ミサト「あなたが碇シンジ君ね?」ジョルノ「いえ、違います」【完結】   作:サルオ

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 シンジ君と共に葛城さんの家に厄介になって五日経った。

 

 その間、僕は名目上は中学生ということもあり、シンジ君の通う中学校に転校生として通うことになったりしたのだが、まぁ、それは別にどーでもいい。面白いニュースも無いしな。

 

 ・・・・・・いや、一つだけあったな。

 

 シンジ君がノックアウトした訛りの酷いジャージの少年に校舎裏に呼び出され、殴りかかられたんだったか。彼の妹さんの件は知っていたし、その点は僕にも思うところがあったので、とりあえず一発だけ殴らせてやった。

 

 

 

 だがその次の日の朝、ソイツは僕とシンジ君のところに来て開口一番、こう言ってきた。

 

「碇!ジョルノ!どついてすまんかった!ワシのこともどついてくれ!」

 

 それを聞いたクラスメート全員の目が丸くなる。そりゃあそうだろう。昨日の今日で、僕たちへの態度が180度変わったんだからな。

 

 まぁ、理由は簡単だ。僕とシンジ君とで、その日のうちにお見舞いに行ったのさ。彼、鈴原トウジ君の妹さんのところへ、ね。もちろんトウジ君には内緒で、だ。

 

 ネルフの監視、というより葛城さんが興味本位で付いてきてくれたのだが、僕たちはトウジ君の妹さん、サクラちゃんに簡単に自己紹介した後、僕の『ゴールド・エクスペリエンス』で彼女の傷を癒した。

 

 彼女は驚いたように僕たちを見つめたのだが、細かい説明をしてもしょーがないからな。シンジ君が彼女の頭を軽く撫でて安心させて終わり、だ。

 

 しかし、シンジ君。サクラちゃんの頭を自然と撫でるとは、年下の女の子相手とはいえなかなか粋なことをするじゃあないか。彼女の赤くなった頬と、潤んだ瞳。

 

「ありゃ完全に落ちたな」

 

「シンちゃんたら天然ジゴロよね〜」

 

「?」

 

 珍しく意見の合った僕と葛城さん。それに気付いていないシンジ君を連れて、病院を後にしたってワケだ。

 

 

 

 そんな事があったもんだから、鈴原トウジが僕たちのところに詫びを入れに来たってのはなんとなくだが、わかっていた。

 

「そんなのできないよ。僕だって殴り返しちゃったのに」

 

 シンジ君が苦笑する。そうだった。シンジ君は彼をカウンターでのしていたんだったな。

 

「せ、せやけどな」

 

「こーゆー恥ずかしいやつなんだよ、ま、それで丸く収まるんなら、殴っておいたら?」

 

 トウジ君と一緒にやってきた相田ケンスケ君が、苦笑しながらトウジ君の肩に手を置く。置かれたトウジ君はバツの悪そうに顔をしかめたが、その目はまっすぐで、僕たちから決して逸らさなかった。

 

「そ、そんな事言われても・・・」

 

「シンジ君は優しいな。僕だったら、一発殴るなんて無駄なことをするよりも、もっと別の事を要求するがな」

 

「じ、ジョルノ君・・・」

 

「なんや!ジョルノ、なんでも言うてみい!」

 

「言ったな?男に二言はないってわかって言っているんだろーな?」

 

「お、おうさ!」

 

 凄んだ僕に怖気付きながら、それでもトウジ君は僕から目を逸らさない。

 

 うん。なかなかガッツがあるじゃあないか。気に入ったよ。

 

「そうだな。それじゃあ・・・・・・」

 

 目の前のトウジ君がゴクリと唾を飲み込む。

 

「2本だ。ジュースを2本、僕とシンジ君の分。それでチャラでいいかい?」

 

「・・・・・・は?」

 

 おいおい。あんまり間抜けな顔を晒すもんじゃないぜ?僕は彼に微笑みかける。

 

「・・・は・・・ははは・・・あははははははッ!」

 

 毒気を抜かれたように、トウジ君は大声で笑った。

 

「なんや!お前、随分と欲のないやっちゃな!そんなんでえぇんかい!」

 

