〜命懸けでダンまちの世界を生で見てきます〜   作:赤音友利

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〜06〜

 

 

 魔力枯渇や骨折などの怪我から回復して、しばらく経った頃。俺は、自らの主神であるロキの部屋で、ステイタス更新をお願いしに来ていた。

 

「グレイもあん時は無茶しよったなぁ〜。ママ、ホンマお怒りやったんやでぇ〜!」

 

「ははは、....その件については、本当に............。」

 

(前の事は、十分反省しとるみたいやな。)

 

「まぁ、それはさておき更新や!.........って今度はどんな潜り方したんやグレイ....」

 

(ほんまに........どっちがモンスターやねん!!これが今のアイズたんに知られたら、えらい事やで....。)

 

 

 

 

グレイ・リヨス・アールヴ

 

 L v 2

 

 力:D531 耐久:G211 器用:D508 敏捷:E423 魔力:E486

 

 《発展アビリティ》

 

 神秘:C

 

 《魔法》

 

[グラシエ ]

 ・付与魔法

 ・氷属性

 ・詠唱式 [枷を解け]

 

[ ]

[ ]

 

 《スキル》

 

 [剣舞神才]《ヘブンズ・ギフト》

 ・剣を装備時、早熟する。

 ・発展アビリティ「剣士」の一時発現、補正値はL v に依存。

 ・全アビリティ能力超高補正。

 

 

 

「この前ランクアップした思ったら、もうこれや........。」

 

 ロキは先日行われた神会《デナトゥス》でのことを思い返していた....。

 

 

 

 

 

 今日、この場には数多の神々が集まっている。神会《デナトゥス》と呼ばれる、神々の集会が始まるからだ。そんな面々の中、ロキは手元の紙を見ながら、狡猾な頭を回転させる。

 

(........やっぱ何度見返してもこれは異常やな....。ウチら神々ですら聞いたことの無い前代未聞のレアスキル....。神々への説明は、まぁ問題あらへん、けど懸念があるとすれば、あの色ボケ女神やな。珍しくここに来たのもグレイやろーな。....何でもかんでも手ェ出しおって!絶対やらへんぞ!)

 

そうこうしていると、神会は始まった。

 

「今日も可愛い子供達に二つ名決め始めるぞ〜。」

 

「「「いぇ〜い!」」」

 

 本日も、神々は子供達に痛い名前を付けようと闘志をむき出していた。下界における娯楽の1つとしてか、それとも自分の子供に痛い名前を付けられた腹いせに寄るものか....。

 

「この子は犬人族か〜。」

 

「結構可愛いな。」

 

「大人しそう〜。」

 

「神々(俺達)の忠犬とかどうよ!」

 

「ん〜まぁありっちゃアリだよなぁ〜。」

 

 この子の主神は涙目で、名づけの顛末を聞いていた。

 

「お〜この子、インファントドラゴン倒してのランクアップじゃん。」

 

「結構やるな....!」

 

「....竜殺し《ドラゴンスレイヤー》とかどうよ。」

 

「「「........っそれだ!!!」」」

 

 犬人族の主神は、地に伏していた。

 

 神会ではこの様なことが日常茶飯事だった。まぁ実際の所、下界の子供達はそこまで嫌がっている訳でもないので恥ずかしがっているのは案外、子の主神だったりするのだが。そうして、神会は続き遂にグレイの番が回って来た。

 

「次は、ヒューマンの子だな。名はグレイと言うらしい。ちなみに男だ。」

 

「え〜!女の子かと思ったー!」

 

「それな〜。」

 

「って事はただの美少年か。くっ憎い!」

 

「どこのファミリアだ?」

 

 本日の司会を務める神は、一拍おいて問いに答える。

 

「ーーーロキのとこだな。」

 

「「げっ....!」」

 

 ロキ・ファミリアとはこのオラリオの都市でも1、2を争うファミリアであり、下手な名前を出そうものなら直接捻り殺される可能性すらある為、非常に名付けにくいのだ。

 

「どうする〜。」

 

「まぁ、偉業から考えて付けるのが良いだろ。」

 

「「「賛成〜。」」」

 

「.............。」

 

「おいおい、さっきから何止まってんだよ司会さん〜?」

 

「その子はどんな偉業を成したのさ。」

 

「ちょっと待ってくれ、........このランクアップ所用期間、2ヶ月と言うのは本当か?」

 

 ロキは、遂に来たかと頭を切り替える。司会の神が言った絵空事を、何の冗談かと神々は一笑し、各々が事実を確認しようとする。

 

