ミサト「あなたが碇シンジ君ね?」ジョルノ「いえ、違います」【完結】 作:サルオ
雄叫びと共に、シンジ君がエヴァを突進させる!
「うおおおああああああああッ!!」
それを迎え撃たんと、初号機よりも二回りはデカい黒い巨人、『生まれし者』が両手をグンッと伸ばしてきた。
だが──、
「無駄だ」
僕がエヴァンゲリオンを操作し、一瞬にして巨人の両腕を初号機の脇で締め付ける。
「やれッ!シンジ君ッ!!」
「うおおおおッ!!」
シンジ君は敵の腕を力任せに捻る。本来であれば曲がるはずのない、あり得ない方向に。
『生まれし者』の両腕が、バキバキバキッと音を立てながら、捻り折られた。
「お返し、だな」
「こん、のォォオオオ!!」
シンジ君が巨人の腹に足を乗せ、力任せに蹴り飛ばす。だが──ッ、
「お、重い!?」
「くう!?」
巨人はその場に踏みとどまり、折れたハズの腕をビュルンと振るう。完璧に折れていたその両腕が、あっという間に元の形へと再生した。
「マズい!下がるぞ、シンジ君!」
「うん!」
僕たちは急いで『生まれし者』から距離を取った!途端、奴の目から光が放たれる。これは──ッ!
「使徒の光線か!」
「加粒子砲、だったっけ!?」
初号機が真横に跳ぶ!今まで初号機が居たところを、一条の光が横切った。爆炎こそ上がらないが、この威力。マジに第五の使徒のようだ。
「奴から距離を取らなくては!シンジ君、行けるか!?」
「いや、ジョルノ君!距離を取ったら負ける!奴に近付くんだ!奴の攻撃を掻い潜って、奴の足元まで!」
「──ッ!ベネ!それで行こう!」
初号機は生命の海を飛ぶ様に移動する!その後を追う様に、『生まれし者』が光線を放ってくる。すぐ後ろを致命の光線が横切っていく様は、なんとも背筋が凍るものがあるな!
「くそ、近付けない!何か策はないかな!?」
「援軍がいればいいんだが、な!」
初号機の右手が生命の海をかき分けるように振られる!その勢いを利用して、初号機は空中を直角に曲がると、『生まれし者』へと向かって一気に近付いた!
『生まれし者』の視線と僕らの視線が絡み合う。奴の攻撃は目から放たれる。奴の瞳が光った瞬間!
「はぁッ!!」
シンジ君は初号機を急降下させた!僕たちの頭上を光線が通り過ぎていく。その一瞬の隙を突いて、初号機はとうとう『生まれし者』の足元へと辿り着いた!
「いくよ!ジョルノ君!」
「ああ!」
「「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!」」
初号機が両手にATフィールドを纏う。その拳が『生まれし者』の腹に叩き込まれていくが──、
「くそ、デカいだけはあるな!」
「重い!あまり効いていないみたいだ・・・!」
拳を叩きつけている僕らの上空に、一瞬の気配を感じる。それはある意味、拒絶の意志と言ってもいいだろう。
次の瞬間、巨大なATフィールドの鉄槌が、僕たちに叩き込まれていた。
「ぐああ!?」
「ぐ・・・ッ!」
これも使徒の技だったな、確か!ATフィールドを攻撃に転用した鉄槌!確かラングレーがこの技を使うのが得意だったな。
四方八方からATフィールドが叩き込まれていく。僕たちは逆張りにATフィールドをぶつけることでなんとか中和していたが、叩き込まれるATフィールドの数が多すぎる!
「「くっそ!!」」
二人して舌打ちをしながら距離を取る。そこを狙ったかのように、『生まれし者』の怪光線が僕らを襲った。
「うお!?」
「しまった!!」
「あなた達は死なないわ。わたしが守るもの」
僕たちの目の前に飛び出してきたのは、かつて山吹色だった機体。どういう訳かそのカラーリングは青に変わっていたが、これは──。
「エヴァ零号機!?」
「来てくれたか!綾波さん!」
いつかの大楯を構えた零号機の姿だった。
「ここがどこだかはわからない。けれど、あれがわたしたちの敵、ね?」
「そうだ!碇ゲンドウもあの影に囚われている。アイツをどうにかしない限り、碇司令に接触するのは難しいだろーな」
「綾波!力を貸してくれる?」
「もちろん」
2体のエヴァが、並び立つ。それを鬱陶しいとでも言いたげに、『生まれし者』が咆哮を上げた。
だがな。
「隙ありィィイイイイイイ!!」
【 ! ! ? 】
その後頭部に、飛び蹴りを喰らわす赤い影があった。こんなダイナミックなエントリーをかましてくるのは。
「アスカ!!」
「バカシンジ!アタシを忘れんじゃないわよ!いつも通り、四人でこのデカブツをやるわよ!」
「ッ!うん!やろう!!」
エヴァンゲリオン弐号機とラングレーだった。先ほどの初号機の右手。それが世界を探って蘇らせたのは、綾波さんとラングレーの魂だった。その二人の声に応えて、彼女達のもとにエヴァも出現してくれたらしーな。
「ジョバァーナ!あんたね、レディを起こす時はもっと優しくしなさいよ!」
「え、どうやって起こしたの?ジョルノ君」
「叩き起こした」
「それはダメでしょ!?」
シンジ君からダメ出しを喰らったが、今はそんな事どーでもいい。これでエヴァは三体に増えた。なら、いくらでもやりようはある!
