牧師でハッカーで転生者な>>1   作:星茸

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◇繋がる未来のその先へ

 

 

 

「たいっっっっへん申し訳ございませんでした」

 

病室のベッドの上で八神は深々と土下座をかます。

その前にずらりと並ぶのはクロスフュージョンメンバー……祖国に戻っているライカやプライド、ジャスミン、ディンゴはリモートの通信画面越しではあるが。それと表だって動くことを避けるゆりことダーク・ミヤビ、興味が無いからとテスラはこの場には来ていない。

 

 

地球の存亡をかけた時空タワーでの一件から約1週間。

CFセレスト・ネフィリムが倒されてから今まで、ずっと目を覚まさなかった八神がようやく意識を取り戻し面会が許可されると連絡を受け、急いで収容された病院へと駆けつけた皆。

……なだれ込むように病室へ入ってきた彼らに対して、「よっ」と軽い調子で挨拶してきた八神がそのままもみくちゃにされていたのは完全なる余談である。心配をかけた自覚を持て。

 

そして流れるように説教の時間へと移行。

泣かれたり怒鳴られたりするのはともかく(いや、泣かれるのは心にくるが)年下に淡々と静かに詰められるのは中々にしんどいものがあった……とは後の八神談。

 

 

そして時は冒頭の土下座へと戻る。

 

 

「本当だよ! もうこんな無茶しないでよね八神さん!」

 

「光少年、それめちゃくちゃブーメランじゃ……いや、うん、反省してます……はい……」

 

ポコポコと怒る熱斗に思わず茶化しを入れるが、涙目で睨まれてしまい大人しく反省を示す八神。

他の皆も、それを窘めるでもなくうんうんと頷いている。ナビも含めて八神の味方はここにはいないのだ。

 

……本来であれば、共に怒られる側にいるであろうセレストも。

 

ベッドのサイドボードに置かれた八神のPET画面には「NAVIDATA LOST」の表示のみが浮かんでいる。

データロスト……つまり、デリートと同義の画面表示。

ナビエンブレムが破壊されクロスフュージョンが解除された時には、もう既にそこにセレストはいなかった。

帰って来れなかったものがいることに暗い顔をする熱斗の頭を、ぽんと叩いて八神は笑う。

 

「元々、クロスフュージョンしたらこうなるとは思ってたんだ。お前たちのせいじゃないって」

 

「……どういうこと?」

 

どこから話したものか、と八神は顎を擦る。

さすがに全部話すのは憚られるし、とざっくりとしたあらましを説明することにして口を開いた。

 

「あ~……ライカ殿には前にも話したが、そもそもセレストは、電子変換した俺の精神データを使って作られたネットナビなんだ」

 

【ああ……確か、複製された精神データを用いてネットナビを作成する、というものだったか】

 

「そう。んで、まあ……その辺の詳しいことは長くなるから省略するが、とにかく俺とセレストはほぼ同一のものだった、と考えてもらえればいい。そんな状態の俺たちがクロスフュージョン……融合した場合どうなるかといえば、まあ……同じフォルダに同一データを入れたら上書き保存されるよな、という」

 

「つまり、クロスフュージョンにより融合ではなく、存在の統合が起きてしまった、と?」

 

そういうことだな、と頷く八神。

納得したものが半分、まだよくわかっていないものが半分という感じだが、これ以上に説明のしようがないのであとはそれぞれがすり合わせをしてくれることに任せよう、と八神は熱斗に乗せたままの手でぐしゃぐしゃと髪をかき回してやる。

 

「だからお前らが気にすることはなんも無いってこと! それがわかっててやった俺が九割九分悪い!」

 

「……残りの一分は?」

 

「余計なことしやがったリーガルが悪い」

 

いやむしろあいつがなんもしなければ俺がこんなことする必要もなかったしあいつの方が九割九分なのでは……?と真面目くさった顔でブツブツ呟く八神に、思わず熱斗が吹き出した。

暗くなりかけた空気が緩んだことに、八神もまた笑みを浮かべる。

 

