ミサト「あなたが碇シンジ君ね?」ジョルノ「いえ、違います」【完結】   作:サルオ

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 どこだ、ここは──。

 

 真っ白だ。何も見えない──。

 

 何も、聞こえない──。

 

 何も、感じない──。

 

 僕は死んだのか?

 

 いや──。

 

 微かに、しかし確かに、感じる。

 

 死んだ、という割には、色々なものが感じられる。そうだ。僕以外にも、ここには目には見えない『誰か』がいる。

 

 そうだ。僕の周りに『魂』を、無数の生命の鼓動を感じる。

 

 僕は、不意に手を伸ばす。そこから現れたのは、誰かの『魂』。

 

 

 

『君の言うことなんて信じられない』

 

 

 

『あなたは私の宝物よ』

 

 

 

『ママ、ぼくのこと、嫌いなの?』

 

 

 

『あんたなんて、いてもいなくても同じじゃないか』

 

 

 

『大嫌い』

 

 

 

『愛してる』

 

 

 

『世界なんて滅べばいいのに』

 

 

 

『もっと生きたかった』

 

 

 

『俺を裏切ったな』

 

 

 

『良くやったな、見直した』

 

 

 

『行かないで』

 

 

 

『絶交よ』

 

 

 

『どうしてわかってくれないの?』

 

 

 

『なにもできないくせに』

 

 

 

 ああ。そうか。ここは、『魂の世界』。

 

 僕も溶けて、一つになったと、そーゆーワケか。

 

 ゼーレのスタンド、『ルール・ザ・ワールド』。その能力が、これなのか。

 

 確かに、ある種の心地良さのようなものはある。だが、ここには『誰も居ない』。互いに言葉を交わし、手で触れ合える相手はいない。

 

 『究極の孤独』。世界を、人類を一つにするとは、つまりはそういうことだ。

 

 何もない。誰も、居ない。ただそれだけの世界。

 

 ・・・・・・こんなものが!

 

 幸福であるなどと、反吐が出る!

 

 他者との繋がりのない、寂しい世界だ。

 

 これは僕の『夢』に反する行為だ。

 真っ向から否定してやるッ!

 

 このジョルノ・ジョバァーナには『夢』がある!

 

 僕は形を失った自分の身体をイメージする。魂の形をイメージする。

 

 僕のスタンド。それは『生命を与えるスタンド』。

 

 例え僕の身体が失われても、ここは生命の起源の世界だ。

 

 ここにはカタチを失った魂たちがひしめき合っているんだ。

 

 このふざけた世界をぶち壊すのは──!

 

 魂たちに再び呼びかけるのは──!

 

 もう一度言う。僕のスタンド──!

 

 『ゴールド・エクスペリエンス(黄金体験)』だッ!!

 

 

 

 

「ジョルノ・ジョバァーナ。奴のスタンドは『生命の樹』と化した。この『生命の樹』をもって、人々の補完を──ッ!?」

 

 LCLのプールがゴボゴボと泡立つ。

 

「な!バカな!?これは──!」

 

 

 

 

 

「人々の補完を、なんだって?」

 

 

 

 

 

 僕はプールからザバッと顔を出した。この液体、相変わらず味はサイテーだな。だが今は、この味が勝利の美酒のように感じるよ。

 

「ばかな!どうやって!?」

 

「ばかな?どうやって?面白い質問の仕方だ。お前たちは僕のスタンドの事を知っていたんじゃあないのか?」

 

 僕はプールから立ち上がると、『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』を発現させて宙に浮かび上がった。

 

「僕のスタンドは『生命を与える』能力。LCLという生命のスープに、僕のスタンドで僕の肉体を作り出した。そこに僕の魂が入りこみ、僕はこうして復活を果たした、というワケだが」

 

 僕は眼下のLCLのプールを指差した。

 

「『生命』を与えたのは、『僕だけじゃあない』・・・ここに溶けていた『全ての魂に肉体を与えた』・・・・・・ッ!」

 

「な、そんな・・・・・・!」

 

「お前の次のセリフは『バカな!あり得ない!』だ・・・!」

 

「バカな!あり得ない!・・・・・・はっ!?」

 

