ミサト「あなたが碇シンジ君ね?」ジョルノ「いえ、違います」【完結】   作:サルオ

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 第10の使徒が悠々と僕たちを見下ろす中、エヴァの活動時間はどんどん少なくなっていく。

 

 内部電源が切れて動けなくなればエヴァはただの木偶の坊。内部電源のカウントはまさしく、パイロットにとっての生命のカウントダウン。

 

『シンジ!ファースト!一旦退くわよッ!』

 

 咄嗟に機転を効かせたラングレーの言葉と共に、僕たちは一目散に第三新東京市に向かって全速力で逃げ出した。活動限界の残り時間はもう20秒を切っている。周囲にアンビリカルケーブル設備はない。まずは、設備のあるところまで撤退しなくては・・・ッ!

 

 初号機が背後をチラリと振り向く。使徒はその悠々とした態度を崩さないまま、撤退する僕たちを首を傾げて眺めていた。

 

 その蛇の様な下半身が、まるでバネのように縮んだかと思うと、使徒の姿が一瞬にして掻き消えた。

 

「え?・・・ぐあッッ!?」

「な、なにッ!?」

 

 初号機の腰に突然襲いくる衝撃!くそ!?バネのように、ではない!バネそのものだった!使徒はその下半身に力を込めて、初号機に向かってバネの反動を利用して激突してきたのだ!

 

「うっぐ!?シンジ君!ここで倒れるな!まずはケーブルまで・・・・・・」

 

「うん!走るしか、ない!!」

 

 そう決意したばかりの初号機の身体に、使徒の細長い両腕がしがみついてくる。絡め取られた初号機を使徒は軽々と持ち上げると──、

 

「え!?」

「うおお!?」

 

 初号機を空高く、ぶん投げた。

 

『シンジ!?』

『ジョルノ!!』

 

「くっ!ラングレー!綾波さん!僕らに構うな!早くケーブルのところまで・・・ッ!」

 

 宙に放り投げられながらも、初号機は体勢を立て直して着地に備える。それだけの余裕はあった。高く放り投げられたお陰で、着地までの余裕は十分だ。

 

 だが、そこでふと気付いた。

 

 なぜ使徒は、わざわざエヴァを高く投げ飛ばしたのだろうか?

 

 ヤツの両手は槍状にも変化できたハズだ。今の速度で刺突を繰り出されていたら、間違いなく初号機は串刺しになっていただろう。

 

 なのに、それをしなかった理由はなんだ?

 

 投げ飛ばされた初号機の勢いが徐々に弱まり、フワリとした浮遊感が初号機を包む。

 

 その瞬間、初号機は大地へと物凄い勢いで『引き摺り下ろされた』。

 

「な!?」

「なにぃぃいいッ!?」

 

 これは、なんだ!?

 

 単純な重力だけじゃあない!何か別の要因も相まって、僕らは地面へと一直線に墜落していく!

 

『初号機腰部よりパターン青検出!』

『シンちゃん!ジョルノ!腰に・・・!』

 

 通信から葛城さんの悲鳴が聞こえた瞬間、エヴァ初号機は地面に激突した。

 

 僕たちの腰あたりで、ぐにゅ、という何か柔らかいものが潰れた感触。

 

 それを感じた瞬間、僕たちは巨大な爆炎と衝撃に包まれていた。

 

「「うあああああああああーーーッ!?」」

 

『シンちゃんッ!ジョルノォッ!!』

 

 く、くそ。そういう事か・・・・・・わかったぞ、この使徒の能力が・・・!

 

 だが、爆炎に包まれた初号機の活動限界は近い!マズいぞ、マズい!

 

「ジョ、ジョルノ君・・・!」

 

「くそ・・・!『ゴールド・エクスペリエンス』!!」

 

 僕は初号機の拳で近場の瓦礫を殴りつけた!途端、瓦礫に生命が与えられ、巨大な木の根が地面を掘り進んでいく。もちろん、負傷した初号機を絡め取った上で、だ。

 

 ダメージを負った初号機では、アンビリカルケーブルまで走っていくなどとてもできない!だが、生命を与えた巨大な木の根なら、初号機を運んでくれるだろうとは思っていた。

 

 爆煙を掻き分け、初号機が第三新東京市に向けて飛び出す!

 

『し、シンジ!!』

 

『ジョルノ!』

 

 ラングレーと綾波さんが、第三新東京市を走りながらもこちらを確認した。どうやら使徒の攻撃は、まだ二人には及んでいないようだ。

 

「二人とも!絶対、あの使徒に捕まらないで!」

 

 受けたダメージは大きいにも関わらず、木の根に運び出された初号機からシンジ君が二人に注意を促す。そう、あの使徒に捕まるのは『ヤバい』んだ!