「....は?何それ。」

 

「流石に冗談が過ぎるぜ〜。」

 

「ロキの所だろ?本人に聞けば良いだろ。」

 

「どうなの?ロキ。」

 

 ロキは、何でもない事のように答える。

 

「ん〜?合っとるでェ〜。」

 

 今度こそ、神は沸いた....。

 

「は?え?たったの2ヶ月!?」

 

「あり得ねェだろ!ロキ、お前、恩恵弄ってねぇだろうな?」

 

 神々の視線がロキに集まり、集中する。普段はおちゃらけているロキは、そんな雰囲気を消し去り口を開いた。

 

「恩恵については弄っとらん。正真正銘、あの子だけの力や。神の力《アルカナム》は一切使ってへん。」

 

 神々は思考する。恐らくロキが言っていることは正しいのだろう。自らの子供の事を大切にしているロキのことだ。天界ではともかく、下界でその性格はだいぶ変容した。だが....あまりにも早過ぎる。今までの記録で最速が1年という月日をかけてのランクアップなのだ。それを今回で大幅に更新することになる....。神々は、自分達ですらわからない未知に困惑していた。

 

 そんな時、本来はここに来る筈のない女神から、意外過ぎる声が発せられた。

 

「ちょっといいかしら?私も彼について言いたいことがあるの。」

 

「なんや、フレイヤ。どういう用件やねん。」

 

 ロキが目を鋭くしてフレイヤを見る。

 

「彼に恩恵が弄られた形跡は無かったわ、私が言うんですもの。」

 

 分かるでしょ?と言う様にあたりを一度見回した後、口を閉じた。

 

「まぁ、フレイヤが言うなら間違いねェか。」

 

「「「そうだな。」」」

 

 男神達がたいして理由も考えず、一斉に納得しているを見て、女神達は吐き気がしていた。

 

「所で、このグレイって子。どんな偉業を成したんだよ?」

 

「確かに、気になるよな。」

 

「ブラッドサウルスの強化種を単独討伐だな。」

 

「へぇ〜、あれこの子ってレベル幾つだっけ?」

 

「今回で2だな....。」

 

「「ん............?」」

 

「「「は........!?」」」

 

「って事はLv.1でブラッドサウルス倒したってのか!?それこそあり得ないだろ!!」

 

 神々がまたグレイについてヒートアップした頃、ロキはここで切り札を出した。

 

「それについては、今回ウチの子があの恐竜を”討伐出来たかもしれへん可能性”を証言するために人を呼んどる。」

 

 神会の扉が開かれ、入って来たのはグレイの育て親....タケミカヅチだった。

 

「それについては、俺から話そう。」

 

 ロキは、こうなる事を予想し、あらかじめ極東からタケミカヅチを呼んでいたのであった。

 

「何でタケミカズチ?」

 

「説明はよ。」

 

 タケミカヅチは、神々に話した。グレイを幼少から鍛えていたこと。たったの15年という短い期間で剣武において、武神である自分と同等の域に達していること。そしてその才は、底が解らぬほどだったこと。これらを神々が聞き終わると、声を揃えて同じ言葉を発していた。

 

「「「ただの化け物じゃん........。」」」

 

「我が弟子ながら、俺もそう思わざるを得ん。」

 

 タケミカヅチという神は、神々の間でも知られる善神である。純粋で優しく、嘘など付けぬ男神。その事実が、今回のことに真実味を帯びさせていた。

 

「おい、タケミカヅチよ....。仮にお前が剣で冒険者に挑んだ場合どれくらいまで倒せるんだ....?」

 

「ふむ、....まぁ俺の場合は他の武術も合わせることにはなってしまうが、第一級冒険者と1対1なら、俺が勝つだろうな。間違いなく。」

 

 神々は息を呑む。

 

「もうお前、ダンジョン行ってこいよ.........。」

 

 どこの神が言ったかは分からなかったが、その場にいる神は全員が心の中で賛成した。

 

 ロキの切り札は効果的に作用し、この場で疑念を持つ者はいなくなった。この後も神会は順調に進み、最後に近況の報告会をして終了した。それと同時に、会場から姿を消そうとする者にロキは、密かに声をかける。

 

「どういうことや、フレイヤ。何で、助け舟なんか寄越したんや。」

 

 ”素直に話せ”と、ロキはフレイヤに問いただす。

 

「あら、私が助けた事に不満でもあるの?」

 

「そうやない、何を企んどるのかを聞いとんのや。」

 

「ーーーー何も。何も企んでなんかいないわ。今回は本当よ?」

 

「そないな事、信じられる訳ないやろ!」

 

 フレイヤは、少し微笑みながら、”特別よ?”と言い口を開く。

 

「あの子の魂は、まるで陰と陽ね。光の祝福を一身に受けているかの様に白い光を放って輝いている....と思えばその内には、死の刻印を魂に刻んでいる。おかしいでしょ?だってあの子生きているんだもの。本当の死なんて経験してるはずが無いんだから。」

 

 まるで、一度死んでから生き返ってるみたい。あり得ないけれどね?