 キール・ローレンツの驚愕と共に、プール全体が黄金の光を放ち始める。それが最高潮に達して輝きが爆発すると、プールには老若男女さまざまな人たちが浮かんでいた。その全員が目を覚ますと、誰も彼もが不思議そうにプールから起き上がってくる。

 

「バカな!バカなバカなバカな!!神の儀式だぞ!?たった一人の人間が、たかが中学生の小僧がッ!たった一人で我らの『神の儀式』を跳ね除けたというのか!?」

 

「神の儀式とかなんとか謳っているが、はっきり言ってこんなのはどうという事も無かったがな。それよりも、お前らはこの場にいた人々の魂を『侮辱』したな?僕が許せないのはそこだ。お前らは本気で人々を救い、この中の人たちにもそれを信じた者がいたのは確かだろう。だが──」

 

 僕は空中を蹴ると、キールの前まで跳んでいき、目の前のプールサイドに着地した。

 

「お前らは、自分が悪だと気付いていない・・・もっともドス黒い『悪』だ・・・ッ!」

 

「黙れ!ジョルノ・ジョバァーナ!!お前が神の儀式を破ろうと、我らの真実は!『運命』は変わらんッ!!『ピルグリム』ッ!!」

 

 奴の背後に、『ピルグリム』が姿を現した。だがソイツは悪手って奴なんじゃあないか?キール・ローレンツ。

 

「な、何ィィイイイイイイ!!?」

 

 『ピルグリム』はキール・ローレンツを羽交締めにする!その意味するところはッ!!

 

【我らの運命は決まった・・・我らに『死』は訪れない。その幸福を、我らは噛み締めよう】

 

「バカな!?我らの『運命』は・・・神は!我らを見放し給うたのかぁーーーッ!?」

 

「自分を知れ。そんなオイシイ話があると思うのか?お前らのような人間に──!!」

 

 僕の『スタンド』が光り輝く!

 

「人間讃歌は『勇気の讃歌』!人間の素晴らしさは『勇気の素晴らしさ』だ!!」

 

 死を恐れるだけではない!立ち向かう事もできる!だからこそ、人間は誰もが輝けるんだ!

 

 お前らにそれを謳ったところで、結局のところは──ッ!!

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァアアアアアッ!!」

 

「ぐばぁあああああああああああああああ・・・・・・ッ!!」

 

「無駄って奴なんだがな。無駄無駄」

 

 キール・ローレンツの身体が吹き飛ばされる。

 

「ま、まだだ!ジョルノ・ジョバァーナ!!まだ私は死んではいな・・・・・・」

 

「『終わりがないのが終わり』。それが『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』」

 

 僕の言葉と同時に、僕は目の前で佇んでいた『ピルグリム』にトドメの一発を喰らわせた。

 

【オオオオオオオオオオォォオオオ・・・・・・】

 

 目の前で、『ピルグリム』が消滅していく。それに合わせて、目の前のキール・ローレンツが。いや、プールを取り囲んでいた全てのモノリスから悲鳴が聞こえてくる。どうやらスタンドのダメージが、本体たちに返っていったようだな。

 

「ぐおおおおお・・・・・・我らは、私はァァアア!?」

 

「ゆっくりと味わうがいいぜ。お前らの望んだ『不死』という奴をッ!!」

 

 僕が最後のセリフを吐くと同時に!

 

 奴らのモノリスと、キール・ローレンツの姿は煙のように消えていった。

 

「お前らに残された道はそれだ!死のうと思っても死ねない!それだけだ!」

 

「は、はは、ははははははははははは!良い!全て、これで良い!これで、我らは、神のみもとに・・・・・・」

 

 そう言い残し、キール・ローレンツの姿はかき消えた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 終わった。僕のやるべき仕事は。この世界で僕の果たすべき責務は、今この瞬間に終わりを迎えた。

 

 僕はこの世界に来て、やるべき事を全て終えたんだ。

 

 『碇ユイ』さん。見ているか?

 

 終わったよ。あとは。

 

「貴女の息子を信じればいい。それだけだ。彼は『立ち向かえる者』だから、な」

 

 

 

つづく

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