突如電脳空間に放り出された八神。
一通り辺りを見渡してみるが、周囲のデータは“ここが何処なのか”という情報しか与えてはくれない。
はて、ここに至るまでに何があったか……と思い返していると、目の前にウインドウが展開される。
『ようこそ、八神牧師。……いや、《
「あー……なるほど。これもお前の仕業なわけだな、Dr.リーガル」
……どうやら自分は、目の前の男に拉致され何らかの手段(9割9分パルストランスミッション設備を使われたのだろう)でリーガルタワーの電脳空間に監禁されたらしい。
それを認識した瞬間、八神は内心で盛大に天を仰いでいた。
「……で? お前は何のために俺なんぞを連れてきたんだ」
内心の焦りは見せないままに、腕を組んだ八神が画面上のリーガルを見上げる。
その姿を嘲笑うように喉を鳴らし、リーガルは深く腰かけていた椅子から立ち上がった。
『どうやら、その《瞳》にも見通せぬものがあるようだな?』
「肉眼じゃ“自分”は視れないからな」
『フフ、そういうことにしておこうか。……どこまで知っている?』
「さあ? 俺は俺が識ること以外は知らないね。……例えば、お前が地球をディメンショナルエリアで覆って何を防ごうとしているのか……とかな」
『……ほう?』
すう、と細まる視線。それに気付かないふりをして、八神は続ける。
「ま、お前のやり方も、デューオの審判も。俺だけでどうにかできるもんじゃない。やるべき奴らが、やるべきことをやるだけ。俺はあくまでそれの邪魔をしない程度に支援するだけだ。世界の支配だの滅亡だの、起きたところで俺にはなんの益も無いからな」
『……随分と消極的……いや、傍観者気取りか』
「傍観者にしては踏み込みすぎてる自覚はあるがね」
『クク……フハハハハ! ならば、もう一歩踏み込ませてやろうか。これを使ってな』
画面に映し出されたのはひとつのPET……刻まれたナビマークは十字に光輪。それは間違いなく八神のものだ。
シュン、と八神の隣にポリゴンエフェクトが発生し、送り込まれたネットナビ……セレストが、何が起きたのかと周囲を見回す。
そしてもうひとつ、画面に映り込んできた“それ”に、八神の表情がひきつった。
「おいおいおい……マジかよ……」
『電脳空間でのダークシンクロチップを用いたクロスフュージョン……はてさて、どうなるか見ものだな?』
画面の中で、カシャリ、とカバーが開かれ、チップスロットに添えられたダークシンクロチップがPETへ飲み込まれていく。
八神とセレストの前に現れる禍々しいオーラを纏ったチップ。
それはゆっくりと、セレストへと迫り……
………………
…………
……
……一方その頃、科学省。
ブルースの救出に始まり、シェードマンの実体化、リーガルタワーの出現と地球を覆うように展開されたディメンショナルエリア……
怒涛の展開の中、彼らもまた必死に抵抗を続けていた。
シェードマンの遺したセキュリティホールの座標を変更し、リーガルタワー電脳中心部への“穴”を開ける。
サーチマンの撃ち込んだIP誘導弾により固定された座標へ接続された“穴”を通り侵入するネットナビたちの中に、その姿はあった。
『……本当に、大丈夫なんだね?
「ええ、問題はありません。八神の身体のことはお願いしますね、光博士」
……
…………
………………
『……何故だ、何故クロスフュージョンしない? お前たちのシンクロ値は十分、いや、ダークシンクロチップにはそんな些細な数字に意味など……!』
「……くくっ……まあ、確かに。こいつが
『何だと……』
「いいこと教えてやるよ。ニホンには、こういうことわざがあってな……“二度あることは三度ある”、ってな?」
ダークシンクロチップを取り込んでなお平然としているセレスト……のようなものが、にこりと笑う。
パリ、パリ……と体表が剥がれ落ちていくようなエフェクトとともに“それ”を覆っていたテクスチャが剥がれ落ち、その姿が顕になっていく。
床パネルを踏みしめる六脚に剛腕。その深緑と深紅のボディが、薄く纏ったオーラにより白く煙っている。
『な……ど、〈ドリームウイルス〉だと!?』
「ちょーっととある筋から報酬で貰った特別製でね。こんな大型ウイルス持ち歩いてちゃ怪しまれるから、別のPETに入れて偽装テクスチャを被せてはいたんだが……まさかお前が引っかかるとは思わなかったな!」
『ぐ……!』
ひょい、とドリームウイルスに乗り込みながら笑う八神。
歯噛みするリーガルにピッ、とハンドサインで別れを告げ、ウイルスに命じて床パネルをぶち抜くと、そこに躊躇いなく飛び込んで行くのだった……
『……まあいい、どうせこの電脳からは逃げられまい。今はこちらの小バエを始末することを優先するとしよう』
アニメで不憫だったドリームウイルス=サンを使いたかったと供述しており……
時系列ぐちゃぐちゃなのはユルシテ……ユルシテ……