「まったく!ママもあんな起こし方をされて、ちょっとビックリしてたんだからね!あんた、後でマジに謝んなさいよ?」
「ここを潜り抜けられたらな」
僕の言葉を合図に、三体のエヴァが息のあった連携で散開する。『生まれし者』の攻撃を躱し、防ぎ、隙を見てヤツに攻撃を仕掛けていくが──。
「まるで効いてないじゃない!どーすんのよ!」
「攻撃が重い・・・大楯も壊れそうだわ」
「なにか、何か武器があれば・・・・・・」
「武器っつってもプログナイフぐらいしかないわよ!」
ちぃ、確かにな。僕らの攻撃はヤツにはあまり効いてないらしい。このままじゃあジリ貧だな。僕のスタンド、『レクイエム』の力もヤツには効き目があるのかわからない。なんせリリスに弾かれたからな、僕の『レクイエム』は。
何か、何かいい手はないか!?
「お困りかい?」
!
この声は──!
「カヲル君!!」
「やぁ、シンジ君。何やら凄いことになっているね。まさかアレを呼び起こす事になるなんて」
「ッ!ヤツを知っているのか!?」
「ジョジョ、きみも気付いているんだろう?アレはアダムとリリスの禁断の融合から『生まれし者』だ。アレは僕たち、アダムやリリスを生み出した者、『第一始祖民族』の末裔と言えるだろうね」
「『第一始祖民族』?」
「面倒だから説明は省くけど、ヤツを止めるための手段ならあるよ」
そう言うが早いか、渚カヲルの左手から光が漏れてくる。そこから現れたのは、
「ロンギヌスの槍!?カヲル君、どうしてそれを・・・」
「君のお父上がこの世界に取り込んだものを持ってきたのさ。奴を止めるための手段だ。何かの役に立つと思ってね」
「役に立つどころじゃあないな!今はその槍に賭けるしかない!」
初号機が渚カヲルからロンギヌスの槍を受け取る。その槍を構えて、初号機は『生まれし者』を見据えた。ヤツの攻撃は苛烈になる一方だ。なんとか隙を見つけなくては・・・!
「綾波!アスカ!」
「!」
「なによ!シンジ!今、忙しい・・・って、ロンギヌスの槍ぃ!?」
「アイツに特攻を仕掛ける!その間、なんとかヤツの攻撃を凌いで・・・」
「隙を作れって!?」
「やれる!?」
「誰に言ってんのよ!レイ!行ける?」
「大丈夫。やれるわ」
僕らの前で、弐号機と零号機が並び立った!二体のエヴァが『生まれし者』の前に立ちはだかると、
「レイ!合わせられる!?」
「いける。一回やってみたかった」
「オッケー!いくわよォ!!」
「「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」」
二体のエヴァの拳のラッシュが、『生まれし者』のATフィールドを押し返していく!
【 キ エ ロ ! ! 】
「だぁれがッ!」
「きえない・・・・・・ッ碇くん・・・!」
「うん!いくよ!ジョルノ君!!」
「ああッ!」
「「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYAッ!!」」
雄叫びを上げて、僕らは綾波さんとラングレーが切り開いてくれた道を駆けるッ!手にはロンギヌスの槍ッ!それを思い切り突き出して!
【 ! ! ? 】
入った!!今だ・・・ッ!!
「「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァアアーーーッッ!!」」
ロンギヌスの槍の石突に、拳を叩き込んでいく!槍は『生まれし者』にどんどんと深く突き刺さっていく!
【 グ オ オ オ オ オ ! ? 】
ベネ!完全に、ヤツの身体を貫いた!ヤツの動きが鈍くなる!
だが──ッ!
【 キ エ ロ ! ! 脆 弱 ナ 者 ド モ ! !】
ヤツの言葉と共に『生まれし者』の体が大きく膨らんだかと思うと、その巨体から光が発せられた!