「……それに、まあ……統合ってことは消えたわけじゃなくて、“ここ”にいるってことでもあるから、な」

 

だからそんなに悲観することはない、と、八神はそっと自身の胸を指し示したのだった。

 

 

 

 

 

 

……その後、それぞれが用事などで解散という流れになったことで再び病室にひとりとなった八神。

点滴などが繋がれたまま出歩くわけにもいかず……というかまだ安静にと医者にきつく言われているので、大人しくベッドの上で手持ち無沙汰にPETを弄っていた。

ちなみに、意識が戻ってすぐ様々な検査を受けたが、ダークシンクロチップによる影響はほぼ皆無という診断が下されていた。原因は不明だが、こういった事ができるのはデューオぐらいのものなのではないか、というのが科学省の研究者たちの見解である。

 

いくつか溜まっていたメッセージ類の処理やデータの整理をしていると、ピピ、と着信を告げる音が響く。

 

【八神!!!!!】

 

「うわうるさ」

 

通話のアイコンを押した瞬間に響き渡る大声に耳を押さえながら、八神はPETの画面を見やる。

 

「火野ォ……開口一番でかい声出すなって。一応病院だからなここ」

 

【す、すまん……じゃねぇよ! おまっ……本当になぁ! 心配ばっかかけやがって……!!!】

 

「お、おう……それはすまんかった……」

 

画面内で頭を抱える火野はマハ壱番屋のエプロン姿。

おそらくは病院からそのまま店に行った熱斗あたりから話を聞いて、勢いのまま連絡してきた……というところだろうか。

 

そしてそのままぐちぐちと再びの説教タイム……デューオの彗星でのあれそれは知らないので主に急に入院沙汰になったことに関してのものだが。でもこれに関しては火野も前にゴスペルとの一件で似たようなことをやってるのでお互い様なのでは……と口には出さずに思っている八神であった。

 

そこからしばらく雑談が続き、唐突にふっと会話が途切れる。

 

【………なあ、八神。聞きたいことが、あるんだが】

 

「どうした、改まって」

 

【俺とお前で作ってるナビ、あるだろ。……覚えてるか?】

 

「ああ、フレイムマンだろ。それが……」

 

どうした、と続けようとして、気付く。

“あの”フレイムマンはアステロイドだった。そしてあの時時空タワーにいなかった人間は全員、デューオとそれに類するものの記憶を失っている。

 

【……確かに、俺とお前でこいつを作っている記憶はある。ああ、それは間違いない。だが……“どうして、こいつを作るに至ったか”。それが、どうしても思い出せねぇんだ。……お前は、何か知ってるんじゃないか】

 

……単純に見えて、案外鋭いところもあるのだ、火野は。

感情的に動いているようで、ちゃんと順序建てた思考もできる男。やはり根底は研究者気質なのだろう。

 

「……その前に、ひとつ確認する。お前、シャーカリーでのことを覚えてるか」

 

【あ、ああ……ライカとかいうガキと一緒に教会の地下で、お前と……“八神”と、会った。だろ?】

 

「そうだ。そこで、“俺”を見る前に……あの電脳内であったこと、何か覚えてないか?」

 

【“八神”に会う、前……確か……何か、と、戦って……炎……が?】

 

記憶を掘り返すように頭を押さえながら、ブツブツと呟く火野を静かに見守る八神。

炎、と零した瞬間、ゆっくりと目が見開かれていく。

 

【そう、そうだ……炎が、あったんだ。あいつの炎が……】

 

「……思い出したか?」

 

【いや、詳しくは全然……だが、あいつの……“八神”の傍にあったんだ、炎が、間違いなくあった。これが……そうなのか?】

 

「そうだな。……あいつを忘れないために、ってお前が作り始めたんだぞ?」

 

【ンなこと……いや、言った……な? ああ、確かに言った、気がする。……こういう意味だったのか……?】

 