「欲がない?そんな事はない。ちゃんと味は指定させてもらうよ。シンジ君もそれでいいかい?」

 

「はは。ジョルノ君だって優しいじゃないか。うん、僕もそれでいいよ」

 

 二人して彼に笑顔を向ける。

 

「なんやなんやぁ!そんなんでえぇっちゅーんなら、こっちもお言葉に甘えさせてもらうで!なんでも好きな味を言えや!」

 

「そうかい?じゃあたまには「日本酒」ってヤツが飲んでみたいんだが」

 

「ジョルノ君!?」

 

「ははは!おもろいやっちゃで!ええで、親父んとこからパクってくるさかい!シンジもそれでええか!?」

 

「いや、僕は普通にコーラとかで・・・」

 

「こぉら!男子!私のいるところでお酒を飲もうとするなんていい度胸してるわね!」

 

「おっと委員長のお怒りだ!」

 

「こりゃあかん!とっちめられるで!一旦屋上に退散や!」

 

 トウジ君の言葉を皮切りに、僕たちは一目散にクラス委員長、洞木ヒカリさんから逃げ出した。

 

 うん。こういう子供らしいのもなかなか新鮮だ。意外と悪くなかったな。

 

 まあ、そんな事があって、僕たちはよく四人で連むようになったというワケだ。

 

 ・・・あまり面白くはなかっただろ?

 

 さて、そんな事があった五日間であったのだが、ここに来て、僕の頭を悩ます厄介な事件が起きた。

 

 二匹目の『使徒』の出現だった。

 

 

 

 

『目標を光学で捕捉、領海内に侵入しました』

 

『総員、第一種戦闘配置』

 

『了解、対空迎撃戦、用意!』

 

『第3新東京市、戦闘形態に移行します』

 

「へぇ。使徒って二匹目ではなかったんですね」

 

「正確には四匹目、第四の使徒と言えるわね」

 

 ネルフの更衣室で戦闘用アナウンスが流れていくのをききながら、僕は赤木博士に質問した。何やらみんなが「第四の使徒」といってるので、気になったためだ。

 

「前回の使徒は15年前に確認されているわ。それらと合わせて第四の使徒。何匹いるのかは私たちも判っていないけど。・・・・・・ところで、アナタのプラグスーツ似合っているじゃない?」

 

「赤木博士のデザインが良いんだと思いますよ。まぁ、僕としては本当は着たくないんだが」

 

 僕に支給されたプラグスーツ。濃いピンク色をしたそれは、僕の着ていた制服からインスピレーションを受けたらしい。正直言って肌にピッタリとくっついてくるので、僕としてはあまり歓迎したい代物でない。

 

 だが現在の僕の私服兼制服が一着しかないので、この件については諦めている。毎回LCLで水浸しになるのも嫌だからな。

 

「着たい、着たくないじゃないのよ。エヴァの操縦に見合ったスーツ。そういう代物なんだから」

 

「わかってますよ」

 

 僕は手首の排気ボタンを軽く押す。プシュッという軽い音とともに、スーツが僕にフィットした。

 

『中央ブロック、および、第1から第7管区までの収容完了』

 

『政府、および関係各省への通達、終了』

 

『現在、対空迎撃システム稼働率、48%』

 

 さて、そろそろか。

 

「シンジ君は?」

 

「すでにエントリープラグへ向かっているわ。無責任な言い方になるけども、アナタも頑張って」

 

「それ、シンジ君には言ったんです?」

 

 僕の問い掛けに、赤木博士は肩をすくめた。赤木博士はそのまま黙って拳を僕に突き付ける。

 

 僕はそれに拳を合わせて、コツンと軽く音を鳴らした。

 

『非戦闘員、および民間人は?』

 

『既に、待避完了との報告が入っています』

 

 戦闘用のアナウンスがネルフ内に響き渡るなか、僕は軽く息を吐いた。

 

「それじゃあ、行ってきます」

 

「ええ。気をつけて」

 

 赤木博士に、僕は手を軽く振ることで応える。

 

 さて、第四の使徒か。

 

 面白い。次はどんな苦境が僕たちを待ち受けるのか。少しだけ、楽しみだ。

 

 

 

つづく

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