 

 ロキは思考する。フレイヤは、魂を見ることに関しては神の中でも特別である。そんな神から、グレイは一度、死を経験していると言われているのだ。一体何があったというのか....。しかし、それでもおかしい。そんな未知の魂をなぜフレイヤが興味を持たないのか....。

 

「それと、グレイに手を出さない事の何が関係あるんや。」

 

「そんなの簡単よ?ロキ。さっき言ったでしょ?あの子の魂は、光の祝福を受けているって。」

 

「だから何やねん。」

 

 フレイヤは、妖美な笑みを浮かべる。

 

「私、もう誰かに染められた魂に興味は無いもの。」 

 

 そう言って、今度こそフレイヤはこの場から姿を消した。自分の愛する子に”興味がない”と言われ、何故か腹がたつロキだった。しかし、それも今回の協力者が近づいてきた事に気づき、すぐに納めた。

 

「おぉ〜、ご苦労やったな!タケミカズチ。」

 

「俺の愛弟子だからな、当然さ。グレイのためだ。また何かあったら、出来る限りで協力しよう。」

 

「今回はホンマに助かったわ〜、恩に着るでェ〜!」

 

 そう言って、タケミカヅチは極東へ帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 という様なことがほんの数日前にあり、タケミカズチがオラリオに来ていた事は内密にして欲しいと言われていたので、グレイは何も知らないのだが、神会で一悶着あったロキは、少し疲弊していた。

 

「ーーーーーーーーロキ〜?.........おーい、聞こえてる〜?」

 

「....んぁ?何やったっけ?」

 

「だから、”2つ名”だってば〜。何でそうなったのかなぁって。」

 

 神会での事を思い出していたロキは、グレイの話に上の空だった。

 

「あぁ、それの事な〜。まぁ色々あったんや!」

 

「....色々って何さ!そこを聞いてるのに。」

 

「結構カッコいいと思うで?まぁアレや。要するに”ビックリ箱”やな!」

 

 Lv.1からLv.2にランクアップしたグレイの”2つ名”は、『黒匣(ブラックボックス)』。神々はこの少年から、未知を感じた為この名前に決定した。どちらにせよ、厨二っぽくはあるが........。

 

「まぁ、いいや。どうせまたランクアップしたら、変えてもらえるかも知れないし、ね?........ね?」

 

 ステイタス更新も終わり、グレイは今日もダンジョンに向かって行った。

 

「....ハァ〜。これだって本来は、前代未聞なんやけどな〜....。」

 

 

【神秘:C】

 

(ただでさえ”神秘”の発展アビリティは、都市ですら数人....。やって言うのに、この子は初期値からC評価....。フレイヤがこの前言っとった事も気になるし、何を経験したらこんな事になんねん....!!ホンマビックリ箱にも程があるやろ!)

 

 ロキや、この世界の住人はもちろん知らない事だが、グレイは元々地球という異世界で一度死を経験している。しかも神の恵みで記憶を保持したまま、この世界に転生して来たのだ。この世界には存在しない科学理論や言語という知識を持っており、更には異界からの転生という奇跡を起こしてみせた存在である。よってこの発展アビリティは正当なこの世界からの評価であった。

 

 フレイヤが、魂を見た時に感じた”祝福”と”死”はまさに転生した事の証明でもあった。この世界の神は、記憶保持で異界に転生させるなどという考えはないため、気づく事が出来なかったという訳だ。

 

「後、何回ウチは驚けばいいんや........。」

 

 ロキは、久しく忘れていた下界の未知に触れ、内心嗤っていた。

 

 

 

 

 





 今回は、グレイくんの登場はあんまりでした....。

 次の話から、原作の辺りまで進めようかなと考えてますので、今までよりは面白くなるかなと思っている次第です!(なんか臨場感みたいな意味で、です!)

 それまでの過程や、ストーリーは話ごとの間に挟んでいきたいと思っているので、よろしくお願いします。

 今回も投稿がだいぶ遅れてしまってすいません。更新は辞めずに続けていくのでどうぞよろしくお願いします。
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