パパ活を辞めたい先生と、それをさせない生徒達 作:ベロベロベ
感想欄で世界観考察的なの始まってて草。作者の人あんまり考えてないよ……、精々結末をこんなもんかな程度にうっすら考えてる程度だよ……。書くかどうかもわからんよ。
そしてランキング1位達成です。こんな事されたら書かん訳にはいかんのよ。という事で今回は可能な限りシリアスを排除しました。これが本来書きたかったものだったりします。ただお目にかなうかどうかはあなた方次第です。
「まずいですね」
ミレニアムサイエンススクール。キヴォトスに存在する未だ明かされない神秘を追求するその学園に所属する生徒、音瀬コタマは気まぐれに開いたニュースサイトを見て、そう呟いた。
ネットニュースというものは日夜投稿され、その中には似通った内容であったり既に風化した話題をさも全く新しいものの様に取り繕ったりとはっきり言って信用ならないものも多い。ましてや彼女は真実を白日の下に曝すため、活動する事もあるハッカーである。この様な嘘八百と評してなんら問題のない様な文字の羅列に踊らされる事などありえないと考えていた。
しかし、今回のはマズい。多様なサイトに記されているのは、キヴォトスの治安の悪化。元々悪かったではないかという意見も聞こえてきそうだがそれはそれ。つまる所、誰がその事件を起こしているのかが問題だった。
コタマが今回目をつけたのはとある街の闇銀行。そこに強盗が入ったというものだ。銀行だけなら週一頻度で起きるそれも、犯人によっては注目に値するものへと変わる。
「これ、どうみてもアビドスの2人ですよね……」
スクリーンに写った映像の解像度をあげてコタマはそれを凝視する。あんな妙な目出し帽をつけて強盗する存在を彼女は余り知らなかった。しかも並みの警護を秒殺する戦力ともなれば一気に絞られる。
今回は彼女達だった。しかし最近では組織単位の犯罪率は増していたりするのだ。
元々アウトロー気質の高かったアビドスや便利屋、美食研究会。特に後者2つは頻繁に新聞を賑わせているが、それに加えて
他にも多数の生徒が強行手段に出る事もあり、その際に目的を知った各校の治安維持組織から必要以上にボコボコにされるという事も相次いでいる。
結果として小規模な犯罪は大きく抑制されているが、肝心の上層部もまた似た様な事をやろうとしているので巨大な謀略を誰も止められないという事態が発生していた。
目的はまず間違いなくシャーレの先生だろう。彼を抱きたい、メチャクチャにして自分の色に染めてしまいたいと考える生徒は数知れない。コタマの所属するヴェリタスの副部長や元部長もそれを聞いて悶々ムラムラの日々を送っている。
「駄目ですね、これは駄目です」
コタマはキヴォトスの生徒としては本当に希少な、先生に対して過度の肉欲を抱かない生徒であった。よって彼女は先生絡みの話題も幾分冷静な脳みそで考える事が出来た。
治安の悪化の最中にあるキヴォトスの現状。その原因を先生が知ってしまったらどうなる? きっと悲しむだろう。元はと言えばキチンと拒否しない先生も悪いのではと考える自分も居たがそれによって自身も大きな利益を得ているので文句は言えなかった。
コタマは重度の音フェチである。否、先生の発する音フェチであると言い換えた方が良いかもしれない。彼の食事音や服の擦れる音、果ては嬌声や絶頂する時の音など多種多様な音を集めて自慰に耽るという中々の変態だ。
毎度毎度シャーレに盗聴器を仕掛けるため、副部長にはいつも叱られてばかり。しかしはっきりと断らない先生も悪いのだから仕方がない。
しかし今回の場合はそれが功をそうする形となるだろう。
「つまりは皆さんの性欲をある程度発散させつつ、かつ金銭を使う様仕向ければいいんですよね」
実のところ以前から考えていたのだが、今回それを本格的に稼働させるつもりだった。具体的なプラン作成に余りにも熱中するが故に、後方から迫る侵入者に気がつけなかった。
「ちょっとお時間よろしいでしょうか、お嬢さん?」