 

 さっき空中に放り投げられた際に初号機に取り付けられたモノ・・・・・・それは使徒の『掌』だった。

 

 その『掌』は空中に浮かんでいた初号機を掴んだまま、第10の使徒の意志によって地面に向かって急降下した。もちろん、ATフィールドを伴って、だ。

 

 高度は些か足りないのだろうが、それでも攻撃に転用されたATフィールドの威力は絶大だ。ATフィールドの爆撃は、地面に衝突した瞬間、周辺の大地を抉り飛ばすような破壊力を見せたってワケだ。

 

 初号機はそれに巻き込まれたのだ。そのダメージは推して図るべし、だろう。

 

 木の根に運ばれながら、僕たちはチラリと使徒の腕に視線を向ける。ちょっとでも注意深く観察すれば、ヤツの右手が無くなっていた事に気付けるハズだ。

 

 もっとも、ムカつくことに、その右の掌は瞬時に回復したようだが。

 

『弐号機、零号機!ともにアンビリカルケーブル接続!』

『カウント停止!』

 

 よし!どうにか2機のエヴァンゲリオンは接続できたようだな。あとは初号機だけだが──、

 

「アスカッ!綾波ッ!」

 

 シンジ君の上げた悲鳴。それと同時に、初号機を追い抜く黒い風。

 

 第10の使徒が、巨木の根に運ばれている初号機の横を、蛇の如く下半身をくねらせながら瞬時に駆け抜けていった。

 

 狙いはもちろん、ケーブル接続を果たした二体のエヴァンゲリオン。一瞬の油断を突いて、使徒が弐号機と零号機に襲いかかる!

 

『きゃあ!?』

『んなッ!!こんのォ、舐めんなッ!』

 

 使徒の蛇のような下半身が唸りを上げて鞭のように振るわれた。弐号機は跳んで回避する事に成功したが、零号機は直撃を受けてビル群に激突し、沈黙してしまった!

 

 跳び上がった弐号機は右脚を振り上げる!ラングレーは振り下ろす蹴足と落下の勢いを利用して渾身のかかと落としを使徒に繰り出した!

 

 その一撃を左腕で難なくガードした使徒は、弐号機の足を『掌』で掴む。

 

「マズい!ラングレー!振りほどけ!」

『えっ!?きゃああッ!?』

 

 ラングレーの悲鳴と共に、弐号機が上空に放り投げられる!その脚には、使徒の『掌』が!

 

「アスカ!!」

 

『〜〜〜ッ!シンジ!あんたは早く、ケーブルを、うあッ!?』

 

 放り投げられた弐号機が、空中で右脚を引っ張られる様にして墜落し、地面に激突すると同時に爆炎に包まれる。

 

『きゃあああああッ!』

 

「アスカぁ!!」

 

「〜〜〜ッ!シンジ君!今はケーブルだ!後5秒もない!早く!」

 

 巨大な木の根に運ばれていた初号機が、どうにか活動限界ギリギリでケーブル設備に到達した。瞬時にケーブルを背中に接続した初号機が素早く立ち上がる。

 

「よくもアスカを・・・・・・ッ!」

 

「綾波さんの分もだ!返してやらなくっちゃあならないな!」

 

 僕とシンジ君の魂がシンクロし、目にも止まらぬ速さで初号機を使徒の眼前まで一瞬で運ぶ!

 

《GYUA!?》

 

 使徒が驚きの声を上げるが、知った事じゃあない!

 

「「喰らえッ!!」」

 

 初号機が右腕を振り上げた瞬間だった。その腕に、使徒の下半身が目にも止まらぬ速さで瞬時に絡みついた。

 

「な!?」

「速い!?」

 

《GYWOOOOOO!!》

 

 使徒は下半身の尻尾で器用に初号機を絡め取りながら、ギリギリッと初号機の右腕を締め上げていく!先ほど槍で貫かれた初号機の傷が開き、ブシューッと音を立てて血飛沫が舞った。

 

「くうッ!こんのッ!」

 

「無駄ァッ!!」

 

 絡め取られなかった初号機の左拳が唸りを上げて使徒に迫る!だが右腕に絡んだ使徒の尾に更に力が込められたかと思うと──、

 

「「!!?」」

 

 使徒はその下半身を器用に振り回し、初号機を地面にビタンッ!ビタンッ!と何度も叩き付けた。

 

「ぐ・・・!?」

「おあ・・・!?」

 

 こ、コイツ・・・・・・強い!なんだ!?この身のこなしは!

 

 使徒の表情は髑髏の様な仮面に隠れて窺い知れないが、その態度は3対1という使徒に不利な状況においても余裕を保っている。

 

 その仮面に、突如としてビルの瓦礫が投げ付けられた。瓦礫の一撃を受けた使徒の動きが一瞬止まる。

 

《GYU!?》

 

『碇くんとジョルノを、離して・・・!』

 

 投げつけたのは綾波さんだ。綾波さんと零号機が立ち上がり、崩れたビルの一棟を担ぎ上げると、使徒に向けて思い切り投げつけた!

