ミサト「あなたが碇シンジ君ね?」ジョルノ「いえ、違います」【完結】   作:サルオ

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 光の触腕ッ!!

 

 使徒の突起物の先端から伸びた触腕が、エヴァンゲリオンの腹部を貫いている!

 

 貫かれた傷が高温で焼かれる痛みは、

 

「うぎああああああ!熱いッ!痛いぃッ!」

 

 決してシンジ君が耐えられるものではなかった。

 

「こ、このッ!」

 

 僕は腹部に突き刺さったままの触腕に手を伸ばした。とにかく、これを引っこ抜かなくては・・・ッ!!

 

 だが。

 

「何ィッ!!?」

「あああああああああああああああッ!!」

 

 触腕を鞭のようにしならせ、使徒の触腕が僕たちに絡みついた。

 

 途端に全身に走る痛み!マズい、身動きが取れない!

 

『腹部および両腕の装甲融解ッ!』

『マズい、特殊装甲が持たないわ!』

 

「く、くそ!無駄ァッ!」

 

 両腕ごとぐるぐる巻きにされたエヴァでは拳が放てない。僕は咄嗟に蹴りを放ったが──、

 

「クソォ!」

 

 届かない!掠りはしたが、蹴りが届かないギリギリの位置にヤツはいる!

 

 マズいマズいマズいマズいマズいマズいマズいッ!

 

 今の僕たちは、蜘蛛の糸に絡め取られた獲物と同じだ。足掻けば全身の傷が悪化し、しかも打つ手がない!肩のパイロンに内蔵された大型ナイフも、この状態では取り出せない!

 

 しかも、

 

「ぎゃあああああああああああ!?」

「コイツ、どんどんと締め上げて──!?」

 

 この光る触腕の殺傷能力は高い。エヴァンゲリオンの装甲をいとも容易く貫いたのだ。このまま締め上げられれば、エヴァは輪切りにされてしまう!

 

 何か、何か無いか!

 

『エヴァを援護!全火力を使徒に浴びせて!』

 

 葛城さんの怒号とともに、兵装ビルたちが再び火を吹いた。だが、ATフィールドは中和しているはずなのに、敵が怯む様子はない。

 

『なんで効かないのよ!?』

 

 葛城さんの焦りが発令所内に伝播していく。これ以上の支援は望めそうにない。

 

 仕方ない。

 

「シンジ君!」

 

「うあああああ・・・ジョルノ、君・・・!」

 

「『覚悟』を決めろ!左腕を犠牲にする!」

 

「え・・・」

 

 僕は言うが早いか、右手で左腕の肘あたりについている装甲板に手をかけた。

 

「うぐぅぅぅうううう・・・・・・!」

 

「ぎゃあ!?痛い痛い痛い!やめてジョルノ君ッ!」

 

 シンジ君が悲鳴をあげるが、悪い!今は気にしている場合ではない!

 

 ベリィッという音とともに、装甲板を引き剥がす。生体部品と密接している装甲を剥ぐと言うことは、皮膚を引き剥がすという行為に等しい。

 

「ぎああああああああああああああ!!」

 

「ぐうう!すごく痛いッ!めちゃくちゃ痛いが!これでなんとかするしかないッ!」

 

 僕は引き剥がした装甲板を強く握りしめる。

 

「ゴールド・エクスペリエンスッ!!」

 

 右手から装甲板へ、生命エネルギーが流れ込む。生命を与えられた装甲板はみるみる内に巨大な樹木へと変わっていく。

 

「よし、『命中』した!」

 

 樹木が物凄いスピードで使徒まで伸びて、その巨躯を絡め取った。同時に、太い根っこがエヴァンゲリオンを覆う。

 

「幹も十分に成長したッ!これならッ!」

 

 僕はエヴァの両脚に力を込めると、巨大な樹木を利用して、使徒を無理やり持ち上げた。

 

「WRYYYYYYYYYYYYYYYYAッ!!」

 

 そのまま、コイツをぶん回す!

