ジョリアーノの奇妙な冒険   作:布施鉱平

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ジョリアーノの奇妙な転生

 ジョリアーノ・ジョボビッチは転生者である。

 

 前世は登録者数13人の新進気鋭Y○uTuberだったのだが、いつの間にか死んでいた。

 

 もしかしたら、動画企画で一日百万回の正拳突きに挑戦しようとしたのがいけなかったのかもしれない。

 

 やはり秒間11.6発の正拳突きは、人類にはまだ早かったのか。

 

 そして気づけば、イタリア人なんだかロシア人なんだかよく分からない名前の子供として生まれ変わっていたのだ。

 

 ここまではまだいい。

 

 輪廻転生なんて、宗教の世界観ではよくある話だ。

 

 それが事実だったことには驚きだが、不思議なこともあるんだなぁ、で済ませられる程度の話である。

 

 ところがどっこい、それでは済ませられない事態がジョリアーノには起きていた。

 

 なんと、彼のすぐ隣に、明らかにヤバい存在が立っていたのである!

 

 それは、死人のような青白い肌を持つ男だった!

 

 それは、全身を紐のような赤いボンデージで覆っていた!

 

 それは、目と口を雑に縫い合わされていた!

 

 それは、ぶっちゃけて言うならソウルエ○ジのヴォ○ドっぽい見た目をしていた!

 

 もしくは、killer7のヴェンツェル・ディル・ボ○ス7世・イワザールスコフ……略してイ○ザルにも似ていた。

 

 とにかく、どう見てもキチった変質者だった。

 

 故に、ジョリアーノは転生早々失禁した。

 

 転生する、隣を見る、失禁する、この間なんと3秒である。

 

 そしてジョリアーノは、第二の人生は変質者に変質的なことをされながら終えるのかと、膝をついて絶望した。

 

 しかし、いつまで経っても変質者は動かなかった。

 

 ジョリアーノのことを認識しているようではあるのだが、襲いかかってくる気配はない。

 

 それどころか、よく見ればその変質者の足は地面を離れ、宙に浮いているではないか!

 

 まさか、実はキチった変質者ではなく徳の高いインドの行者様で、そのヤバすぎる見た目は苦行の一部なのかと思い話しかけてみるも、やはり反応はなかった。

 

 当たり前である。

 ジョリアーノにサンスクリット語を話すことなど出来ない。

 

 ……いや、ヒンディー語だったか?

 

 ともかく、ジョリアーノが話せるのはイタリア系ロシア人ぽい見た目の割りに日本語だけである。

 中身が日本人なので当然だ。

 

 しかし、困ったことになった。

 

 ジェスチャーで意思の疎通を図ろうにも、相手は瞼を縫い合わせているのだ。

 

 いくら苦行でも、そこまでする必要はあるだろうか。

 

 修羅○刻に出てきた柳生○兵衛ですら、片目を眼帯で隠すだけだったというのに、明らかにやり過ぎである。

 

 だがそこで、ジョリアーノは気がついた。

 

 目が見えないなら、そっと逃げればいいじゃないか、と。

 

 キチった変質者だろうと徳の高い行者だろうと、別に意思の疎通を図る必要なんてこれっぽっちもないじゃないか、と。

 

 故にジョリアーノは逃げ出した。

 

 なるべく足音を立てないように、わざわざ靴を脱いで逃げ出した。

 

 決して粗相したせいで靴の中が濡れ、気持ち悪かったからではない。

 

 だが、それは無駄に終わった。

 

 紐ボンデージ男は、どうやってジョリアーノを認識しているのか分からないが、宙をふよふよと浮遊しながら追いかけてきたのである!