「…………ッ!」
素早く銃を抜き取り、透き通る様な声の主に向かって突きようとして、既に無くなっている事に気がついた。見ればコタマの銃は侵入者の腰のホルスターに収められている。
強い。コタマの頬を一筋の汗が伝った。
「…………どちら様でしょう?」
「お初にお目にかかります音瀬コタマさん。あなた方ヴェリタスの名は私もお伺いしておりますよ」
コタマの問い掛けに、彼女は微笑む。首を捻る際に同時に揺れる純白の髪が蛍光の光を反射する。全身を白で覆い、柔らかな薄毛が生えた猫耳がピコピコと動いている彼女の姿を、コタマは知っていた。
「まさかあなたは七囚人の……」
「ええまあ。世間ではその様な枠組みで呼ばれておりますね。しかし今は枠組みなどで括らず、どうかこうお呼びください。――――慈愛の怪盗、と」
慈愛の怪盗。基本的に部室に引きこもってばかりで外界に関心を示す機会の少ないコタマでもその名は何度か耳にしていた。幾度も高価な美術品に対して窃盗行為を働き、一時期は矯正局にまで送られていた問題児。連邦生徒会長の失踪に伴い抜け出した囚人達の中でも一際凶悪とされる彼女の前評判は決して実力と乖離したものではなかったらしい。
キヴォトスでも屈指の科学力を誇るミレニアムサイエンススクール、そのヴェリタスの部室に潜入しているという事実からそれは十分に推察出来る事だった。
「それで、その怪盗さんが一体なんの用事でしょう?」
「ああ、そう警戒なさらないでくださいな。私はただ、あなたに協力を願いたいだけなのですよ」
協力? コタマの脳内に疑問符が浮かぶ。わざわざリスクを冒してまで彼女は自身の所にまで会いに来た。その目的とは一体何なのか。その答えに思い至るのに、そう時間はかからなかった。
「もしや、先生の事で何か?」
「ええ、ええ。その通りです」
慈愛の怪盗は何度も頷き、コタマの言葉を肯定する。
やはりか、とコタマもまた彼女の行動に納得した。先生に関する事であればそれは確かにリスクを犯すに足る事だろう。
「聞くところによると、コタマさんは先生が発する音を集めていらっしゃるとか」
「ええまあはい。私個人の趣味用ですが」
「しかしそのご趣味用の音声を配布する事を検討されているとか?」
「…………随分と耳が早いですね。まだ誰にも話した事のない計画だったのですが」
どこか呆れるコタマの言葉は意に介さず、慈愛の怪盗は言葉を続ける。元より完全に理解し合えるとは思っていない。
「未熟な蕾達に真の価値を伝えるため、その極一端に触れさせる――――。素晴らしい計画です。ですから是非に私も参加させていただきたいのです」
ただ彼女は自らの理念に則した行動をとるのみ。本当ならば先生自身を直接手元に置きたいというのが本音だ。しかしそんな事をすればどうなるか。如何に七囚人といえどそれを考えられない程愚かではなかった。
「如何でしょう? 私ならば厳重なサンクトゥムタワーへもバレずに侵入が可能です。あなたは先生の
慈愛の怪盗はコタマにそう語り掛ける。
コタマは数秒の間思案した。それは目の前の少女を信頼してもいいものなのか、という事である。
そして、まあ良いでしょうという結論に至った。
慈愛の怪盗はシャーレに登録された生徒ではない。つまり先生を抱く権利を有していないのだ。にも関わらず無理矢理犯したなんて事が知れたら、その翌日には死亡ニュースがキヴォトス全域を駆け巡るだろう。
「わかりました。折角なら新しい音で作るべきですし、共同制作といきますか。……ああ因みにここでの会話は全て録音しています。疑う訳ではありませんが一応」
「構いません。寧ろ簡単に信用してしまう人でなくて安心しました」
コタマと慈愛の怪盗は握手を交わす。何かとんでもない者と手を組んでしまった気もするが問題ないだろう。万が一彼女がヘマをしても乗り切れる。七囚人と健全な生徒のコタマのどちらが信用されるのかといった話だ。
「それはそれとしてあなた、先生とシたいだけですよね?」
