ミサト「あなたが碇シンジ君ね?」ジョルノ「いえ、違います」【完結】 作:サルオ
「さぁってと!ちょーっち急がないとマズいのよね!」
「道ならわかりますし、僕が運転しましょーか?」
「な〜に言ってんのよ!未成年が運転できるわけないでしょ?良いからシートベルト!飛ばすから掴まって!」
まぁ、そりゃあそうだ。いきなり出会った中学生が運転なんて出来るはずがないからな。誰だってそー思う。僕だってそー思う。
まぁ実のところ、僕は運転できるのだが。ちょっと前まで空港でアルバイトしていたからな。もちろん無免許で。
さて、どーでもいいがこの女性。なかなかのドライブテクだ。市街地でコレだけ飛ばして事故らないところを見ると、もしかしてプロのスタントマンかなにかか?
「ところでジョルノ君だっけ?あなた結構度胸あるわね〜」
「え?」
「私の助手席に乗る男の子って大抵悲鳴上げんのよ?流石に中学生乗せたのは初めてだけど、悲鳴上げなかったのはあなたが初めてね!」
「・・・・・・慣れてますから」
嘘はついてない。むしろ安全運転なくらいだ。ちょっと前まではコレより酷い運転なんて日常茶飯事だったからな。その大半は僕が運転していたんだが。
そういえばミスタと一緒に運河に飛び込んだ事もあったな。それより酷い運転なんて、そうそう無いだろう。
そんな、どーでもいい事を考えながら、僕は窓の外をなんとなく眺める。お、ありゃあ戦闘機か?あの戦闘機、随分と低いところを飛んでるな。訓練か何かか?
それの後を追っかけるようにロケットが飛んでいく。
・・・・・・いや、よく見たら、ありゃあミサイルだ。巡航ミサイルってやつか?すごいな、生のミサイルなんて初めて見た──、
「なにィィイイイイイイッ!?ミサイルだってェェエエエエッッ!?」
「うわっ!ビックリしたぁ!?どーしたのよ突然、大きな声出して・・・!」
「どーしたのじゃあないッ!なんでミサイルが飛んでいるんだッ!ここは日本じゃあないのかァーッ!?」
「げぇっ!マジだわ!アイツらもうこんな市街地まで・・・・・・!」
「げぇっ!?ちょ、ちょっと待ってほしい!その口調・・・葛城さん!貴女なにか知ってるんじゃあないですか!?」
「ごっめん!ちょっと集中するから静かにしててッ!」
葛城さんがアクセルを蹴り込むと同時、僕の体がシートに押し付けられる。なんてこった!ここまでGがかかったのはミスタと一緒に運河に飛び込んだとき以来だッ!
僕は窓の外で飛んでいくミサイルの行方を必死に目で追った。
なんだ・・・?ここは平和な日本じゃあないのか・・・?なんだってこんな真昼間からミサイルが飛んでるんだ・・・?まさか、戦争でもおっ始まってるんじゃあないだろうな・・・?
何かが『おかしい』・・・!何かわからないが、この街は『ヤバい』ッ!
物凄いスピードで、ミサイルが小高い山の向こうに消えていく。次いで聞こえてくる爆音と──、
あろうことか、山のすぐ向こうで『爆炎』が上がった。
「な、なんだッ!?何かに着弾したのかッ!?あんな山の近くで・・・・・・」
「ジョルノ君!悪いんだけど、シンジ君てどの辺にいんの!?」
「そ、それは・・・・・・」
僕がその質問に答えようとした時だった。『ソレ』は山の向こうから、地響きと共に現れた。
「きょ、巨人・・・・・・ッ!?」
黒い巨人。そうとしか言いようがない。頭が体に埋まったようなフザケたデザインをしてはいるが、あんな巨大なものを見間違えるはずがない。
「ちぃ!アイツら、もうちょっと気張って足止めしなさいよッ!」
「か、葛城さん・・・ッ!」
「ジョルノ君!シンジ君はどこ!?早く教えて!」
絶対におかしい!彼女はあの怪物を見ても少しも驚いていない。むしろこの光景を受け入れた上で、急いでこの場から離れる最速の手段を模索しているように見える。いったい、この女性は『何者』なんだ!?
「ジョルノ君ッ!!」
「あ、あそこだ!あそこの公衆電話の前ッ!」
僕の目はフロントガラスの向こうにいるシンジ君を捉えた。葛城さんも確認できたのか、ハンドルを勢いよく切る。
その時だった。たった今気付いたのだが、僕たちの上空にはたくさんのヘリコプターのような機体が飛んでいた。そのうちの一機が、巨人の手から飛び出た爪に貫かれた。
・・・おいおい、ウソだろうッ!?こっちに墜ちてくるッ!!
マズいッ!僕の『スタンド』には、あんな巨大なものをどーにかするパワーは無いッ!
だが幸か不幸か、その機体は僕たちの車を通り過ぎていった。僕は安堵すると共に、目の前の光景に目を見開いた。
「シンジ君ッ!!」
機体はあろうことか、シンジ君目がけて墜ちていった。シンジ君は悲鳴を上げながらこちらに逃げてくる。
機体が墜落する。墜落した機体が爆発する。爆炎がシンジ君に襲い掛かる。
ダメだ。車のスピードは相当なものだが、まだ距離がある。このままではシンジ君は爆炎に巻き込まれる・・・ッ!
仕方ない。
『
僕は車体の外に自分の『スタンド』を出すと、
『無駄無駄無駄ァッ!!』
車道を思い切り『スタンド』で殴りつけた。
途端、そこから太い木の根が地面の下を伝っていき、シンジ君に向かって伸びていく。その木の根がシンジ君の足元のアスファルトを思い切り吹き飛ばした。
「う、うわぁッ!?」
傍から見れば、シンジ君が爆風に吹き飛ばされたように見えるだろう。
「シンジ君!」
葛城さんが悲鳴を上げながらハンドルを切る。凄まじいブレーキ音と共に、アルピーヌルノーが勢いよくスリップする。
僕は車のドアを開けると、車体の屋根に飛び乗り、飛んできたシンジ君をキャッチした。
「うわっ!」
「おっとと・・・」
車が止まると同時に、僕はシンジ君を抱えて車から飛び降りた。
「ごーめん、お待たせっ!シンジ君、ジョルノ君!大丈夫!?」
「え!?え!?」
「ふぅ。ここまで派手な体験をしたのは初めてだな。まぁ、これも経験て事でさ。勘弁してくれ」
僕は驚いて固まっているシンジ君を地面に降ろすと、乱れた服の襟を直した。
しかし、この奇妙な状況。果たしてどーしたものか。困った。
つづく