ミサト「あなたが碇シンジ君ね?」ジョルノ「いえ、違います」【完結】 作:サルオ
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『この味は!・・・・・・ウソをついてる『味』だぜ・・・・・・ジョルノ・ジョバァーナ!』
ブローノ・ブチャラティ。
彼との出会いが、ジョルノ君の運命を変えた。
いや、もしかしたら、これこそがジョルノ君の前に敷かれた運命だったのかもしれない。
『それ以外は、自分の腕を引きちぎったほどのおまえの気高き『覚悟』と・・・・・・黄金のような『夢』に賭けよう。ジョルノ・ジョバァーナ』
ジョルノ君は彼と戦う中で、自分の覚悟と夢を示した。
その光景が、まるで走馬灯のように僕の『世界』を駆け抜けていく。僕はそれを見ながら、光に向かって走り続けていた。
『ジョルノ・ジョバァーナ・・・こいつ・・・クレイジーな野郎だな・・・証明するために、か?どうかしてんじゃあねーのか!』
レオーネ・アバッキオ。
『ジョルノ!おまえの命懸けの行動ッ!僕は敬意を表するッ!』
パンナコッタ・フーゴ。
『突っ切るしかねぇッ!真の『覚悟』はここからだッ!『ピストルズ』!てめーらも腹をくくれッ!』
グイード・ミスタ。
『ひるむ・・・・・・!と思うのか・・・・・・これしきの・・・・・・これしきの事でよォォォオオオオ』
ナランチャ・ギルガ。
みんな、すごい人たちだった。僕とそんなに歳も変わらないのに。彼らの置かれた状況は、絶望しかなかったと言うのに。
なぜ、彼らはそこまで命を賭けて戦えるんだろう?
僕には理解できない。だって彼らは、僕よりも酷い運命に翻弄されていたんだから。
・・・・・・本当に、そうだろうか。
彼らは、運命に翻弄された、だけじゃなかった。その過酷な運命の中で、諦めず、自らの命を燃やして、運命に立ち向かっていた!
『あたしも・・・・・・乗り越えるわ・・・・・・あんたから受け継いだ・・・『運命』にビクついて逃げたりしない・・・!!それが邪魔なら・・・・・・なおさら登り切ってやる!』
トリッシュ・ウナ。彼女もまた、運命に立ち向かった少女だった。
彼らの道をジョルノ君が照らした。そして、たった一週間の壮絶な冒険は、幕を閉じた。
『去ってしまった者たちから受け継いだものはさらに『先』に進めなくてはならない!!この『矢』は破壊しない!』
その言葉の通りだった。
ジョルノ君は、僕にその道を示してくれている。
彼らの運命を、どう言い表せば良いだろう。僕には言葉が思いつかない。
けれど。
だからこそ・・・!
「僕も、僕の手で!自分の『運命』に抗ってやるッ!!」
そう叫んだ瞬間、
眩い光が、僕を包んでいた。
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「だめです!自我境界がループ上に固定されています!」
マヤの叫び声とともに、発令所にアラートが鳴り響いた。
「全波形域を全方位で照射してみて!」
「────!だめですッ!」
「発信信号がクライン空間に捕われている!」
「どういうことよ!?」
ミサトの糾弾に、リツコの顔が曇った。
「つまり・・・失敗・・・!」
その一言に、ミサトの顔から血の気が失せた。
「エヴァ!信号拒絶!」
「プラグ内、圧力上昇!!」
「まずいわ!作業中止!電源を落としてッ!!」
「ダメです!プラグが排出されます!!」
その言葉の直後、メインモニターに映る初号機からエントリープラグが排出され、その中からLCLが吹き出した。
「シンジ君!!ジョルノぉ!!」
ミサトが悲鳴を上げようと、その流れが止まることはなかった。
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ザーン・・・ザザーン・・・・・・。
ここは、どこだろう。
青い空が見える。僕はいつの間にか、波打ち際に打ち上げられていたみたいだ。
僕はゆっくりと起き上がる。
視線の先。そこにあった砂浜に、一本の大きな木。そして、その下にいたのは。
「父さんと母さん・・・・・・?」
そして、母さんが抱いているのは、
赤ん坊の、僕?