完全には思い出せなくとも、心に刻まれた光景は確かに残っていた……ということだろうか。

おおむね納得できたのだろう火野が、少しすっきりしたような顔でこちらを見る。

 

【……八神、ありがとよ。お前に聞いて良かった】

 

「どういたしまして。……“俺”の形見だ、大事にしてくれよな」

 

【ったり前だろォ! オレはテメェのナビを大事にするタチなんだよ!】

 

どちらからともなく、互いに笑い合う。

きっとセレストも、八神の中で笑っていることだろう。

 

彼の未来は繋がった。

八神聖司(オリジナル)”から分岐した先で、これからも“八神聖司(転生者)”は生きていく。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

【プラグイン】牧師でハッカーで転生者だけど地球救われた【デューオ】

 

1:名無しの転生者

Stream編、完!!!!!!!!!!

 

4:名無しの転生者

牧師さんだ!!!囲め!!!!!

 

6:名無しの転生者

テメェ!!!よくもノコノコと戻ってこれたな説明しろ!!!!!

 

9:名無しの転生者

前スレの最後誰なんです!?

 

11:名無しの転生者

詳しく

 

14:名無しの転生者

説明してください

 

17:名無しの転生者

今スレ民は冷静さを欠こうとしています

 

20:1

めちゃくちゃ人来た……怖……

詳しくと言われましても……リーガルが余計なことしやがったのでその後始末としてちょっとラスボスにならざるを得なくなっただけで……

 

23:名無しの転生者

ちょっと……???

 

26:名無しの転生者

そんな軽くでなれるもんじゃないでしょラスボスは!!!

 

27:名無しの転生者

何を言っとるんだお前は

 

30:1

だってそうとしか説明ができなくてェ……

これのせいでセレストはいなくなったし終わったあとみんなにどちゃどちゃに怒られたのでスレ民慰めて

 

32:名無しの転生者

嫌です

 

35:名無しの転生者

反省しろ

 

36:名無しの転生者

しれっとナビ亡くしてんじゃないよ どうすんだよ

 

38:名無しの転生者

バックアップは?

 

39:1

セレストって特殊ナビ枠なのでバックアップできなくてェ……復旧不可でェす……

 

42:名無しの転生者

そんな……もうあのシスターは見られないということ……

 

45:名無しの転生者

幻滅しました牧師さんのファン辞めます

 

47:名無しの転生者

いやマジでどうすんだよこの後

 

48:名無しの転生者

BEASTって割と早くなかった?

 

50:1

どうしようね……

 

そういえばBEASTで思い出したんですけどもね、保存してる俺の前世記憶ってセレストが居ないとアクセスできないんですよね……

つまりこの先ガチうろ覚え知識で行くことになるんですよね どうしよっか

 

52:名無しの転生者

反省しろ!!!!!!!!!!!!!

 




ここまでご覧いただきありがとうございます。
これにて牧師ハッカーStream編は完結、本編としてもここで一旦区切りかな、というところになります。BEAST編、どうしようね……という状況なのでしばらく状態区分は完結にしておこうかなって……

長編ものをしっかり書くという経験が初めてだったため、書いている途中で方向性が二転三転した部分はありましたがおおむねちゃんと考えていた通りの流れにまとめられたかな……と安心しております。特にフレイムマン周りは思いつきで追加した割には結構上手く収まったんじゃないかなと……
読みづらさとかは本当にゆるして あと誤字脱字……いつも報告ありがとうございます……わざとの部分などもあるのですべてに適応はできていませんが大変助かっています……

ちなみにセレストに関しては当初からこの方向で行く予定でした。Stream最終戦でクロスフュージョンして消失。
あと強いて言うなら牧師さんの最終状態で若干ルート分岐があったぐらいで……(死亡/記憶喪失/電子生命体化etc.) まあ本編は比較的トゥルーな方かな……という。

正直書き足りなかった部分や個人的に書きたいif(ゲーム版√)とかセルフ三次創作とかまだ色々とありますが、改めてここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました。
また次のBEAST編か別の作品でお会い出来る時を楽しみにしています。
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