ・・・と音を立てて波打っている。僕と奴らのスタンドパワーがぶつかり合い、空気がドドドドドドドド・・・・・・とうねりを上げていく。

 

「どうした?ジョルノ・ジョバァーナ。来ないのか?射程距離だぞ?」

 

「・・・・・・・・・生き残るのは」

 

「んん?」

 

「この世の『真実』だけだ。真実から出た『誠の行動』は決して滅びはしない。お前の行動が『真実』から出たものなのか。それとも上っ面だけの邪悪から出たものなのか?それはこれからわかる」

 

「・・・・・・ふ、ふふふふふ」

 

「あんたらは果たして滅びずにいられるのかな?『ゼーレ』」

 

「ふふふふふふふふ!我らの行動が真実か、だと?『決まっている』!我らは所詮、貴様も含めて『運命の奴隷』なのだ。全ては神が定めし『運命』。我らの運命はすでに決まっており、誰にも覆す事はできない」

 

 僕と『ピルグリム』の距離が近付く。

 

「『貴様は果たして滅びずにいられるのかな?』ジョルノ・ジョバァーナ・・・・・・」

 

 空気がピィンと張り詰めていく。そして──。

 

 

 

 

 

「無駄ァァアア!!」

 

【無駄ッ!!】

 

 

 

 

 

 『レクイエム』の拳を、『ピルグリム』が捌く!

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄・・・・・・ッ!!」

 

 拳のラッシュ!それを全て左手だけでガードした『ピルグリム』が、右の拳で襲いかかってくる!

 

【ウシャオオオッ!!】

 

「無駄ダァーッ!!」

 

 『ピルグリム』の攻撃は強力だ!重い!一撃一撃が、まともに喰らえば致命傷になるだろう!

 

 だが、『それだけ』だ!コイツの拳に能力はない!ただの強力な拳だ!それを防ぐだけなら簡単だが・・・!

 

【脇が甘い】

 

 奴の蹴りが飛んでくる!僕はその蹴りを右足で受け止めて、その勢いを利用して跳躍する!

 

【逃がさん】

 

「逃げるとでも思ったのか?」

 

 下から迫る『ピルグリム』に、僕は蹴りの嵐を見舞った!

 

【ぬ!ぐぅ!?】

 

「WRYYYYYYYYYYッ!!」

 

 『レクイエム』の蹴りのラッシュだ!いくらお前が強力なスタンドだろーと、これを防ぎ切るのは無理だろうッ!

 

【ちぃ】

 

「逃すか!」

 

【逃げるとでも思ったのか?】

 

 コイツ、一旦距離を置いて再び突っ込んでくる気か!だったら!!

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄・・・・・・ッ!!」

 

【ウオシャーーーーーッ!!】

 

 『ピルグリム』と『レクイエム』の拳がぶつかり合い、空気が破裂していく!だが、僕の拳を受けたな!『ピルグリム』!

 

「『レクイエム』は今、発現する!!」

 

 拳を受けた『ピルグリム』のスタンドパワーを『0に戻す』!奴のスタンドが霧のように消えた隙を突いて、僕はキール本体に突っ込んでいった!

 

「くらえ!ゼーレッ!」

 

「無駄だぞ、ジョルノ・ジョバァーナ!」

 

 僕の眼前に一瞬で現れた『ピルグリム』が、僕の攻撃を防ぐ!やはり、奴の『運命の強制力』は強すぎる。無敵だ・・・奴のスタンドを乗り越えて本体を叩くには、何かの策が必要だな。

 

「『ゴールド・エクスペリエンス』!!」

 

 僕は咄嗟にプールサイドの床面に生命エネルギーを叩き込む!そこから巨木が一気に伸びてきて、『ピルグリム』とキールを絡めとる!ベネ!奴に隙ができた!

 

「終わりだ!キール・ローレンツ!!」

 

 僕の拳が奴に届く!そう確信した僕の眼前に、信じられない光景!

 

「な、なにィィイイイイイイ!?」

 

 僕の前に現れたのは、別の『ピルグリム』!複数だと!?スタンドは一人に一つだけではないのか!?

 

「違うな、ジョルノ・ジョバァーナ。スタンドは一人につき『一能力』だ。我らのスタンドは『運命の強制力』だ。それを逸脱させないために、『運命』はあらゆる力を用いるのだ」

 

 ・・・!そういう事か!あくまでもこの場に於いて、ゼーレは倒せないって事らしいな!だが、それが奴と僕の『運命』だと言うのなら!

 

「乗り越える!その『運命』を!」

 

 複数に増えた『ピルグリム』が僕に襲いかかってくる!それを『レクイエム』が片っ端から消し飛ばしていき、しかし、それを上回るスピードでヤツのスタンドが増殖していく!

 

 これは、泥沼の戦いになりそうだ。僕がそう考えた時だった。

 

 

 

 

 

 

「『レクイエム』を・・・・・・」

 

 

 

 

 

 キール・ローレンツが胸ポケットに手を突っ込む。取り出されたのは──、

 

 

 

 

 

「貴様しか使えないとでも思っていたのか?」

 

 

 

 

 

「!!?」

 

 『矢』、だと!?しかも、それは!

 

「我らの真の能力。お見せしよう」

 

 『レクイエムの矢』!!?

 

「知るが良い。我らのスタンドが、まさに『世界の理を操る能力』であると・・・・・・」

 

 

 

 

 

    【ルール・ザ・ワールド】

 

 

 

 

 

つづく

 

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