この話では主人公の出立を書かせていただきました。
ダンまちを知っている人であれば、主人公のチートっぷりがよく分かっちゃうと思います(笑)
窓から強い陽射しを浴びて、今日もまた目が覚める。今、俺が暮らしているこの場所は、大きくはないが1人で暮らすには十分な大きさの家で、15年の月日を共にしている家でもある。いつもの日課である素振りを外でしながら昔のことを少し考えていた........。
俺が転生して最初に感じたのは、寒さだった。どうやら俺は上等な白布に包まれ木製のカゴに入った状態で神社のお社におかれていたらしい。所謂、孤児というやつだった。転生してから段々と目が見えるようになり、耳が聞こえるようになって初めて自分の世話をしてくれている人物に気が付いた。.......そう。なんとあのタケミカヅチ様だったのだ。
タケミカヅチ様が仰るには、妙な気配を感じて外に出てみれば俺が置かれていたと話してくれた。
そこで捨てられた子供の俺を育ててくれたのがこの方だったのだ。正直、初めの頃は原作に出てくるキャラに会えて、この世界にこれた実感が湧き、喜ばしく思っていたのだが、この神、容赦がなかった。
俺が5歳になり初めてタケミカヅチ様に武術を習った際、ほとんどは普通より多少マシな程度といったものだった。まぁ後で聞いた話だと、体術に関して(特に格闘術)は筋が良かったらしい。けれど特典の通りに剣を扱う才能に関しては飛び抜けていた。初めて剣を握り使った時に、俺は触った事すらない剣の振り方を昔から知っているかの様な、異様な感覚をいまだに憶えている。そして当時、俺が剣を試している姿を見たタケミカヅチ様は武神としてこう言った........。”その剣才は神の領域にも届き得るものだ”と。”その才は武の極地に辿り着ける”と。それが分かってからだった。毎日が修行の日々となって続いた。俺の才能は至高の物ではあるが、武神からするとまだまだひよこと同然らしく軽くあしらわれていた。その時同じ道場にいるのが命や桜花だと分かったのはしばらく経った後だった。
そんな日々から、1年....2年....5年....と月日は流れていき、今では15年も経っていた。ここまでオラリオではなく極東にいたのはタケミカヅチ様から一つ条件があったからなのだが....。ちなみに、命たちとは同じ門下生として、それ以上に家族として絆を深め、日々の生活を送っていた。けれどそれも今日で終わりにしようと考えていた。
朝の素振りを終えて俺はタケミカヅチ様の居る道場に向かっていた。まだ日も出ておらず薄暗い中歩いていく。
道場の中に入ると、タケミカヅチ様はまるで分かっていたかの様に正座で目を瞑っていた。
「来たな、グレイ。こちらへ来なさい。」
「はい、師匠。」
今更だが、この世界の俺の名前はグレイだ。神様が言うには捨てられたカゴの中に袋が入っていて、その中に大量のお金とグレイと書いてある紙を見つけたからと言っていた。入っていたお金は、俺のために使うべきだと言って俺が全て受け取ってはいるが、神様もお金には困っているだろうに、さすがは善神と言ったところだろうか。そんなことを思い出していると、神様もとい師匠から声がかかる。
「最近になって本格的にグレイがここを発とうとしていた事は俺も知っている。その上で覚えているな?ここを出て行く条件は剣技で俺を越すこと。神を越せと言うのは荒唐無稽すぎると他の者には聞こえるだろうが、俺はそうは思わない。お前ならできると、その時は近いと感じていた。」
「はい、もちろん覚えています。それを証明するために今日はここへ伺いました....。」
タケミカヅチは、弟子の言葉に満足そうに頷き、その場で目を開いた。
「それならいいさ。さっそく始めよう........。」
道場にようやく太陽の陽射しが差し込み場内を明るく照らしていく。互いに距離を空けて木刀を手に持ち構え、空に浮かぶ雲が太陽にかかり、場内にゆっくりと、影を作っていく。次第に、2人へ迫っていく影が視界を覆い尽くそうとした時、グレイの姿が掻き消えた........。
特殊な歩法で距離を一気に詰め、右上空から”雷鳴の如く”剣を振り下げる。
ーーーーー師匠は、身を半歩引く。それだけで剣はかすりもしない。
”瞬間”、いつの間にか、師の剣は吸い込まれる様に首へ。
なんとか、身を捩りながらせまる剣と首の間に自身の剣を滑り込ませた。
「ほぅ....。流石だなグレイ。今の攻防だけを見ても、お前の”技”と”駆け引き”は超一級品....。よくぞ15年でここまで仕上げた。」
