第3話始まりです!
「皆、聞いてくれ!今日からまた、新しい家族が増える。」
団長の言葉に、食事をとっていたファミリアの団員達は、一斉にこちらへ目を向ける。
「....グレイです!極東から来ました。これからロキ・ファミリアの一員として、頑張ります。仲良くして下さい!」
「............................................。」
グレイが、挨拶をすると食堂内は”いい意味”でも、”悪い意味”でも静まり返っていた。当の本人は、リアクションが無い事で、汗が止まらなかったが。
ファミリアの多くの女性陣は、久しぶりに入ってきた団員がどんな子なのかと見てみれば、エルフ顔負けの美少年が入団してきたのだ。ロキ・ファミリアでは、ロキの選り好みによって容姿の整った者が多い。しかし、実際に、男性で整っていると言えるのは、フィン団長と幹部のベートくらいで、後は、よくて普通くらいであった。そんな中での、新たな美少年登場に、牽制の視線が飛び交い、黙ってしまっていたという訳だった。
逆に男性陣の方はというと、女性陣の反応を見て、嫉妬の炎をメラメラと燃やしていたりする。そんな訳で、今この食道内は、静寂となっていた。この状況になんとなく予想がついていたフィンは、場が静まっていることを利用し、本題の話に移った。
「....さてグレイの挨拶は終わったけど、彼について、僕から皆に伝えておく事があるんだ。............彼の本当の名前は、グレイ・リヨス・アールヴ。リヴェリアの親戚なんだ。」
本日2度目の静寂が続いた。しかし、疑問に思ったものが団長に尋ねた。
「しかし、団長!彼の見た目はヒューマンに見えるのですが、本当に、エルフであるリヴェリア様のご家族なのでしょうか?」
その疑問が来ると分かっていたかのように、フィンは答える。
「その通り。彼の見た目はヒューマンさ。しかし彼は、ハイエルフとヒューマンのハーフでね、その為だろう。」
ここまでの話を隣で聞いていたグレイは戸惑っていた。こんな秘密を打ち明けて良いのだろうかと....。そこで次はエルフの集団から、リヴェリアに向けて声があがる。
「団長の言っていることは、分かりました。しかし、これから彼とどのように接すればよろしいのでしょうか....?リヴェリア様、どうかお聞かせ下さい。」
視線がリヴェリアに集中する。
「そうだな....。確かにグレイには私と同じ血が流れている。しかし、フィンが言った通り、純血ではない。よって、彼は王族ではない。これは私が断言しよう。なので、皆もグレイには気楽に接してやって欲しい。これが質問に対する答えだ。」
エルフ達が、質問の答えに肩の力を抜いていると、フィンがもう一つ伝える事があると言った。
「彼の育成についてだが、リヴェリアに一任しようと考えている。王族ではないと言っても、彼の出生について、少々特殊なのは皆もわかったと思う。ロキとも話し合った結果、肉親であるリヴェリアに見てもらった方がいいだろうと言う結論に至った。不満があるものもいるだろうが、どうか許してやってくれ。これで話は以上だ。」
結果から言うと、今回の話について不満を抱いている者は”ほとんど”いなかった。本当の肉親であるのなら面倒をみるのは、納得できるというか、むしろ誰だって見ようとするだろうと皆、思ったからだ。しかも、リヴェリアの口から王族ではない。とはっきり断言された事で、後に王族とバレて混乱する状況も回避できた。フィンの策は成功したと言っていい。ただこの中で1人だけ、納得できていない者がいた。
(............、挨拶しかしてないのに、さっき知った秘密をいきなり暴露されたんですけど!?どう言う事ですか団長....!いや、わかるよ?多分、俺のために”まだはっきりしていない情報”が変に露見して皆が混乱する事を防いで、守ろうとしてくれたんだなって。流石だと思ったよ?でもさ....あの合法ショタジジィ....。一言言ってからでよくない?いきなり暴露されて、途中からずっと頭真っ白だっての!)
