今日は私の最高の一日になるだろう。何故かだって?朝から私は憧れのきくりさんにベースを教えて貰っているからだ…ふふふ…あのベースを生で聞けるなんて最高…
き「〜〜……って感じかな〜」
り「おお…ライブとは違う間近の演奏…最高でした!」
き「でへへ〜褒めてもお酒しか出ないからねー♪」
お酒くさいのがたまにキズだけどベースの腕は確かだ…私もこれくらい弾いてみたい
き「それじゃあ、私は帰るね〜?」
り「あ、ありがとうございました!」
き「……あ、オマケでコレもあげちゃう〜」
り「……?これは…」
何やら薬のような物を渡された…なんだろう?
き「これはねー…運が良くなる薬なんだってー」
り「……怪しすぎませんか?」
き「まぁ、何かついてなかったら飲んでみなよー運が良くなるかもよー?」
り「はぁ…」
そういうときくりさんはフラフラと出ていってしまった…今日の私は運がいいからこれに頼ることはないだろう…とりあえずスターリーに向かおうかな。薬をポケットに入れ私は防音室から退出した
り「…不幸…」
……あれからスターリーに向かう道でカラスにフンは落とされかけたり車に轢かれかけたり…さんざんだった…私の幸運は朝で無くなってしまったのか…肩を落としいじけるようにポケットに手を入れるとさっききくりさんから貰った薬があることを思い出した…もう、なんだか妬けだ。スターリーに入る前に飲んでみよう…
り「……にがっ!?!?」
何これ苦い!?草の方が甘く感じるほど苦く感じる…なんだかもうやだ
虹「おはよー!あれ?なんだか元気ないねーきくりさんに会うからってウキウキしてたのに 」
り「うん、その帰り道いろんなことがあってね」
虹「まぁ、そういう日もあるよ!元気だして行こ?」
り「うん…」
虹「それにしても外で変な声出してなかった?こっちまで聞こえてきたよ」
り「うん、きくりさんから貰った運が良くなるって薬をダメ元で飲んだら…地獄のような苦さだった」
虹「そんなに…とりあえず椅子に座って喜多ちゃん達を待とうか!」
り「だね」
話を終え虹夏とスターリーの椅子に座った…暫くは2人で話していると入口が開き郁代が入ってきた
喜「おはようございます!」
虹「うん、おはよ!あれ?ぼっちちゃんは?」
喜「なんか用事があるとかで遅れるそうですよ?」
虹「そっか、ならもう少しだけ待ってみよっか」
喜「ですね!」
虹夏の横に郁代が座り郁代のマシンガントークが始まった…暫くするとなんだか胸の奥からモヤモヤとした気持ちがおきそれが何か分からず首を傾げてしまう
虹「リョウ、どうしたの?」
り「なんか…胸の奥でモヤモヤするんだよね…気のせいだと思うから気にしないで」
虹「そう?」
喜「先輩が悩みなんて珍しいですね…何かあったら言ってくださいね?」
り「そうするね、ありがとう。郁代」
喜「下の名前で呼ばないでくださいよー!」
なんなのか分からなかったがとりあえず気にしないようにした…しかし、話していても郁代のマシンガントークを聞いていてもモヤモヤが溢れてきて何故か頭の中でぼっちが出てきてしまう…早く来ないかな
虹「ね、ねぇ…やっぱり何かあったの?」
喜「そうですよ…」
り「?何も無いけど…」
さっきまで楽しそうに話していた2人が私の方を心配そうに見つめている…あれ、なんだか2人がブレてる?
虹「だって…リョウが泣くなんて珍しいし…」
り「…は?」
私が泣いてる?そんな事はない…でも前がブレて頬に温かいものが垂れた、指で目を擦ると確かに涙が出ていた
り「……なんか、おかしい…」
喜「確かに…いつもの先輩じゃないみたいですね」
虹「……ねぇ、今日飲んだって言う運が良くなる薬ってある?」
り「ん、これだけど…」
虹夏に瓶を渡すとそれを観察し何故かため息を吐いた
喜「先輩…これって」
虹「うん、何時もの所からだと思う」
り「…?」
虹「これ、運が良くなる薬とかじゃなくて寂しさが倍増する薬なんだって」
り「……は?」
寂しさが倍増する薬?なんだそれは…つまり私が泣いているのも頭の中にぼっちが出てるのも寂しさから?