 

 ジョリアーノは走った。

 

 紐ボンデージ男をなんとか振り切ろうと、全力で走り続けた。

 

 現在地はどうやらどこかの住宅街であるらしく、その地形を利用していくつもの曲がり角を曲がり、自分の姿が壁に隠れるようにしながら疾走した。

 

 だが、それも無駄に終わった。

 

 なんと、紐ボンデージ男は壁を通り抜け、真っ直ぐにジョリアーノを追ってきたのである。

 

 まさかのイリュージョンに、ジョリアーノは再度失禁した。

 

 もはやこれまで……と覚悟を決めたそのとき、ジョリアーノの脳内に情報の嵐が吹き荒れた。

 

 それは、ジョリアーノ・ジョボビッチという少年が送ってきた人生のダイジェスト映像だった。

 

 イタリア人の母とロシア人の父の元に生まれ、なんやかんやあって成長し、なんやかんやあって旅行中に両親が死亡し、なんやかんやあって矢で射られたら紐ボンデージ男が生まれたのだ。

 

 あまりにも雑なダイジェストのせいで、ジョリアーノ君の人生に何の共感も抱けなかったが、概要は理解できた。

 

 つまり、この世界は『ジョジョの奇妙な冒険』の世界なのだ。

 

 そして自分は、ジョリアーノ君が『矢』で射られ、スタンド能力が発現すると同時に前世を思い出したか、もしくは憑依したかによって生まれた存在なのだろう。

 

 そう、紐ボンデージ男は、キチった変質者でも、徳の高いインドの行者でも、いきすぎたSMにハマって精神を病んだイリュージョニストでもなく、ジョリアーノの『スタンド』だったのだ!

 

 今ならば、スタンド能力についても理解できた。

 

 このジョリアーノのスタンド名は『プライマス』!

 

 近接パワー型のスタンドで、ステータスは破壊力D! スピードC! 射程距離D! 持続力A! 精密動作性C! 成長性E!

 

 その能力は攻撃された際に受けたダメージや特殊能力を、快感に変換して無効化するというもの!

 

 使えねぇなこいつ!

 

 ジョリアーノはプライマスを殴りつけた。

 

 もちろん自分のスタンドなので意味の無い行為だ。

 

 しかし、ジョリアーノの怒りも理解できる。

 

 つまりプライマスの能力は『痛みを快楽に変える』という、ハマったら最後ドMまっしぐらな能力だったのだ。

 

 しかも自分から相手に対して攻撃する能力は特に持たず、破壊力自体もDなので殴り合いではまず負ける。

 

 スピードも精密動作もCなので、たぶん銃弾を掴んだり出来ないし、成長性がEなので新たな能力が芽生えたりもしない。

 

 持続力だけはAだが、それはつまり、相手にボコられて快感に悶え続ける時間がめっちゃ長いということでもある。

 

 そのうえダメージ量や特殊能力の強さによって変換されたときの快感も強くなるようなので、即死級の攻撃を食らった日には一発で昇天(性的に)である。

 

 もし承太郎の本気のオラオララッシュを喰らったりなんかしたら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オォラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラ(ビュッ)オラァーッ!(ビュビューッ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────という、最悪の見開きラッシュが展開されることは想像に難くない。

 

 たとえダメージを無効化したとしても、おそらくほんの数秒で全てを出し尽くして腎虚である。

 

 故に、バトルに参加するという選択肢は、ジョリアーノには存在していなかった。

 

 どこかの殺人鬼ではないが、平穏に、幸福に生きていくことを目標に、世に隠れ潜みながら生きていこう。

 

 そう、ジョリアーノは誓ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────だが、現実は非情である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジョリアーノは忘れている。

 

 

 

 スタンド使いは互いに引かれ合う、という法則を。

 

 

 

 そしてジョリアーノは知らない。

 

 

 

 両親が旅行先に選んだのが日本であり、その目的が観光と、友人であるトニオ・トラサルディの開店祝いを兼ねたものだということを。

 

 

 

 さらに、今自分がいる場所がすでに杜王町内であるということも、ジョリアーノはまだ、知らなかった。

 

 







 
 続かない!
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