ミサト「あなたが碇シンジ君ね?」ジョルノ「いえ、違います」【完結】   作:サルオ

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 やってくれたな!クソッタレの使徒め!

 

 まさか僕らが現れる前に、ラングレーと綾波さんをその身に取り込むなんてな!なかなか良い度胸をしているじゃあないか!

 

「シンジ君!ラングレーと綾波さんは、僕の『スタンド』で連れ戻す!だが、それには少しだけ時間がかかる!それまで、一人で戦えるか!?」

 

「大丈夫・・・僕の臓腑も煮え繰り返ってるんだ。僕が使徒を殺してしまう前に、ジョルノ君、お願いできるかな?」

 

 殺意増し増しってヤツだな。了解した。

 

 僕は胸元に大事にしまっていた『矢』を取り出すと、

 

『ゴールド・エクスペリエンス!!』

 

 自分のスタンドに、矢を突き立てていた。

 

 同時に、僕の『スタンド』が進化を始める。

 

「ジョルノ君、悪いけど、動くよ!」

 

 シンジ君は僕に確認を取るや否や、初号機を使徒に突進させた!

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」

 

 初号機の拳のラッシュ!それを使徒は、四本ある腕で難なくガードする!

 

 今の初号機にアンビリカルケーブルは接続されていない!活動に限界がある!それを迎えるまでに、僕らはヤツを仕留めなくてはならない!

 

『使徒は仕留める』!『綾波さんとラングレーも助ける』!

 

「両方やらなくっちゃあならないのが!」

 

「僕たちの辛い所だね!」

 

 初号機を巧みに操り、シンジ君は使徒の腕のうちの一本を掴み取る。それを思い切り背負った初号機は!

 

「うぉりゃあああああああああああああ!!」

 

 勢いそのままに、使徒を地面に投げ飛ばした!地面に大の字で叩きつけられる使徒!見るからに隙だらけだな!

 

『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』

 

 僕の『スタンド』も『進化』を終えた。後はこのクソッタレの使徒にたった一発でいい。拳を叩き込んでやれば、勝負有り、だ!

 

「「くらえ!!」」

 

 

 

 

 

 瞬間、グシャッと。

 

 潰れたのは、初号機の方。

 

 

 

 

 

「「・・・・・・・・・え?」」

 

 初号機の全身の骨が『砕け折れている』。

 

「な、なにィィイイイイイイ!!?」

 

 バカな!なにが起きた!?

 

『シンちゃん!ジョルノ、ATフィールドよ!その使徒はATフィールドを自在に操れるの!今はっきり見えた!四方からATフィールドがあんた達に迫って、初号機を押しつぶしたのよ!』

 

「そ、ごふッ!そんな・・・!」

 

 初号機を操っていたシンジ君が血反吐を吐いた。

 

 マズいな。初号機のダメージのフィードバック。これは結構バカにできないダメージだ。全身の骨が、一瞬で砕かれたからな。

 

 

 

 

 

 ・・・で?それがどーしたっていうんだ?

 

 

 

 

 

「『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』は!既に!発動している!」

 

 途端、全ての事象が『書き直される』!つまり、『使徒は何も動いていない』という『真実』に!

 

 エヴァンゲリオン初号機にダメージは無い!ここから齎される結果は!

 

「「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァァアア!!」」

 

 初号機の拳のラッシュによる、一方的な蹂躙!!

 

 目下の使徒が、初号機によってボコボコに叩き潰されていく!その中で!

 

「──!見つけたぞ、シンジ君!二人の魂は無事だ!」

 

「!!」

 

「呼びかけろ!シンジ君!あの二人は!僕の『スタンド』が必ず二人を助ける!だから!」

 

「アスカ・・・・・・!綾波・・・・・・!来いッ!!」

 

 シンジ君の呼びかけに応えるように、使徒の中にあった二人の魂が光を取り戻す。

 

 その二人の魂が、こちらの呼びかけに答えているのがわかる!

 

 初号機が剥き出しになった使徒のコアに手を添える。そこから眩しいほどの光が溢れかえっていく!

 

「突っ込むぞ!シンジ君!」

 

 僕の声を合図に、シンジ君は初号機の右腕を使徒のコアに突き立てた!コアがひび割れていき、その中から、綾波さんとラングレーの姿をした光り輝く『魂』が飛び出してくる。

 

『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム!!』

 

 二人の『魂』に優しく触れた初号機の指先から、『レクイエム』の力が少女達に流れ込む。彼女達が『使徒に取り込まれた』という事実を『0に戻した』。途端、彼女達の失われたはずの肉体が元に戻る。

 

 後は、二人が何も問題なく目覚めるのを待つばかりだが・・・。

 

「とりあえず、二人は救い出せたな!シンジ君!」

 

「うん、ありがとう!ジョルノ君のおかげだよ」

 

