ミサト「あなたが碇シンジ君ね?」ジョルノ「いえ、違います」【完結】   作:サルオ

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「総員第一種戦闘配置、地対空迎撃戦用意!」

 

 ネルフ本部の発令所内に、アナウンスが響き渡る。

 

「目標は?」

 

 冬月副司令がオペレーターに尋ねる。それに答えたのはオペレーターの一人である青葉だった。

 

「現在、侵攻中です。・・・ッ!?駒ケ岳防衛線、突破されました!」

 

 発令所内の巨大なモニターに映し出されたのは、ずんぐりむっくりとした土偶のような姿をした、第14の使徒。

 

 それを視認した第三新東京市の防衛設備が一斉に火を吹いた。

 

 防衛都市としての完成を間近に控えた第三新東京市の無人防衛設備。その火力は今までの防衛火力とは一線を画していたが、使徒の持つ強力なATフィールドを突破できずにいた。

 

 使徒の目が閃光を放つ。

 

 ギュイオンッ!!

 

 そのたった一発の使徒の攻撃。それは都市に命中すると十字架状の火柱を上げた。

 

「第1から18番装甲まで損壊!」

 

「18もある特殊装甲を、一瞬で!?」

 

 オペレーター陣が悲鳴を上げる。

 

 それに対し毅然とした態度で指揮を取るのは、負傷中のミサトであった。

 

「エヴァの地上迎撃は間に合わないわ。弐号機をジオフロント内に配置、本部施設の直縁に回して!アスカには、目標がジオフロント内に侵入した瞬間を狙い撃ちさせて!」

 

 ミサトの指示に従い、エヴァ弐号機の発進準備が進められていく。

 

「零号機は!?」

 

「ATフィールド中和地点に、配置されています!」

 

「左腕の再生がまだなのよ」

 

 ミサトの確認に対して、こちらも負傷したリツコが返答した。その答えにミサトが軽く舌を打つ。

 

「戦闘は無理か・・・・・・」

 

 その判断に対し、ミサトの上階から、この場の最高責任者の声が降ってきた。

 

「レイは初号機で出せ。ダミープラグをバックアップとして用意」

 

「はい!」

 

 ミサトが碇ゲンドウの指示に従い、オペレーター陣に指示を飛ばそうとしたときだった。

 

「あ、あのぅ・・・・・・」

 

 オペレーターの一人である伊吹マヤが、後ろめたそうに声を上げた。

 

「なに?マヤ!何か緊急事態!?」

 

「き、緊急事態といいますか、その、なんと言えばいいか・・・」

 

「なに!?何かあるなら急いで報告して!」

 

「す、すみません!・・・・・・あの」

 

「なにッ!!」

 

「あ、アスカとレイが居ません!本部に到着してません!どこにいるかも不明です!」

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

「ぬぁんですってぇぇええええッッ!!?」

 

 ミサトの悲鳴が、発令所内に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 おいおいおいおいおい。これは、結構ヤバい状況なんじゃあないか!?

 

 使徒が攻めてきている。それは良い。いつも通りだ。都市の防衛機能も問題なく働いているように見える。

 

「だが!ここにエヴァンゲリオンのパイロットが全員いるじゃあないかァァーーッ!いま、この都市の防衛作戦はどうなっているんだぁーーッ!?」

 

「うっさいわよチョココロネ!!エヴァのパイロットが全員ここにいるんなら、誰もあの使徒と戦える奴がネルフにはいないって事でしょ!?」

 

 横のラングレーが焦ったように叫ぶ!ベネ。そこはマズいとラングレーも認識してるんだな?それならまだ救いはあるが──、

 

「どうするの?ジョルノ」

 

「〜〜〜!戻るしかない!これは下手をしなくても今までで一番ヤバい状況だ!馬鹿げた状況ではあるが、急いでネルフ本部まで走るんだ!」

 

 そう言って、僕と綾波さんとラングレーが走り出そうとした時だった。

 