喜「さっき…ひとりちゃんがって言ってましたけど…ひとりちゃんが来ないから寂しいということでしょうか? 」
虹「そういうことになるね 」
り「ま、待って!?それだと私が寂しがり屋に聞こえるから!///」
私は孤高のベーシスト…断じて寂しがりじゃない!
虹「あ、ぼっちちゃん!おはよ!」
り「!!」
虹夏が後ろの方に手を振ったので後ろをすぐに見るも…そこには誰もいなかった
虹「はい、証拠ね」
喜「満面の笑みでしたよ?」
り「………ぐすっ」
私の幼なじみは鬼だろうか…証拠を突きつけるためにそんな嘘をつくなんて…どこが下北沢の大天使だ、悪魔に改名してほしい
虹「まぁ、これで信じたでしょ?…とりあえず、このQRコードを読んでみるね」
り「………悪魔め 」
喜「よしよし…?」
流石に郁代も居心地が悪いのか泣いてる私を撫でてくれた…うん、郁代の方が天使だ…寂しさを紛らわせるために郁代に抱きつく事にした。少しは紛れるかな
喜「………(先輩が私に抱きついて…か、可愛い…激写したいわ…でもそんな事したら先輩が逃げてまた泣いて…うぐぐ…ここは我慢よ!喜多郁代!)」
虹「出てきたよ!なんかね、「もっとも好きな人物と少し会えないだけで寂しくなってしまう薬、これで鈍感なあの子も振り向いてくれるかも! 」だって 」
り「……私、そのサイトの製作者嫌いかも」
虹「あれだけ振り回されればねー…」
本当だよ…こんなに寂しい気持ちになるし…踏んだり蹴ったりだ…それにしても…もっとも…好きな人…か…
虹「治すためには1日一緒に居ること!だって」
り「……もう、叫ぶ元気もない」
喜「これは…重症ですね…」
郁代に抱きしめられてるからまだマシだけどどんどん寂しくなる…悩んでいるとスターリーの扉が開き私は急いで顔を上げた
き「やっほー!きくりお姉さんだぞー♪」
虹「酒クズベーシスト!!」
私に薬を仕掛けた張本人が出てきた…尊敬してるけど今日だけは恨みで襲いそうになる
き「へ?なになにー?リョウちゃんがなんか弱々しいよ?」
虹「あんたのせいでしょ!へんな薬を渡して!」
き「あー!あれね!どう!運上がった?」
り「上がってないどころか下がってます…」
き「えー、変なの…」
虹「本当にあれって運がよくなる薬なんですか?」
き「そう書いてあったよー?あ、妹ちゃん。先輩にこれ飲ませといてー」
急にポケットを漁るとまた変な薬を虹夏に渡した
虹「……なんですか、これ」
き「前にファンの子から送ってきた寂しさが倍になる薬なんだってーこれで私の事寂しくなってくれるかなー? 」
………今なんて言った?私の聞き間違いじゃないだろうか
虹「……運が良くなる薬と書いてますよ」
き「へ?うっそだーいくら私でも間違えたりしな…本当だ…」
……つまり、渡し間違え?