 

 しかし、使徒はその投げつけられたビルを──、

 

《GSYAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!》

 

 拳のラッシュで以て、粉々に打ち砕いた。

 

 だが、砕かれたビルの破片に隠れて、先ほど地面に叩き付けられたハズの弐号機がすでに距離を詰めていた!

 

『お返しよ・・・・・・!』

 

 弐号機の両腕が、唸りを上げて使徒に襲いかかる!!

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ・・・!』

 

 弐号機の拳のラッシュが使徒を滅多打ちにしていく!使徒は初号機の腕に巻いていた尻尾を離し、勢いに任せて吹っ飛んでいった!

 

「ディ・モールト・ベネだ!ラングレー!」

 

『シンジ!無事!?』

 

「な、なんとか・・・!」

 

「『ゴールド・エクスペリエンス』!初号機の傷は瓦礫の破片を代用して塞いだ!痛みはまだ残っていると思うがシンジ君!ここからが反撃だ!」

 

 3体のエヴァがザッと立ち並び、使徒と向き直った。さっきまでとは違い、今度はケーブルも繋がっている状態だ。使徒相手に卑怯もクソもないだろーが、今度こそ、完膚なきまでに袋叩きにして叩き潰してやる・・・・・・!

 

 弐号機の拳のラッシュで吹き飛ばされた使徒がヨロヨロと立ち上がる。その追い詰められた様に同情を覚えなくはないが・・・いや、ないな。全然、カワイソーとは思わん。

 

「アスカ、綾波。一気に行くよ!」

『ええ・・・』

『今までの分、まとめて返さないとね!』

 

 3体のエヴァンゲリオンが腰を沈め、使徒に飛び掛からんと両脚に力を込めた瞬間──、

 

《GSYAAAAAAAAOOOOOOOO!!》

 

 使徒はその下半身をバネのように縮め、その反動でもって空高く飛び上がった。

 

 先程、大気圏を抜けて爆撃をかまそうとしてくれた、巨大な目玉のような使徒の遺骸に向かって。

 

『『「!!?」』』

 

 僕たちがその行動に驚いたことで出来た一瞬の隙。

 

 その隙をついて跳躍した使徒が、巨大な使徒の遺骸に着地する。

 

 そこから先は、信じられない光景。

 

『使徒の巨体が・・・・・・』

『そんな!?浮かび上がっていく・・・!?』

 

 発令所から、葛城さんと赤木博士の驚きの声が同時に届けられる。二人の発言の通り、地上に力無く横たわっていたはずの使徒の遺骸がフワリと浮かび上がり、徐々にその高度を上げていく。

 

「こ、コイツの能力・・・・・・まさか!?」

 

 僕は驚きを隠せないでいた・・・しかし、目の前で起きている現実から目を逸らす事もできない。

 

 僕はこの使徒の能力を、完全に見誤っていた。コイツの能力は、『自身の体の一部をATフィールドを纏った状態で自由に落下させる能力』だと、僕は勝手に思い込んでいた。

 

 違う・・・全く違う!!コイツの、真の能力は!

 

「自分の肉体を、『自由に持ち上げたり落下させる能力』だったのか・・・ッ!」

 

 僕たちの目の前で、目玉のような巨大な使徒の巨体が猛スピードで上空に浮かび上がっていく!

 

 よくよく思い返してみれば、使徒は地球に根付いた生物のハズだ。地球の奥深くで眠っていたアダムより生まれたハズの使徒が大気圏よりも上の領域に至る事ができるのだとすれば、それは使徒の能力によるものだという何よりの証拠!

 

 急上昇していく巨大な使徒の遺骸、その上に乗っかっている使徒の本体が、勝ち誇ったかのように僕たち3体のエヴァを見下ろしていた!

 

『う、嘘でしょ!?コイツ、まさか何度でも急降下爆撃が可能って事!?』

 

 発令所の葛城さんが発した悲鳴の通りで、恐らくそれが正解だ。

 

 コイツは、この使徒は!

 

 本体が死なない限り何度でもその身体を大気圏ぎりぎりの所まで浮遊させ、ATフィールドをまとって落下爆撃する事ができる!そういう能力!

 

『ど、どーすりゃいいの!?』

 

 ラングレーの悲鳴も空しく、目の前の使徒は急激なスピードで上空に浮かび上がっていく。最早エヴァの跳躍程度では届かない高さ、それこそ大気圏を越えて豆粒程度まで小さくなった使徒の上昇を、僕たちは黙って見ている事しかできない・・・・・・。

 

 

 

 

 

 ただし、それはあくまで個々人の力だけでは、って話だ!