 初号機の右手が、優しく二人を包み込む。視線をネルフ本部に向ければ、そこには葛城さんを始めとしたネルフの面々がジオフロントに出てきているところだった。

 

 シンジ君は息絶えた使徒を尻目に初号機でみんなのところまで歩いて行くと、右手に優しく包み込んでいた綾波さんとラングレーをゆっくりと降ろした。

 

「あとは、リツコさん。頼みます・・・!」

 

『ええ、任せてちょうだい。すぐに医務室へ!』

 

 赤木博士の呼びかけに数人のスタッフが駆け寄ってきて、二人の少女を背負って駆け出して行く。

 

 ふう。どうやらなんとかなりそうだな。初号機の活動限界ギリギリではあったが、使徒の殲滅も二人の救助も、完璧にこなして見せたな。

 

「シンジ君」

 

 僕は隣のシンジ君に拳を突き出す。シンジ君もそれに応えるように、拳をコツンと合わせてくれた。

 

「さて、帰るとするか」

 

「そうだね。アスカと綾波が心配だ」

 

「そうだな。降りたらすぐに二人の様子を見に行こう。僕も手伝える事があるかもしれないしな・・・・・・」

 

 

 

 

 

「パターン青!!使徒!健在です!生きてます!」

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

 なに!?使徒はコアをぶち破ったハズだ!なぜ生きている!

 

 初号機が背後の使徒に振り返る。そこにはボロ雑巾のような使徒が、ゆらり、ゆらりと空中に漂っていた。

 

 ・・・ふーむ。どー見ても死に体だな。あとは僕の『レクイエム』で使徒を消し飛ばしてやればそれで終わり──、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【運命を辿れ。『ピルグリム(巡礼者)』】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!?」

 

 なんだ・・・?

 

 何かが、おかしい。それは僅かに僕が抱いた違和感。

 

 だがそれは、大きな波となって僕に襲い掛かってくる!

 

 な、なに?・・・・・・なにが、起きた・・・!?

 

 『レクイエム』の発動が、消えた!?

 

「うおおおおおおおおおおおおおおッ!!」

「待て!シンジ君!」

 

 初号機のラッシュ。それは本来であれば、目の前の使徒を滅殺し、綾波さんとラングレーを救い出してめでたしめでたし、となるはずだった。

 

 だが、今目の前で起きている事象は!!

 

『グルるるるるるる・・・・・・!』

 

 目の前の使徒の健在!そして、

 

『グルるるアアアアアアアアアアッッ!!』

 

 異形の使徒の反撃!!

 

「え・・・」

 

「シンジ君!防御しろォーーーッ!!」

 

 使徒の棚引いた触腕から放たれる斬撃のラッシュ!そのうちの一発が、初号機を貫いた!

 

「うぐ!?」

 

「ぐあああああああああああ!?」

 

 マズい、腹を、突き破られた・・・!

 

 と、同時に、エヴァ初号機の活動時間が限界を迎える!

 

「な、なにィィィィイイイイイイ!?」

 

「そんな!そんな事って!?」

 

『初号機、活動限界です!予備も動きません!』

 

 通信から伊吹マヤさんの声が聞こえる。その瞬間!

 

「「!?」」

 

 初号機の顔を、使徒の触腕が覆っていた。

 

 無力な初号機が使徒によって持ち上げられ、空高く放り投げられる。

 

 巨大な轟音とともに、初号機はネルフ本部に叩きつけられていた。

 

『シンジ君!ジョルノォ!!』

 

 葛城さんの悲鳴が聞こえる。

 

 それを嘲笑うかのように、使徒の光線が、初号機を襲った。

 

 ズバシュウウウウッ!!という融解音と共に、初号機の装甲が抉られていく。

 

「じ、ジョルノ、君・・・!?」

 

「ば、バカな・・・・・・なにが起きているんだ。『レクイエムを止める』だと?そんな能力、見たことも聞いた事もない!!」

 

 僕の焦りを置き去りに、異形の使徒はその触腕でもって執拗に初号機の剥き出しのコアを攻撃してくる!エントリープラグ内に、ピシィ、ピシィッとヒビが入っていく。

 

「くそ!動け!動けよ!!」

 

 シンジ君が操縦桿をガチャガチャと動かす。しかし、初号機はそれに反応しない。

 

「今動かなきゃ!今やらなきゃみんな死んじゃうんだ!」

 

 シンジ君の目に、涙が浮かぶ。

 

「そんなの、もう嫌なんだ!だから!動いてよ!!」

 

 シンジ君が叫んだ瞬間だった。

 

 ドクン、と。

 

 初号機の中の『碇ユイ』の魂が、確かに脈打ったのを僕は感じた。

 

 そして、その瞬間。

 

 僕の記憶は、そこで、潰えて消えた。

 

 

 

つづく

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