当の本人である。そんなグレイを見たフィンは、不敵な笑みを浮かべながら言った。
「身体が”ビクビク”震えていたけど、何かあったのかい?グレイ。」
この時、グレイは思った。この狸ジジィはとてつもなく性格が悪いと....。腹黒だと書かれていた理由の一端を、ここで垣間見るとになった。その後、ファミリアの団員と挨拶をしていると、ロキ・ファミリアの幹部達が現れた。
「やっほ〜!新人君!私はティオナ。これからよろしくね!」
「私はティオネよ。あなた私達と年も近そうだし、呼び捨てでいいわよ。」
最初に現れたのは、ヒリュテ姉妹で、現実で見ると顔が瓜二つだなと感じた。
「あぁ、よろしくね。ティオナ、ティオネ。」
次に現れたのは、ベートと、ガレスだった。
「雑魚....では無ェ見てぇだな....。チッ........、お前の面倒を見てやる。」
ダンジョンに行く時は言え。それだけ言うと、去っていった。
「ベートの奴め、何かを感じ取ったかのぅ....。それはさておき、挨拶が遅れたの。儂の名は、ガレス、宜しくのぅ。お主、相当できるじゃろ。成長を楽しみにしておるぞ。”後での”。」
ガレスも用事があるのか、そのまま食堂から出ていく。
「ベートがあんな事言うなんて、珍しいんだよ?普段は、もっと意地悪なのに!」
「そうね〜、まぁ何にせよ気に入られたみたいで良かったじゃない?あれでも実力はあるし。」
そんなこんなで、ティオナたちと話していると、リヴェリアに呼ばれた。
「どうしたんですか?リヴェリアさん。」
「今からギルドに冒険者登録をしに行くのだが、私は少々目立つのでな、ガレスと共に行ってもらう。あやつがいれば疑われる事もないだろう。それと、さんは無しだ。私達はもう家族なのだからな。」
「わかったよ、リヴェリア!」
その後、外であらかじめ待っていたガレスと合流し、ギルドまで歩いて行った。
「ギルドにはどのような御用件でしょうか?」
「冒険者登録をしに来ました。」
儂は、証人じゃ。とガレスが一言言うと、受付嬢は頷いた。
「ロキ・ファミリアの方ですね。かしこまりました。それではこちらの用紙に記入をお願いします。」
言われた通り、記入していき提出した。
「問題ない....ですね。ありがとうございます。改めて、ご挨拶させていただきます。この度、グレイ氏の担当をさせていただきます。エイナ・チュールです。宜しくお願いします。」
この後も、エイナさんから説明を受けて、手続きを終えた。講習をどうするか聞かれたが、事前にリヴェリアから直接指導されることを聞いていたので、お断りした。あと、団長から真名はまだ隠すようにと言われているので、用紙には名前だけを書いた。
「グレイよ、今日はもう戻るぞい。明日からはリヴェリアの勉強が待っておるでな。あやつのは、ちと厳しいからのぅ〜。」
そう行ってこの日は終わり、ホームの一室を与えられて、眠りについた。
冒険者登録をした日から、1週間が経った頃、俺はリヴェリアにダンジョンに関する知識。オラリオの歴史についてなど、授業を受けていた。
「ふむ、グレイはよく勉強しているな。アイズにもこれくらい積極的に勉強をして貰いたいところなんだがな。あやつと言ったら....全く。」
実は、勉強会1日目で俺はアイズと一緒に授業を受けていたのだが、早々に耐えかねたのか2日目からはダンジョンに消えていた。一応そのことは、、”内緒にして”と言われているのだが、まぁ十中八九リヴェリアには、バレているのだろう。
「今日で講習は終わりだ、1週間よく頑張ったな。私が教えてきた中では、一番早かったぞ。」
当然と言えば当然である。この世界の住人からしたら、これはお勉強なのかもしれないが、俺からしたらアニメの知識を蓄えてるようなもの。そんなの楽しいに決まっている。何ならもっと教えて欲しいくらいだ。
「ふむ....、これは褒美が必要だな。ちょうど明日からは、ダンジョン探索に行くからな。装備を買いに行くとしよう。」
「装備....、行きたい!あ、けど俺お金ちょっとしか持ってないや。」
「それは大丈夫だ。私達のファミリアでは、新人が初めて装備を買う際には、10万ヴァリスまで支給することになっているからな。」
「10万....それならいい物が買えそうだ!リヴェリア早く行こう!!」
そう焦るな。とリヴェリアは言いながらも、グレイが嬉しそうにしているのを見て、この子も男の子なのだなと感じていた。そうこうして、グレイとリヴェリアは、バベルまで装備品を見にきていた。