「ジョルノ君!行こう!!」

 

「──!?シンジ君!?」

 

 シンジ君の力強い声が、僕の背後から叩き付けられた。

 

 僕は咄嗟にシンジ君に振り返る。

 

「・・・・・・良いのか?君はもうエヴァには乗らないと言っていたのに・・・・・・」

 

「・・・そうだよ。本当は乗りたくなんかない・・・トウジを殺しかけたんだ。父さんの操り人形にされて・・・・・・けど!」

 

 シンジ君の瞳に、真っ赤な焔が宿っていた。

 

「みんなを、僕の目の前で死なせるくらいなら、僕はエヴァに乗る!」

 

「よく言ったわ!シンジ!!」

 

 ラングレーがシンジ君に手を伸ばす。その手を、シンジ君は迷いなく取った。

 

「行くわよ!」

 

「うん!行こう!」

 

 手を繋いだ二人は、力強くネルフまでの道を走り始めた。

 

「・・・・・・ジョルノ?」

 

「・・・ふふ」

 

「?」

 

 シンジ君、本当に君は強くなった。もう僕と初めて会った時のような、怯えた目をした少年はどこにもいないんだな。

 

 ちょっとだけ、寂しい気もするが、僕はそれが心から嬉しい。

 

「なんでもない。僕たちも行こう、綾波さん」

 

「そう・・・。わかったわ。旅行はまた今度」

 

「ああ、そうだな!使徒を全てやっつけてから、みんなでゆっくりと温泉にでもつかるか」

 

 僕と綾波さんも、先に走り出した二人を追いかけようと足を踏み出した。

 

 その時だった。

 

「よぉ、ジョルノ君。お困りかい?」

 

 ヴォン!という大きな音と共に現れたのは、加持リョウジ。

 

 それの運転する、ちょっとレトロなオープンカーだった。

 

「加持さん、グッドタイミングだな」

 

「君たちの行動が気になっててね。少し後を尾けてたのさ。──乗るかい?」

 

「もちろん。あと二人、シンジ君とラングレーが前を走っているんだが、乗れそうですか?」

 

「車見て言ってほしいもんだね。二人乗りだが、まぁ、なるべく安全運転でネルフまでお届けしますよ」

 

 そう言って加持さんは僕にウィンクを返す。気障ったらしい仕草だったが、今はそれが物凄く頼もしい。

 

「あなたとの同盟だが、まだ続けてもいいって思えましたよ」

 

「そうじゃなくっちゃ困るからな。さぁ、乗ってくれ」

 

 助手席のドアを開けた加持さんの言葉に、僕は甘えた。ただ、二人乗りの車の助手席に座るのは頂けない。

 

 僕は綾波さんの肩を掴むと座席の無い車の後部に座り、

 

『ゴールド・エクスペリエンス!!』

 

 加持さんの車の車体を『スタンド』で殴って、木の蔓による即席のシートベルトを創った。

 

「ははは!本当に便利な能力だな!」

 

「無駄口叩いてないで、シンジ君とラングレーを追ってください。舌は噛まないようにしてるんで」

 

「オーケィ!君といると、なんだか全て上手く行く気がするな!」

 

 そう思って頂けるんなら光栄だな。もっとも、僕にはそんな言葉、露ほどの価値もないが。

 

 僕の表情を見て察したのか、加持さんがアクセルを勢いよく蹴り込む。

 

 僕たちにかかったGはいつかの葛城さんを彷彿とさせるが、

 

「ホラ、すぐだったろ?」

 

 彼の言葉の通り、僕たちはすぐにシンジ君達に追いついた。

 

「シンジ君!」

 

「!」

 

「乗れ!!」

 

 僕の伸ばした手をシンジ君は咄嗟に掴み取り、

 

「アスカ!」

 

「!・・・シンジ!」

 

 隣のラングレーを抱き抱えて、そのまま車に飛び乗ってきた!

 

 

 

つづく

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