「………………そうとも言います」
僅かに股間を抑えながら、慈愛の怪盗は言い切った。
■
「こんばんわ先生。お久しぶりですね」
「君は……アキラ?」
「……まあ、覚えていてくださったのですね」
「そりゃあ君も大事な生徒だからね。それに予告状まで貰っちゃってるしね」
屈託のない笑顔で微笑む先生を見て、清澄アキラは顔を綻ばせた。彼からすれば彼女は明確な侵入者。それだけならばそんなに珍しくないというのがシャーレの現状ではあるが、こうも静かにいつのまにかという生徒は珍しい。他には忍術研究部が他より多少静かと言ったところだろうか。
何にせよ、生徒が勝手に自身に会いに来るという事象に対して、先生が怒る事はなかった。何も壊されていないのであれば歓迎するだけである。
「…………それにしてもこんな時間にどうしたの?」
「ふふ、予告状をお読みになったのでしょう? ではお分かりなのでは? 『幾多の花弁に埋もれた芸術の価値を、今宵満月の輝きのもとに曝しに参ります』――――。先生の事ですよ」
耳元で囁くアキラの吐息に先生は頬が熱くなっていくのを感じた。彼女が背後から手を回し、片手で先生の体の方々をまさぐっていく。そしてもう片方の手は、先生の視界を覆い隠した。
「ふふ……。美術品というのは真の完成を見るまでは製作者ただ1人とのみ顔を合わせるものですので」
先生の視界を覆い隠しながら、アキラは器用に先生を抱える。そして窓の淵に足をかけ、フワリと舞い上がる。
そして地面に降り立った後、バイクに乗せられる事数十分。
先生の視界は未だ暗黒に包まれた中で、アキラは先生を柔らかなベッドの上に降ろした。
「ようこそ先生。ここが今宵の私のアトリエです」
視界に入った割と見覚えのある光景が、即座にアキラの顔によって覆い隠される。彼女の純白の美貌が目と鼻の先にあるという事に先生の顔が更に紅色に染められた。
「私は数多の芸術品を目にし、またこの手に収めてきました。ですからわかるのです。先生がどうすればより美しくなれるか。――――如何に他の生徒が未成熟か」
アキラの声色の僅かな怒りと余りある情欲が込められる。
彼女は物の価値を何よりも重んじる。その人並と比較して大きく行き過ぎた思いは彼女に仮面を被せ、怪盗へと変貌させた。その根底にあるのは皆に真なる価値を理解してほしいという純粋たる思いだった。
世の中に存在する数多の美術品。今の世の中はそれを理解しようとしない。しかし先生は違う。皆が彼を理解しようと求めている。であれば手本を見せねばなるまい。
如何にして彼を飾るべきか。自身の解釈の一端をお見せしようではないか。
目の前にある熟れた極上の果実の理性など簡単に吹き飛ばしてしまうかの様な甘美な香りを前に、獣はじゅるりと嗜虐的に微笑んだ。
「では早速始めてしまいましょう。――――まずはその愛らしいお顔から」
そこから始まったのは芸術活動という名の嫐る様なまぐわいだった。いやまぐわいという言葉すら相応しくないかもしれない。まるで高級肉を丁寧に口に運ぶかの様な、しかして欲望のままに齧りつくかの様な、そんな矛盾を孕んだその様子は確かに芸術と言えよう。
室内に響き渡る先生の泣き声を心地の良いクラシックを聴くかのように、アキラはふんふんと耳を澄ませる。そして一時的に止まった所で唇を貪る。唾液を啜る水音と抑えきれない先生の悲鳴。
顔から順に下っていく様に、アキラは休む事なく先生を責めていく。その間彼女は一言も言葉を漏らさず、ただ
その創作は何時間にも渡り行われた。そして終盤に差し掛かる頃には彼の声はか細く、ただ赦しを請う存在へとなり果てていた。
全身に纏わりついた体液と震える気力すらも搾り取られた先生の姿を見て、アキラは恍惚の表情を浮かべる。
(嗚呼、先生。あなたはやはり、多くに汚されてこそ美しくなる御方――――。抱えきれない愛を受け、それに溺れながらもそれを受け入れ、それに抗う矛盾。そして最後には快楽の奴隷へと堕ちていくその様こそがあなたの真髄なのです……!)