 

 僕たちの周りにあった兵装ビルに、使徒が激突する!倒壊するビルを無視して、次の、そのまた次のビルへと何度も何度も使徒を叩きつけるッ!

 

 エヴァを縛っていた触腕が緩んだ!だが、まだだ!

 

 僕は使徒をジャイアントスイングのように振り回して、どんどんと遠心力を溜めていく。

 

「無ゥ駄ァーーーーーーーーーッ!!」

 

 遠心力が十分に乗ったところで『ゴールド・エクスペリエンス』を解除!樹木がただの割れた装甲板に戻った途端、第三新東京市の端へと使徒が吹っ飛んでいく。

 光の触腕が、エヴァの腹からずるりとすっぽ抜けたッ!!

 

「ベネ!これで時間が稼げるなッ!シンジ君!」

 

「あ、あああ、ああ・・・」

 

『エヴァ全装甲の43%が損傷!』

『シンジ君!一旦引くわ!一番近くの射出孔まで走って!』

 

「シンジ君!後退だ、一旦引くぞ!エヴァのダメージが激しい!」

 

「う、うぅ・・・」

 

 マズいな、痛みと恐怖で混乱しているのか。今エヴァンゲリオンが見せた動きはシンジ君が「この痛みをなんとかしたい」って気持ちだったから上手くいったが、今は「逃げる」よりも「怖い」が優ってしまっている。

 

「シンジ君!立て!怖ければ逃げるんだ!さぁ、立って!」

 

 僕はシンジ君の肩を掴んで思い切り揺さぶった。だが──、

 

「うわあッ!」

「!?」

 

 ビル群の隙間を縫って、先ほどの光の触腕が鞭のように繰り出される。

 

『危ないッ!』

 

「ヒィッ!!」

 

 ビルを切り裂き、襲いかかってきた触腕をシンジ君は避けた。かろうじて、だが。

 

 だが触腕の勢いは止まらない。ビルを切り裂きながら、執拗に襲いかかってくる!

 

「うわあ!ああ、ああああ!」

 

 シンジ君は転がり周りながら逃げることしかできていない!

 マズい、僕が乗っていることでシンクロ率が上がっているのが逆にマズい!シンジ君の心の中は「逃げる」事でいっぱいで、「どこから退避するか」まで頭が働いていない!僕も必死に制御しようとしているが、どーしてもシンジ君の意思にエヴァが引っ張られてしまっている!

 

『何してるの!?早く立って!』

 

「シンジ君!こっちじゃない!右斜め前のビルの影だ!そこからなら逃げられるッ!」

 

「ああ、うわあああッ!」

 

 シンジ君がエヴァを操り、脱出孔へと駆け出した瞬間だった。

 

「え!?」

「!?しまっ・・・!」

 

 エヴァの左足に、光の触腕が絡みついていた。

 

「「うわああああああああああああ!?」」

 

 そのまま、光の触腕は僕たちを空高くへと放り投げた。

 

 僕たちは重力に引かれて、小高い山へと激突した。

 

『アンビリカルケーブル、断線!』

『エヴァ、内蔵電源に切り替わりました!』

『活動限界まで、後4分53秒』

 

『シンジ君!ジョルノ君!大丈夫!?ダメージは!?』

 

「う、くう・・・」

 

「うぐ・・・問題ない、葛城さん。まだ動け──」

 

 僕が周囲を確認しようと外の光景に目を向けた時だった。

 

「あ、あああ、あああああああああ・・・!」

 

 シンジ君も同時に、同じものを見た。

 

 それは、エヴァの指の間でサクラちゃんを抱きしめながら震えているトウジ君と──、

 

 

 

 

 

「ケンスケェーーーーーーーーーッ!!!」

 

 

 

 

 

 エヴァの指で、両脚を潰されて倒れている相田ケンスケ君の姿だった。

 

 

 

つづく

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