 

 

 

 

 

 

「綾波さん!ラングレー!ATフィールドだ!『跳ぶ』ぞ!!」

 

 僕の指示に戸惑いながらも、僕の意図を一瞬で理解した綾波さんが、瞬時に零号機の両手を空にかざす!その掌から、強力なATフィールドが展開された!

 

 ATフィールドはその性質上、副次効果として強力な反発力を持っている。それを利用すれば、どうなるか──。

 

 弐号機、初号機と続いて、エヴァンゲリオン二体が零号機の展開したATフィールドに飛び乗った。先にATフィールドに脚を掛けた弐号機が、ATフィールドの持つ反発力を利用して高く高く飛び上がる!それに続くように、初号機もまた!

 

『シンジ!!』

 

 飛び上がり、初号機の遥か上空で弐号機が初号機を掬い上げるようにしてATフィールドを展開する!まるでバレーボールのトスのように、それを足場として、初号機は更に上空へと飛び上がった!!

 

「逃がさない!!絶対!ここで!仕留めてやる!!」

 

 シンジ君が弐号機のATフィールドを足場に、初号機を更に飛翔させる!それは先に浮かび上がり、大気圏ギリギリまで上がってきた第10の使徒を軽々と飛び越えて・・・・・・!

 

「おおおおおおおおおおおおッ!!!」

 

 眼下の第10の使徒を仕留めるために、重力を味方につけた初号機が、自身の真上にATフィールドを展開!それを反転して蹴り付けることで、初号機が全身全霊で以て使徒に踊りかかる!!

 

「シンジ君!ここで決めるぞ!」

「わかってる!ジョルノ君!合わせて!」

 

 地球と宇宙の間で炎に包まれた初号機が!

 

 ATフィールドの反発力と地球の重力を利用して、第10の使徒本体へと襲い掛かる!

 

「「今度こそ!!食らえッッ!!」」

 

 自身の危機を察した第10の使徒本体の蛇のような下半身が、迫り来る初号機の腰に下半身を巻き付けて動きを封じようとする。

 

 だが、今更そんなの関係ない!無駄なんだ!使徒が初号機に絡みつこうが、もはや関係ない!

 

 例えお前がどれだけ強力な使徒であろうと!

 

 お前は今、この場で!

 

 始末する!!

 

 

 

《GSYAAAAAAAAOOOOOOOOAAAAA!?》

 

 

 

 

「「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァアアッ!!!」」

 

 

 初号機が繰り出す拳のラッシュに、使徒が必死に応戦する!

 

 使徒と初号機の拳が空中でぶつかり合い、火花を撒き散らしながら、初号機と使徒は絡み合ったまま使徒の遺骸から滑り落ち、重力に引かれながら空を落ちていく!

 

 初号機と使徒。二つの生命体が自身の命を賭けて空中を落下しながらも拳で殴り合う!

 

 だが、関係ない!僕たちの拳か、お前の拳か!どちらが速いのか、この空の上で、今!決着を着けてやる!

 

 初号機と使徒が、勢いを殺さずに目玉のような使徒の遺骸から落下!大気圏の空気摩擦に焼かれながらも空中で拳のラッシュを撃ち合う!

 

 ・・・だが、残念だ。少しだけ僕のプライドが傷付いたが、認めてやるよ。お前の拳の素早さは相当なものだ。僕ら初号機のラッシュを以てしても、お前を仕留め切ることはできないだろう。本当、悔しいがな。

 

 だがな。

 

『ファースト。サンドイッチって好き?』

 

『大好き』

 

『いいわね。じゃあ、あとは解るわね?』

 

 地上では二体のエヴァンゲリオンが、ATフィールドを展開して待ち構えている。

 

 第10の使徒が大気に焼かれながら地面に激突する寸前──、

 

 

 

『『無駄ァァァァアアアアアアアアアーーーーーーッ!!!』』

 

 

 

 零号機と弐号機が、落ちてきた使徒をATフィールドで挟み撃ちにした!

 

 2枚のATフィールドに挟まれた使徒は当然、身動きが取れずにその身を硬直させる!

 

 僕たち初号機の眼下には、ATフィールドに挟まれて身動きの取れない使徒。その腰あたりで動きを封じられた使徒の生命線であるコアが、どうにか最期の瞬間を逃れようと踠いている。

 

 だが、もはや無駄なんだ!

 

 初号機は僕とシンジ君の意志を受けて、グルグルと空中で縦に回転し、遠心力の十分に乗ったかかと落としを──!

 

「「無ゥ駄ァァアアアアアアアアア!!」」

 

 渾身の力を込めて、コアに叩き込んだ!!

 

 使徒のコアがグシャリと潰れる。

 

 やがて、使徒の断末魔と共に──、

 

《GU IYAAAAAAAAAAAAAAAA!?》

 

 使徒は十字の爆炎を上げて、その身を散らした。

 

 

 

つづく

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