ミサト「あなたが碇シンジ君ね?」ジョルノ「いえ、違います」【完結】   作:サルオ

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 ジオフロントを包んでいた爆炎が晴れるとそこには、右腕を失った弐号機と、左腕を失った零号機が、互いの傷を庇い合うようにして立っていた。

 

 発令所にて湧き上がる歓声。

 

『よっおおおおし!よしよしよしよし!よくやったわ!レイ、アスカ!』

 

「ふん、まあね」

 

「任務、完了・・・少しお腹が空いたわ」

 

『今日はご馳走よ!レイ!アスカも、何か食べたいものはある!?寿司でもステーキでもなんでも言ってちょうだいな!』

 

「ミサトの財布が心配だから、アタシはなんでもいいわ。質より量の方がいいわよ?レイの胃袋はブラックホールだから」

 

「・・・・・・あの」

 

「ん?何よ、レイ」

 

 零号機の中のレイは、恐る恐るといった様子でアスカに話しかける。

 

「名前、呼んでくれた」

 

「んん?・・・・・・あれ、そういやそうね」

 

「弐号機の人」

 

「・・・ぷっ。何よ、それ。あんたもさっき『アスカ』って呼んでくれてたじゃない。アスカでいいわよ。アタシもあんたのこと、レイって呼ぶからさ。一緒に死線を潜った仲じゃない!」

 

「そうね・・・・・・アスカ」

 

「レイ!」

 

 二体のエヴァが、残った腕を上げてハイタッチをした。バチン!という、巨大な音が、ボロボロになってしまったジオフロントに大きく響いた。

 

『任務ご苦労様!さ、二人とも戻ってきて!さっそく祝勝会やるわよーーーッ!!』

 

 オッケー、とアスカが通信に答えた瞬間だった。

 

 

 

 

 

 二体のエヴァの視界が、突如として真っ黒に染まる。

 

 

 

 

 

「「!!?」」

 

『アスカ!?レイ!?』

 

 それは、N²爆雷によって吹き飛んだはずの使徒の触腕。それが二体のエヴァの顔を覆うように絡みつくと、

 

 ぐるり、と。

 

 エヴァ二体の首を捻り折った。

 

「ぐ、ぐぎ・・・!?」

「あ、あが・・・!」

 

 首を折られたエヴァの全身から力が抜ける。二体のエヴァは膝から地面に崩れ落ちようとしたが、触腕によって絡め取られたエヴァは崩れ落ちることを許されず、無理やりに立たされていた。

 

 二体のエヴァの背後から、ボロボロになった使徒が立ち上がってくる。生きていたのだ。あれだけの攻撃を受けたにも関わらず。

 

『な・・・・・・・・・!?』

 

 それを見ていた発令所の面々も息を呑んだ。そして──、

 

 

 

 

 

 ばくん。

 

 

 

 

 

 巨大化した使徒の口が、二体のエヴァを頭から齧り喰らった。

 

『アスカ!!!レイ!!?』

 

 途端に発令所に流れる警告音。

 

『パイロットとの通信途絶!!』

『ダメです!二人の安否、確認できません!』

『そんなッ!!?』

 

 発令所内での騒ぎを他所に、使徒の身体が変異し始める。使徒の黒いマントのような身体の下から、巨大な女性の肉体が現れた。しかしその肉体は、異形。四本の長い腕、四本の長い脚を持ち、その姿はまるで人の姿をした蜘蛛のようであった。

 

『バカな!使徒がエヴァを捕食するなんて、あり得ないわ!?』

 

『変です!目標の識別信号が零号機と弐号機に切り替わります!』

 

『・・・ッ!?やられた!これじゃあ奴がドグマに侵入してもネルフは自爆しない!最下層まで難なく近付けるわ!』

 

 使徒の目が光る。

 

 ギュイオンッ!!

 

 使徒の光線を受けたネルフ本部が、十字状の爆炎をあげた。

 

『本部直上施設消滅!最終装甲板融解!!』

 

『マズい!メインシャフトが丸見えだわ!!』

 

 ネルフ本部、最後の防壁の完全破壊。それに伴う、異形の使徒の侵入。

 

 ネルフはここにきて遂に、本部への使徒の侵入を許したのだった。

 

『目標はメインシャフトに侵入!!』

 

『目的地は!?』

 

『そのままセントラルドグマに直進しています!』

 

『マズい!ここに来るわ!総員退避!急いで!』

 

 ミサトが叫んだ瞬間、

 

 ドカァァァンッ!!

 

 ネルフ本部発令所のメインモニターを突き破って、異形の使徒が姿を現した。

 

 その四本の腕が、ゆっくりとミサト達に伸びていく。

 

「ひ!?い、嫌・・・・・・」

 

 伊吹マヤが、その腕を拒絶するように頭を抑えて首を振る。しかし人の言葉など、使徒に通じるハズもない。

 

「く、う、くぅぅ・・・・・・!」

 

 ミサトは使徒を目の前にしても一歩も引かない気概で使徒を睨みつけていたが、使徒のあまりの巨体に、それが虚勢にすらならない事を悟る。

 

 万事休す。

 

 使徒の指が、ミサトに触れる瞬間だった。

 

 

 

 

 

『何してるんだ、お前・・・・・・!』

 

 

 

 

 

 発令所の壁を爆音と共にぶち破り、エヴァンゲリオン初号機が姿を現した。

 

「シンジ君!?ジョルノ!」

 

『うおおおあああああああああああ・・・!!』

 

 シンジの雄叫びとともに、初号機によって使徒が発令所から押し返されていく。それに対抗するように、使徒の目から光の奔流が初号機に襲い掛かるが、

 

『無駄ァ!!』

 

 初号機の拳が、使徒の顔面を打ち据えた。

 

『シンジ君!このまま押し返すぞ!』

 

『おおりゃあああああああああッッ!!』

 

 初号機は使徒の身体につかみ掛かると、そのまま発令所の壁を破壊し、使徒を地上へのリフトまで押し返していく!

 

『ミサトさん!!』

 

『・・・ッ!!5番射出!急いで!!』

 

 ミサトの合図と共に、使徒を押さえつけたリフトが急速に地上に向かって運び出される。凄まじいGが初号機と使徒の両方にかかり──、

 

 地上の射出口を突き破って、初号機と使徒が空中に飛び上がった!

 

『ジョルノ君!』

『ああ!!』

 

『『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァアア!!』』

 

 空中で蹴りのラッシュを繰り出す初号機!それを、四本の腕で防ぎ切る使徒!

 

 二体の巨人がジオフロントの大地に降り立つ!

 

『アスカを!』

『綾波さんを!』

 

 

 

『『返せ!!』』

 

 

 

つづく

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