まさか、自爆!?いや、違う!!
途端に僕らを、世界を滅ぼせそうなほどの力の奔流が!眩い閃光が襲う!!
「うわぁぁああああああああ・・・・・・!?」
「うぐ、うおおおおおおおお・・・・・・!?」
や、槍!槍がその爆発的な光を何とか防いでくれている!だが、押し切られる!このままでは、吹き飛ばされる!
その槍を──!
「シンジッ!!」
「ジョルノ!!」
綾波さんとラングレーが支えてくれる!
「アスカ!綾波!!」
「くぅ!ダメ!?押し返せない!!」
「ち、力が、違いすぎる・・・・・・!」
初号機、零号機、弐号機の三体のエヴァンゲリオンが必死に槍で押し返すが、ダメだ!このままではやられる!
「ジョジョッ!!」
渚カヲルが叫んでいる!僕の名を呼んだように聞こえたが、マズい!もう、保たない!
「思い出せ!ジョジョ!君がこの世界に来た理由を!その意味を!」
!!
「君はシンジ君を、この世界を救うために来た!ぼくじゃなかったんだ、君が選ばれたんだ!その意味を、思い出せッ!!」
僕がこの世界に来た、意味・・・・・・?
僕が『来た』意味・・・。
いや、違う。そうだ。僕は、『選ばれた』んだ。
誰に?『碇ユイ』さんだ!
なぜ?『貴方にしかできない事』だからだ!
僕は槍を握ったまま、その名を叫んだ!!
「『ゴールド・エクスペリエンス』はいまッ!!発現する!!」
僕のスタンドパワーは!これで最後だ!全部をくれてやる!
その瞬間、僕の中で決定的な何かが切れた気がしたが!構うものか!
僕の最後のスタンドパワー!それが意味するところはッ!!
「シンちゃん!ジョルノ!私達も戦うわ!」
葛城さん!
「シンジ、助けに来たで!」
「凄い凄い凄い凄い凄い!なんだ、これ!?まさにクライマックスじゃないか!」
「きゃあ!なに?なんなの、これぇ!」
トウジ君!ケンスケ君!洞木委員長まで!
「いやはや、ジョルノ君。まさかこんな土壇場で君に呼び出されるなんてな。君と同盟を組んで、本当に正解だったよ」
今度は加持さんか!
「まさか、人類補完計画がこんな形になるとは、な。私も流石に見抜けなんだか」
「ゲンドウさんも、相変わらず詰めが甘いのね」
冬月副司令に赤木リツコ博士も!
「俺たちも!俺たちもいるぜ!」
「こんな場面で俺たちができることなんて限られているが」
「それでも、もう滅びたりしないわ!」
青葉さん、日向さん、伊吹さん!
そして、この世界に溶けていたすべての魂が、今、蘇っていく!
全人類が、いや、この星のすべての命が!滅びを目の前にして今、この瞬間!!僕たちの背を押してくれている!!
「シンジ君」
「──!?ジョルノ君!」
「これが君が築いてきたモノだ。君が覚悟の道を示してきたから、彼らがいる。この世界が、君の背中を押してくれているぜ?」
「────ッ!」
「あと、一息だ!シンジ君!」
僕は彼の背中に手を添える。その上に、もう一つ重ねられたのは女性の手。
『碇ユイ』さんが、シンジ君の背中を押していた。
「母さん・・・・・・!」
眩い閃光を浴びながらも、シンジ君の目がゆっくりと、決意と共に開いていく!
「思い出したよ・・・・・・この手が何のためにあるのか・・・・・・僕が何のためににここにいるのか・・・・・・!」
──忘れないでね。母さんと約束しましょう。
──この先、何が起こっても、
「やっと、思い出した・・・・・・!!」
──世界中の人たちの幸せを、
「思い、出せた・・・・・・ッ!!」
──あなたが守るのよ。
「ジョルノ君!!」
「ああ!」
「僕は、行くよ!!」
「ああ、行けッ!!」
手にした槍が、形を変える。二又の槍の穂先は巻き直り、一本の槍へ。
シンジ君の思いが、世界中の人々の意志が、その槍に宿る!槍が、光を帯びていく!
「今だ!シンジ君!!」
「「「「行けええーーーーーーーーーッ!!」」」」
「無駄ァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
初号機が槍を投げつける。その槍は、『生まれし者』の閃光を切り裂いて、その先にあった『生まれし者』を刺し貫いた。
そして──。
気が付けばそこには、今までになかった虹色の光が、この世界をまばゆく照らしていた。
つづく