最後の仕上げだとアキラは再度先生に顔を近づけていく。
水音と嬌声が深夜の仮眠室に響いていく。か弱い獲物を肉食獣が美しく淫らに捕食する。そんな1枚絵が、誰にも見られぬ闇のキャンパスに白濁と描かれていた。
■
やっべえ。これやっべえ。コタマは共同制作した音声作品、『蠱惑の天使、その堕落』の販売数を見ながら戦慄していた。作品としての形にして投稿してから24時間もたっていないにも関わらず高評価の嵐にお気に入りの数。ランキングでは圧倒的首位を叩き出すという最早訳のわからない状態にまで至った事を示す各数字。
少し割高に値段設定をしたのにも関わらずこの売り上げ。コタマはまだまだ先生の事を侮っていたらしい。
「お疲れ様でした、慈愛の怪盗さん。お蔭様で随分と良い物が出来ましたよ。…………いや正直想像以上でした。思わず私も手が伸びそうになりました、というか伸びました」
「そうですか。それは何よりです。ところで分け前なのですが……」
「ええ勿論。これだけの成果を出して頂いたのですから約束よりも色をつけておきました。確認してください」
アキラは自らのスマートフォンの画面を見て、記された数字に目を通す。そこにあるのは一般的な生徒が持つにはおよそ相応しくない額が表示されている。
「…………はい、確認しました。ふふ、非常に有意義な時間でした。次回作等がありましたらその時はまた」
「ええ、また」
アキラはコタマと握手を交わして、姿を消した。瞬きしている間に消えていく。一体どうやっているのか全く見当がつかないがまあ良いだろう。そも所詮はビジネスライクな間柄だ。深入りしたところで大した意味はない。寧ろリスクが増えるだけだ。視覚を重視するアキラと聴覚を重んじるコタマでは完全に交わる事はなかったのだ。
しかし、しかしである。いくらビジネスなドライな関係とはいえ、今この状況をどうにかしてほしかったな――とは思ってしまうが。
コタマは部室の自動ドアへと視線を向ける。一枚の分厚い鉄を介したその先は、銃撃音と殴打音が喧しく響き渡る修羅の集いとなっていた。
「コタマ! ここを開けて!!」
「コタマ開けなさい! この天才病弱色白美少女である私の命令が聞けないのですか!? 元部長ですよ!?」
声をあげているのはヴェリタス副部長の各務チヒロと元部長にして現特異現象調査部の部長を務めている明星ヒマリだった。その後方からユウカやエンジニア部の面々などミレニアムにおける重役達が一同に会している。彼女達全員の狙いはコタマとそして彼女が持つ先生の生音源だろう。
今回の制作にあたってコタマはアナログな手法を用いたため、こうして物理的な襲撃に遭っていた。因みに販売自体はダウンロード販売である。パッケージ商品にしてしまっては輸送車の襲撃などが起きかねないためだ。
「コタマ! あなた一体どうやってあんなエロ……卑猥なものを手に入れた訳!? どうせまた盗聴でしょ出て来なさい! また1からハッカー倫理を叩き込んであげる!!」
「そうは言いますが副部長も副部長でこの前先生の上着でこっそり致していたではないですか。ご自身のルールや体調によって悶々とされているあなた方に向けた商品でもあるのでどうか見逃しては頂けませんか……?」
「何を言いますかコタマ! あんなものは一時的な凌ぎにしかなりませんよ! というかアレがあるという事は先生とヤった誰かがいるという事では!? 一体何が悲しくてそんなNTRボイスを聞かねばならないのですかお説教です出て来なさい! この私があんなもので300回以上も致してしまうなんて……、この屈辱は一生忘れませんからね!!! というかせめてASMRにすればよかったじゃないですか! どうしてあんあんボイスなんですか!!」
「………………(自身の倍以上のヒマリにちょっと引いてる)」
因みにハッキング勝負では2人には到底勝ち目がないため、今は物理的に扉を塞いでいる状態だった。しかしそれにも限界がある。終わりを覚悟したのはヒマリが自身の警護としてついている彼女に指示を出した時だった。
「ええいもう煩わしい! トキ、やっておしまいなさい!」
「イエス、アームギア起動します」
C&Cに所属する
しかしコタマに後悔はない。現にキヴォトスの犯罪率は下がっているという結果が出ている。まだ1日であるために下がり幅は小さいが、ここから更に増すだろう。
そしてこれは始まりに過ぎない。ここはミレニアムサイエンススクール。あらゆる分野のクリエイター達が集まりその英知を解放する場所。そしてその英知は常にキヴォトスを発展へと導いてきたのだ。
それに加えて、これからはHにおいても最先端をイク。それだけの熱情を持った同士達に彼女は売上金の一部を託していた。
(後は頼みましたよ、ゲーム開発部……)
コタマは爆発と光に飲み込まれながら、穏やかに笑った。
感想次第では続きます。