「セカンドインパクトの後に生きていくのか。この子は。この地獄に」
「いいえ。生きていこうと思えば、どこだって天国になるわ・・・・・・だって生きているんですもの。幸せになるチャンスはどこにでもあるわ」
「そうか──そうだな・・・・・・」
なぜだろう。足が動かない。
今すぐ母さんの所へ走っていきたいのに、
足が凍りついたみたいに一歩も動かない。
母さんが、僕に向き直る。
「シンジ」
母さんの顔は、僕を心配しているような、それでも僕を信じてくれているような、そんな表情で。
「いいのよ。こちらに来ても・・・・・・足が動かないの?」
・・・・・・。
「それともあなたが行きたいのは、私のところではなく」
・・・・・・ああ。
「あなたの後ろに、無限に広がる海の向こうなのかしら」
そう。そうだ。
「あなたがどこに行こうと私はいつもあなたを見ているわ。自分の進む道は、あなたが自分で決めるのよ」
母さんは、いつも僕のそばにいた。
見守って、くれていたんだ。
ザァッと爽やかな風が、僕らの間を吹き抜けていく。
「気持ちのいい風ね。ジョルノ君」
「え?」
いつの間にか、僕の隣には。
「迎えに来たぞ。シンジ君」
「ジョルノ君・・・!」
いつの間にかジョルノ君が立っていた。
「ジョルノ君。ありがとう。シンジをここまで連れてきてくれて」
「少し、混乱しそうですよ。貴女とはゴルゴダ・・・なんとかって遺跡で会ってるんですが、時間軸的に繋がりがあるのか?」
「そうね。そうかもしれない。私にもよくわからないのだけれど」
そう言うと、母さんははにかむように笑った。
「私のお願い、覚えている?」
「覚えてますよ。実現は不可能なんじゃあないか、とは思っていますが」
「おかしな子。なのにあなたの瞳には迷いがないわ。・・・・・・改めて、お願いね」
そう言われたジョルノ君は笑顔のまま、肩をすくめた。
「さぁ。シンジ。ほら、海の向こうから、あなたを呼ぶ声が聞こえるわ」
・・・・・・本当だ。この声は。
「ミサトさん・・・・・・綾波・・・アスカ・・・?」
「二人とも。また、未来で会いましょう」
「ああ。そうだな、シンジ君」
「・・・・・・だね、ジョルノ君」
帰ろう。
僕たちのいた、地獄のような世界へ。
母さんが言ってたんだ。
いきていれば、そこは天国になるって。
だから。
光に向かって、帰るんだ。
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LCLから流れ出てしまったシンジとジョルノの制服。それを抱きしめて、ミサトとアスカが泣いていた。
その横に立っていたレイもまた胸の中にできてしまった大きな穴を感じつつ、目尻に何かが浮かんでくるのを感じていた。
だが。
パシャリ、という軽い波音と共に。
ケージの床に、裸のシンジとジョルノが横たわっていた。
◇
(最後の仕事、か・・・・・・)
彼らの背後、ケージの影に加持リョウジの姿があった。彼はシンジとジョルノが帰還したのを見届けると、懐からタバコを取り出して咥え、ゆっくりと火を付けた。
加持が胸ポケットからネルフのカードを取り出す。
その色は。
「まるで、血の赤、だな」
To Be Continued…
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!短いですが、これにて第十章は終了です!
ここに来て、ジョルノ側だけでなく、シンジ君もジョルノの過去を知りました。ようやく二人の道が重なった章になったと思うのですが、皆さんにもその様に感じて頂けたら嬉しいです。
さて、次章以降は完全に未知の領域(プロット真っ白)です。この物語がどのような結末を迎えるのか、少しお時間を頂けたら幸いです。
それではみなさま、また次回もお会いするまで。
アリーヴェデルチ!