「ここからは、気に入る物がないか自分で見てくるといい。私も別のところを少し見てくるのでな。」
そう言われて、グレイはいくつかのテナントをのぞいて行った。
「やっぱ、武器屋ってテンション上がるよなぁ〜....。」
今まで極東で暮らしていた頃は、町はずれの田舎で、なおかつ武器を買うお金もなかったので、ちゃんとした武器屋に行ったことは、一度もなかったのだ。
ひと通り、歩いて回っていると、店の奥で、壁にかけられている剣に目がついた。
「これだけ、他の物とは質が違う気がする....。値段は他のと変わらないのに、何でだ....?」
その剣は、グレイの背丈と同じくらいの大きな大剣で、装飾や、名前は施されていないものの、質が高く、剣のバランス、重さはグレイの手にとても馴染む物だった。何度かそうして、大剣を触っていると、この店の店主がこちらに向かって歩いてきた。
「坊主....その剣が気になるのか?」
「えっと....はい。他の剣と比べても明らかに質が違うような気がして、すごく手に馴染むんです。」
それを聞いた店主は、俺に向かって突然12万ヴァリスでいいと言ってきた。
「え........、でもこの剣、値札には120万ヴァリスって書いてありますけど、いいんですか?」
「あぁ。そいつを作った奴が、もしこれが欲しいと言ってきた客には12万ヴァリスで売っていいと言われているのでな。」
理由はよく分からなかったが、剣として優れているのは、確かである。それに自分の手持ちはちょうどリヴェリアから貰った10万ヴァリスと、自分の持っていた2万ヴァリスしか持っていなかった為、結局この剣を購入した。
「ありがとうございます!」
店の店主にお礼を行って、店から出るとリヴェリアが待っていた。
「あれ?リヴェリアここにいたんだ。リヴェリアの用事は済んだの?」
グレイがそう聞くと、リヴェリアは、少しついてこいと言うので、後を追いかけていった。
「グレイは、勉強もよくやっていたし、何と言っても同じ名を受け継ぐ者として、これはお前に授ける。」
そこには、白と黒が織り交ぜられた、一着の美しい着物が掛けられており、その側には店の店員が座っていた。
「採寸して、サイズを合わせるので、こちらにお願いします。」
店員はあっという間に採寸を終え、手直しが終わり着物を着ると俺は気付いた。この服とても動きやすいのだ。いつも着ているものとは、素材も違う。
「これって、もしかして戦闘服....?すごく動きやすい。でもこれ絶対高いよね........いいの?」
「値段は気にしなくていい。その服には、王族の里にそびえる”聖王樹の繊維”と”オリハルコン”で作られた金属繊維で編み込まれている。そのため、耐久力も鎧と変わらない物になっているはずだ。」
後になって聞いた話だが、どうやら俺が入団したタイミングで、オーダーメイドで作らせた品だったらしい。品質は、第一等級防具に認定されており、とんでもない代物だった。
「リヴェリア........ありがとう!大切に使うね!」
リヴェリアは、満足そうに笑い2人でホームに戻って行った。
グレイ達が、ホームに帰っている頃、とある武器屋の店主は、先程少年に売った剣のことを目を瞑り、考えながらカウンターに座っていた。すると店の入り口から入ってくるものに気づき、目を開けた。
「今日はどうだった?」
「........あの大剣なら今日、おそらく駆け出しであろう少年が買っていったぜ?もちろんお前の条件は、クリアした上でな。なんでも、手に馴染むんだとよ?まぁ俺も見たがその言葉に間違いはねぇ。」
「なに....!あの剣に合う者が現れたのか!!」
剣の制作者は、嬉しそうに笑った。
「これなら、手前が作った”アレ”も使いこなせるやもしれんな。」
「まぁだが、まだ駆け出しだ。あいつがあれに相応しいなら時期に頭角を表すだろう。話はそこからだ、”椿”」
「そうだな、今は待つとしよう。」
(あぁ....楽しみにしているぞ、名も知らぬ少年よ。)椿は、心からそう思っていた。
今回は、お買い物の話でした!次回からはやっとダンジョンに潜りたいと思います。長かった....!
戦闘シーンは、まだ難しいですができる限りを尽くして書きますのでどうかご容赦を....。
それではまた次回も、よろしくお願いします。