この間にもグレイは、流れる無数の流星が如く、剣を振るう。
ーーーーーーーそれは時が経つにつれ洗練されていく。深く....より深く........。
その剣は、海の底のように静かな空を、猛き龍が泳ぐように舞い踊る。静と動を重ね合わせ、織り交ぜた剣技。
........それはまさしく絶えることの無い流星の連撃。鋭く、速い。幾つもの剣の軌跡は、刃の鳥籠と化していた。
神の武をもって、ようやく到達し得るその領域に、片足を踏み入れているグレイを見たタケミカヅチは............。
一瞬........。ほんの瞬き程度の間、タケミカヅチはそれに魅入っていた。武を追求する者として。育ての親として。
しかし、その隙を見逃すグレイではなかった。
無数の剣撃と言えるグレイの猛攻をいなし続けていた師の剣をついに弾き飛ばした........。
”カランっ”と乾いた音が道場に響いた。
「グレイ....お前の勝ちだ。こんなにも早く負かされるとはな。お前は俺の自慢の弟子だよ、まったく。」
その頃、神相手に全てを出し尽くしたグレイは、仰向けの状態で床に倒れていた。
「何を....ハァ....ハァ....言ってるんですか!これであなたに勝ったなんて言えないですよ....。」
そもそもタケミカヅチ様は、剣の神というわけではない。この方は武の神なのだ。剣のみならず、槍術、弓術、体術など全てを使いこなせるから武神と呼ばれているのだ。実際に、俺は剣術以外の武術で勝てたことは一度もない。
タケミカヅチ様は、倒れている俺の姿を見て、笑いながら言った。
「負けは負けだ、グレイ。こと”剣技”において、間違いなくお前は俺と同じ領域まで登っている。それは天賦の才能だけじゃない。絶え間ない努力をしなければ辿り着けないものだ。武神の俺がお前を1人の武芸者として認めよう。剣以外はまだまだひよっこ同然だがな!」
「本当に....。あなたと言う人は。これから先のどんな敵よりあなたが怖いですよ俺は。」
その後は2人で、”この武術お化けめ!!”と言ったり”グレイこそ人の身で神の武に片足突っ込むとか普通は無理なんだよ!変態め!”と言われたり、軽口を言い合っていると、騒ぎ声に反応したのか、道場の襖が開かれ、命が入ってきた。
「おはようございます。タケミカヅチ様、グレイ兄様。今日は一段と早い起床ですね。稽古お疲れ様です。」
おはよう、と2人で命に挨拶を返した。そして朝食の準備ができているため来て欲しいと伝えると命は道場から出ていった。それを見計らってかタケミカヅチ様が今後のことについて語った。
「言うのが遅れたが、グレイ。お前のオラリオ行きを許す!それだけの実力があれば大丈夫だろう。ただし!命たちにはお前から話しておけよ〜!」
朝食をみんなで食べ終わり、少し緊張しながら明日出て行くことを話した。するとどうにも前々から出て行くことは気づかれていたようで....。
「自分たちはグレイ兄様がいずれ出て行くことを察していたので、心の準備はとっくにできています。それに私達も、次の年にタケミカヅチファミリアとして、オラリオに行く事を許可して頂いたので問題ありません!」
「そう言うことだ、グレイ。俺たちもじきに追いついてみせる!先に向こうで待っていてくれ!」
「たとえファミリアが違ったとしても、私達は家族だからね!」
この世界に来て、1人だった俺に家族として接してくれた俺の家族........。改めて思う。この人達に出会えて良かったと。この人たちを可能なら守りたいと。
ーーーーーーーここで俺は1度覚悟を決めた。この世界で生き抜くという覚悟を、大切なものを守るという覚悟を。
(これを成すには強さがいる。あのオラリオにいる生きる英雄達に勝るとも劣らぬ強さが....。)
後にタケミカヅチ・ファミリアとして活動して行くだろう、自分の家族を見渡しながら俺は思う。
「.........................これ、もしかしなくても命掛けじゃん........!!!」
そこには突然声をあげたグレイに、いつものことかと笑い合う光景が広がっていた。
僕なんですけど、原作の本編は読ませて頂いてるのですが、ソードオラトリアは、知識でしか知らないため、何かおかしいところがあれば教えてくださると嬉しいです。
書き始めの初心者なので、間違っている部分もあるとは思います。そこは申し訳ないです....。