き「ということは…リョウちゃんがその薬を飲んで…あ、あはは…今日は帰…」
虹「返すと…思いますか?♪」
喜「そうですよー、もう少し…ゆっくり…話しましょう?♪」
渡し間違えた事実に気づいたきくりさんは顔を青くさせ出口に向かおうとするも…既に虹夏が立ち塞がっておりその後ろからは阿修羅のような顔をした郁代が迫っていた
き「あ、あはは…2人ともどうしたのかな?可愛い顔が台無しだよー?」
虹「ええ…気にしないで大丈夫ですよ。ねぇ?喜多ちゃん」
喜「そうですね。今のきくりさんに…可愛い顔なんてしなくても大丈夫ですし?」
き「……許して?」
虹/喜「地獄で懺悔して(ください)♪」
……私はそこまで見届けると耳と目を塞いだ…これは私も擁護できないから。しばらくして目を開けるとそこには完璧にKOされたきくりさんと阿修羅の2体だった
虹「さてと、元凶も退治したし…ぼっちちゃん早く来ないかな?」
伸びているきくりさんを箒で外に追い出した虹夏は私の隣に座り撫でてくれた…うん、少しは和らぐかな…
り「……なんか、ごめん 」
虹「もう、今回は何も悪くないでしょ?ぼっちちゃんが来るまではなんとか持ちこたえてよね?」
喜「そうですよ!ひとりちゃんはこういう時1番頼もしくなるんですし!」
……うん、分かってる…寂しさが膨れ上がってきたけど…2人の優しさでなんとか持ちこたえることができた。暫くすると汗だくになったぼっちが入口を開け中に入ってきた
ぼ「お、遅れました!すみません!」
り「……ぼっち」
……中に入ったぼっちを見つけると私の体は無意識にぼっちの方に向かっていった
ぼ「っ…ご、ごめんなさい…遅刻し…!?」
そして、迷うことなくぼっちに抱きついた
ぼ「あわわ!?り、リョウ先輩!?どうしたんですか!? 」
り「ぼっぢぃぃ…」
ぼ「っ…な、泣かないでください…何があったかは分かりませんが…私も悲しくなりますから…」
り「!」
抱きついた瞬間、私の目からはボロボロと涙が零れた…我ながら情けない…初めは困惑していたぼっちだったけど私の頭を優しく撫でてくれた…安心する…
ぼ「えっと…虹夏ちゃん…何があったんですか?」
虹「えっとね、きくりさんから間違った薬を飲まされて寂しさが倍増したんだって」
ぼ「お姉さん…何してるんでしょうか…」
ぼっちは呆れながらも私の為に撫で続けてくれた……えへへ…気持ちいい…
ぼ「…そ、それで…どうすればいいのでしょう」
喜「今日1日ひとりちゃんが側に居てくれたら大丈夫よ」
ぼ「へ?わ、私…がですか?虹夏ちゃんや喜多ちゃんがいた方が…」
虹「ううん、今回はぼっちちゃんにお願いしたいの!今日は帰っても大丈夫だから一緒にいてくれない?」
ぼ「あ…はい…分かりました。わ、私で良ければ任せてください」
り「……ありがと…ぼっち…」
私はなんとか離れ涙を拭いた
虹「あ、リョウ…ちょっといい?」
り「……なに?」
ぼっちが泣きすぎて動けない私の物をまとめてくれている間虹夏が小さな声で話しかけた
虹「前に言った言葉、覚えてる?」
り「前に言った言葉…?」
……どの言葉だろう…少し首を傾げているとぼっちの用意が終わったようだ
ぼ「じゅ、準備出来ました」
り「あ、うん…」
虹「……まぁ、思い出せる時はリョウが覚悟を決めた時よ。行ってらっしゃい?」
り「……ありがと、行ってくるね」
そうして私はスターリーを後にした
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虹「2人とも行っちゃったね」
喜「ですね…」
あの酒クズベーシストによって起きてしまったこの事態を解決する為にリョウをぼっちちゃんに預け、残ったのは私と喜多ちゃんだけになった
虹「それにしても…喜多ちゃんは良かったの?」
喜「何がですか?」
虹「喜多ちゃんだってぼっちちゃんの事好きなんだよね…多分今回2人が帰ってきた時は…」
2人を見送ったあと、私は横にいる喜多ちゃんの方を向くとそこにはボロボロと涙を零しながらも笑顔を作っている喜多ちゃんがいた
虹「き、喜多ちゃん? 」
喜「しょ、正直…悔しいです。私は沢山ひとりちゃんにアプローチをしたつもりでしたけど…私は友達の枠から超えれませんでした…たまに話してくれる時もひとりちゃんはリョウ先輩の話題で…多分ひとりちゃんも気づいてないけど好きなんだと思います」
虹「うん…」
喜「で、でも…私はひとりちゃんが幸せになってくれるなら…笑顔で2人を迎え入れたいんです…」
虹「………」
私はなんて失礼な事を聞いたんだろうと自分を呪ってしまった…喜多ちゃんもぼっちちゃんの事が好きなのに…
喜「……でも…今だけは…いいですよね?」
虹「……うん、私で良ければ胸を貸すよ?」
喜「……ひぐっ…うわーん!」
喜多ちゃんは私に抱きつくと声を上げて泣いてしまった…リョウ、これでヘタレて何もしなかったら…私一生許さないからね?喜多ちゃんを撫でながら私の頬にもゆっくりと涙が零れてしまった
次回はぼっちの家に行ったリョウとリョウの為にぼっちは何をするのか、お楽しみに